最終更新日:2023-03-14
ChatGPTとは?何ができる?企業の活用例4選と自然言語処理の課題徹底解説!

今話題沸騰中のChatGPTについてご存じでしょうか?ChatGPTは、2022年11月30日に公開されてからわずか2ヶ月で月間のユーザー数が1億人を超える人気ぶりです。APIも提供されるようになり、その革新的な技術を個人ユーザーの仕事への活用はもちろん、企業も自社サービスや商品で活用して新たなサービスを提供しようと注目しています。
そこでこの記事では、ChatGPTとはいったい何なのか?どういうことができるのか?について解説していきます。さらに、ChatGPTの仕組みを活用した新たなサービスの開発事例も紹介します。
ChatGPTについて知りたい、事業での活用方法を模索している方は、是非最後までご覧下さい。
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ChatGPTとは?
ChatGPT(チャットジーピーティー)は、米国OpenAI社が公開した大規模な自然言語処理のためのニューラルネットワークモデルのチャットボットです。ChatGPTは人間のようにふるまい、自然な対話からユーザーが求める文章を生成することができます。
Microsoft社の共同創業者ビル・ゲイツ氏も、ドイツのベルリンで開催されたイベント「Europe 2023」で、ChatGPTは「現時点で最重要なイノベーション」と述べており、ChatGPTに対する期待の大きさがうかがえます。尚、Microsoft社はOpenAI社に対して、数十億ドル以上の出資を行っています。
従来のチャットボットとの違いとは?
ChatGPTは、あらかじめ用意された回答を返す従来のチャットボットと違う点は、実際の人間と会話しているようなリアルな会話文を生成できる点です。また、それまでの会話からどのような情報がほしいのか推測し返答することもでき、本当に人と話しているような自然なやり取りができるのが特徴です。
AIによるチャットボットの種類、仕組みについてわかりやすく関連記事で解説していますので併せてご覧ください。
AIによるチャットボットの活用事例についても関連記事で解説していますので併せてご覧ください。
ChatGPTの仕組みは?
ChatGPTは「GPT-3.0」という自然言語処理モデルを使用します。GPT-3.0は、ChatGPTの開発前から存在しており、高度な汎用性を持っているシステムです。GPT-3.0は以下のタスクを実行できます。
- 自然言語生成
- 文書生成
- 文章要約
- 機械翻訳
GPT-3.0はオンライン上のすべてのテキストデータをデータベースとしているため、社会的・文化的に好ましくない文章を作成してしまう問題がありました。このGPT-3.0に人間がファインチューニングを行い、人間の指示・嗜好に合った応答をすることができるようにしたのがChatGPT です。
ChatGPTは、GPT-3.0を人間がファインチューニング(微調整=RLHF (Reinforcement Learning from Human Feedback)と呼ばれる人間のフィードバックに基づいた強化学習)することで、あたかも人が書いたような自然な文章を生成できる仕組みです。ChatGPTは、主に対話型アプリケーションなどの対話の応答生成に利用されています。これにより、企業や教育機関等でも活用できるようになり話題となっているのです。
また、プロンプトエンジニアリングと呼ばれる、生成AIが最適な回答を導き出すことが可能な手法が実現されています。具体的には、ChatGPTに質問を投げかける際に、「友だちのように回答してください」といった形でAIにプロンプト(指示や命令)を行うことで、より活用場面ごとに求めてる回答に近いものを導き出すことができるようになっています。
自然言語処理の仕組みについて分かりやすく解説していますので併せてご覧ください。
ChatGPTで何ができる?
ChatGPTは、これまで人間がやっていた以下ような作業を簡略化できます。
- 質問に対する返答(情報収集)
- 文章の要約
- 文章の作成
- リストや比較表の作成
それぞれのポイントを説明します。
質問に対する返答(情報収集)
ChatGPTは、上記のような質問に対して人間のように自然に答えてくれます。気になることや調べてほしいことについて「◯◯について教えて」「◯◯とは何?」と質問すると、それに対して回答を送ってくれます。
インターネットで検索して情報を収集することが多いかと思いますが、ChatGPTに質問することで情報を収集できます。口調や文章表現方法を指定すれば、それに合わせた文章で返答することもできます。例えば「会社の公式なプレゼン資料に使えるレベルの英語でまとめてください」と言った指定も可能です。
また、ChatGPTを顧客サポートやFAQとして使用することも可能で、24時間365日のサポートを行うことができます。ただし、企業のサポートとして使用するためには正確な回答を生成するための学習やトレーニングが必要になります。
文章の要約
ChatGPTは文章の要約ができます。長い文章を打ち込んだ後や説明文をコピペした後に、「文章を要約して」と送ると要約文を返してくれます。上記画像のように、論文やWebページを要約することも可能です。これも文体や出力言語などを指定することが可能です。
「実際の人間と会話している」感じがChatGPTの特徴ですが、要約機能においても発揮されます。例えば、ChatGPTに「◯◯について教えて」と質問をしてその答えが返ってきた後に「要約して」と送ると「◯◯」について要約されます。毎回、命令のたびに「◯◯について」と入力する必要がなく、その前のやりとりからChatGPTが考えて返答することができます。
文章の作成
「AIが小説を書いた」という話しを聞いたことがあるのではないでしょうか?ChatGPTでも小説を書くことができ、それ以外にも以下のようなビジネスで使用する文章を作成することができます。
- 提案文
- 発注書、稟議書
- 申請書
- メールの下書き
下書きとして文章を作成することができるので、定型文などを書かずに書く手間が省けます。内容の手直しは必要ですが、明確に指示をすれば手直しの箇所も少なく、より正確な文章を作成することができます。
また、情報収集→要約→文章作成などの一連の流れをChatGPTで行うことで、これまでは自分で調べたものを要約して文章化するといった労力のかかることを、ChatGPT内で行うことができるようになるなど、仕事を効率化することができます。
リストや表の作成
エクセル等で作成する事の多いリストや表をChatGPTで作成することもできます。
品目や性能、値段などの比較したい項目を指定することで比較表や候補リストを作成することができ、社内外での提案文の資料を簡単に作成することができます。自分で項目を並べて入力する必要がなく、ChatGPT内で調べた情報があればそのままリストや表にできるため作成する手間が大幅に省けます。
ChatGPTの2つの注意点
ChatGPT を使用するうえでは、以下のことに注意しなければなりません。
- 回答内容の確認が必要
- 学習データが偏る可能性
それぞれのデメリットに注意してください。
回答内容の確認が必要
ChatGPT の回答内容が正しいかどうかは必ず確認しなければなりません。公開されたばかりである現在は、回答が完全ではありません。
また、上記のようにChatGPT自身が回答していることからわかるように、ChatGPTには最新データが反映されていません。
特に情報収集で使用する際は、本当に正しい情報なのかを公式サイト等で確認をした方が良いでしょう。
学習データが偏っている可能性
学習データの偏りとは、学習に用いたデータに特定のグループや地域などのバイアスが含まれている状態です。実際、ChatGPTの学習に使われているデータは日本語よりも英語の方が多いといわれています。
学習データの偏りは、返答の正確さや返答が可能かなどに影響します。
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ChatGPTの活用例4選
ChatGPTや、ChatGPTに使用されているGPT-3.0を活用した以下のようなサービスが早くも開発・提供され始めています。
土日深夜帯の問い合わせに対応できるインサイドセールス自動化の実現(ポート)
就職領域、リフォーム領域、カードローン領域、エネルギー領域でマッチングDX事業を展開しているポート株式会社は、以下のChatGPTを活用したサービスを提供するための検証を行うことを発表しました。
- 土日、深夜帯の問い合わせに自動対応することでインサイドセールスの自動化
- 就職領域におけるテキスト型キャリアアドバイスサービス
エネルギー領域における土日や深夜帯などにユーザーからの電気やガス等の案内についての問い合わせがあった場合、その場で対応できず翌営業時間でしかアプローチできませんでした。そこで、ChatGPTを活用したお問い合わせ対応システムを提供することで、即時の案内を可能とし、見込みユーザーを離脱させずに成約率の向上を見込んでいます。
就職領域においては、キャリアコンサルタントがこれまで実施したアドバイスの音声データをテキストとしてChatGPTに学習させることで、テキスト型アドバイスサービスを提供できないか検証をしています。
SaaS連携データベースからテキスト生成や抽出、要約が可能に(Yoom)
業務を自動化するSaaS連携データベースを提供するYoom株式会社は、GPT-3とAPI連携を開始したことを発表しました。今回の連携により、以下のことをChatGPT同様に対話をしているような文章でできるようになります。
- 受信メールから企業名や名前、メールアドレスを抽出しデータベースに自動で格納
- ユーザーからの口コミリストをもとにネガティブかポジティブかを判断し自動でラベリング
- 商品リストに対する商品説明文の自動作成
- 会議の議事録の要約、チャットツールなどへの送信の自動化
Yoomと連携する様々なアプリケーションから情報を取得し、データベースへの格納やラベリング、文章の要約・作成といったことが自動でできるようになります。
動画コンテンツの要約文を自動生成し記事化(Gunosy)
情報キュレーションアプリ「グノシー」を提供している株式会社Gunosyは、GPT-3を活用して、動画コンテンツの要約文を自動生成し記事化する「動画AI要約記事」の開発を行いβ版(テスト版)の提供を決定しました。
同社は、これまでも連携メディアの数分程度の動画コンテンツを提供していましたが、YouTube動画を始めとする多くの長尺動画コンテンツの配信ができていませんでした。GPT-3を活用することで、動画コンテンツから情報を取得し、数行程度の文章に自動要約して記事を配信します。
要約文章から元動画を見たい場合でも、記事内のリンクから動画へ遷移し閲覧が可能となります。
常に最適な情報をユーザーへ早く正確に提供するための取り組みとして、GPT-3を活用した動画AI要約記事の提供を行います。長尺の動画を見なくても要約記事から情報を得ることができます。
また、内容が気になる動画のみ元動画を見ればよいため、よりユーザーに合わせた情報の提供が可能となります。情報の取得コスト最小化やパーソナライズ化がますます求められているなかで必要な選択肢となるでしょう。
社内ドキュメント検索サービスを開発(Allganize Japan)
AIチャットボット「Alli」を提供するAllganize Japan株式会社は、新機能としてChatGPTを活用した企業向けの回答自動生成型の検索サービスをリリースすることを発表しました。
同社は、ChatGPTを活用することで、チャットボットAlliに以下の機能を実現しました。
- 特定の情報ソースを追加、指定や絞り込みにより確度の高い回答の提示
- 企業内で利用する社内ドキュメントを対象として検索
GPT-3.0(3.5)は最新情報などが反映されておらず、事実関係が不明な情報の中でも自然に応答することなどや、回答の情報ソースを指定できないことが企業内における活用検討での課題となっていました。そこに特定の情報ソースを追加、指定や絞り込みを可能とすることで、確度が高い最新の情報も提供できるようになりました。
また、マニュアルや社内規則といった企業内で利用する社内ドキュメントを検索対象とすることもできます。これにより、会社特有の質問に対しても、AIが適切に回答することができるようになります。社内に数多く存在する様々なフォーマットの文章を検索することができ、企業のナレッジ共有や業務効率化を実現することが可能となります。
まとめ
ChatGPTは、公開されたばかりの技術ですが、その革新的な技術は今後の仕事の在り方を大きく変えるものとして注目されています。自社システムにChatGPTに組み込むためのAPIの使用料金もリーズナブルであり、これからますます新しいサービスがリリースされていくでしょう。
既に問い合わせフォームや社内システム・ドキュメントとの連携など、社内外問わず利用できるサービスの開発が進んでいます。これまでもノーコードでの自動化の仕組みはありましたが、習得・操作には知識が必要でした。しかし、ChatGPTは普段人と話すのと同じ感じで業務を自動化することができ、知識がなくても誰でも業務の効率化が進んでいくでしょう。
ChatGPTを活用したサービスは、まだ開発が始まったばかりです。どのようなサービスが開発され社会を変えていくのか、今後の展開が楽しみです。
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