最終更新日:2024-09-23
BIとAIの違いは?ビジネスインテリジェンスにAIを使うメリット・活用事例5選
日々取り扱う膨大かつ複雑なデータの可視化やビジネスの効率化などを目的に、BIツール(ビジネス・インテリジェンスツール)を導入している企業の方も多いのではないでしょうか。今後より多くのデータが取得可能となる中で、BIツールによるデータの有効活用がより求められています。
しかし、他のどんなツールでも同じですが、BIツールも導入さえすれば効果が現れる魔法の杖ではありません。導入したものの結局一部スタッフだけしか活用できていないオフィスも少なくないようです。導入する前に、または運用に問題が生じたらすぐに、BIツールで何をしたいのか、導入を検討(または既に導入)しているBIツールで何ができるのか明確にする必要があります。また、BIツールをより有効的に利用するためには、AIの活用は強力な武器となります。この記事では、BIツールでAIを活用するためのメリット、具体的な活用事例を紹介します。ぜひ参考にしてください。
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目次
BIとは?AIとBIの違いも解説
BIはビジネス・インテリジェンス(Business Inteligence)の略で、企業活動の中で蓄積される膨大なデータを集約したり、必要なデータを抽出することで企業の意思決定の参考にすることです。BIをITシステム化したものがBIツールです。具体的には以下のような機能があります。
- OLAP(Online Analytical Processing)
データをダッシュボードなどで可視化できるレポーティングや複数のデータの関係性を分析する - データシミュレーション
データの予測 - DWH(Data Warehouse)
大量のデータを時系列とサブジェクト(内容)別に整理して保管する
一方、AIとはArtificial Intelligenceの略で人工知能とも呼ばれ、人間の脳で行っている分析や判断などの働きをコンピューターのシステムで作る技術です。例えば、言語把握や画像分析など、これまで人間しかできないとされてきたタスクをコンピューターで代用するシステムを最近よくお聞きするかと思います。
AIとBIの違いは?
BIツールはデータの処理や整理や可視化までを行います。そのあと相関関係や特徴などを分析し、判断を行う部分は人間が行います。一方、AIではデータの処理から最終的な分析や判断まで人を介さずに行うことを目指します。現在ビッグデータなどデータの量が増えている中で、AIを使えば人だけでは処理しきれない意思決定の参考にすることができます。
BIでAIを活用する4つのメリット
BIツールだけでも意思決定の効率化につなげることができますが、BIでAIを活用することで、よりスピーディかつ正確な事業判断が可能になります。BIでAIを活用するための具体的なメリットをご紹介します。
データ分析から施策実行までを自動化できる
BIツールにAIを組み合わせると、データの分析から施策の実行まで自動化できます。BIツールでは、データの可視化やシミュレーションまでしか対応できません。分析などに伴う時間を効率化することで、その時間を他の時間に割けるため業務の効果効率アップにも繋がります。また、BIツールを使うためのハードルが下がりますし、より短いスパンで事業方針の見直しができるようになります。
シミュレーションが可能になる
BIツールによって集めたデータをAIで分析し、その分析結果からAIが施策の仮説結果をシミュレーションできます。BIツールだけでは、ごく初歩的な予測しかできませんが、AIを導入することで最適な施策の実施方法を提案します。シミュレーションを活用することで、事前に施策の実施に必要な期間やコスト、得られる結果、施策を実行しなかった場合の結果を予測できるようになります。
属人的な判断をなくせる
BIツールでAIを活用すれば、属人的な判断をなくせます。BIツールを用いた場合、最終的な判断はダッシュボードやシミュレーションを見て担当者が行うことになります。その結果、どうしても今までの経験や勘による判断を行ってしまったり、担当者しか判断ができない状況に陥ることも少なくありません。
しかし、AIを用いることで迅速に様々なパターンのシミュレーションや分析を行うことができます。また、AIの判断はデータだけを根拠にした判断です。属人的な経験や担当者に依存することなく、社会情勢などの変化に応じた明確な事業戦略立案や意思決定を行うことができます。
複雑なデータ管理ができる
BIツールでは取り扱えない(または実用上処理時間がかかり過ぎる)複雑なデータ管理もAIを使えば分析可能です。企業活動の中でユーザーの個人情報を始め、ユーザーがサイトのどこをクリックしたのか、どのような行動をしたのか、何を買ったか、買わなかったかなど様々なデータを収集することになります。BIツールでもある程度はデータを整理することは可能です。しかし、AIを活用することで、より多くのポイントでデータ収集できますし、自動でデータを集めることも可能となり、より複雑なデータ管理ができます。その結果、普段では見つからない相関関係など新たな分析結果を得ることができます。
BIでAIを活用している事例5選
具体的にBIツールでAIを活用している事例をご紹介します。
ユーザー行動の見える化(NTTアドバンステクノロジ)
NTTグループの技術的中核企業であるNTTアドバンステクノロジ株式会社が提供しているBIツールでは、AIを活用することでユーザーの行動分析を行うことができます。例えば、ユーザーのサービス利用量などを数値化して、現在サービスを利用している人が実際にはどのようなターゲットなのかを分析できます。
従来のデータ解析では、平均点や一つのポイントを切り出してでしか解析できないので、顧客一人一人の特性が見えませんでした。しかし、AIを活用することで一人一人の行動の変化を把握できるため、従来と比べて複数の視点から分析を行うことができます。NTTアドバンステクノロジ株式会社のBIツールにはディープラーニングの解析エンジンが組み込まれているので、画像・音声・動画をより高度に解析可能です。
例えば、顧客の行動内容や利用量を分析することで解約予備軍や休眠予備軍などを抽出可能です。解約予備軍・休眠予備軍に対しての施策をスピーディに行うことにも繋がります。行動分析はユーザー行動だけでなく、スタッフの疲労度や製造ラインの稼働効率など様々な分析にも活用できます。
コールセンター業務を最適化(ポリシーバザール/Sisense)
インドの保険会社Policybazaar.com(ポリシーバザール)では、保険契約を推進するコールセンター業務を最適化するためにAI組み込みのBIツールであるSisenseを活用しています。
Sisenseは、イスラエル発のBIツールです。日本国内では株式会社ギャプライズがサービスを提供しています。Sisenseの特徴は、AIを使った独自のin-chip技術です。大量のデータを同時に高速で処理する能力に長けています。
Sisenseが導入される前は、見込み顧客はおおざっぱに割り当てることしかできませんでした。しかし、以下のような見込み顧客側のデータ、さらにコールセンターのスタッフ側のデータを高速に解析することで、最もコンバージョン確率の高い見込み顧客とスタッフをマッチングさせることができるようになりました。
【見込み顧客側のデータ】
- 所在地
- 年齢
- 送信元
【コールセンタースタッフ側のデータ】
- 受け取ったリードの数とコンバージョン数
- 1日に電話にかける時間
ポリシーバザールでは、Sisenseを導入して以来、販売する保険の各分野で売上が1割増加しました。
コールセンターでの他のAI活用事例。導入の注意点についてはこちらの記事で分かりやすく解説しています。
製造工程の効率化(TOTO)
住宅設備機器メーカーTOTO株式会社は製造工程の効率化にBIツールを活用しています。TOTOでは、IoTを導入することで製品個体ごとに数百項目もの工程データを取得できるようになりました。IoTによって得られた膨大なデータをAI組み込みのBIツールで可視化・分析することで不良要因の洗い出し、品質向上につながるポイントの洗い出しを行っています。その結果、過去最大の生産の歩留まりを実現することもできています。
今後、より末端のポイントでデータ処理を行うエッジコンピューティングが進んでいくと予想されます。エッジコンピューティングにより、ますます多くのデータの取得が可能になってきます。製造業においてもBI・AIの活用がより進んでいくでしょう。
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営業計画の策定
営業計画を策定する際には、AIを活用することでより多くの要素を含めて分析を行うことができます。営業計画には、営業担当それぞれの商談数、成約数や単価・営業担当の人数などの内部情報を組み合わせて策定することも多いでしょう。しかし、実際に策定する際にはそれだけでは足りません。競合企業の規模や売上情報、そのエリアに住んでいる人口動態などの外部情報も分析のために必要になるでしょう。データ種類・サイズ、及びその組み合わせが増えるとBIツールだけでは分析が難しくなります。
そこで有効なのがAIの活用です。AIを活用することで外部情報も含めて分析可能です。さらに、営業スタッフが顧客に対して行った詳細な行動分析などの、より詳細な内部情報も含めて分析できます。その結果、より精密な営業計画の策定ができるとともに、営業活動の効率化や具体的な施策立案も行えるでしょう。
営業分野での他のAI活用事例・導入の注意点についてはこちらの記事で分かりやすく解説しています。
人事情報の管理
人事管理や人材管理情報でもBIツールの活用ができます。多くの企業で人事に関する情報や判断はまだまだ属人的な勘や感覚で行う事が多いかと思います。その結果、社員のロイヤルティーの低下につながったりしまったり、離職率増加などにもつながっています。
BIツールを用いることで、勤怠データ、給与データ、研修参加状況、スキル、過去の経歴などを一元管理することができるようになります。また、AIでデータを分析することにより人材の適材適所への人材配置の実現につながったり、ワークライフバランスの改善やモチベーション・ロイヤルティが低い社員を抽出して施策の検討などにも活用することができます。一時的な感情や相性に左右されないAIによる判断によって、公平明快な人事決定が可能になるでしょう。
人事分野で、BIツールに留まらないAIの活用方法・メリット・事例についてはこちらの記事をご覧ください。
BIとAIについてよくある質問まとめ
- BIとAIの主な違いは何ですか?
BIとAIの主な違いは以下の通りです。
- BI(ビジネスインテリジェンス):データの処理、整理、可視化を行う・最終的な分析や判断は人間が行う
- AI(人工知能):データの処理から分析、判断まで人を介さずに行う・より複雑で大量のデータを扱える・自動化やシミュレーションが可能
- BIにAIを組み合わせるメリットは何ですか?
BIにAIを組み合わせるメリットは以下の通りです。
- データ分析から施策実行までの自動化
- より高度なシミュレーションが可能
- 属人的な判断の排除
- 複雑なデータ管理と分析が可能
- より迅速で正確な事業判断の実現
- 業務効率の向上
- BIとAIを組み合わせた具体的な活用事例を教えてください。
BIとAIの組み合わせ活用事例は以下の通りです。
- NTTアドバンステクノロジ: ユーザー行動の詳細な分析と可視化
- ポリシーバザー(インドの保険会社): コールセンター業務の最適化、売上10%増加
- TOTO: 製造工程の効率化、不良要因の洗い出し
- 営業計画の策定: 内部情報と外部情報を組み合わせた精密な計画立案
- 人事情報の管理: 適材適所の人材配置、ワークライフバランスの改善
まとめ
BIツールを導入するだけでは、結局は属人的な判断になったり、自動化が不十分なことも多いため業務効率化の視点からは効果が限定的にならざるを得ません。AIツールを活用することでより高度な分析ができたり、より大きなデータを取り扱えたり、分析から施策実行まで一貫して対応することもできます。営業やマーケティングといったオフィスタスクだけでなく、採用の現場や製造業などの多くのシーンで導入が始まっています。
しかし、AIを活用したBIツールではどのようなツールが良いのか、今のツールからの移行をどうすればいいのかなどわからない点があるという方も多いのではないでしょうか。もし導入を検討している案件があれば、最適なAI開発会社やサービスの紹介を行っているAI Marketをぜひご活用ください。AI Marketの専門のコンサルタントが、御社のニーズにマッチしたAI支援システム開発会社の選定を無料サポートしますので、いつでもお気軽にご相談ください。
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