最終更新日:2022-06-23
ウミトロン、くら寿司と協働しAIスマート給餌機によるハマチ養殖に日本初成功。「特大切り AIはまち」として、全国くら寿司にて6月24日(金)から限定販売。
ウミトロン株式会社は、回転寿司チェーン「くら寿司」を運営するくら寿司株式会社の子会社である、KURA おさかなファーム株式会社と協働し、AI・IoT技術を搭載したスマート給餌機「UMITRON CELL(ウミトロンセル)」を活用したハマチのスマート養殖に日本で初めて成功したと発表した。
本ハマチは、回転寿司チェーン「くら寿司」の全国の店舗にて、「特大切り AIはまち」として、6月24日(金)から6月26日(日)まで限定販売されるという。
<本ニュースの10秒要約>
ウミトロンとくら寿司子会社のKURA おさかなファームが協業し、ハマチのスマート養殖に成功 「UMITRON CELL」を活用することで、遠隔給餌、給餌量・タイミングの最適化等が可能 燃料費削減、労働環境改善だけでなく、環境負荷低減にも貢献
取り組み背景
近年、漁業における「人手不足」「不安定な収入」「労働環境の厳しさ」などが大きな課題となっている。くら寿司では2010年から「漁業創生」をテーマに多様な活動を行っており、2021年11月には、業界初の水産専門会社として子会社、KURA おさかなファームを設立した。
スマート養殖による委託養殖を進める取り組みとして、2021年春からはウミトロン開発のAI・IoT活用のスマート給餌機である「UMITRON CELL」を導入。2022年3月には、スマート給餌機で養殖したマダイを「AI桜鯛」として、初めて全国販売した。
スマート給餌機「UMITRON CELL」を活用した初のハマチ養殖
「UMITRON CELL」の特徴として、搭載されているAIが魚の食欲をリアルタイムで画像解析し、給餌量やタイミングを最適化できること、また、スマートフォン等の端末を通して、遠隔で生け簀の魚の様子をモニタリングしながら給餌がいつでもどこでもできること。これによって、社会情勢の影響で価格高騰が続くエサ代や漁船の燃料費削減、作業負荷軽減、無駄な餌が海に流出することなどを防ぐことができ、環境負荷の低減に貢献することができる。
ウミトロンでは、過去にハマチの稚魚期でスマート給餌機「UMITRON CELL」を活用した生育試験は実施していたものの、成魚まで生育した実績はなかった。2021年6月より開始した、KURA おさかなファーム及び委託養殖先である養殖事業者との生育実証試験によって、ハマチを成魚まで生育し出荷するのは初という。
ハマチは一度に多くの餌を食べることから、無駄なく生育に必要な量を食べさせられるように、一度に短時間で大量の餌を船上から生け簀に機械で投入しながら、人が目視で食欲状態を確認する給餌方法が一般的であった。
今回の実証実験を通して、スマート給餌機に切り替えても従来通りに成育することが分かり、さらにAIで解析した魚の食欲に応じて給餌することで、餌の量を従来比で約1割削減することにも成功した。また、給餌のために生け簀まで船で毎日往復していたところを遠隔操作に切り替えることで、2-3日に1回の頻度に軽減したという。これにより、労働負担の低減や燃料代の削減にも繋がっているという。
初出荷となる今回は約20トンを水揚げし、全国のくら寿司で「特大切り AIはまち」として販売するという。
今後の展望
本実証結果を踏まえ、ウミトロンとKURA おさかなファームはスマート給餌機「UMITRON CELL」を愛媛県宇和島市の養殖事業者2社へ導入する契約を締結し、AI・IoTによる委託養殖を本格的に進めていくという。今後もウミトロンは、ハマチの給餌・生育データの蓄積、及びAIの精度を高めて自動化していくことで、さらなるハマチの生産効率アップと省力化、安定供給をKURAおさかなファームと連携しながら目指すとしている。
委託養殖したハマチは、KURA おさかなファームが全量買い取り、くら寿司で今後も販売する。また、くら寿司は2024年を目処に、くら寿司で扱うハマチの約3割をKURA おさかなファームによる委託養殖によって賄う計画であるという。
国内の水産業は担い手不足や高齢化に歯止めがかからない状況が続いている一方で、魚介類の世界的な需要の高まりや原油高騰、また円安の影響を受け、魚価は高騰傾向にある。ウミトロンとくら寿司は、今後もAIやIoT技術の導入による更なる効率化・省力化を進めることで、消費者に安定した魚の供給量確保、リーズナブルで高品質な商品提供の継続に貢献していくとしている。
参考:スマート給餌機「UMITRON CELL」
「UMITRON CELL」は、AI・IoT技術を活用した水産養殖者向けスマート給餌機。スマートフォンなどの端末から、生け簀で泳ぐ魚のリアルタイム動画を見ながら遠隔で餌やり操作が可能となっている。また、AIが魚の食欲を判定し、給餌量やスピードを最適化、制御することができるため、労働負荷の削減と餌の最適化、そして海へ餌が流出することを防ぐことができ、環境に配慮した養殖業の実現に貢献している。
参照元:PRTIMES
漁業におけるAI活用について詳しく知りたい方は、「漁業業界でのAI活用事例!AI導入時の課題も解説」記事もぜひご参考ください。
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