AIによる予測とは?種類・仕組み・メリット・導入事例9選・人気ツール・注意点を徹底解説!
最終更新日:2026年10月05日
記事監修者:森下 佳宏|BizTech株式会社 代表取締役

AIによる予測分析は、過去の実績や関連するデータをもとに、将来の数値や出来事の発生可能性を予測する技術です。商品の需要や設備の故障、道路の混雑、再生可能エネルギーの発電量など、さまざまな分野で活用されています。
この記事では、AI予測の種類や仕組み、導入するメリットと注意点を解説します。実際の導入事例や、関連ツール・技術も紹介します。
データ分析と予測で実績豊富なAI開発会社を自力で選びたい方はこちらで特集していますので併せてご覧ください。
目次
AIによる予測分析とは?

AIによる予測分析とは、従来では活用できなかった大量のデータをAIで分析して未来を予測する技術です。主に以下の2つの役割があります。
- 将来何が起きるのか
- 過去に起きたイベントが再度発生する可能性がどれくらいあるか
例えば、あるネットショッピングサイトに訪れた全ユーザーのデータがあったとします。データから、特定のページを訪れたユーザーがそのあとどの商品を購入したかわかります。
そのようなデータを活用すれば、どういった商品をどのタイミングでおすすめすれば顧客が高確率で購入してくれるか予測できます。AIを活用することで、無駄なコストや時間をかけずに顧客が求めていることが分かるのです。
こちらで企業でのデータ分析の手法を詳しく説明しています。
生成AIで予測できるのか?
生成AIに販売データなどを渡し、傾向の整理やグラフ作成、予測モデルのコード作成を支援してもらうことはできます。ツールによってはコードを実行し、試験的な予測値を出すことも可能です。
ただし、データを渡すだけで、事業判断に使える精度の予測ができるわけではありません。何を、どの期間について予測するかを定め、欠損や異常値を確認し、利用できるデータだけを使う必要があります。
さらに、過去のデータで予測値と実績値を比較し、実用に足る精度かを検証する必要もあります。
生成AIは分析作業を補助できますが、データの選び方や検証結果の解釈には、対象業務とデータ分析の高度な知見が必要です。重要な判断に利用する場合は、担当者や専門家が条件と精度を確認しましょう。
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AI予測の仕組みは?

AI予測では、まず過去の実績と、関係する情報を集めて整理します。例えば販売数を予測する場合は、過去の販売実績に加え、価格や曜日、天候などのデータを用います。
次に、データの関係を学習してモデルを作り、過去の一部のデータを使って予測値と実績値を比較します。精度を確認したモデルに新しいデータを入力することで、将来の販売数や設備の故障リスクなどを予測します。
実際に起きたことと比較し、必要に応じてデータやモデルを見直します。使うデータや手法は、対象や目的によって異なります。
AI予測のメリットと活用例
AI予測は、データに基づく判断を支えるほか、需要予測や設備の保全などに活用できます。主なメリットと活用例を紹介します。
データに基づいて意思決定できる
AI予測では、人の経験や勘だけに頼らず、データに基づいて判断できる点がメリットです。
例えば、長年業務に従事している人であれば、過去の経験からその日の売り上げを予測できるでしょう。しかし、人によって判断にばらつきが出るほか、当たった場合も外れた場合も、その理由を明確にしにくいという課題があります。
また、成長が見込まれる部門の予測などができ、効率的なビジネス運営が可能となることでしょう。
AIであれば、データに基づいて一定の基準で予測できるため、判断のばらつきを抑えながら、結果を継続的に検証・改善できます。
商品の需要を予測できる
AIによる需要予測では、過去の販売実績に価格、販促、曜日、天候などの情報を組み合わせ、将来の販売数を見積もります。商品や店舗ごとの予測結果は、発注量や生産量を決める際の判断材料になります。
実績値と比較して見直すことで、欠品や過剰在庫を抑える取り組みに活用できます。
関連記事:「需要予測とは?用途・種類・手法・AIとの関係を解説」
関連記事:「AIによる需要予測とは?手法・メリット・注意点・導入事例を解説」
マーケティングを最適化できる
AI予測は、ユーザーが次にどのような行動を取る可能性が高いかを予測し、マーケティング施策の最適化にも活用できます。
一例として、Google広告のP-MAX広告では、Google AIがコンバージョンする可能性などを予測し、その結果をもとに入札や広告配信を最適化しています。

上記画像のように、Google広告を配信していると、「入札戦略学習中」と表示され、この期間内で蓄積されたコンバージョンデータや各種シグナル(サイト内行動データ等)をもとに、Googleは適したユーザーへの広告配信を自動で最適化していきます。
参照:Google広告|Google 広告での入札単価の算出方法
施設や設備の故障・異常を予知できる
工場の設備や機械などを監視し、計測したデータはAIで分析して劣化や故障が起きるタイミングを予測してメンテンナンスを行えます。予知保全と言われ、多くの製造業やプラントで導入されています。
予知保全と従来の保全手法の違い、導入方法、注意点についてこちらの記事で分かりやすく説明しています。
発電量の変動を予測し、発電計画に活用できる
風力や太陽光による発電量は天候によって変動します。AIで気象予報や過去の発電実績を分析し、将来の発電量を予測することで、発電計画を立てる際の判断材料にできます。
関連記事:「スマートグリッドとは?次世代電力システムの特徴・AIを用いた仕組み・メリット・事例を解説!」
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AI予測分析の導入9事例
実際の導入事例をもとに、AIによる予測分析にできることをご紹介します。
高速道路の渋滞予測(NEXCO東日本)
NEXCO東日本とNTTドコモは、高速道路の渋滞をAIにより予知する実証実験を行っています。NTTドコモが提供するモバイル空間統計のリアルタイム版と、NEXCO東日本が保有する過去の渋滞実績などの知見をかけ合わせてAIで渋滞予知を行います。
渋滞の発生が予測できれば、それを回避するルートを取ることができ、物流コストの削減や適切な人員配置に役立ちます。
道路だけでなく、最近はスポーツ会場やイベント会場での混雑予測にもAIが活用されています。
スポーツ分野でのAI導入事例についてはこちらの記事で特集しています。
AIで高精度な風力発電量予測を実現(東芝エネルギーシステムズ)

東芝は、気象予測技術とAIを組み合わせることで、風力発電量を高精度に予測する技術を開発しました。この「風力発電量予測AI」により、風力発電量予測の平均誤差は10.1%となり、前年の17.3%から大幅に改善されました。
本技術は、東芝エネルギーシステムズ社の再エネアグリゲーションシステム「REBSet™」に搭載され、発電事業者の発電計画作成を支援します。太陽光発電量予測技術に続き、風力発電量予測の高精度化により、多様な再エネ電源を束ねた安定運用が可能となります。
関連記事:「風力発電でのAI活用法は?活用メリットや注意点を徹底解説」
より高度な天気予測(Google)
Googleが開発している「nowcasting」という技術は、畳み込みニューラル・ネットワーク(CNN)と呼ばれるアルゴリズムを使った天気予報技術です。これまでの天気予報は、膨大なデータを処理する必要があり、予報範囲が広すぎたり、予報を出すのに時間がかかりすぎるという問題がありました。
Googleのnow castingでは、既存の技術よりも少ない情報を活用することで、特に降雨に関してタイムリーな天気予報を提供することを目指しています。
参照:Google Research|降水量を予測する気象モデルMetNet
コロナの感染予測(Google)
Googleは2020年、AIを用いたCOVID-19感染予測の日本版を公開しました。
日本版では、都道府県別の陽性者数や死亡者数などの予測値を公開しました。医療機関や公的機関などが対策を検討するための参考情報として提供された事例です。
参照:Google Cloud|COVID-19 感染予測(日本版)の公開について
疾病リスクの予測(東芝)
東芝の「疾病リスク予測AIサービス」では、健康診断結果から6年先の生活習慣病の発症リスクを予測することが可能です。日々の健康改善活動に役立てることができます。
1年分の健康診断データを入力すると、6年先までに以下の生活習慣病を発症する可能性を予測してくれるサービスです。
- 糖尿病
- 高血圧症
- 脂質異常症
- 腎機能障害
- 肝機能障害
- 肥満症
上記の糖尿病の場合、その発症を予測するAIモデルの精度は9割を超えています。
医療・疾病対策分野での他のAI導入事例についてはこちらの記事で分かりやすく説明しています。
ガス製品の品質予測(三井化学)
総合化学メーカー三井化学株式会社は、NTTコミュニケーションズが持つディープラーニング技術を活用してガス製品の品質管理にAI予測を導入しました。
原料の温度や流量、反応炉の設定値など、51種類の製造プロセスデータをAIで分析しました。
その結果、データ取得から20分後のガス製品の濃度を、平均誤差3%FS以内で予測することに成功しました。
参照:NTTコミュニケーションズ|化学プラントの製造過程で製品の品質予測に成功
犯罪発生予測(Singular Perturbations/福岡市)

株式会社Singular Perturbationsが開発・提供している犯罪予測システム「CRIME NABI」の実証実験が福岡市にて実施されています。「CRIME NABI」は、犯罪情報などの過去データから犯罪の発生を予測するシステムです。
このようなアルゴリズムはこれまで、計算コストの高さが課題となっていました。しかし「CRIME NABI」では、データを事前圧縮する独自の数理アルゴリズムを用いることで、従来手法よりも大幅な計算時間の高速化を達成しています。
予測に際しては、過去の犯罪発生情報や人口統計、また土地利用データや天気などのデータを活用されます。分析では、時間情報と空間情報という2種類の独自アルゴリズムが用いられます。
時間情報による予測では、「一度犯行に成功すると同じ手口を繰り返す」という犯罪者の習性に着目し、データ件数が少ない犯罪についても安定した計算と高精度を実現しました。
空間情報による予測では、犯罪発生や人口密度といった様々な空間パターンを足しあわせ、犯罪種別を記述できるようモデル化されています。
参照:Singular Perturbations|Technology
参照:Singular Perturbations|福岡市でのCRIME NABI実証実験に関する発表
株価の予測(マネックス証券)
マネックス証券のAI銘柄ナビは、AIが顧客が希望するテーマに関連する銘柄をピックアップし、1カ月後の株価が上昇するか下落するかを予測します。テーマと各株の関連度をAIが判定し、関連度の高い銘柄をピックアップします。
さらに、顧客が気になる銘柄をポートフォリオに登録することで、予測トレンドに変更があった場合、変更を通知するシグナルメールを送ります。
関連記事:「証券会社のAI活用事例8選!AI Marketへの相談事例、AIエージェントが必要な理由とは?株価予想・自動売買で潜在顧客獲得」
太陽光発電の発電電力量を高精度で予測(JDSC)

株式会社JERAと株式会社JDSCは、太陽光発電の発電電力量を高精度で予測するシステムを共同開発し、運用を開始しました。気象予報データから太陽光発電量を高精度で予測するシステムです。
本システムはサーバレス構成で実装されており、運用負荷を大幅に低減できるのが特長です。
関連記事:「太陽光発電におけるAI活用方法は?メリット・最新企業実例を徹底解説」
参照:JDSC|JERAと太陽光発電電力量の予測システムを共同開発
AI予測分析に関連する5つのツール・技術
AI予測分析には、予測モデルを作成するツールのほか、モデルの評価・更新を支援する技術も使われます。
【データ解析】Prediction One

「Prediction One」は、ソニーネットワークコミュニケーションズが提供する予測分析ツールです。
データを取り込んで予測モデルを作成でき、数値予測や時系列予測などに対応しています。
参照:ソニーネットワークコミュニケーションズ|Prediction Oneの機能
【経済予測専門】xenoBrain

企業の業績予測を専門に行っているのが「xenoBrain」。企業調査の際、特に未上場企業の場合、過去のデータはあるが将来動向に関する情報がないことが多いですが、xenoBrainを使えばAIを活用した精度の高い予測結果を入手できます。
企業分析レポートも生成されるため、資料作成の効率化も可能です。
【予測分析自動化】NEC予測分析自動化技術

NECの予測分析自動化技術は、これまで時間を長く必要としていた、予測モデルの作成を自動化するための技術です。
三井住友銀行および日本総合研究所との共同実証実験では、これまで2~3カ月かかっていたデータ分析作業が、1日足らずに短縮でき、かつこれまでと同等以上の分析精度を達成したそうです。
【予測精度の維持】NTT AICYCLE

NTTのAICYCLEは、予測モデルを、さまざまなデータを用いて自動的に評価・更新することにより、精度の維持を図る技術です。モデルの更新は、AIによる分析・予測精度を維持するのに必要ですが、これまではデータサイエンティストの手で手動で行われていました。
AICYCLEの導入により、データサイエンティスト不足や、モデルの更新不備による精度低下の問題を解決することができます。
【改善要素発見】日立 Hitachi AI Technology/H

日立のHitachi AI Technology/Hは、改善すべき指標と大量かつ多様なデータから、改善すべき指標に強い影響を与える要素を見つけ出すAIです。専門家でも思いつかないような要素を発見することもでき、経験の範囲を超えた改善要素発見に結びつきます。
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AI予測を導入する際の注意点
事業に導入する際に、精度の高い分析結果を得るには以下2つの注意点があります。
- 大量のデータが必要
- データやAIの最適化に時間がかかる
大量のデータが必要
AI予測分析の精度を上げるには、データをできる限り多く準備する必要があります。AIの正確さはデータ量に比例するからです。例えば、これまで全く売れた実績がない製品や全く新しいサービスの売上予測は精度の高い予測は困難でしょう。
データやAIの最適化に時間がかかる
AIを活用する前にデータの最適化に時間と労力がかかってしまうケースが少なくありません。AIの正確さはデータの状態とAIの学習状況に依存するからです。AI予測で活用することを前提としたデータの入力・管理ができる仕組みづくりが必要でしょう。
AI予測についてよくある質問まとめ
- AIでは何を予測できますか?
AIは、商品の需要や売上、設備の故障、道路の混雑、発電量、疾病の発症リスクなどを予測できます。対象や精度は、利用できるデータと予測の目的によって異なります。
- 生成AIにデータを渡すだけで予測できますか?
生成AIを使ってデータの傾向を調べたり、試験的な予測値を出したりすることは可能です。ただし、事業判断に使うには、データの整備、予測条件の設定、過去の実績を用いた精度検証が必要です。
- AI予測を導入する際に注意すべきことは何ですか?
予測の目的を明確にし、必要なデータを継続して集めることが重要です。導入後も予測値と実績値を比較し、データや事業環境の変化に応じてモデルを見直す必要があります。
予測分析が企業の支えとなる
AIによる予測分析というと、何か小難しいもののように感じるかもしれませんが、すでに生活に根差したところに使われている技術であり、大きな実績も上がっています。
これからますます企業の経営は効率化を迫られるかと思いますが、AIによる予測分析はそれを助け、企業の支えとなってくれることでしょう。

AI Market 運営、BizTech株式会社 代表取締役|2021年にサービス提供を開始したAI Marketのコンサルタントとしても、お客様に寄り添いながら、現場のお客様の課題ヒアリングや企業のご紹介を5年以上実施しています。これまでにLLM・RAGを始め、画像認識、データ分析等、1,000件を超える様々なAI導入相談に対応し、参加累計8,000人を超えるAIイベントを主催。AIシステム開発PM歴8年以上。AI Marketの記事では、AIに関する情報をわかりやすくお伝えしています。(JDLA GENERAL 資格保有)
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