最終更新日:2024-09-23
無人店舗・無人コンビニ4事例を紹介!AIによる無人レジ・無人接客の意外な課題とは?仕組み・メリット徹底解説!
2018年にAmazonが無人店舗「AmazonGO」をオープンしたことで注目が集まり、
キャッシュレス化の普及や新型コロナウイルスの感染拡大により一層注目を集める店舗形態となっています。
この記事では
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目次
無人店舗とは
無人店舗とは、AI技術を活用した認証技術やセンサー、カメラなどによって、レジスタッフなど人的オペレーションを不要にした店舗が一般的な認識となっています。無人と言っても店員が全く介入しないわけではなく、基本的には商品補充や有事の対応のためバックヤードに少人数を配備していることがほとんどです。
一般の小売店やコンビニのスタイルの店舗で活用されています。無人店舗の仕組みの一例として以下があります。
- 入店するとき
認証システムでユーザーを特定して入店 - 商品をかごに入れるとき
認証システムや重量センサーなどで、商品やユーザーを特定 - レジで決済するとき
特定したユーザーの決済情報をもとに決済
ユーザーを特定する認証には、顔認証やICカード認証を使用します。商品を特定するのには、画像認証、ICタグ、QRコードなどを使用します。そして、ユーザーと購入する商品を特定した後にキャッシュレス等で決済をするというのが大まかな仕組みです。
こちらで無人店舗以外にも活用される小売業でのAI活用事例を詳しく説明しています。
無人店舗の代表3種類
無人店舗は以下の2種類があります。
- ウォークスルー型
- セルフレジ型
同じ無人店舗でも決済の仕組みが異なります。
ウォークスルー型:レジ不要でAIが全て管理
ウォークスルー型無人店舗は、レジでの決済が不要で、AI技術によって顧客の動きと商品選択を自動でトラッキングします。ウォークスルー型は、AI搭載のカメラとセンサーが店内に配置されており、顧客が商品を手に取る瞬間からその動きをトラッキングしています。商品を棚から取ったり、戻したりする動作も認識され、それに基づいて自動で決済が行われます。
実は、Amazon Goより早く無人コンビニを実用化させた中国の「BingoBox」は、この形態の代表的な事例です。顧客はQRコードをスキャンして店舗に入り、商品を選びます。AIカメラとセンサーがその動きを捉え、選んだ商品に対する自動決済が行われます。
ウォークスルー型は、AI技術を最大限に活用して顧客体験を向上させ、効率的な運営を可能にしています。
セルフレジ型:顧客主導でAIがサポート
セルフレジ型無人店舗は、レジが存在するが、顧客自身が商品をスキャンして決済を行う形態です。セルフレジ型では、店内にはレジが設置されていますが、それは顧客が自ら操作するセルフレジです。AI技術が組み込まれたカメラやセンサーが商品を自動で認識し、顧客はそのまま決済を進めます。
AIによる顧客行動分析を行い、商品選定から決済までをスムーズに進めることができます。セルフレジ型は、顧客が主導する決済プロセスをAI技術で補完し、効率と利便性を高めています。
自動販売機型
無人店舗の自動販売機型は、AIとデータ分析を活用した高度なカスタマイズが可能です。 自動販売機型の無人店舗は、AI技術を用いて特定の商圏と顧客層に高度に適応することができます。
オフィス・マンションなどで無人ストアを展開している「Store600」は、AIアルゴリズムを活用して、オフィスやマンションなどの限定された商圏に特化した商品構成を実現しています。このAI技術により、「最寄りのコンビニよりも更に近い場所でのショッピング」が可能です。
顧客は専用アプリを使用して店舗のQRコードをスキャンし、扉が開くと商品を選びます。選んだ商品のQRコードをスキャンすると、事前に登録したクレジットカードで自動的に決済されます。
さらに、リアルタイムのデータ分析を通じて、商品ラインナップは冷蔵ケースから常温ケース、飲料、日用品、おもちゃまで、多様なニーズに即座に対応しています。
このように、自動販売機型の無人店舗は、AIとデータ分析を駆使して特定の商圏と顧客ニーズに高度に適応しています。そのため、その多様性と便利さから、今後更に普及が期待されるとともに、ROI(投資対効果)も高まるでしょう。
無人店舗のメリット
無人店舗にすることで以下のメリットがあります。
- 省人化による人手不足の解消
- 顧客データの収集・活用
- セキュリティの確保
それぞれを解説していきます。
省人化による人手不足の解消
無人店舗のメリットとしてまず挙げられるのは、人手不足の解消です。無人店舗では、入店から会計、退店まで基本的にはスタッフが不要です。そのため、オペレーションの省人化を図ることができ、人手不足の解消につながります。
また、有人店舗では人手や人件費の兼ね合いでコンビニであるにもかかわらず24時間営業は難しい場合でも、無人店舗であれば、人手が少なくて良いため営業時間にとらわれずいつでも営業をすることができます。無人店舗により、店舗スタッフのレジ業務などの定型業務を減らし、オペレーションの省人化や効率化を図ることで、店舗マネジメントなどより高度の業務に注力することが可能になります。
顧客データの収集・活用
無人店舗は、店内に設置しているセンサーやカメラを使用して、来店から退店までの一連の購買行動を可視化でき、以下のようなデータを取ることができます。
- 年齢
- 性別
- 購入した商品
- 手に取って棚に戻した商品
- 店内を移動した導線
顧客の情報を蓄積し解析することで、売れる商品の客層や価格帯、一緒に買う商品、客別の購入履歴など多くの情報を把握することができます。店舗の陳列やレイアウト改善、パーソナライズされたマーケティングなど売上拡大のための施策を行うことができます。
在庫管理や消費期限管理も効率的に行えるため食品ロスも軽減できるでしょう。
高いセキュリティの実現
無人店舗はスタッフがいないことでセキュリティ面で安全ではないと思われがちですが、有人店舗よりも高いセキュリティを実現できます。無人店舗は、入店時にゲートやセンサーで買い物客を特定し、買い物中も店内に設置された数多くのAI搭載のセンサーやカメラで客や商品をはっきりと認識します。
ウォークスルー型の店舗であれば、退店と同時に会計は終わっています。セルフレジ型の店舗で会計せずに退店したとしても、すぐに特定可能です。有人店舗よりも無人店舗の方が監視の目が多く、ユーザーが特定されているということもあり、万引きや強盗などの犯罪のリスクを抑えることができます。
関連記事:「生体認証とは?種類やAIを導入する効果・課題・活用事例を徹底解説!」
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無人店舗の3つの注意点
無人店舗を導入する上では以下の点に注意する必要があります。
- 初期投資が高い
- 顧客とのコミュニケーション機会が減少する
初期投資が高い
無人店舗を作るためには、設備投資などの初期投資が高くなります。設備投資のために以下の費用が必要となります。
- 技術インフラの整備費用
- セキュリティ対策の費用
- 建物や設備の改装費用
- 商品在庫の調達費用
無人店舗では、AIを搭載したセンサーやネットワークなどの技術インフラが重要となります。センサーやカメラの映像を認識するためのソフトウェアや、各情報を連携し自動化するためのネットワークの整備も必要不可欠です。
また、店舗のセキュリティはもちろん、取得した情報を流出しないための強固なセキュリティシステムも必要になります。その他にも、自動発注システムや在庫管理システムを導入する費用など、インフラ整備以外の追加費用も必要になる場合があります。
買い物客とのコミュニケーション機会が減少する
無人店舗は、店舗スタッフがいなくても運営ができるので、スタッフによる接客がなく、商品に関する相談やアドバイスといった買い物客とのコミュニケーション機会が減少します。
スタッフの接客はサービスの質の向上や購買活動の促進に繋がります。しかし、無人店舗では接客が行われないため、顧客満足度の向上に課題がある場合があります。
顧客体験と効率性のバランス
全てのレジをセルフ化するアプローチは、顧客体験の低下と客離れを引き起こす可能性が高く、そのため現実的な選択肢ではありません。
顧客は基本的に面倒な作業を避けたいと考えています。無人レジが導入されていても、多くの顧客は有人レジを選びます。特に、コンビニは近くて便利な場所での買い物を目的としているため、煩雑な作業に巻き込まれたくありません。
セルフレジの操作が煩雑であると、顧客はその店を避け、同じルート上の別の店を選ぶ可能性が高くなります。また、バーコードの読み取りや袋詰めは、慣れている従業員に任せた方が明らかに速く、その結果として顧客体験も向上します。
セルフレジの導入は、人手不足や効率化を目的とする場合が多いですが、これが顧客体験の低下を招くと、最終的には客離れを引き起こす可能性があります。そのため、先進的な無人店舗では、顧客体験の快適さを最優先に考え、レジ業務の効率化はその付帯効果として位置づけています。
無人店舗を支えるAI技術
無人店舗の運営には、AI技術が多角的に活用されており、これにより高度な認証から効率的な決済プロセスまでが実現されています。具体的には、認証システム、商品認識、決済方法の選定など、多くの識別・認証プロセスがAIによって効率化されています。
無人本人認証
無人認証システムは、AI技術を活用して高度な本人確認を行い、安全かつ効率的なショッピング体験を提供します。無人認証システムでは、静脈認証と顔認証技術が組み合わさったマルチ生体認証や多要素認証が用いられます。
これにより、事前にアプリで登録された顧客情報とリアルタイムのデータが照合され、高度な本人確認が行われます。
膨大なデータベースから瞬時に必要な情報を引き出し、成否の判断を下す能力は、AIの高度なデータ分析技術によって実現されています。これにより、顧客は安心して無人店舗でのショッピングを楽しむことができます。
無人認証システムは、AIの高度なデータ分析とマルチ生体認証技術を活用して、顧客に安全かつ効率的なショッピング体験を提供しています。
顧客行動解析
顧客の行動を解析するシステムでは、AI技術が顧客の行動を高度に解析し、その結果をリアルタイムで処理しています。人間にとっては簡単な「買うか買わないか」の判断も、AIにとっては複雑なデータ処理が必要です。具体的には、複数のカメラと重量センサーが連携して、顧客の行動と商品の移動を同時にトラッキングします。
特に混雑時には、多くの顧客が複数の商品を同時に手に取るため、AIは高度なデータ分析と機械学習アルゴリズムを用いて、それぞれの行動と商品の関連性を正確に把握します。この処理能力の高さは、AIの進化とその適用範囲の広がりを如実に示しています。
商品選択システムは、AIの高度なデータ処理能力と機械学習技術を活用して、顧客の行動を正確に解析し、効率的な運営と優れた顧客体験を提供しています。
無人決済システム
無人決済システムは、AI技術を活用して高度な認証とセキュリティを確保し、顧客にスムーズかつ安全なショッピング体験を提供します。
無人店舗では、ウォークスルー型とセルフレジ型の両方で、AIが認証と決済のプロセスを管理しています。ウォークスルー型では、専用アプリとクレジットカード情報の事前登録が必要で、これによって入口ドアが開きます。セルフレジ型では、顧客が自ら商品をスキャンし決済を完了するまで、出口ドアは開かない仕組みです。
防犯面においても、AI技術は店内のセキュリティを強化しています。例えば、顧客の行動をリアルタイムで分析し、不審な動きや万引きの可能性がある場合は、警報を発するなどの対策が自動で行われます。
無人決済システムは、AIの高度な認証技術とデータ分析能力を活用して、顧客にとって安全かつ便利なショッピング環境を実現しています。
AIを活用した無人店舗の事例4選
AIを活用した無人店舗の事例を紹介します。
国内最大級のウォークスルー店舗型無人店舗「CATCH&GO」(株式会社NTTデータ、株式会社ダイエー)
株式会社NTTデータと株式会社ダイエーは、レジを通すことなくキャッシュレス決済が可能なウォークスルー店舗を2021年9月2日にNTTデータ社内にオープンしました。利用者は専用アプリをインストールしたスマートフォンを入店ゲートにかざし、欲しい商品を手に取って退店するだけです。
レジ精算やバーコードのセルフスキャンが一切不要で、自動的にクレジットカード決済が行われます。同店舗は、専用アプリのQRコードをゲートにかざすことで、事前に登録した情報から誰が入店したのかを認識します。
店内には3種類のカメラがあり、2種類のカメラが店内の人の存在と位置を認識します。もう1種類のカメラが骨格から人の腕の動きなどを検知して、どの商品を手に取ったかをトレースし、自動でオンラインカートに追加される仕組みです。退店もシステムで検知し、自動でクレジットカード決済が行われます。
「誰がいつ店舗に入り」、「何を手に取り」、「いつ店舗を出たのか」をデータとして取得し解析することで、「なぜ買ったのか(買わなかったのか)」を推察します。このように、高度なマーケティングを実現することで、買い物客の満足度を高め、売上増大につなげることができます。
未来型無人化店舗「SECURE AI STORE LAB」(株式会社セキュア)
株式会社セキュアは、未来型無人化店舗「SECURE AI STORE LAB」を2020年7月13日オープンしました。同店舗は、事前に利用者登録を行い、入退店時に顔認証をすることで、誰が入店したかを把握し、退店時の決済も自動で行われます。
複数のセンサーで買い物客の動線分析や表情分析を行い、手に取ったが買わなかった商品や、どれくらい手に取っていたかなどのデータを見える化することができます。
同店舗の最大の特徴は、手にした商品の口コミや商品情報をサイネージで表示することができることです。AIで買い物客の手にした商品を認識し、棚に設置されているモニターに商品の口コミ情報、メーカーからのオススメポイントを表示することができ、AIによる接客が体験できます。
無人店舗のデメリットである「接客の機会の減少」をAIで補うことで、無人でも購買意欲の低下を防ぎ売上拡大につなげることができます。
DXを活用した無人レジ型コンビニ(ローソン)
コンビニ大手である株式会社ローソンは、2022年11月28日に、食品ロス削減やプラスチック削減などの環境負荷軽減や、アバターによる制約のない働き方の実現、DX活用で創出するお客様との温かいコミュニケーションなどが特徴の「グリーンローソン」をオープンしました。同店舗は、セルフレジやアバターによる遠隔での接客により、通常のコンビニ店舗よりも省人化を実現しています。
セルフレジにモニターやカメラを設置し、約30名のアバターオペレーターがレジ操作のサポートやおすすめ商品の案内など、通常の店舗で接客を受けるようなサービスを提供します。
また、「自薦・他薦ロボ」が、買い物客が商品を手に取った事を認識し、「とっても美味しいよ。」「手に取って欲しいなー」などのコメントを発します。ロボットを導入することで、ロボットとのコミュニケーションを通じて買い物を促進することが可能です。AIロボットやアバターといった最新の技術を使用し、人手を削減しながら接客の質の向上や購買を促進する仕組みが特徴的です。
ファミマの無人決済店舗
ファミマの無人決済店舗は、顧客体験の向上と効率化を両立させる最新のAI技術を活用しています。2021年3月に登場した「ファミマ!!サピアタワー/S(サテライト)店」を皮切りに、北関東や中国地方でも展開が進んでいます。24年度末までに約1000店舗を目指しています。
この店舗では、株式会社TOUCH TO GOの無人決済システムが導入されており、AIカメラが顧客の商品選択をリアルタイムで認識します。TOUCH TO GOのシステムは、顧客には非対面でスムーズな買い物体験を、店舗には人件費や教育費の削減といったメリットを提供しています。
ファミマの無人決済店舗は、最新のAI技術を駆使して顧客体験と効率化を高度に両立しています。これは、AI技術を自社の事業に活用したい経営者にとって、参考になる事例と言えるでしょう。
無人店舗・無人コンビニについてよくある質問まとめ
- 無人店舗とは?
無人店舗とは、AI技術を活用した認証技術やセンサー、カメラなどによって、レジスタッフなど人的オペレーションを不要にした店舗です。店員が全くいないわけではなく、基本的には商品補充や有事の対応のためバックヤードに少人数を配備していることがほとんどです。詳しくはこちらにジャンプ。
- 無人店舗を導入するメリットは?
無人店舗を導入することで以下のメリットがあります。
- 省人化による人手不足の解消
- 顧客データの収集・活用
- セキュリティの確保
まとめ
無人店舗は、基本的にはAIを搭載したセンサーやカメラを用いて利用者や商品を認識し、「誰が何を購入したか」がわかる仕組みです。決済方法が、事前に登録した情報で自動決済される「ウォークスルー型」と、自分でレジ打ちをする「セルフレジ型」にわかれます。どちらを採用するかで、センサーやカメラ、専用アプリなど設備や運用が異なります。
無人店舗や無人コンビニは、設備のコストがかかることや接客の機会が少なくなるという点で注意が必要ですが、
小売業界で人材不足や利益確保が難しいといった課題があるなか、無人店舗は今後、大きく注目されていくでしょう。無人店舗の導入を検討されている方は、仕組みやメリット・デメリットをしっかりと理解して進めていきましょう。
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