最終更新日:2024-09-23
データ分析とは?メリット・デメリット・21手法の特徴・導入方法・ビッグデータ活用を徹底解説!
日々蓄積されていく膨大なデータを正しく分析して、高度な経営判断や新商品や新事業の戦略立案、競合分析、既存サービスの改善の判断基準にする企業が増えています。
データ分析が企業の成功を左右する時代。しかし、どの手法を選べばいいのか迷っていませんか?
本記事では、
データ分析の手法それぞれの特徴を理解することで、より効果的にデータ分析が行えます。ぜひ参考にしてください。
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データ分析に強いAI開発会社を自力で選びたい方はこちらで特集していますので併せてご覧ください。
目次
データ分析とは?
データ分析は、さまざまなデータを収集・整理・解析して、得られた結果から有用な情報や知見を引き出すプロセスを指します。一般的に、ビジネスの目的や課題を明確に定義し、適したデータの収集、整理や分析という流れです。ビジネスにおいてデータ分析の重要性は非常に高まっており、企業の経営戦略に必須と言えるでしょう。
定数データ分析とは?
定量データ分析は、数値をもとにデータ分析を行います。具体的には、サービスの利用者数やイベントの来場者数などが定量データ分析に用いる数値データです。
定量データ分析は、客観的な数値でデータ分析が可能であるため主観に左右されません。しかし、精度を高めるためにはより多くのデータが必要となるのが難点です。
また、数値の因果関係や数値の背後にあるユーザーの価値観や感情を探ることには向いていません。
定量データ、定性データを含むデータ収集の代表的手法、コツをこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
定性データ分析とは?
定性データ分析は、数値ではなく質的データをもとにデータ分析を行います。例えば、サービスに関する感想や印象を口コミやインタビュー、記述式アンケートで収集するのは質的データです。
質的データをもとにしたデータ分析は、俯瞰的な情報からサービスの課題を探求できます。
定性データ分析は、分析者の主観により、解釈の違いが生じることがあるので注意が必要です。また、定量分析よりもデータ収集と分析に時間とコストがかかる傾向があります。
従来のコンピューターは、どちらかというと数値データを基にした定量データ分析を得意としており、定性データ分析を苦手としていました。しかしAIの進歩により、定性データ分析を定量データと同程度の工数とコストで行えるようになっています。
なぜデータ分析は企業で不可欠?
データ分析は、ビジネスの目的や課題を明確に定義し、適したデータの収集、整理や分析という流れです。ビジネスにおいてデータ分析の重要性は非常に高まっており、企業の経営戦略に必須と言えるでしょう。
データ分析がビジネスで重要性が高まっているのはなぜでしょうか。理由として以下の3点が挙げられます。
- 消費者の価値観が多様化したこと
- ビジネスサイクルのスピードが速くなっていること
- 得られるデータ量が増加したこと
消費者の価値観が多様化しているから
データ分析の重要性が増した背景の一つとして、消費者の価値観が多様化していることが挙げられます。現代において、消費者の価値観や情報のアクセス方法が多様化しており、従来の一律のマーケティング手法では通用しない状況になってきました。
例えば、テレビで見たCMで製品を知り、店舗へ足を運んで買う従来の購買スタイルから、あらかじめインターネットで情報収集し、比較や検討をしてから商品を買うという変化が挙げられます。従来のマーケティング手法は、一律の戦略で広範囲の顧客を対象としていましたが、現在の消費者はそれぞれの価値観で製品やサービスを選択しています。
このような変化への対応は、経験や勘に頼っていたやり方では通用しないでしょう。消費者一人ひとりへのマーケティングができないからです。
そこでデータ分析が非常に重要になってきます。データ分析によって消費者のニーズをつかみ、変化に素早い対応が可能となるでしょう。
ビジネススピードが速くなっているから
ビジネスのスピードは年々速くなっており、次々と新製品や新サービスが生まれ、売れないものはすぐに淘汰されてしまいます。そしてまた新しい製品やサービスが開発され、一連のライフサイクルは早まっています。市場の変化や、競合他社の戦略変更なども目まぐるしく変化する世界です。
企業がビジネス面で成長していくためには、加速するビジネススピードについていかなくてはなりません。データ分析は高速化するビジネス環境において重要なツールです。
消費者の行動パターンや、購入傾向などを即座に把握し、スピーディーでリスクを抑えた意思決定が可能です。将来の市場動向や消費者のニーズの予測をつかむことで、市場の変化に先んじて対応し、ビジネスの成長の促進にも寄与するでしょう。
取り扱うデータ量が爆発的に増加しているから
インターネットの普及やIoTの進化、ソーシャルメディアの発展によって、利用可能なデータ量が爆発的に増加してきました。これらのビッグデータから有用な情報を引き出して、以下のことが可能になります。
- 市場のトレンドの把握
- 消費者の行動の予測
- 製品開発やマーケティング戦略の最適化
手作業でビッグデータを分析し、価値ある結果を得るのは難しいでしょう。データ分析ツールを活用することで、ビッグデータを高速で処理できるようになるため、パターン抽出や予測が可能です。
こちらでビッグデータとは?活用事例は?詳しく説明しています。
ビッグデータ収集の代表的手法、コツをこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
データ分析で得られる6つのメリット
データ分析では以下のメリットが得られます。
- データドリブンな経営が可能
- 迅速で戦略的な意思決定が可能
- 見落としていた課題やビジネスチャンスを発見できる
- パーソナライズ化によるマーケティングが可能
- 組織ビジネスの課題の素早い解決
- 先入観の排除
それぞれの詳細を解説します。
データドリブンな経営が可能
データドリブンな経営とは、ビジネスの意思決定の際に、直感や経験だけでなく実際のデータの分析で導き出された根拠のある結果をもとにした手法のことです。データドリブンは客観的でバイアスが少ない特徴があるため、事実に基づいた現状分析や将来予測を正確におこなえます。
企業は効率的にビジネス戦略を策定して意思決定ができるようになるでしょう。企業のパフォーマンス向上と競争力の強化につながります。消費者行動の多様化と複雑化が進む現代において非常に重要です。
データドリブン経営の重要性をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
迅速で戦略的な意思決定が可能
データ分析によって意思決定のスピードを上げ、戦略的な判断を可能とします。ビジネスのスピードが求められる近年の状況で、意思決定が遅ければ大きな機会損失を招きかねません。データ分析を活用すれば、ビッグデータを高速に処理し、市場のトレンドや行動を把握できるでしょう。
さらに客観的なデータに基づいた判断が可能なので、主観は入らず迅速で適切な意思決定が可能です。データ分析で得られたヒントは、新製品の開発やマーケティングの戦略策定など戦略的な意思決定に活用できるでしょう。
こちらでAIによる予測分析の仕組み・導入事例を詳しく説明しています。
見落としていた課題やビジネスチャンスを発見できる
これまで見落としていた課題や、見つけられなかったビジネスチャンスを発見できる点もデータ分析の大きなメリットです。データ分析によって得られた結果を可視化することで、見過ごされがちなパターンや相関関係を発見できます。
問題点の特定や対策の策定につながるでしょう。また、顧客の購入傾向や市場動向を分析することで、未開拓の市場や新製品の開発、改善可能な業務プロセスの発見など、新たなビジネスが広がる可能性も秘めています。
パーソナライズ化によるマーケティングが可能
データ分析によって、パーソナライズ化されたマーケティングが可能です。パーソナライズとは、顧客の属性や行動の履歴などのデータをもとにニーズを把握して、適切な商品やサービスを提供する手法です。
多様化した消費者の価値観やニーズに適応するためには、データ分析が不可欠であり、消費者の嗜好やニーズに沿ったマーケティングを可能とします。
組織ビジネスの課題の素早い解決
データ分析は、組織ビジネスの課題の素早い解決を可能とします。ビジネスの課題には、生産性や効率性の低下、顧客満足度の悪化などが挙げられます。
データ分析によって課題を特定し、迅速な対処ができます。例えば、製品の不良率、顧客の苦情、販売の推移などあらゆるデータを分析して問題となっている部分を特定できます。その中から問題の原因を特定して、再発防止策の策定や新たな対策の効果の評価ができるでしょう。
先入観の排除
ビジネスを進めていく上で、経験による判断は大切な要素ですが、先入観で正しい判断ができない場合もあります。データ分析は先入観を排除し、客観的な意思決定をサポートします。
事実に基づいたデータであれば、それらのデータ分析は正確性と公平性が担保できるでしょう。製品開発やマーケティングの戦略などビジネスの各領域でのデータ分析を用いれば、需要や消費者の嗜好など客観的な判断が可能です。
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データ分析のデメリット
データ分析は数多くのメリットがありますが、一方で以下のようなデメリットも存在します。
時間とコストがかかる
データの収集や整理、分析、結果の解釈には専門的な知識が必要なために、複数のメンバーが関わることとなり人的コストも発生します。
結果がデータの品質に左右される
データ分析の結果は対象となるデータの品質によって大きく変わります。不正確や偏ったデータから得られた結果は信頼できない場合もあるため注意が必要です。
データへの過剰な依存
データに過度に依存すると、創造性や発想を欠いてしまう恐れがあります。すべての情報が数値化できるわけではなく、個人の経験や勘も時には重要です。
プライバシーやセキュリティ
データの収集には、個人のプライバシーやセキュリティに関わる問題があります。そのために適切なデータ管理や扱いのためのガイドラインが必要となるでしょう。
統計学によるデータ分析7手法
代表的な定量分析である統計学によるデータ分析は、歴史が長く、さまざまな種類があるため多くのシーンで活用されます。統計学によるデータ分析の手法は以下です。
- クロス集計
- クラスター分析
- 回帰分析
- 因子分析
- 主成分分析
- 時系列分析
- 判別分析
まずは、統計学によるデータ分析の手法と特徴を解説します。
クロス集計
クロス集計は、アンケートやリサーチなどの質問項目を2つ以上掛け合わせたデータ分析です。集めたデータを詳細化し把握できるため、ありとあらゆる統計的調査で活用されます。
クロス集計では「性別×回答」や「年齢×職業」など原因と結果の因果関係がわかりやすいという特徴があります。また、必要なデータが質問項目2つ以上であるため、少ないデータから分析でき、表計算ソフトで簡単に作成できるので、比較的簡単なデータ分析です。
クラスター分析
クラスター分析(クラスタリング分析)は、さまざまな特性を持つ複数の情報から似た要素を集め、いくつかのグループ(クラスター)に分類するデータ分析です。大量のデータを単純化し、理解しやすくできるため分析結果から考察をしやすくなります。
例えば、あるスポーツチームに所属する選手のデータを走力、スタミナ、協調性などの項目でクラスター分析を行うとしましょう。結果、チームにとって有用な選手とそうでない選手の差、チーム全体としての特性を分析できます。
クラスター分析には、「階層的手法」と「非階層的手法」の2つの手法があります。
クラスタリングの定義、使い方についてはこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
階層的手法
階層的手法は、要素を一つ一つ総当たりで比較して、類似したデータをクラスター(グループ)にまとめて分類していきます。よく見るトーナメント表のような形ができあがります。最終的にいくつのクラスターにまとめるかは事前には決まっておらず目的に応じて可変です。
類似した要素は低い位置でクラスターが作成されていき、最終的に大きなクラスターができあがります。クラスター同士の関係などがひと目でわかるというメリットがありますが、数が多い場合は煩雑になり、分析が難しくなってしまうので、データが大量にある場合は不向きであるというデメリットがあります。
データ分析中、またはデータ分析後にクラスターのレベルを増減しても再現可能な結果を得られます。対象データが比較的少ない場合のデータ分析に適しています。
非階層的手法
非階層的手法は、クラスター数を設定したうえで似た要素をまとめて分類します。クラスタ数が決まっているので計算量が少なく、階層的手法に比べるとビッグデータのような大きなデータを扱えます。
ただし、目的に応じたクラスター数を事前に決める明確な数式はありません。実際は分析しながらクラスターの数を何度か試すなり、手間がかかります。クラスター数を変える場合は、最初に戻って分析をやり直さなければなりません。
回帰分析
回帰分析は、(原因と思われる)要素と結果のデータを分析し、それぞれの関連性を明確にするデータ分析です。特徴として、結果の変動に要素がどの程度関連しているか分析できます。回帰分析での結果を「目的変数」、要素を「説明変数」と呼びます。
回帰分析には、2つの分析手法があり、1つの説明変数が目的変数にどの程度関連しているのか分析する手法が「単回帰分析」です。説明変数が2つ以上の分析は「重回帰分析」となります。
例えば、ある店舗のデータで1年の売上高を目的変数、取り扱う商品数を説明変数として分析するとしましょう。この例では、説明変数が1つであるため、単回帰分析です。
一方で重回帰分析では説明変数が複数存在します。商品数の他に割引サービスや店舗の位置、スタッフの人数などをさまざまな要素を含め分析します。このように、回帰分析を活用すると結果と要素からそれぞれの関連性を明確に分析できます。
因子分析
因子分析とは、さまざまな要素のデータの中から潜在的な共通点を見つけ出し、類似した要素のグループに分類するデータ分析です。さまざまな要素の中から強い影響力を与えている要素を明確にできるのが特徴です。
例えば、多くの項目がある質問やアンケートを分析する際、回答から答えた人たちの共通点を導き出せます。分析結果からサービスの利用につながる要素を把握でき、効果的なマーケティングが可能になります。
主成分分析
主成分分析は、主にマーケットリサーチを行うのに役立ちます。複数の定量的な変数を、より少ない合成変数(主成分)に要約してデータをシンプルに把握できる手法です。
例えば、商品の感想に対する5段階評価の質問を3個用意して、この評価の合計点数を「総合評価」という主成分に要約します。この総合評価の点数で、商品ランキングや、他社商品とのポジショニングマップを作成するなど、消費者の傾向を探ることができます。また、新商品の開発の際のマーケットリサーチ手段としても利用することができます。
因子分析が、データに影響を与えている要因の共通因子を抽出する方法であるのに対し、主成分分析では多数のデータを少数の主成分に変換して表す方法です。
時系列分析
時系列分析は、時間の経過とともに変化するデータを対象としたデータ分析です。過去のデータの変化から商品の改善や未来予測に利用することができます。特徴として、年間単位でデータ分析を行うため、長期的なトレンドやシーズンのトレンド調査が可能です。具体的に株価や為替レート、天気など長期的に分析が必要な要素に活用されます。
例えば、毎月の商品別のデータを数年にわたって取ることで、売れなくなった商品が、毎年のある時期に売れなくなるのか、ある時点から下降傾向にあるのかなどの原因を把握できます。
時系列分析は年月が過ぎるほどデータの量が多くなるため、データ分析を繰り返していくほど精度が高まることが予測できます。しかし、変化の推移がわかるように、同じ条件で定期的にデータを収集しなければならないデメリットがあります。
判別分析
判別分析は、グループに分かれている既存のデータをもとにどんな基準で分けられたのか分析し、未知のデータがどのようなグループに分類されるか予測するデータ分析です。未知のデータを分析できるため、将来の予測が可能です。
例えば、今まで罹患した病気データを基に将来かかる病気を予測したり、過去の流行の推移を基に数年後のトレンドを予測したりなどです。医療現場からマーケティングといった幅広い分野で活用できます。
視覚化によるデータ分析5手法
視覚化によるデータ分析は、データをわかりやすく可視化する分析の手法です。視覚化によるデータ分析の手法は以下です。
- チャート
- プロット
- 地図
- ダイアグラム
- マトリックス
それぞれ解説していきます。
チャート
チャートは、分析したデータをグラフとして可視化するデータ分析の手法です。データを棒グラフや折れ線グラフ、円グラフなどさまざまなグラフに可視化でき、要素の関連性や異なる部分をひと目で理解できるようになります。
チャートは、時間経過を表すデータや割合を表すデータなど活用できるシーンが多岐にわたります。また、視覚化によるデータ分析の手法の中でも比較的簡単に活用できる点は大きなメリットです。
プロット
プロットは、2つ以上の複数のデータを二次元または三次元空間に分散させ、各要素の関連性や全体の傾向を表示するデータ分析の手法です。大量のデータを分析した後、プロットにして表示させることで、要素の因果関係が理解しやすくなります。
プロットも前述したチャート同様、活用できるシーンが多岐にわたります。プロットにはさまざまな種類があり、比較的多く利用されているものは散布図とバブルチャートです。
地図
「地図はデータ分析の手法なのか」と思った方も多いことでしょう。地図は大陸の形や建物の形などを可視化したデータ分析の手法です。
特に、近年は衛星の映像により、正確な地図が完成しています。地図は、パンデミックや人口の数などの詳細をヒートマップとして表示することも可能です。
ダイアグラム
ダイアグラムは、さまざまなデータを分析する際、一つの画面にツリーや階層により可視化するデータ分析の手法です。さまざまなデータから関連性を見出したいときや要素を摘出するときに活用します。ダイアグラムも前述したチャートやプロットのようにさまざま種類があります。
マトリックス
マトリックスとは、データの要素から関連性を分類するため二次元の表に整理するデータ分析の手法です。二次元の表は縦軸と横軸で構成されており、データの要素がある位置の縦軸と横軸が交わる部分から分析を行います。
AIを活用したデータ分析9手法
AIを活用したデータ分析は、機械学習や深層学習(ディープラーニング)を活用することでデータの変動を分析する手法です。ディープラーニングと機械学習の違い、どちらを使うか決める方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
AIを活用した代表的なデータ分析方法は以下です。
- 決定木分析
- アソシエーション分析
- ファジー理論
- サポートベクターマシン(SVM)
- K近傍法
- ナイーブベイズ(単純ベイズ)
- k-means法(クラスタリング)
- 次元削減
- 自己組織化マップ(SOM)
それぞれ解説していきます。
決定木分析
決定木分析は、要素から結果を予測する樹木型のデータ分析の手法です。数学的には回帰分析と似ていますが、決定木分析は「イエスかノー」の2択です。そのため、シンプルに結果の予測が可能であり、データの数が少なくても行えます。
目的変数に影響する説明変数を明らかにし、樹木図を作成する手法で、説明変数の結果を分岐させていくことで視覚的に理解しやすいメリットがあります。
例えば、商品Aを購入したいと考えている割合が60%だとした場合に、60%の男性・女性のどちらの割合が高いか、どの年代の層の割合が高いかなどを分岐させて樹形図を作っていきます。クロス集計したものをよりわかりやすく視覚化して、ターゲット層を分析できます。
決定木分析は基本的にイエスかノーの2択で分岐ですので、AIを使用した予測が可能であり、アンケートデータをもとに結果予測が可能です。
決定木分析は、アンケートやリサーチなどのさまざまなデータをもとに結果を予測でき、消費者の傾向や特徴を把握するのに役立ちます。
アソシエーション分析
アソシエーション分析は、複数のデータの中からAIを活用して関連性の高い要素を分析する手法です。「もしこうだったら、こうなるであろう」という関連性を見つけ出すのに向いています。
購買データから人々の購買行動を予測する際によく使われます。身近なところでは「これを買ったお客さんは、この商品も一緒に買う可能性が高い」という予測です。小売店舗やオンラインストアでは購入履歴を基に、商品配置やレコメンド商品決定の指標として役立つでしょう。
AIによるレコメンド機能の活用事例についてはこちらの記事で解説しています。
アンケートやモニターテストの結果をテキストマイニングなどで集計した結果から、データの関係性やパターンを分析するためにつかわれることも多い手法です。データ量が少なければデータ同士の関連に信憑性がありませんので、一定以上のデータが必要であるというデメリットがあります。AIに機械学習させることで予測することができます。
ファジー論理
ファジー理論は、人間の言語や推測に取り込まれている曖昧性を一つの変数と考え、1(真)と0(偽)の間で任意の数で予測するデータ分析の手法です。ファジー理論では、真偽だけではない不確実性に対処できるため、複雑系の制御システムに組み込まれています。
サポートベクターマシン(SVM)
サポートベクターマシン(SVM)は、回帰・分類・外れ値の検出に用いられる教師あり学習のアルゴリズムです。2つのクラス群を識別する境界線を定め、新しいデータがどちらのクラスに属するかを決定するために使用されます。
サポートベクターマシン(SVM)は、パターン認識の手法で物事を分類します。パターン認識とは、画像や音声などの膨大なデータから一定の特徴や規則性を取り出す処理です。特徴量の空間上で、2つのクラスとなるよう分けるための線型関数を求めます。
サポートベクターマシンには以下のメリットがあります。
- 少ないデータ量でも正しく分類しやすい
- データの次元が大きくなっても識別の精度が高い
- 最適化すべきパラメーターが少ない
SVMは学習データの特徴量が多くても、識別精度を保ちながら計算コストを抑えることができるため、実用的なアルゴリズムとして広く使用されています。
SVMは、医療診断、画像認識、音声認識、自然言語処理、金融分析、Web分類、DNA解析など様々な分野で使用されています。Pythonをはじめとする機械学習系プログラミング言語では、SVMを実装するためのライブラリが提供されています。
K近傍法
K近傍法は教師あり学習によるパターン認識で用いられます。アルゴリズムはシンプルで、予測したい値を入力すれば、特徴量と近い距離にあるデータで多数決をとって、結果を予測値とするアルゴリズムです。
時系列に対するデータに対して距離を定めて、その距離から異常値なのかどうかを判断します。シンプルでわかりやすいアルゴリズムであり、特に小規模なデータセットに対しては高い精度を発揮します。
K近傍法は、データセットが大きくても高速に処理できます。デメリットは、大規模なデータセットに対して処理が遅くなることや、高次元のデータに対しては有効ではなくなることです。
ナイーブベイズ(単純ベイズ)
ナイーブベイズは分類問題を解くため教師あり学習に用いられるアルゴリズムで、確率論の定理であるベイズ理論をもとにしています。あるデータがどのクラスに属するか判定する手法です。
シンプルで計算量が少なく処理が高速であるため、大規模データや現実世界の複雑な問題にも対応できます。身近な例では、迷惑メールのフィルター機能やウェブニュース記事のカテゴリ分けに使われています。
k-means法(クラスタリング)
k-means法は、教師なし学習で似たデータを集めて分類する非階層的なクラスタリング手法のアルゴリズムです。k-means法では、データを予め決めた数(k個)のクラスタに分けます。
k-means法は、データ量が多い場合でも計算速度が速いため、大規模なデータセットに適しています。ただし、クラスタの初期値の設定方法によっては、結果が大きく変わってしまいます。
次元削減
次元削減は、データを高次元から低次元へできるだけ情報は保ったまま変換する教師なし学習向きのアルゴリズムです。高次元のデータだと直接確認できないため、可視化できるように次元を変換します。
次元削減のアルゴリズムとして代表的なのが主成分分析(PCA)です。特徴量を抽出することで、データセット内の特徴量が削減できます。
自己組織化マップ(SOM)
自己組織化マップ(SOM)は、教師なし学習でニューラルネットワークに基づいたクラスタリング手法の一つです。入力データの類似度をマップ上の距離で表現し、自動的に分類します。
人間が識別することが難しい高次元のデータでも中に存在する特徴を見つけクラスタリングが可能です。
AI Marketでは、
業界ごと企業でのデータ事例
データ分析はどの業界でも活用できる手法です。それぞれの業界で分析が必要なデータ事例を解説します。
小売業
小売業界では、消費者の購入パターンの分析が主となり、商品の人気傾向や季節変動を反映した在庫管理が可能となります。最近はデータ分析の適用範囲は以下のように広がりを見せています。
- 行動の予測
- 在庫の管理
- 新製品の開発
- 最適な価格設定
- 広告の適切なタイミング
例えば、Amazonが行っている「予測出荷」のようにAIを用いて消費者の次の購入行動を予測し、商品をあらかじめ近くの物流センターに配備することで、配送時間の短縮と顧客満足度の向上が図られています。
AIを用いて次に何を買うかという消費者の行動予測や広告の最適なタイミングなど、全てにデータ分析が活用されています。
関連記事:「小売業界に強いプロ厳選おすすめAI開発会社」
製造業
製造業界では、生産プロセスの最適化や品質改善、コスト削減といった課題解決が、データ分析により可能となります。生産ライン上のセンサーデータを活用した品質管理やコスト削減が可能となります。
たとえば、GEが開発したPredixシステムは、生産ライン上のセンサーから取得するデータを分析します。予測保守のための最適なタイミングを示すことで機械のダウンタイムを削減し生産効率を向上させています。
機械の運用データを分析することで、予防保守のための適切な対応も可能となります。
関連記事:「製造業のAI開発に強いプロ厳選のAI開発会社おすすめ」
医療
医療分野では、病気のパターンや患者の治療結果をデータ分析します。大規模な医療データベースを分析することで、より精度の高い診断や治療法の開発が進められています。
具体的な事例としては、Googleの子会社DeepMindが開発したAIによる網膜症診断が挙げられます。網膜画像からAIが病状を判断し、専門家並みの精度で診断を行うことが可能となりました。
より良い診断方法や治療法の確立に役立てたり、医療費の最適化や病院の運営効率の向上にも活用可能です。
関連記事:「医療・製薬業界に強いプロ厳選おすすめAI開発会社」
金融業
金融業では、データ分析を用いたリスク管理や投資戦略の最適化がおこなわれています。AIによる複雑なデータ分析を通じて、投資リスクの予測や顧客の信用評価がより精緻になっています。
例えば、JPモルガンはAIを利用して債券取引の最適化を行い、取引コストの削減とリスク管理の強化を実現しています。またクレジットのスコアリングや詐欺の検出にもデータ分析が用いられています。
関連記事:「なぜ金融業界はAI導入に待ったなしなのか?」
データ分析の流れ
データ分析は以下のサイクルを繰り返します。
目的の設定
何を解明するためにデータ分析するのか具体的な目標を設定します。
データ収集
目的に沿ったデータを収集します。
関連記事:「データ収集とは?AI開発に重要な理由・具体的な収集方法や収集のコツについて詳しく解説!」
データの整理
収集したデータを、不要な部分の削除や欠損値の補完など分析可能な形に整理します。データクレンジングとも言われます。こちらでデータクレンジングのやり方、ツール選定方法を詳しく説明しています。
より広範にデータを整備するデータプレパレーションというプロセスも重要です。
データ分析
統計や機械学習モデルを用いてデータ分析し、データ間の関連性やパターンを抽出します。
データ分析の手法には、さまざまな種類があります。分析するデータと分析目的に応じて手法を変えることで効率よくデータ分析が可能です。
例えば、アンケートやリサーチなどのデータから結果を予測したいのであれば回帰分析や決定木分析を活用することが適切です。
このように、扱うデータに合わせて手法を変えることがデータ分析において重要になります。特にビッグデータを取り扱う場合は、データ分析の手法を正しく選ばなければ分析結果の正当性や妥当性も評価できません。
そして、分析を行う際、または外部に委託する場合でも、分析を行う理由や目的、用いる手法の問題点について正確に認識していなければなりません。データの意味や背後関係がわかっていなければ、分析結果に基づいて正しい方針を出すこともできないでしょう。
こちらで需要予測によく使われるデータ手法をより詳しく説明しています。
結果の解釈
分析結果をビジネス上の意味で解釈し、目的の答えを見つけます。結果から具体的な次の行動を策定します。
データ分析でのAIの役割
近年ではAI(人工知能)によるデータ分析が主流となっており、AIは非常に重要な役割を果たします。AIを使ったデータ分析は、大量のデータを高速で解析する能力を持ち、パターン認識や将来予測など高度な分析が可能です。
さらに、AIはデータを効率的に探索し整理する能力を持つため、大規模なデータセットであっても分析できます。また、リアルタイムでデータをもとに意思決定が可能であるため、在庫管理や広告配信などの分野ではAI予測のモデルを用いた自動化の意思決定もおこなわれています。
こちらでAIでデータ分析を行うメリット、ビッグデータ活用・導入注意点を説明しています。
データ分析についてよくある質問まとめ
- データ分析とは?
データ分析は、さまざまなデータを収集・整理・解析して、得られた結果から有用な情報や知見を引き出すプロセスを指します。一般的に、ビジネスの目的や課題を明確に定義し、適したデータの収集、整理や分析という流れです。ビジネスにおいてデータ分析の重要性は非常に高まっており、企業の経営戦略に必須と言えるでしょう。
- データ分析が重要な理由は何ですか?
データ分析は以下の理由で重要です:
- 客観的で根拠のある意思決定が可能
- 市場トレンドや顧客ニーズの把握に役立つ
- 業務効率化やコスト削減につながる
- 新たなビジネスチャンスの発見に貢献
- 競合他社との差別化が図れる
- AIを活用したデータ分析手法は?
- 決定木分析
- アソシエーション分析
- ファジー論理
- サポートベクターマシン(SVM)
- K近傍法
- ナイーブベイズ(単純ベイズ)
- k-means法(クラスタリング)
- 次元削減
- 自己組織化マップ(SOM)
まとめ
データ分析は現代のビジネスに不可欠なツールです。統計学による7つの手法、視覚化による5つの手法、そしてAIを活用した9つの手法を詳しく解説しました。
これらの手法を適切に選択し、組み合わせることで、ビジネスの課題解決や成長戦略の立案に大きく貢献します。重要なのは、分析の目的を明確にし、扱うデータの特性を理解すること。そして、得られた結果を正しく解釈し、具体的なアクションにつなげることです。
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