最終更新日:2024-09-23
ChatGPT企業活用事例27選!コンシューマ向け・企業向け・社内活用開発実例・注意すべきポイント徹底解説!
生成AIの代表格であるChatGPTは、2022年11月30日に公開されてからわずか2ヶ月で月間のユーザー数が1億人を超え、現在多くのビジネスを変革しています。革新的な技術を、企業も自社サービスや製品へ組み込み、この技術を活用して新たなビジネスや売上の拡大に繋げようとしています。
そこでこの記事では、
ChatGPTとはなにか、機能や使い方事例をこちらの記事で、LLMについてはこちらで詳しく説明していますので併せてご覧ください。
AI Marketでは、
ChatGPTの導入支援を発注する会社を自力で探したい方はこちらもぜひ参考にしてください。
目次
- 1 ChatGPTをコンシューマー向けサービスに取り込んだ開発事例6選
- 2 ChatGPTを企業向けサービスに取り込んだ開発事例14選
- 2.1 ChatGPTで広告クリエイティブの自動生成(Omneky)
- 2.2 ChatGPTでマニュアル自動作成(ManualForce)
- 2.3 ChatGPTで採用のリファレンスチェックを効率化(Parame)
- 2.4 LINExChatGPTで高度な受け答え(anybot)
- 2.5 ChatGPTでSaaS連携データベースからテキスト生成や抽出、要約(Yoom)
- 2.6 ChatGPTで社内ドキュメント検索サービスを開発(Allganize Japan)
- 2.7 SNS集客のためのPR文や商品説明文を自動作成(GMOペパボ株式会社)
- 2.8 エンジニアのスキルアップ支援(MENTA株式会社)
- 2.9 現場の見える化で労働費を削減(i Smart Technologies)
- 2.10 多言語AIチャットボットでの対応(ObotAI)
- 2.11 電話商談の自動要約(株式会社Widsley)
- 2.12 イベント集客のためのメール自動送信(Sansan株式会社)
- 2.13 ChatGPTで土日深夜帯のインサイドセールス自動化の実現(ポート株式会社)
- 2.14 PR作成やカスタマー対応の自動化(ファーストロジック)
- 3 ChatGPTを社内の業務効率化に活用した開発事例7選
- 4 ChatGPTベースでサービスを開発する方法
- 5 ChatGPTベースの自社サービス開発における6つの注意点
- 6 ChatGPTの導入事例についてよくある質問
- 7 まとめ
ChatGPTをコンシューマー向けサービスに取り込んだ開発事例6選
ChatGPTや、ChatGPTのAPIを活用した以下のようなサービスが開発・提供されています。
ChatGPTで動画コンテンツの要約文の自動生成と記事化(Gunosy)
情報キュレーションアプリ「グノシー」を提供している株式会社Gunosyは、ChatGPTを活用して、動画コンテンツの要約文を自動生成し記事化する「動画AI要約記事」の開発を行いβ版(テスト版)の提供を決定しました。
同社は、これまでも連携メディアの数分程度の動画コンテンツを提供していましたが、YouTube動画を始めとする多くの長尺動画コンテンツの配信ができていませんでした。ChatGPTを活用することで、動画コンテンツから情報を取得し、数行程度の文章に自動要約して記事を配信します。
要約文章から元動画を見たい場合でも、記事内のリンクから動画へ遷移し閲覧が可能となります。
常に最適な情報をユーザーへ早く正確に提供するための取り組みとして、ChatGPTを活用した動画AI要約記事の提供を行います。長尺の動画を見なくても要約記事から情報を得ることができます。
また、内容が気になる動画のみ元動画を見ればよいため、よりユーザーに合わせた情報の提供が可能となります。情報の取得コスト最小化やパーソナライズ化がますます求められているなかで必要な選択肢となるでしょう。
転職サイトの口コミ要約(株式会社リブセンス)
株式会社リブセンスはChatGPTのAPIを利用して、転職サイト「転職会議」の企業口コミを要約して提供する機能をリリースしています。転職会議のユーザーだけでなく誰でもアクセス可能となっています。約2600の企業に書かれた360万件の口コミを解析し、各企業それぞれの口コミを要約して提供しています。
従来ではユーザー自身が各自企業に関する情報のリサーチや口コミの把握を強いられてきました。リブセンスにより、ユーザーは短時間でより的確に企業のざっくりとした雰囲気や特徴を把握できます。企業探しを効率化し、ユーザーの就職・転職活動の負担を減らすことを実現しています。
旅行計画をChatGPTに相談(Expedia)
旅行検索サイトのExpediaでは、ChatGPTを利用してユーザーの希望に応じた旅行計画を立てるチャットボット機能を提供しています。ユーザーの壁打ち役として、旅行先から食べたいもの、周辺に何があるか、現地でしたいこと、ホテルの価格帯など細かい部分まで相談することができます。
おすすめのホテルには価格帯や口コミ情報なども同時に表示され、ユーザーの検索にかかる負担も軽減します。
また、航空券やホテルの最安値を分析し、どの時期に旅行するのが最適か判断もしてくれます。Expediaが運営するhotels.comでは、5つの評価軸でホテルを判断し、AIによりユーザーにとってどの客室が最も最適か判断してくれます。
自社監修のコラム記事を用いた自動回答サービス(ライフネットみらい株式会社)
ライフネットみらい株式会社はChatGPTのAPIを活用して、AI LINEチャットサービス「ベターチョイスチャットくん」を開発しました。ベターチョイスチャットくんは、顧客の保険や資産形成をはじめとするお金に関する質問の回答を作成してくれます。
お金に関する質問はなかなか相談しにくく、顧客自身で検索しても用語が難しい、何を検索すべきかすらわからないという意見を反映し、24時間いつでも気軽に何度でも質問できる環境の提供を実現しました。質問に対する回答以外にも、ベターチョイスチャットくんが自社で運営しているコラム「ベターチョイスコラム」から適切なコラム記事もピックアップして紹介してくれます。
キャラクターとのチャットを実現(株式会社Trippy)
株式会社Trippyでは、ChatGPTの機能とアニメーションの「けものフレンズ」に出てくるキャラクター、アライグマ(通称、アライさん)を活用したAIチャットサービス「AIアライさん」を提供しています。AIアライさんはAI LINE botであり、LINEで友達追加をするだけですぐに活用できます。
AIアライさんはChatGPTのようなAIっぽい雰囲気を調整し、アライさんが話しているような雰囲気で会話ができます。ユーザーが悩み事や相談したいことをアライさんに伝えると、AIアライさんが質問に応じた返信をしてくれます。ユーザーは、まるで本物のアライさんと会話しているような体験を実現しています。
ChatGPTで非上場企業の事業内容を要約(QFINDR)
クレジット・プライシング・コーポレーション株式会社は、国内100万社以上の非上場企業の情報をChatGPTを使って要約できる機能をリリースしました。
クレジット・プライシング・コーポレーション株式会社は、非上場企業の情報を検索できる「QFINDR」という企業情報プラットフォームを運営しています。上場企業の場合は詳細な企業情報が公開されますが、それに比べて非上場の場合、投資判断や融資審査の材料となる有益な情報を取得するのは簡単ではありません。
QFINDRにChatGPTを使った要約機能を追加リリースし、非上場企業に関しても以下の内容を提供できるようになりました。
- 事業概要
- 想定される事業課題
- 想定される営業戦略
- 想定されるリスク
- 事業キーワード
「非上場の良い会社を探す」ことを目的とする「QFINDR」に新機能が搭載されたことにより、投資家や金融機関にとっては従来困難だった重要情報の抽出や要約が極めて高精度に実現できるようになりました。
ChatGPTを企業向けサービスに取り込んだ開発事例14選
ChatGPTや、ChatGPTのAPIを活用した以下のようなサービスが開発・提供されています。自治体・官公庁での導入・開発事例についてはこちらの記事で特集しています。
ChatGPTで広告クリエイティブの自動生成(Omneky)
生成AI広告プラットフォームのOmnekyは、ChatGPTを利用した自動広告生成ツール「Creative Assistant」のサービス提供を開始しました。ChatGPTのAPIを活用して独自アルゴリズムを開発し、ユーザーが広告のテーマを入力するだけでパーソナライズされた美しいクリエイティブブリーフが自動作成できるようになりました。
さらに特別な技術やスキルがなくても画像や動画を使った多面的な広告が低コストで作成可能です。
本来なら企画から立案といった広告イメージをクリエイティブブリーフにまとめて、さらに広告へと昇華させるのはかなりの時間と手間が必要となります。これを極めて短時間、しかも高精度で行えるようにしたことにより、今後のあらゆる広告の生成プロセスに大きな変革をもたらす可能性があるでしょう。
ChatGPTでマニュアル自動作成(ManualForce)
マニュアル自動生成サービス「ManualForce」をサービス提供しているOrange Moon株式会社は、ChatGPTのAPIと連携して「AIサジェスト機能」を追加しました。ManualForceは、ブラウザ上でソフトなどの操作を一度行うだけで、そのプロセスを自動でマニュアル化のうえシェアすることができます。この度の「AIサジェスト」により、そのマニュアルのタイトルや説明文を自動生成することができるようになったのです。
これによって、パソコン操作に不慣れな社員や新入・中途社員などにSaaSの操作方法を教える業務がより簡略化されます。数十、数百名規模のオペレーター研修でも、短時間でタイトルや説明文付きのマニュアルを作成のうえオンラインでシェアすれば、業務効率化と人件コストの削減に寄与するでしょう。
ChatGPTで採用のリファレンスチェックを効率化(Parame)
中途採用の際のリファレンスチェックサービスのParameが、自社サービス「Parame Recruit」にChatGPTを使ってテーマに合わせて質問項目を自動生成できるAI機能を追加しました。リファレンスチェックとは、中途採用の応募者や内定候補者の前職での勤務態度や評価について関係者にヒアリングすることを意味します。
採用担当者の「リファレンスチェックの質問内容に困る」と言うニーズに応え、AIがテーマに合わせて質問項目を自動生成できるようにしました。
また、リファレンスチェックの結果から「リスクに関する記載」や「長所に関する記載」というように選考判断に重要な記述を自動抽出できるようにもなりました。これにより膨大なリファレンスチェック結果に目を通し、必要な情報をピックアップしてまとめるといった作業が大幅に簡略化されます。
LINExChatGPTで高度な受け答え(anybot)
エボラニ株式会社は、LINEミニアプリ・チャットボット「anybot」に、ChatGPTに企業のFAQを組み込むことでLINEの公式アカウントとWebサイトで利用する機能を追加しました。
ChatGPTを使ってAIがあたかも人が話すかのごとく高度かつ自然な言語でのやり取りができる「anybot for ChatGPT」です。将来的には、InstagramをはじめとするSNSやメッセンジャーのチャットボットでも使えるようにするようです。
ChatGPTでSaaS連携データベースからテキスト生成や抽出、要約(Yoom)
業務を自動化するSaaS連携データベースを提供するYoom株式会社は、ChatGPTとAPI連携を開始したことを発表しました。今回の連携により、以下のことをChatGPT同様に対話をしているような文章でできるようになります。
- 受信メールから企業名や名前、メールアドレスを抽出しデータベースに自動で格納
- ユーザーからの口コミリストをもとにネガティブかポジティブかを判断し自動でラベリング
- 商品リストに対する商品説明文の自動作成
- 会議の議事録の要約、チャットツールなどへの送信の自動化
Yoomと連携する様々なアプリケーションから情報を取得し、データベースへの格納やラベリング、文章の要約・作成といったことが自動でできるようになります。
ChatGPTで社内ドキュメント検索サービスを開発(Allganize Japan)
AIチャットボット「Alli」を提供するAllganize Japan株式会社は、新機能としてChatGPTを活用した企業向けの回答自動生成型の検索サービスをリリースすることを発表しました。
同社は、ChatGPTを活用することで、チャットボットAlliに以下の機能を実現しました。
- 特定の情報ソースを追加、指定や絞り込みにより確度の高い回答の提示
- 企業内で利用する社内ドキュメントを対象として検索
GPT-3.0(3.5)は最新情報などが反映されておらず、事実関係が不明な情報の中でも自然に応答することなどや、回答の情報ソースを指定できないことが企業内における活用検討での課題となっていました。そこに特定の情報ソースを追加、指定や絞り込みを可能とすることで、確度が高い最新の情報も提供できるようになりました。
また、マニュアルや社内規則といった企業内で利用する社内ドキュメントを検索対象とすることもできます。これにより、会社特有の質問に対しても、AIが適切に回答することができるようになります。社内に数多く存在する様々なフォーマットの文章を検索することができ、企業のナレッジ共有や業務効率化を実現することが可能となります。
AI Marketでは、
SNS集客のためのPR文や商品説明文を自動作成(GMOペパボ株式会社)
GMOペパボ株式会社は、提供するEC関連の3つのサービスでChatGPTのAPIを活用し、XやInstagramなどSNS集客のためのPR文や商品説明文を自動作成する機能を提供しています。
カラーミーショップ byGMOペパボ、カラーミーショップ byGMOペパボでは、ユーザーが登録している商品情報をもとに10秒程度でSNSですぐに使える商品説明文を作成し、キーワード、ハッシュタグや絵文字なども含めて作成してくれます。
SUZURI byGMOペパボでは、ユーザーが入力したキーワードやアイテムだけでなく、購入者が検索した入力に関連するキーワードも商品説明文に反映することもできます。
エンジニアのスキルアップ支援(MENTA株式会社)
MENTA株式会社は、ChatGPTの技術をベースにしたエンジニアのスキルアップ支援のLINEアプリサービス「教えて、MENTAくん」を提供しています。LINEで友達追加をして、「MENTAくん」というキャラクターがエンジニアのメンターとして技術やコードに関する質問からスキルアップするためにどうすればいいかなど、さまざまな質問に答えてくれます。
今まではコードに関する質問は自身で調べるか、社内の人に聞くなどの方法が主でしたが、MENTA君に聞けば、高速かつ高精度に回答を得ることができるため、エンジニアの悩みをすぐに解決することを実現しました。今後は日々更新されるIT関連の情報やニュースを要約して配信する機能も追加予定となっています。
ChatGPTのコーディング、プラグラミング活用についてこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
現場の見える化で労働費を削減(i Smart Technologies)
i Smart Technologiesでは、製造現場の見える化ツールである「iXacs(アイザックス)」を開発しました。2023年にはChatGPTを取り入れ、改善事例の検索を容易にする機能を追加しました。
製造現場の労働費や電力消費量の確認をしやすくすることで、現場で発生する費用の削減を実現しています。労働費では約4億円の削減、電力消費量は2022年で2013年分から26%程度の削減に成功しています。
また、1時間ごとのCO2排出量をモニタリングする機能も提供しています。約95%を占める電力使用量とガスの使用量を自動計測し、CO2排出量に変換して、どこが多く排出されているかの問題点を早期発見できることも実現しました。
多言語AIチャットボットでの対応(ObotAI)
株式会社ObotAIはChatGPTのベースに利用されている「GPT-3」を利用し、AIチャットボットのObotAIを開発しました。ObotAIは訪日外国人などの海外からインバウンド施設や越境ECサイトに寄せられる問い合わせに多言語対応できるよう制作されました。
学習モデルには、8言語のネイティブスタッフが正確に翻訳した文章を利用しており、シナリオ設計とAIを組み合わせたハイブリッド式を採用しているため、より正確な多言語対応を実現しています。実際に外国人からの問い合わせにタイムラグなしで翻訳を実現し、スムーズなコミュニケーションを実現しています。
電話商談の自動要約(株式会社Widsley)
株式会社Widsleyは自社が開発しているCTIツールのComdesk LeadにChatGPTが利用できる機能を追加しています。追加した機能では、携帯回線やIP回線から文字起こしされたテキストを要約し、箇条書きや文章などにまとめてくれます。
従来では文字起こしされた内容を全て読んでどのような内容が会話されたのか確認する必要があったり、人的な把握による主観が入り混じったりすることが発生していました。
ChatGPTの活用によって、端的に内容を把握し、客観的に状況を把握できるようになりました。また、レポーティングの領域でも活用され、さらに工数削減が行われています。
イベント集客のためのメール自動送信(Sansan株式会社)
Sansan株式会社は、自社が提供する営業DXサービス「Sansan Labs」でGPT を利用し、セミナー集客のメールの文章自動作成と、有価証券報告書の要約機能を提供しています。従来はマーケティング部門は見込み客の獲得などのためにセミナーや展示会などを行っていますが、それに伴うメールの作成も社員が行っていました。
これをGPTにより自動化し、セミナーの企画立案など本質的なタスクに時間を費やせるようになりました。また、企業が公表する有価証券報告書を5分程度で読める要約の作成をGPTが行い、営業が担当企業のインプットにかかる工数削減を実現しています。
ChatGPTで土日深夜帯のインサイドセールス自動化の実現(ポート株式会社)
就職領域、リフォーム領域、カードローン領域、エネルギー領域でマッチングDX事業を展開しているポート株式会社は、以下のChatGPTを活用したサービスを提供するための検証を行うことを発表しました。
- 土日、深夜帯の問い合わせに自動対応することでインサイドセールスの自動化
- 就職領域におけるテキスト型キャリアアドバイスサービス
エネルギー領域における土日や深夜帯などにユーザーからの電気やガス等の案内についての問い合わせがあった場合、その場で対応できず翌営業時間でしかアプローチできませんでした。そこで、ChatGPTを活用したお問い合わせ対応システムを提供することで、即時の案内を可能とし、見込みユーザーを離脱させずに成約率の向上を見込んでいます。
就職領域においては、キャリアコンサルタントがこれまで実施したアドバイスの音声データをテキストとしてChatGPTに学習させることで、テキスト型アドバイスサービスを提供できないか検証をしています。
PR作成やカスタマー対応の自動化(ファーストロジック)
ファーストロジックは運営している不動産投資プラットフォーム「楽待」でChatGPTを利用して、2種類の自動生成機能を提供しています。一つ目は不動産企業が投資家向けに物件の特徴やおすすめを紹介する文章の自動作成です。今までは物件ごとに異なる文章やテンプレートの作成に時間が発生していました。ChatGPTによりこの作業を自動化し、AIが効果的なPR文章を自動生成して工数削減を実現しています。
二つ目は、問い合わせメッセージの自動返信機能です。投資家からの資料請求や内見の問い合わせに対する最適な返信内容をAIが自動生成し、不動産企業の社員は簡単な修正や追記だけで完了できるようになりました。
ChatGPTを社内の業務効率化に活用した開発事例7選
ChatGPTや、ChatGPTのAPIを活用した以下のようなサービスが開発・提供されています。
サイバーエージェントはChatGPTで全オペレーションを改革
サイバーエージェントは、インターネット広告事業本部でChatGPTを活用し、デジタル広告のオペレーションにかかる作業時間を大幅削減する「ChatGPTオペレーション変革室」を設立しました。
「ChatGPTオペレーション変革室」は、ChatGPTの学習に用いられないAPI連携のみを利用し、かつ顧客情報を含まない形で運用しています。規約変更やアップデート情報といった最新の動向とリスク対応策を踏まえてシステムを設計することで、適切かつセキュアに広告オペレーションの効率化をめざしています。
従業員に内部手続きQA(三井住友銀行)
三井住友フィナンシャルグループは、従業員を支援するために対話式AIソフト「SMBC-GPT」を独自に開発し、業務に導入することを計画しています。このシステムは、従業員からの質問に基づき、文章の作成や計算などを代行することで、生産性の向上を目指しています。
具体的な活用例としては、融資の判断に必要な資料の草案作成や、社内の経理手続きの方法を質問に答える形で提供します。このAIツールは、日本マイクロソフトの協力を得て開発され、セキュリティにも注意が払われており、入力された情報は外部からアクセスできないネットワークで管理される予定です。
現在、システム部門から順次導入を開始し、夏ごろにはすべての従業員が使用できるようにする計画が立てられています。このように、大手金融グループがセキュリティ対策を施した独自の対話式AIを導入することは、ビジネスへの幅広いAI活用につながる可能性があると注目されています。
社内向け業務支援(パナソニックコネクト)
パナソニックコネクトはChatGPTを社内向けの業務支援として展開しています。ConnectGPTをConnectAIと改称しており、社内向けのサービスもConnectGPTとして運用しています。利用開始3ヶ月で26万回以上の利用回数を記録し、基本的な用途としては質問が半数以上、そのほかはプログラミング、文書の生成、翻訳などが挙げられています。
同社の取り組みは、パナソニックグループ全体に拡大され、2023年4月には国内グループ全社員9万人に「PX-GPT(現在はPX-AI)」として展開されました。
質問の主な内容は技術的な質問、事業アイデアに関する内容から社員が抱えるキャリアなど幅広い質問例がみられました。また、重大な過失につながるような不適切利用もみられず、健全な運用を実現していることも報告されています。業務支援の他にも社内アンケートにかかる分析の大幅短縮など、業務効率化を実現するためにも利用されています。
ChatGPTベースのチャットボットで英語学習(立命館大学)
立命館大学ではChatGPTを用いた英語学習ツール「Transable」を用いて、一部の学部の英語授業で導入しました。Transableは、日本語で言いたい文章を入力し、ChatGPTをベースにしたチャットボットが英文を提案し、さらにその文章がなぜ適切と判断したのかも含めて解説してくれるツールです。
Transableを用いた授業により、AI技術を活用した授業のあり方や教育効果を模索していくとともに、学生への心理面にどのような変化が生じるかを検証するために導入されています。また、積極的に発信することを中心においたカリキュラムによってより実践的な英語スキルを得られることを目的としています。
社内向けAIチャットサービス「Benesse GPT」(ベネッセ)
ベネッセは、社員がイントラネット上で、いつでもAIチャットサービスを利用することができるようになり、本チャットを通して、業務効率化や技術検証などを行うことを可能にする仕組みの提供を開始しました。
尚、厳密にはChatGPTではなく、ChatGPTの開発元であるMicrosoftAzure上で提供されているOpenAIのサービスを利用して開発しています。
社内ナレッジの検索効率化(株式会社モンスターラボ)
株式会社モンスターラボはChatGPTを活用して社内ナレッジを検索する自社システム「ChatRKL」を開発しました。導入に至るまでは社内に蓄積される最先端のナレッジは資産でありつつも、膨大に増えていくばかりであるため、社員が検索に非常に時間がかかるという背景から計画されました。
対象ユーザーである社員が利用しやすいように工夫され、slackにChatGPTのAPIを活用したチャットボットを組み込むことで使いやすさを実現しています。実際に使用運転では、想定の2倍以上である約40%の利用率と、社内ナレッジの収集にかかる時間を90%程度の削減にも成功しています。
AIボットでSNS運用(株式会社100)
株式会社100(ハンドレッド)は、ChatGPTのAIボット技術を用いて自身のXアカウントの運用を手動とAIボットの両方で運用しています。株式会社100は国内パートナーランク最上位のHubSpot Diamond Partnerを取得しており、HubSpotに関する専門家として活動しています。
株式会社100のアカウントではマーケティングに関するプロダクトを開発しているHubSpotに関する障害情報や海外の有益な情報を発信しています。AIボットでは自動発信だけでなく、利用されている用語から自社に関連するニュースもピックアップするなども行われています。
ChatGPTベースでサービスを開発する方法
ChatGPTを自社サービスに組み込むには、APIを利用し、自社システムとChatGPTを接続する必要があります。ChatGPTのAPIは、OpenAIのAPIか、Microsoftの提供するAzure OpenAI Serviceのどちらかから利用することができますので、料金やできることを踏まえて、適切なサービスを選択しましょう。
ChatGPTは、GPTと呼ばれるLLM(大規模言語モデル)が基盤モデルとして動いており、この基盤モデルを自社システムと接続することで、自社システム上でChatGPTのような対話型インターフェースを構築したり、裏側で言語処理を行ったりすることができるようになります。
API接続を行った上で、独自データを活用するためのRAG技術を活用するなどして、より自社サービスに適した連携を実現していきます。
ChatGPTの法人契約、会社利用のための注意点をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
AI Marketでは、
ChatGPTベースの自社サービス開発における6つの注意点
ChatGPTを企業で使用するうえでは、以下のことに注意しなければなりません。
- 回答内容の確認が必要
- 学習データが偏る可能性
- データのプライバシーと機密性
- 著作権の問題
- 法的アドバイス利用の制限
- 適切なAPI提供サービスの選択
それぞれのデメリットに注意してください。
こちらで企業でChatGPTを活用するためのアイデアを詳しく説明しています。
回答内容の確認が必要
ChatGPT の回答内容が正しいかどうかは必ず確認しなければなりません。公開されたばかりである現在は、回答が完全ではありません。
また、上記のようにChatGPT自身が回答していることからわかるように、ChatGPTには最新データが反映されていません。
特に情報収集で使用する際は、本当に正しい情報なのかを公式サイト等で確認をした方が良いでしょう。
学習データが偏っている可能性
学習データの偏りとは、学習に用いたデータに特定のグループや地域などのバイアスが含まれている状態です。実際、ChatGPTの学習に使われているデータは日本語よりも英語の方が多いといわれています。
学習データの偏りは、返答の正確さや返答が可能かなどに影響します。
LLM自体が持つくせや特性が原因になることもあります。その場合は、複数のLLMを組み合わせるLangChainを検討してもいいかもしれません。
または、社内独自データを検索できるRAGの使用も検討できるでしょう。
データのプライバシーと機密性
企業がプロンプト(命令文)としてChatGPTに送信するデータは、顧客情報、内部戦略、財務データなど、機密性が高い情報を含むことがあります。これらのデータが漏洩すると、企業の競争力や信頼性に重大な影響を及ぼす可能性があります。
ChatGPTでの情報漏洩リスク、実際に機密情報が漏洩した事例をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
また、誤って社内外の不正なユーザーにChatGPTアカウントへのアクセスを許可すると、機密データの漏洩や不正な操作が発生する可能性があります。
どのようにデータを管理するのか、どのように外部システムとAPI連携を行うのか、をセキュリティの観点からもちゅういして設計・構築を行いましょう。
著作権の問題
ChatGPTで著作権問題が懸念されているのは、機械学習にWeb上のコンテンツを使用しているからです。ChatGPTは、大量のWebページや書籍、雑誌、論文、ニュース記事など様々なコンテンツのデータセットを学習することで、ユーザーの質問に対して自然な会話で返答できる仕組みです。
この学習に使用されているデータセットには、Web上に公開されている著作物が数多く含まれています。この公開されている著作物を学習することで、著作権問題が発生するのではないかと言われています。
ChatGPTと著作権の関係、注意点をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
法的アドバイス利用の制限
OpenAI社の利用規約上は、ChatGPTでの生成物を商用目的として利用することに何の問題もありません。
しかし、許可されていない法律行為に関与したり、資格のある担当者が情報を確認せずに個別の法的アドバイスを提供したりすることは禁じられています。また、資格のある担当者が情報を確認することなく、カスタマイズされた財務上のアドバイスを提供することもポリシー違反となります。
法的や財務的な専門知識を提供するコンテンツを作成する場合には、ChatGPTの利用は避けた方が良いでしょう。
適切なAPI提供サービスの選択
自社の目的に応じて、適したAPI提供サービスを選択する必要があります。ChatGPT(GPT)のAPIを利用するためには、大きく2つの方法があります。
一つはOpenAI社の提供するAPIを利用する方法と、もうひとつはMicrosft Azure OpenAI Serviceを利用する方法です。
現在のシステムがどのような環境(例えばAWS環境なのか等)で構築されているかを踏まえつつ、自社システムへの導入を検討する際に、どちらを利用すべきかを用途や目的に応じて適切に選択する必要があります。
こちらでは、Microsoft Azure OpenAI、Azure ChatGPTを用いたセキュアな対話型AIチャット構築について詳しく説明しています。
ChatGPTを商用利用する場合の注意点をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
社外向けレポートの自動生成(株式会社大和総研)
株式会社大和総研はChatGPTを活用して社外向けレポートの自動生成を行っています。株式会社大和総研では、各分野に最新技術に精通する専門家が在籍しており、AIに関する専門家も在籍しています。ChatGPT-4を利用し、AIによるシステム構築の一環として大和地域AI(地域愛)インデックスのレポート自動生成を行っています。
従来はAIモデルが分析した指標や変化などをエコノミストが分析・考察し、手動でポイントを述べていました。ChatGPTを活用し、エコノミストが考察した内容などを入力し、レポートのアウトラインを生成することでエコノミストの追記や修正にかかる作業の削減を実現しています。
英語などの海外資料の情報収集や資料作成(大和証券株式会社)
大和証券株式会社は全社員を対象に、セキュアな環境において対策した上でChatGPTの導入を実施しています。英語等の情報収集のサポートや資料作成の外部委託で発生する工数と時間の削減を中心に社員の業務効率化を目的としています。
また、各種書類や企画書の文章やプログラミングのコードアウトラインをChatGPTにより自動化することで、クライアントとの関係性に構築する時間や本来の業務に当てる時間の創出も目的とし、ChatGPTを通じた更なる発展を実現しています。
AI Marketでは、
ChatGPTの導入事例についてよくある質問
- ChatGPTを企業で使用する際の注意点とは?
ChatGPTを企業で使用するうえでは、以下のことに注意しなければなりません。
- 回答内容の確認が必要
- 学習データが偏る可能性
- データのプライバシーと機密性
- 著作権の問題
- 法的アドバイス利用の制限
- 適切なAPI提供サービスの選択
それぞれのデメリットに注意してください。
- ChatGPTの導入で失敗する原因は?
現場の要求に応えられる高度な精度が必要。また、AI導入の際は、実際の業務環境での実証実験を通して、技術の有効性を評価することが重要。
まとめ
ChatGPTは、公開されたばかりの技術ですが、その革新的な技術は今後の仕事の在り方を大きく変えるものとして注目されています。
既に問い合わせフォームや社内システム・ドキュメントとの連携など、社内外問わず利用できるサービスの開発が進んでいます。ChatGPTは普段人と話すのと同じ感じで業務を自動化することができ、知識がなくても誰でも業務の効率化が進んでいくでしょう。
特に、企業が保有する独自データベース(独自ノウハウ)等を活用したChatGPTサービスの活用は今後も増えていくことが想定されます。ChatGPTを活用したサービスは、まだ開発が始まったばかりです。どのようなサービスが開発され社会を変えていくのか、今後の展開が楽しみです。
AI Marketでは、
ChatGPTの導入支援/活用支援や、自社ビジネス向けのカスタマイズ開発を行ってくれる会社をお探しの場合は、こちらのChatGPTの導入支援、カスタマイズ開発に強いおすすめ会社紹介記事もぜひご参考ください。
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