最終更新日:2022-04-19
【AI全解説】AI(人工知能)とはなにかを正しく理解し、ビジネスに活用する方法

近年、デジタルトランスフォーメーションの話題と共に、「AI(人工知能)」への注目も増してきており、言葉を聞かない日が少なくなってきています。では、そのAIとは一体何なのでしょうか?
本記事では、AIの定義、歴史、技術や特徴などを解説するとともに、実際のビジネスでの活用方法についても触れていきたいと思います。AIを正しく理解し、AIの効果を最大まで発揮できるようにしていきましょう。
また、AI Marketでは、AI開発会社の選定サポートや適切な会社の紹介も行っています。AI開発会社の選定に迷ったり、依頼方法がわからなかったら、
AIの定義と歴史
ここでは、AIとはそもそもどういったことを指すのか、その定義や歴史について紹介していきます。
AIとは?
AIとは、「Artificial Intelligence(アーティフィシャル インテリジェンス)」という言葉の略語であり、「Artificial=人工的」と「Intelligence=知能」という言葉をかけ合わせた言葉であり、直訳すると「人工的に作られた知能」という意味になります。
AIの定義は?
AIというものの定義については、まだ専門家の中でも明確な定義が決まっておらず、下記に紹介するように、様々な定義がされているのが現状です。
専門家 定義 中島秀之/公立はこだて未来大学 人工的につくられた、知能を持つ実態。あるいはそれをつくろうとすることによって知能自体を研究する分野である 武田英明/国立情報学研究所 西田豊明/京都大学 「知能を持つメカ」ないしは「心を持つメカ」である 溝口理一郎/北陸先端科学技術大学院 人工的につくった知的な振る舞いをするためのもの(システム)である 長尾真/京都大学 人間の頭脳活動を極限までシミュレートするシステムである 堀浩一/東京大学 人工的に作る新しい知能の世界である 浅田稔/大阪大学 知能の定義が明確でないので、人工知能を明確に定義できない 松原仁/公立はこだて未来大学 究極には人間と区別が付かない人工的な知能のこと 池上高志/東京大学 自然にわれわれがペットや人に接触するような、情動と冗談に満ちた相互作用を、物理法則に関係なく、あるいは逆らって、人工的につくり出せるシステム 山口高平/慶應義塾大学 人の知的な振る舞いを模倣・支援・超越するための構成的システム 栗原聡/電気通信大学 人工的につくられる知能であるが、その知能のレベルは人を超えているものを想像している 山川宏/ドワンゴ人工知能研究所 計算機知能のうちで、人間が直接・間接に設計する場合を人工知能と呼んで良いのではないかと思う 松尾豊/東京大学 人工的につくられた人間のような知能、ないしはそれをつくる技術。人間のように知的であるとは、「気づくことのできる」コンピュータ、つまり、データの中から特徴量を生成し現象をモデル化することのできるコンピュータという意味である
参考:平成28年版情報通信白書
参考:松尾豊「人工知能は人間を超えるか」(KADOKAWA)
AIの始まり
AIは、古くは1950年代から言葉として使われており、1955年のダートマス会議と呼ばれる研究発表会にて、ジョン・マッカーシーが初めて「AI」という言葉を使ったとされており、ここからAIという言葉が広まり始めました。
また、1950年代には、初めてコンピュータの原型を作り、コンピュータの父とも呼ばれているイギリスの天才数学者であるアラン・チューリングが、機械が「人間的」であるかどうか=機械が「人工知能」かどうかをテストする「チューリングテスト」を発表し、話題となりました。
その後、1950年代〜1960年代にかけて第一次AIブームが始まり、1980年代に第二次AIブーム、そして2000年代から、現在まで第三次AIブームが続いています。
尚、それぞれの時代で活用されていた技術は変わっており、現在続いている第三次AIブームは今までのブームと異なり、実際のビジネスの現場でも多く使われ始めています。
AIブーム
では、それぞれのブームの時代ではどのような技術が活用されていたのでしょうか?活用されていた技術や課題と共に、ブームを振り返っていきましょう。
第一次AIブーム(1950年代〜1960年代):推論と探索
推論と探索とは、特定条件において、
具体的には、迷路のようなゲームなどにおいて、選択肢をすべてコンピュータが認識できる形式に変換し、どちらを選択することが正しい答えなのか、をいち早く導き出す、というものです。
この手の判断は機械が得意とすることではありますが、「トイ・プロブレム(=おもちゃの問題)」と呼ばれ、特定条件下でしか活用できない技術であるとされ、第一次AIブームは冬の時代へと向かいます。
第二次AIブーム(1980年代〜1990年代):エキスパートシステム
エキスパートシステムは、専門家の知識を機械に覚えさせることで、
こちらは第一次AIブームよりわかりやすいかもしれません。専門家の知識を機械にインプットし、第一次AIブームの技術である推論と組み合わせることで、「特定条件において正確であると思われる回答をいち早く導き出す」ということが可能になりました。
もし、◯◯といった条件であれば、☓☓という回答が正解であろう、という答えを推論し、アウトプットする仕組みです。
例えば弁護士や医者のように、専門知識が必要な際に、この仕組を活用することで、多くの回答を早く得られることができます。
この技術は非常に活用できるように思われますし、実際に企業が取り入れることも多くありました。
ただし、「専門家の知識をデータベース化」することがこの技術の前提であったため、専門家が持っている知識を経験則などの暗黙知も含めて言語化した上で、機械に学習させなければならない、というデータベース構築(知識獲得)の課題と、あいまいな表現に対しての判断ができない、という課題にぶつかり、第二次AIブームも冬の時代へと向かいました。
尚、このときの課題であった知識をすべてデータベースとして構築しなければならない=機械が自ら学習することがない、という課題を、第三次AIブームでは解決しており、これにより、現在のAI技術はこれまでと比べても大きく進歩していると言われています。
第三次AIブーム(2010年代〜):機械学習(Machine Learning)とディープラーニング(Deep Learning)
機械学習とは、結果を判断をするための特徴量を人間が教えることで、
ディープラーニングとは、機械学習の一種で、
現在続いている第三次AIブームでは、上記の2つの重要な技術が主流となっています。
特にディープラーニングは、2012年に開催されたILSVRC(ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge)と呼ばれる、画像認識技術を競う大会で、当時フロント大学のジェフリー・ヒントン教授が率いるチームが、Supervision(AlexNet)というCNN(畳み込みニューラルネットワーク)モデルを提げ、2位以下のチームを10%以上も引き離す形の、16.4%という当時圧倒的に少ない誤認識率で優勝し、一気にディープラーニングが脚光を浴びました。
その後、毎年開催されているILSVRCでは、すべての優勝チームがディープラーニング技術を採用しており、2012年以降、毎年のようにこの記録が塗り替えられており、ディープラーニング技術がますます成長を遂げるきっかけとなっています。(ニューラルネットワーク、という技術の元祖は、パーセプトロンと呼ばれており、1950年代にはアメリカの心理学者であるフランク・ローゼンブラットにより提唱されていました。)尚、ジェフリー・ヒントンは、ディープラーニングの生みの親の1人と言われており、2019年に「チューリング賞」も受賞しています。
2016年には、ディープマインド社が開発したAlphaGoが、韓国のプロ棋士に勝利したことで話題になりましたが、こちらもディープラーニング技術を活用したAIモデルです。
強いAIと弱いAI
このように50年以上の歳月をかけて大きく発展してきたAIですが、もちろん全ての事象に対して対応できるわけではありません。
「強いAI」「弱いAI」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
アメリカの哲学者であるジョン・サールが1980年に発表した論文「Minds,Brains, and Problems」で初めてこの言葉が使われています。
「強いAI」とは、人間並みの知識や心を持つAI(汎用型AI)であるとされており多様な問題に対して対処が可能ですが、「弱いAI」とは、人間ほどの知識や心を持つ必要はなく特定領域において有用な道具でさえあれば良い(特化型AI)、という考え方です。
強いAI(汎用型AI)は、例えて言えばアニメに出てくるロボットのようなもので、心を持ち、人間のように自然に会話ができるようなAIを指します。
ただし、現状では強いAIの実現は難しいとされており、ビジネスにおいては弱いAI(特化型AI)が活用されています。
AIのシンギュラリティ(技術的特異点)
シンギュラリティとは、「AIの技術が、十分に賢くなり、AI自信が、自ら人間より賢い知能を生み出す事が可能になった瞬間に、無限に知能の高い存在を作り出し、人間を超越する知性が誕生する」、ということを指した言葉です。
シンプルに表現すると、「AIの知能が人間を超える時」です。この時から、AIは指数関数的に成長を遂げ、人間が想像できないところまで到達する可能性があります。
アメリカのAI研究の権威であるレイ・カーツワイル博士が、2005年に発表した著作「The Singularity Is Near: When Humans Transcend Biology」の中で提唱したとされており、この中で、レイ・カーツワイル博士は「2045年にシンギュラリティが起こる」と予測しています。
シンギュラリティが本当に訪れるかどうかはわかりませんが、AIの進歩に対して警笛を鳴らしている著名人も少なくありません。
イギリスの物理学者であるスティーブン・ホーキング博士は、「完全なAIを開発できたら、人類の終焉を意味するかもしれない」とBBCへのインタビューでAIの進歩に対して警笛を鳴らしています。
マイクロソフトの創設者であるビル・ゲイツ氏は、「AIは多くの仕事を人間の代わりに行ってくれ、コントロールできている内は非常に有益であるものの、非常に強くなった場合を懸念している」と、AIの進歩に対しては前向きであるものの、賢くなりすぎることに対して不安を語っています。
このように、1950年代からAIは進歩を続けており、複数回のブームと共に、新たな技術が登場してきました。
AIとは何なのか、がおわかり頂けましたでしょうか?
ここからは、そのAIの技術や効果に焦点を当て、実際にどのように活用できるのか、を紹介していきます。
AIのテクノロジーと効果
ここでは、AIのテクノロジーに焦点を当て、実際にどのようなことがAIを活用することで実現が可能なのかを紹介していきます。
機械学習(Machine Learning)とディープラーニング(Deep Learning)の違い
まず、第三次AIブームの象徴でもある機械学習とディープラーニングについて紹介をしていきます。
どちらもAI技術の種類ではありますが、ディープラーニングは機械学習の一つである、と捉えて頂くことでわかりやすくなるでしょう。
機械学習とディープラーニングは、どちらも教師データをもとに、結果を導き出す判断ロジックである「特徴量」を学習していく、という意味では同じですが、その
例えば、果物などの画像を判別するモデルを構築する際に、色や形をもとに識別する、という特徴を人間が作り込む必要があるものが機械学習であり、そのような特徴を定義しなくても、コンピュータ自らが特徴を判断し識別することが可能になるのがディープラーニング、となります。
機械学習においては、特徴を人間が教える必要があるため、複雑な画像などにおいて適用することが難しく、反面ディープラーニングでは、コンピュータが膨大な学習データをもとに特徴を自ら判断していくため、画像認識の分野などにおいて多く活用されています。
ディープラーニングは何がディープなのか、と思った方もいるかもしれません。
前述した2012年のILSVRCで優勝したSupervision(AlexNet)は、8層の層からなるディープラーニングモデルであり、2014年優勝のGoogLeNetは22層、2015年のResNetは「スキップ構造」と呼ばれる技術を活用し、152層もの深さを実現して優勝しました。
教師あり学習、教師なし学習、強化学習の違いと特長
機械学習は、大量の教師データをもとに学習していくAIですが、この学習方法にも種類がありそれが、
まず、教師あり学習と教師なし学習の違いについて紹介します。
・教師あり学習とは、与えられたデータ(入力と出力(正解データ))をもとに、そのデータがどのようなパターン(出力)になるのかを識別・予測する学習方法です。
・教師なし学習とは、与えられらデータ(入力)のみで、そのデータがどのようなパターン(出力)になるのかを識別・予測する学習方法です。
つまり、教師あり学習では、入力データと出力データの関係性を学習し、識別・予測する学習方法であるのに対し、教師なし学習では、入力データからその構造や特徴を学習していく学習方法となります。
それぞれに特長があるため、どちらが良い、というわけではなく、構築したいAIモデルによって手法を選択していくことが一般的です。
具体的には、以下のような使い分けになります。
・教師あり学習:分類、回帰(数値予測)
・教師なし学習:クラスタリング、アソシエーション分析(関連性の解析)
分類とは、正解データによって学習した特徴をもとに、入力データがどの区分(クラス)に分けられるか、を識別するもので、例えば迷惑メールの識別などに活用できます。
回帰(数値予測)とは、学習したデータをもとに、今後、どのような事象が発生した際に、どのような数値が現れるか、を予測するもので、需要予測などで活用されています。
クラスタリングは、分類と似ていますが、分類は正解データをもとに区分が決まっていたのに対し、クラスタリングは、決められた区分がない状態で、入力データの特徴を判断し、入力データを自ら区別していくもので、例えば顧客データの入力をもとに、顧客の属性を判別するなどが可能になります。
アソシエーション分析(関連性の解析)とは、入力データをもとに、その関連性を見つけ出すもので、購買分析(このような顧客はこれも買う可能性が高いetc)などに活用できます。
(尚、一部を教師あり学習、一部を教師なし学習、という形で教師データを使い分ける「半教師あり学習」、という手法もあります。)
では、強化学習とは何でしょうか?
強化学習とは、行動を学習する仕組み、を指し、目的とする報酬(スコアと呼ばれる行動結果の点数と捉えてください)を最大化するためにはどうすればよいか、を学習していく学習方法です。
一連の行動をもとに、どのような行動が報酬が最大化されるか、を繰り返しながら学習していく手法で、前述したディープマインド社のAlphaGoはこの強化学習により学習されています。
それぞれの学習方法は、このように特長が異なっており、どのようなAIモデルを構築するか、によって学習方法を使い分けていくことが必要です。
教師データを作成するためのアノテーション
AIに学習してもらうためには、教師データが必要になることはおわかり頂けたかと思います。
では、教師データはどのように作るものでしょうか?
教師データを作成するために、画像や動画、文章といった入力する対象データに対して、
画像データであれば、例えば入力したい画像の区分を決めておき、犬の画像、猫の画像、鳥の画像、といったように、画像をグルーピングする分類作業や、画像の中に写っている物体に対して、特定エリアを四角形で囲むバウンディングボックス(BoundingBox)、画像に写っている人や車の画像などを画素(ピクセル)単位でラベル分けを行うセマンティックセグメンテーション(Semantic Segmentation)などがあります。
他にも、骨格検出を行うためのキーポイントアノテーション、顔のパーツなどを検出するためのランドマークアノテーションや、チャットボットでの活用を想定した類似文章の作成など、自社が構築したいAIモデルに合わせて、多種多様なアノテーション作業があります。
これらのアノテーションを付したデータをコンピュータが学習できる状態にすることで、教師データを作成します。
尚、このアノテーション作業を行う際に、VOTTやLabelImgといったアノテーションツールを活用することが一般的かもしれません。
ただし、これらの教師データは、膨大な作業量が必要であり、また精度の高いアノテーション作業が必要となるため、アノテーション作業を専門として実施している会社に、自社の教師データ作成について相談してみることをオススメします。
また、この教師データについて、「Harvard Dataverse」「e-stat」「Google Open Image V6」「COCO Dataset」「YouTube-8M Dataset」のように無料で公開されているデータセットも存在しており、自社が構築をしたいAIモデルの教師データとして適切(入力データと正解データとして活用できる)場合には、これらのデータセットを活用することを検討してみても良いかもしれません。ただし、これらの教師データはあくまで提供団体が構築したデータセットである場合、自社の用途に合わない場合は、もちろん自社用の学習データを構築する必要があります。
その場合は、上述した通り自社で教師データを構築するためのアノテーション作業を行うためには膨大な時間と労力が必要となるため、アノテーション代行会社へ相談してみると良いでしょう。
なお、アノテーションを行う際によく発生する問題としては、教師データを作る際に、アノテーション作業は行える体制を準備できたとしても、その元データの収集が課題となるケースです。
例えば、自動運転用に画像アノテーションを行う際に必要となるのは、走行している車や歩行者などから実際に撮影した道路の画像といったものです。
アノテーション作業自体はこの元データがないと進めることができませんので、アノテーションが必要となる場合は、どのようなアノテーション作業を行う必要があるのか、と合わせて、元データをどのように収集することができるのか、についても検討することをオススメします。もちろん、アノテーション代行会社の中には、元データの収集から手伝ってくれる企業も存在しますので、合わせて相談してみるのも良いかもしれません。
アノテーション代行会社を探している方は「プロ厳選!アノテーションサービス会社」の記事をご覧ください。
アノテーションツールに関しては「AI開発におすすめのアノテーションツール」にてご紹介しております。
ディープニューラルネットワークにおけるCNN、RNN、オートエンコーダ、GANとは
突然難しい言葉が出てきた、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、この4つのアルゴリズムは非常に重要です。
まず、ディープニューラルネットワークとは、多層のニューロンの層からなる学習方法である、と前述しましたが、その中でも、どういった手法がどの目的に適しているのか、というところで活用する手法が変わってきます。
それがこの
CNNとは、畳込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network)と呼ばれ、画像認識に適しています。
RNNとは、再帰型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network)と呼ばれ、株価予測など、時系列データの処理に適しています。
オートエンコーダとは、次元削減と呼ばれる技術を活用した手法で、異常検知に適しています。
GANとは、敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Network)と呼ばれ、画像生成に利用されています。
ここまで、機械学習とディープラーニングの違いや、学習方法やアルゴリズムについて紹介してきました。
ここからは、では実際にそれらの技術や特長を活かして、AIは一体何ができるのか、を具体的に紹介していきます。
AIの活用分野
AIはビジネスの分野で実際どのように活用できるのでしょうか?
画像認識や音声認識など、よく取り上げられているもの以外にはどのようなものがあるのでしょうか?
ここでは、それらAIの活用方法について、詳しく紹介していきます。
尚、ここでは、CNNやRNNといった専門的な手法については触れていませんので、どのように活用できるか、といった観点でご覧ください。
画像認識
AIと聞いて、画像認識などのイメージを持たれる方も多いかもしれません。画像認識とは、
前述したILSVRC2012で脚光を浴びたディープラーニング技術は、まさに画像認識の分野において大きな進歩を実現したものでした。
画像認識では、下記のように、入力した画像に何が写っているのかを特定したり、入力した画像が正しいものかどうかを識別するといったことができます。
・りんごやバナナといった果物の種類を特定
・手書き文字の認識
・壁や鉄塔のヒビ割れやサビの箇所の特定
・レントゲン写真から異常箇所(がん細胞など)の特定
・海の漂着物からゴミの発見
・道路やガードレールにおけるヒビや凹みの発見
・商品画像を元に似ている服を特定(レコメンデーション)
・工場における欠陥品の発見(画像から汚れや傷を発見)
このように、画像認識精度が向上したことにより、ビジネス上の様々な用途で活用されています。
もちろん、近年話題の自動運転もまさにこの画像認識技術の向上によって飛躍的に進歩しています。
画像認識に関しては、「画像認識・画像解析のAI開発に強い!プロ厳選の開発会社」にて厳選会社を紹介しております。
また、最近では、画像認識をエッジ端末にて処理を行うエッジAI開発も注目されています。
エッジAIとは、AIによる推論を端末側(例えば監視カメラやドローンなど)で行うことにより、高速処理、高セキュリティを実現させることが可能な手法で、例えば自動運転など、非常に高速での処理が必要なシーンで活用されています。
音声認識
音声認識も画像処理同様イメージがつきやすいかもしれません。
音声認識は、スマートフォンに搭載されているsiriやAmazon Echoといったスマートスピーカーのように、コンピュータに話しかけることで
この技術もディープラーニングの登場によって飛躍的に成長を遂げており、雑音や「うーん、、」といったなどのノイズを除去して正しく音声を認識するだけでなく、単語の繋がりを理解してより正しい文章として認識することができるようになっています。
これらの技術を活用することで、スマートスピーカーだけでなく、下記のように音声認識技術が活用されています。
・議事録の自動作成
・電話内容の自動テキスト化
・動画へのリアルタイムの字幕付与
・音声による感情の分析(顧客満足度の測定)
音声認識についてより詳しい内容を知りたい方は、「AI音声認識とは?【仕組み・技術・活用事例】まで徹底解説!」の記事をご覧ください。
自然言語処理
自然言語処理とは、私達が一般的に使っている
メールのように書いた文章だけでなく、人間が話した言葉を正しく文章として認識する「音声認識」技術と組み合わせることで、話したり、書いたりした言葉を、自然言語処理技術を活用して、正しく意味のある文章としてコンピュータは認識をします。
これにより、日常で使っている言葉をコンピュータが理解してくれるようになり、下記のように様々な形で活用されています。
・スマートスピーカーで認識した文章の意味の理解 ※これに音声合成技術を加えることで、スマートスピーカーは、「音声認識→自然言語処理→音声合成」の処理の流れで、私達と会話できるようになっています。
・WEBサービスにおけるチャットボットでの自動回答
・文章のインデックス化や要約
・研究レポートなどの文章の分類
・作成した文章の禁止ルール使用アラート
・文章の自動作成
・商品レビューやコメントの分析
・自動翻訳
自然言語処理のAI開発を検討している方は「自然言語処理(NLP)のAIシステム開発に強い、プロ厳選のAI開発会社!」の記事を一読ください。
画像生成
画像生成技術もディープラーニングによって大きく進歩した活用分野であり、入力したデータを元に、
特徴が同じ全く別の画像を自動生成したり、ボケたり荒い画像から高精度な画像を生成したりすることができます。
この技術によって、以下のような場面で活用されています。
・スケッチから商品画像の生成
・テキストから画像の生成
・対象画像の一部のパーツの差し替え
・日中の景色の写真から夜景の写真の生成
・不鮮明な衛星画像の高精度化
・特定人物の画像や動画の生成(特定の人物を別の写真や動画として生成するなど)
・存在しない人物画像の生成
予測分析
AIの活用において、非常に活用しやすい分野の一つとして、予測分析があるかもしれません。
予測分析とは、入力したデータを元に、
ビジネスの分野においては、何かしらの未来の数値を想定して戦略を構築することは少なくないでしょう。
そのようなシーンにおいて、AIを活用した予測分析は非常に有効です。下記は、AIにおける予測分析で活用されている例です。
・株価の予測
・在庫状況の予測
・見込まれる客数の予測
・交通渋滞予測
・駐車場の混雑予測
予測分析のAI開発を検討している方は、「需要予測のAIシステム開発に強い、プロ厳選のAI開発会社!」にておすすめのサービスを紹介しております。一読ください。
いかがでしたでしょうか?
AIは、このように多くの分野での活用が始まっています。
また、各分野はお互いに連携をしながら、最終的なビジネスでの活用モデルまでを構築していることも少なくはなく、複数のAIの技術を組み合わせることで、今までにない更にビジネスで活用できる施策も実現できるかもしれません。
AI活用の効果
ここでは、AIを活用することで、実際のビジネスにどのような効果があるのか、を紹介していきます。
AIを活用すること自体が目的となるケースも多くの企業で見受けられますし、その事自体はこれからデジタルトランスフォーメーションを推進していくためには良い傾向と考えていますが、AI自体は本当に強力な武器となりますので、適切に効果を見極めて活用ができると、よりその力を発揮するための活用ができることでしょう。
業務効率化
AIを活用するにあたって、多くの企業がまずは業務効率化を目指すことが多いでしょう。
例えば、AI OCRを活用し、申込書画像に記載された文字を自動認識することで、これまで人がシステムに登録していた入力作業を軽減したり、チャットボットを活用することで、人が応対していた対応をAIに代替してもらうこと、契約書をAIが読み解き注意ポイントをリスト化し、法務の方がそれを元に確認を行う、といったことなどが実際に可能になります。
このようにAIが一部の業務を代替することにより、その部署で行っていた人の作業は大きく削減され、人が行うべき作業を別のコア作業に充てることが可能になります。
機会損失の低減
こちらもAIを活用する上で求める効果として非常に重要なポイントです。
例えば、AIを活用し、予測分析を行うことで、今後どこでどのような需要が発生するか、を見極めることが可能となり、これにより適切な供給量の確保が可能になります。
今まで、人の経験と勘に頼っていた部分をAIが担うことで、これらの需要予測を可視化することができ、結果として、企業全体の売上拡大やロスの削減にも繋げることができます。
サービス・製品品質の向上
AIを活用することは、効率化などの側面で語られがちですが、実際には、AIを活用することで、自社のサービスや製品の品質を向上することにも役立ちます。
例えば、建築物における劣化状況をドローンと組み合わせて画像解析することで、今まで人では確認しきれなかった箇所や頻度での確認が可能になり、結果としてそれらの修復に対してのスピードが上がり、より製品の品質改善を迅速に行うことが可能になる、などです。
教育レベルの向上と均質化
企業がビジネスを運営する上で、非常に重要になるのが新人社員や中途社員への教育です。これらの教育面においても、AIは活用することが可能です。
例えば、AIを活用したクラウドフォンや議事録サービスを活用し、営業マンの音声をテキスト化し、それらのテキスト情報を元に、発言回数や発言時間、トークに活用されたキーワードの出現回数などを可視化することで、どのようなトークがアポイントに結びついたのか、などを可視化することが可能になります。
この情報を活用することで、今まで先輩社員の経験に頼っていた部分を企業内で体系的に整理することができ、企業内での教育レベルの向上に活用することができるようになります。
もちろん他にも様々な効果をAIを活用することで得ることが可能です。
自社の課題を見極めて、適切にAIを活用し、最大の効果をあげていきましょう。
AIを活用したサービス
ここまで、AIの技術などを紹介してきましたが、最後に、実際にAIが活用されているサービスを紹介していきます。
これらのサービスは、既にサービスの活用領域で必要となるAI技術が既に搭載されており、自社専用に構築する必要がないため、非常に導入しやすくなっています。
紹介するサービスが、自社の領域で活用できそうか、ぜひご確認ください。
AI OCR
AI OCRとは、紙の帳票等に書かれた文字を、コンピュータが正しく認識する技術を指しており、これにより、申込書や請求書といった多くの帳票の文字を、システムに自動で取り込むことなどが可能となります。
OCRと呼ばれる技術は以前からありますが、AIが搭載されたことで、文字認識の精度が大幅に向上してきています。
また、「【製品比較】AI-OCRを徹底理解!AI-OCR活用のメリットとは?」では、OCRの製品比較や活用メリットを紹介していますので、ぜひ一読ください。
AI チャットボット
チャットボットとは、「会話」を意味するチャットと、「ロボット」のボットから名付けられている自動応答システムを指し、WEBサイト等に設置された窓口を通して、コンピュータがWEBサイトを訪れたお客様とのやり取りを行うことができるサービスを指します。
AI チャットボットは、お客様より入力されたメッセージの内容をAIが解析(自然言語処理)して、適切な案内を返すことが可能になっているチャットボットです。
AI 議事録
AI 議事録サービスは、その名の通りAIが会議の議事録等を自動で作成してくれるサービスです。
製品の中に組み込まれているAIが、発言者の言葉を理解(音声認識)し、議事録としてテキストにまとめてくれます。
AI法務
AI 法務サービスは、企業の法務担当者が行う契約書チェック業務をラクに、且つ品質を高めてくれる契約書チェックサービスです。
AIが契約書の文章の内容を理解し、契約書条項の抜け漏れや、契約書に潜んでいるリスクのアラートをあげてくれます。
これにより、法務担当者のチェック漏れなどを回避することができ、自社にとってより良い契約書の作成をサポートしてくれます。
このように、AIを活用したサービスは既に多く提供されており、自社で必ずしも構築しなくとも、目的に沿ったサービスがあれば、そちらを利用することを検討してもよいかもしれません。
ただし、AIを活用する際は、AIが全てを行ってくれる、という認識ではなく、AIが得意とするところを任せ、判断や検討が必要な箇所は人が行う、という役割分担を行うことで、自社のビジネスに最大限活用できる、AIサービスの利用ができるでしょう。
AIを活用した業界事例
ここまで紹介したAIの技術やAIサービスは、どのような業界で多く活用されているのでしょうか?
ここでは、AIを活用している業界の事例を紹介します。
医療業界のAI開発事例
医療業界では、画像解析による疾患の特定や医療記録の解析など、AI活用との相性もよく、日々進化しています。
一つの事例として挙げられるのは、株式会社HACARUSと神戸大学の共同研究・AI開発による肝細胞がんのMRI画像解析です。機械学習の一手法である「スパースモデリング」を用いて、比較的少ないデータ量でも必要な情報を見極めて抽出することに成功しました。
創薬業界のAI開発事例
創薬とは、いわゆる薬を製造する製薬プロセスであり、薬の元となる物質の特定や化合物の最適化といった演算処理をこなすことで、創薬プロセスを大幅に改善しています。
事例としては、アメリカ医薬情報サービスの日本法人IQVIAソリューションジャパン株式会社が、AIシステム開発の株式会社ブレインパッドによる売上の予測モデルの構築を導入したことが挙げられます。導入により、これまで提供していた医薬品市場の売上実績データに加えて、将来の売上予測の値を機械学習モデルを構築して算出することを可能にしました。
小売業界のAI開発事例
小売業界では、AIを搭載したカメラ等を活用し、顧客の属性や来店動向を数値化・分析し、商品管理などに活用しています。
セブンイレブンでは人手不足に対処するため、AIを活用した発注数の自動算出システムを取り入れています。さらに、シフトや作業割当表を自動作成するシステムもテスト予定とのことです。
製造業のAI開発事例
製造業においては、製造した部品の欠損箇所の特定や、製造量分析、工場内の在庫管理場所の最適化など、多くの工程にてAIが活用されています。
某自動車メーカーでは、異音検査時に発生する検査結果のばらつきや、熟練検査員の人材確保をAI開発によって解消しました。官能検査を音データをもとにしたAIに置き換えることで、人手に頼らず、均一かつ効率的な検査が可能になった事例があります。
製造業でAI開発を検討している企業様は「製造業のAI開発に強い、プロ厳選のおすすめAI開発会社!」の記事をご覧ください。
ここで紹介した業界での活用方法はあくまで一部で、もっと多くの業界でAIは実際に活用されています。自社での活用方法の参考となれば幸いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
AIにまつわる定義、歴史、技術、効果からサービスまで、さまざま紹介をさせて頂きました。
自社でのAI活用のイメージが湧きましたでしょうか?
AIは適切に活用すると非常に強力な武器となります。どのようなAIで自社のビジネスを強化できそうか、ぜひ本記事を参考にご検討頂けましたら幸いです。
また、AI開発を実際に行いたい、とお考えの方は、ぜひおすすめAI開発会社紹介記事もご参考ください。
