AIによる画像認識の導入活用事例18選を徹底解説!
最終更新日:2026年09月24日
記事監修者:森下 佳宏|BizTech株式会社 代表取締役

AIの画像認識は、写っている物体を見分けるだけでなく、傷や変色といったわずかな異常の検出や、人の行動の意味の推定まで担えるようになり、店舗・工場・医療・保険などの現場で実運用が進んでいます。
この記事では、小売から医療・保険まで6つの業界に分けて、AI画像認識の導入・活用事例18選を紹介します。各事例では「何を認識させ、どの業務をどう変えたのか」を整理しています。
画像認識・画像解析のAI開発に強い!プロ厳選の開発会社の記事では、画像認識・画像解析に強いおすすめのAI開発会社を厳選して紹介しています。AI開発会社選定のポイントも解説していますので、導入を検討している方はぜひご覧ください。
目次
製造・物流業界のAI画像認識活用事例
製造・物流業界では、目視検査や現場の見回りといった人手に依存した工程を、画像認識で置き換える取り組みが進んでいます。「不良品のデータが集まらない」という壁を、学習方法の工夫で乗り越えた事例が目立ちます。
食品原料の不良品検出(キユーピー)
キユーピー株式会社は2016年にAIを活用した原料検査装置の開発に着手し、2018年8月からベビーフードに使う冷凍の角切りポテトや角切りニンジンの検査工程に本格導入しました。
従来の検査装置は、不良品のパターンを学習させる手法が一般的でした。しかし変色や変形、異物など不良のパターンは無数にあり、高い精度を出すのが困難でした。
そこでキユーピーは発想を逆転させ、大量に手に入る良品の画像だけをAIに学習させ、「良品以外」をすべて不良として検出する方式を採用し、精度を大きく高めました。
開発にはGoogle Cloudの機械学習基盤を使い、ブレインパッドが技術パートナーとして参加しています。鳥栖工場ではスタッフの約25%にあたる30〜40名が目視検査に従事していましたが、その負担軽減につながっています。
同社は、同じ課題を抱える他の食品メーカーへの装置提供も検討しています。
参照:「キユーピー株式会社の導入事例:キユーピー+ブレインパッドの取り組みで次世代の AI 検査装置を実現!|Google Cloud 公式ブログ」
荷姿の異常検出(豊田自動織機)

株式会社豊田自動織機と産業技術総合研究所(産総研)の連携研究ラボ「豊田自動織機-産総研 アドバンスト・ロジスティクス連携研究ラボ(ALラボ)」は、AIを活用した「荷姿異常検出」の仕組みを開発しました。
トラックで運ばれてきた荷物は、パレットからはみ出したり隣の荷物と干渉したりしていることがあります。こうした異常を見逃したまま自動運転フォークリフトで荷降ろしをすると、荷崩れにつながります。
このAIは、カメラ画像から荷物のずれやはみ出しを自動で検出し、自動化されたフォークリフト作業の安全性を高めます。
開発当初は、AIの学習に必要な荷姿の画像が十分にありませんでした。
そこで産総研が開発した「数式ドリブン教師あり学習(FDSL)」を活用し、数式から生成した画像で事前学習させることで、実画像が少なくても高い精度を実現しました。実データを集めにくい現場でも画像認識AIを導入できることを示した事例です。
参照:「「物流自動化の課題」に挑む豊田自動織機と産総研|産総研マガジン」
関連記事:「物流業界における荷崩れとは?影響や防ぐ方法、AIの活用例を徹底解説」
倉庫作業の可視化(三菱地所)
三菱地所株式会社は、AIスタートアップのニューラルポケット株式会社と組み、物流施設の庫内作業をAIで可視化する取り組みを進めています。
2019年11月から、名古屋市の物流施設「ロジクロス名古屋笠寺」でテナント2社の協力を得て実証実験を行いました。倉庫内に計5台のカメラを設置して作業員や無人搬送車(AGV)の往来を撮影し、動線のボトルネックや交錯、滞留が生じていないかをAIで解析しました。
この成果をもとに、2021年10月から自社の物流施設「ロジクロス」シリーズで本格導入を始め、第1号として「ロジクロス海老名」に提供しています。
倉庫内のカメラ映像から作業員・カゴ台車・フォークリフトを検知し、それぞれの動線や滞留、通行頻度を計測します。ロケーション変更やピッキング手順の見直しに役立つほか、フォークリフトと作業員の急接近といった危険の事前検知にも活用されています。
参照:「三菱地所、物流施設「ロジクロス海老名」へ倉庫運営ソリューションを導入|日本経済新聞」
関連記事:「物流業界・倉庫業界でのAI活用方法は?相談実例や、倉庫・配送・検品の業務別事例を解説!」
小売業界のAI画像認識活用事例

小売業界では、人手不足への対応と商品ロスの削減が大きな課題です。レジ・防犯・売場づくりといった、これまで店員の目と経験に頼ってきた業務をカメラとAIが肩代わりし始めています。
無人決済店舗(ファミリーマート/TOUCH TO GO)
ファミリーマートは2021年3月から、株式会社TOUCH TO GOが開発した無人決済システムを導入した店舗を出店しています。オフィスビルや駅、学校、病院などへ出店を広げ、2024年9月時点で44店舗を展開しています。
店内のカメラなどの情報から、入店した客が手に取った商品をリアルタイムに認識する仕組みです。天井のカメラが人の動きを追跡し、商品棚の重量センサーと組み合わせて「誰が何を取ったか」を特定します。
客が出口に近づくと、購入商品と合計金額がディスプレイに自動で表示されるため、バーコードを読み取る作業は不要です。
画像認識単独ではなく、重量センサーと組み合わせて認識精度を担保している点が実運用に耐える設計のポイントといえます。小さな売場でも少人数で運営できるため、これまで採算が合わなかった場所への出店が可能になりました。
参照:「無人決済コンビニ|新たな取り組み|FamilyMart Stories|ファミリーマート」
こちらでAIを活用した無人店舗の仕組みと事例を詳しく説明しています。
万引き・不審行動の検知(VAAK)
万引きをする人は、店内で周囲を過度に見回す、商品を隠すように持つといった特徴的な行動を取ります。株式会社VAAKの映像解析AI「VAAKEYE」は、防犯カメラの映像から人物の姿勢や動きを解析し、こうした不審行動を検知して店員に通知します。
検知対象は不審行動や迷惑行動、店内ルール違反、業務の未実施など120種類以上に及び、既設のIPカメラの映像をそのまま活用できます。
公式サイトでは、パルグループホールディングスで商品ロスを80%削減した事例が紹介されています。
通知を受けた店員は、「何かお探しですか」と声をかけることで万引きを未然に防ぎます。AIが「犯人を捕まえる」のではなく、「声かけのきっかけをつくる」運用である点が、接客品質を損なわずに導入できる理由です。
参照:「店舗向け映像解析AI|目視監視をAIで例外管理へ|VAAK」
関連記事:「AIは警備・セキュリティ業界をどう変える?活用方法・メリット・事例を徹底解説!」
パンを識別するAIレジ(ブレイン)

株式会社ブレインの「BakeryScan」は、トレイ上に置かれた複数のパンの種類と個数をカメラで一括識別し、会計金額を自動で表示するAIレジです。2013年に発売され、国内外で累計1,700台超が導入されています。
包装されていないパンにはバーコードを付けられないため、店員は70〜120種類にもなるパンの名前と値段を覚えてレジを打つ必要があり、習熟に1〜2か月かかっていました。BakeryScanを使えば、新人スタッフでも勤務初日からレジに立てます。
全店でBakeryScanを採用しているベーカリー大手のアンデルセンでは、上野店で従来レジ5台を10人で回していたところ、導入後は3台を5人で回せるようになり、レジ待ちも解消されました。
参照:「ベーカリースキャン|株式会社ブレイン」
関連記事:「画像認識を含む飲食業界でのAI活用事例」
来店客の行動分析(サツドラ/Vieureka)
ドラッグストアを展開するサッポロドラッグストアー(サツドラ)は、パナソニックが開発したエッジAIカメラ「Vieureka」を2018年5月に月寒西1条店へ導入し、2019年9月までに3店舗へ広げました。
月寒西1条店では96台のカメラを設置し、来店客数や性別、年齢層、滞留時間などを計測しています。これらのデータから売場ごとの到達率を定量化し、商品棚のレイアウト変更やエンド陳列、サンプル品展示の効果測定に活用しています。
Vieurekaの特徴は、映像をクラウドへ送らずカメラ本体でAI処理を行う点です。大容量の映像データを送信せずに済み、個人を特定できる映像を外部に出さない設計にもできます。
さらにサツドラは、行動データとPOSデータ・棚割データを取引メーカーと共有し、ID-POSだけではわからない来店客の実態把握にも取り組みました。
なお、Vieureka事業は2022年7月にパナソニックからカーブアウトし、Vieureka株式会社として独立しています。
参照:「パナソニックがサッポロドラッグストアーに「Vieurekaサービス」を納入|パナソニック」
薬局で活用できるAIの種類、活用事例についてはこちらで解説していますので併せてご覧ください。また、薬局を含む小売店で活用するAIで開発実績豊富な会社をこちらの記事で特集しています。
リユース・アパレル業界のAI画像認識活用事例
商品の見た目そのものが価値を左右するリユース・アパレル業界では、鑑定・検索・トレンド分析といった目利きの領域に画像認識が入り込んでいます。
ブランド品の真贋判定(コメ兵)

リユース大手の株式会社コメ兵は、AIを活用した真贋判定システム「AI真贋」を開発し、2020年8月にKOMEHYO名古屋本店へ導入しました。現在は「KOMEHYO」「BRAND OFF」の全店で活用されています。
店舗での買取などで集まる膨大な商品データと熟練鑑定士の知見を教師データとして学習させたシステムで、ブランド品の真贋を99%以上の精度で判定します。
マイクロスコープで拡大した生地の模様や刻印などを過去のデータと照合し、肉眼では判別できない細かな違いを見つけ出します。真贋判定に加え、商品の型番特定も行います。
導入の背景には、精巧な偽造品の流通増加がありました。AIが真贋判定と型番特定を担うことで、鑑定士は査定額の説明など顧客対応に注力できるようになりました。
鑑定士の育成期間を短縮できるため、新規出店や海外展開のスピードを上げる効果も見込まれています。
参照:「コメ兵、リアル店舗に「AI真贋」導入 リユーステックで偽物を排除し、健全なリユース市場を創造|コメ兵」
関連記事:「AIによる真贋判定とは?効果的な画像認識技術やメリット、注意点、導入実例を徹底解説」
類似画像検索(ファーストリテイリング)

株式会社ファーストリテイリングは、ユニクロとジーユーが共同開発した着こなし発見アプリ「StyleHint」を2019年10月に公開しました。
StyleHintでは、カメラで撮影した写真や保存した画像から、似た着こなしやユニクロ・ジーユー・プラステ・セオリーの商品を検索できます。画像解析には、Googleの画像解析サービス「Google Cloud Vision API」を活用しています。
「街で見かけた服の商品名がわからない」という場面でも、画像を入力すれば商品にたどり着けます。テキスト検索では拾えなかった購買意欲を、そのまま自社ECの購入につなげる導線を実現した事例です。
参照:「「これ着てみたい」に出会える、着こなし検索アプリ「StyleHint」を今秋にサービス公開|ユニクロ」
関連記事:「類似画像検索とは?導入相談事例・AI導入の効果・利用シーン・注意点を徹底解説!」
ファッショントレンド予測(ニューロープ)
アパレル業界向けのAIを開発する株式会社ニューロープは、ファッションコレクションやSNS、ECサイトの画像を画像解析AIで分析し、トレンドを予測するサービスを提供しています。
同社は2014年から人手で学習データを作り続け、色・柄・素材・丈感・襟の形など639種類の特徴を自動認識できる画像解析AIを自社開発しました。服を特徴ごとに分解することで、ブランドやシーズンが異なる商品も同じ形式で比較・分析できます。
2023年には、3か月先・6か月先・1年先のトレンドを予測する「AIトレンドブック」をリリースし、6か月先の予測精度は約72%でした。
2026年には予測精度をさらに高めたほか、生成AIを使ったチャット形式の予測サービスも始め、2027年までに約50社への導入を目指しています。
小ロット・多品種で販売期間が短く、データが溜まりにくいアパレル商品の特性を画像認識で補っている点が特徴です。予測精度が上がれば、過剰在庫や大幅な値引き、売り逃しの削減につながります。
参照:「ファッショントレンド、AIが予測 ニューロープが精度向上|日本経済新聞」
建設・インフラ業界のAI画像認識活用事例
建設・インフラ業界では、現場の安全管理と、老朽化する構造物の点検という2つの領域で画像認識の活用が進んでいます。
フック不使用者の検知(奥村組/日立ソリューションズ)

株式会社奥村組と株式会社日立ソリューションズは、高所作業で墜落制止用器具(安全帯)のフックを親綱にかけていない作業員をAIで自動検知するサービスを共同開発し、2023年5月に販売を開始しました。
複数の現場で集めた延べ6,000件以上の画像を学習させたAIモデルが、建設現場のカメラ映像から親綱支柱や親綱、フックを検出し、フックがかかっていない状態を自動で判定します。
不使用の状態が一定時間続くと通知が届くため、施工管理者は遠隔からでも不安全行動を把握できます。
埼玉県の鉄骨建方中の現場での検証では、カメラと作業員の距離が15m以内で、人や物が重なっていない条件のもと、フック不使用者を90%以上の精度で認識できました。
検知した映像はクラウドに保管され、安全教育や事故の傾向分析にも活用できます。
参照:「墜落制止用器具フック不使用者をAIで自動検知するサービスを販売開始|日立ソリューションズ」
コンクリートのひび割れ検知(キヤノン)
キヤノン株式会社の「インスペクション EYE for インフラ」は、橋梁やトンネルなどのコンクリート構造物の点検を支援するサービスです。国土交通省が2019年2月に点検要領を改訂し、高精細画像を使った点検が認められたことを受けて、同年12月に提供を開始しました。
サービスは「撮影」「画像処理」「変状検知」の3つで構成され、AI画像認識は変状検知で使われます。変状検知AIは幅0.05mmのひび割れも検知でき、ひび割れと間違えやすい汚れた壁面でも、ひび割れだけを見分けます。
ある道路高架橋の床版では、近接目視で見つけたひび割れの約99%を検知したうえ、目視で見逃されたひび割れも検知し、合計で近接目視の2倍以上の本数を正しく検出しました。
検知結果は、東設土木コンサルタントとジーテックが開発した変状展開図作成・管理支援ツール「CrackDraw21」と連携でき、点検調書の作成や補修計画の策定といった実務にそのままつなげられます。
参照:「インフラ構造物点検事業に参入“インスペクション EYE for インフラ”の提供を開始|キヤノン」
コンクリートのひび割れ検知に用いるAIの活用事例について、こちらの記事で特集していますので併せてご覧ください。
医療・ヘルスケア業界のAI画像認識活用事例
医療・ヘルスケア分野では、画像認識AIが医師の診断を補助する医療機器として承認・販売される段階に入っています。研究段階の成果から日常の健康管理まで、幅広い活用が進んでいます。
早期胃がんの検出支援(AIメディカルサービス)
株式会社AIメディカルサービスは、内視鏡検査中に早期胃がんを疑う領域を検出し、医師に知らせるAIを開発しています。2023年12月に最初の製品「gastroAI-model G」が医療機器として製造販売承認を取得し、2024年12月には後継の「gastroAI model-G2」も承認を取得、2025年5月に発売しました。
gastroAI model-G2は、内視鏡検査機器から受信した胃の画像を解析し、早期胃がんや腺腫を疑う領域を矩形で表示するとともに、音で医師に知らせます。解析にかかる時間は0.15秒以内で、検査の流れを止めずに使えます。
同社のAIは、100以上の共同研究機関の支援のもと、国内外の医療機関から提供された画像を学習して開発されています。
医師は新しい手技を覚える必要がなく、通常の内視鏡検査の流れのままAIの支援を受けられます。AIが「もう一度よく見るべき箇所」を示すことで、がんの見逃し低減と、診断を下す際の心理的負担の軽減が期待されています。
参照:「AIメディカルサービス、画像上早期胃がんおよび腺腫を疑う領域を検出するAI搭載の内視鏡画像診断支援ソフトウェアの製造販売承認を取得|AIメディカルサービス」
がん細胞の種類の判別(大阪大学)

大阪大学大学院医学系研究科の研究グループは2018年、AI画像認識技術を使って顕微鏡画像からがん細胞の種類を判別することに成功しました。
研究グループは、マウスとヒトのがん細胞株に加え、それぞれから派生した放射線治療の効きにくい細胞株の計4種類を用意し、位相差顕微鏡で各10,000枚の写真を撮影しました。
これらの画像を畳み込みニューラルネットワーク(CNN)で学習させたところ、学習に使っていないテスト画像でも約98%の正答率で細胞の種類を判別できました。
人の目では判別が難しい微細な違いを、人より早く正確に見分けられることを示した研究です。将来的には、患者のがん細胞の画像から放射線治療が効くかどうかを予測する技術への発展が期待されています。
参照:「AIによる画像認識技術でがん細胞の種類を判別|大阪大学 ResOU」
食事写真からの栄養記録(ライフログテクノロジー)
ライフログテクノロジー株式会社の健康管理アプリ「カロミル」は、食事の写真を撮るだけでAIがメニューを識別し、カロリーや栄養素を自動で記録します。一般的な食事メニューに加え、大手食品メーカーやコンビニエンスストアの商品、外食チェーンのメニューも識別できます。
食事メニューの画像解析の精度は、商品名・素材・フレーバーまですべて正解したものが83%、類似商品や味違いの品目として認識したものを含めると91%です(同社調べ)。
体重計や血圧計、血糖値計の画面を撮影して数値を記録する機能もあります。
カロリー計算の手間という、健康管理を続けるうえでの最大の障壁を画像認識で取り除いた事例です。この技術はAPIとして外部企業にも提供されており、他社のヘルスケアサービスや栄養指導の現場でも活用されています。
参照:「コンテンツ紹介|AIが食事を数値化する栄養管理・ダイエットアプリ「カロミル」|農林水産省」
保険・イベント・資源分野のAI画像認識活用事例
画像認識は、保険金の支払い、大規模イベントの入場管理、さらには世界の資源市場の分析といった、現場作業以外の意思決定にも使われています。
建物の損害額算出(三井住友海上/あいおいニッセイ同和損保)
三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は、英国のTractable社と協業し、台風などで被災した建物の損害額をAIで自動算出するシステムを2021年度に導入しました。
契約者がスマートフォンやパソコンから被災箇所の写真を送るだけで、AIが損傷箇所を自動で検出し、損害額を算出します。過去の自然災害で被災した建物の写真と修理見積りを学習させています。
大規模災害では修理業者も被災して見積書の取り付けに数か月かかることがありましたが、この仕組みにより、写真の提出から1週間以内の保険金支払いが可能になりました。
両社は2020年6月にも、Tractable社のAIを使って自動車事故の修理見積書を自動点検するシステムを導入しています。「撮影した写真から金額を算出する」という画像認識の使い方は、保険業界で着実に広がっています。
参照:「【業界初】AIを活用した建物損害額算出システムの導入について|三井住友海上」
顔認証による入場管理(NEC)
2025年に開催された大阪・関西万博では、日本電気株式会社(NEC)の顔認証システムが入場管理と店舗決済に採用されました。
期間中に何度でも入場できる「通期パス」と「夏パス」の購入者を対象に、東西ゲートの51レーンに顔認証を導入しました。
来場者は事前に顔写真を登録し、当日はチケットのQRコードをゲートにかざしたうえでカメラに顔を向けるだけで本人確認と入場が完了します。
登録者数は120万IDを想定しており、国内の顔認証の提供事例として最大規模です。
複数回入場できるチケットの貸し借りによるなりすましを防ぎつつ、入場の流れを止めない点が導入の狙いでした。会場内では、顔認証で買い物ができる手ぶら決済も提供されました。
参照:「NEC、大阪・関西万博の店舗決済と入場管理に顔認証システムを導入|NEC」
原油貯蔵量の推定(Orbital Insight)
産油国の原油貯蔵量は原油価格に大きな影響を与えますが、正確な数字が公表されないこともあります。米国のOrbital Insightは、人工衛星が撮影した原油タンクの画像をAIで解析し、貯蔵量を推定するサービスを提供してきました。
原油タンクの多くは、原油の上に屋根が浮かぶ「浮き屋根式」です。原油が減ると屋根が下がり、タンクの内壁に三日月形の影ができます。AIが衛星画像から世界中の約2万5,000基のタンクを見つけ出し、影の大きさから各タンクの充填率を計算して、国ごとの貯蔵量を推定します。
同社は2024年5月、アップル共同創業者のスティーブ・ウォズニアック氏らが設立した宇宙データ企業Privateerに買収され、同社の解析プラットフォームはPrivateerのデータ基盤と統合される方針が示されました。
「公開されていない経済指標を、画像から間接的に推定する」という発想は、金融・商社分野における衛星画像活用の代表例として知られています。
参照:「Orbital Insight Expands Coverage of Global Energy Product|Via Satellite」
関連記事:「衛星画像のAI解析とは?相談事例、用途や課題、画像認識AIを導入するメリット・注意点を徹底解説」
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AIによる画像認識の導入についてよくある質問まとめ
- AI 画像認識技術はどのような分野で活用されていますか?
AI 画像認識技術は以下のような分野で活用されています。
- 小売業(無人店舗、商品識別)
- 医療(がん細胞の判別)
- 建設・インフラ(コンクリート構造物の点検)
- セキュリティ(顔認証、万引き防止)
- 農業・海洋(海氷領域の抽出)
- 製造業(品質管理)
まとめ:AI画像認識の導入は「何を見分けさせるか」の設計から始めましょう
18の事例に共通するのは、「画像認識で何ができるか」から考えるのではなく、「どの業務の、どの判断を置き換えるか」を具体的に絞り込んでいる点です。
キユーピーは良品だけを学習させ、豊田自動織機は数式から生成した画像で学習データの不足を補いました。
成果を出した企業は、自社の現場で集められるデータに合わせてAIの学習方法そのものを設計しています。
一方で、「自社のデータでどこまでの精度が出るのか」「PoCの先に実運用の道筋を描けるのか」は、社内だけでは判断しにくいのが実情です。
開発会社の選び方を誤ると、PoCだけで終わってしまうリスクもあります。
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