最終更新日:2024-09-23
AI開発・生成AIシステム開発・導入の費用相場は?期間も含めて徹底解説!【AI開発を外注先に依頼する前のチェックポイントも】
画像認識や需要予測等のAIシステム開発や、ChatGPT等の生成AI(LLM)を活用したシステムの開発・PoC・導入を検討しようと思っても、外注費用の相場感や、必要な期間がなかなかわからなく、予算の確保の目途が立たないという方も多いのではないでしょうか。
本稿では、AIシステム開発を外注した際に発生する費用の相場感や必要な期間から、開発パートナーの選び方、プロジェクトを進める上での注意点についてご紹介します。是非参考にしてください。
AIシステムを自社で導入・開発する際の流れをこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
尚、AI Marketでは
AIシステム開発の外注先をご自分で探したい方は、おすすめの開発会社をこちらの記事で特集していますので併せてご覧ください。
目次
【工程別】AIシステム開発にかかる費用の相場とは?
AIシステム開発をAI開発会社に依頼した場合ににかかる費用の相場は以下の通りです。
内容 | 費用相場 |
---|---|
ヒアリング | 0円 |
コンサルティング・要件定義 ※実施回数等による | 約40-200万円 |
プロトタイプ作成(PoC) | 約300万円-500万円 |
AIモデル開発(本開発) | 月額100-300万円×人月 |
AIを活用するシステムの開発 | 月額80-200万円×人月 |
※尚、すべてのプロジェクトがこの通り進むわけではありません。あくまで一般的な工程となりますので、開発プロジェクト毎に必要な工程の検討が必要です。
※企業によって、人月単価にはバラつきがあります。
ChatGPT等のLLM APIを活用した問い合わせチャットボットや、製造業における外観検査・異常検知・予知保全、小売業での需要予測など、すでに企業でのAIシステムが多く活用されています。システムの目的や課題などにより仕様や利用するAIモデル・技術は大きく異なりますが、工程は大きく異なりません。
工程を理解した上でプロジェクトの費用を確認していきましょう。
尚、最近では、コンサルティングや実際の開発だけでなく、開発をすでに外部へ委託している企業が、別のAI開発会社にセカンドオピニオンとして、AIプロジェクトの進行や開発内容について技術コンサルティングを行うサービスなどもあります。
すでに開発を進めているがうまく行っていない、または開発の進め方が正しいのかを見極めたい、という企業は、技術コンサルティングのサービスの検討をしてみても良いかもしれません。
ヒアリング
ヒアリングでは、何をAI化したいのかなど企業の課題や問題点を明確化にしたり、外注先のパートナーがどのような技術があるのかなどのプレゼンを受けることでAIシステム開発概要を検討します。
また、システム開発にどれくらいの費用がかかるのかを概算コストも合わせて検討します。費用算出に関しては、ヒアリングのレベルにもよりますが基本無料の場合が多いです。
コンサルティング・要件定義
ヒアリングでの情報を元に、企業の現状課題を洗い出したり、費用対効果を算出したり、プロジェクトの方向性を定めるための要件定義書、仕様書の作成を行います。
プロジェクトの規模や開発期間により異なりますが、コンサルティングの費用は、コンサルタントやエンジニアへ人日や人月単位で依頼することが多く、約40万円〜200万円が目安と言えるでしょう。
また、このヒアリングやコンサルティングについては、コンサルティングサービスとして開発と切り離して提供可能な場合も多く、特にAIの初期導入時に必要となる工程となっています。
尚、これらを自社で賄う場合などは、この工程は省略可能ですが、現実的には、AIの専門家を交えて、何ができるか/できないかを整理しながら要件定義を行うほうが、精度の高い要件定義が行えるでしょう。
また、特にこの段階では、業務課題に対する緊急度や重要度の明確化、そしてそれらをAIを活用して解決した際の費用対効果などをしっかりと見極められるようにしましょう。
どのようなAIが実際にできそうか、を確認するため、場合によっては、このタイミングで汎用AIモデルを活用して無償でAI活用イメージを構築してもらえる場合もありますので、自社の課題を元に開発会社に相談してみましょう。
おおよその期間として、1〜2ヶ月程度を見ておくとよいでしょう。ただし、委託者側での準備(AIに学習させるデータの有無や内容の確認、AIを活用するオペレーションに関わる方へのヒアリング等)も必要になります。この準備ができていないと、要件定義も進められなくなりますので、注意が必要です。
関連記事:「AI導入・活用にコンサルティング必要?何をしてくれる?コンサル会社の選定ポイント徹底解説!」
プロトタイプ作成(PoC)
要件がまとまったら、プロトタイプを作成し、企画していた仕様や機能が形にできるのかを検証するPoCの工程に入ります。実際のデータを用いて実際に機械学習モデルを実装し、求めていた精度が出るのか、などの検証を行うのもこの段階です。AIの機能や開発期間にもよりますが、相場は300万円〜500万円となります。
ただし、開発したいAIモデルに必要な教師データを保有していない場合は、教師データを集めたり、アノテーションを行ったりする工程が必要となります。教師データの収集や、アノテーションと呼ばれる教師データの作成は、その工程だけで数百万円がかかることも少なくないため、教師データをすでに保有しているかどうか、教師データとして使うことができるのか、は非常に重要なポイントです。
構築したいモデルの技術難易度にもよりますが、一般的には3ヶ月程度を想定しておくと良いでしょう。ただし、上述の通りデータの準備ができていないと期間も長くなりますので、注意が必要です。
プロ厳選!AI学習用データ収集に強い会社の記事では、AI開発に必要なデータ収集を行なっている会社を厳選して紹介しています。データ収集についても説明しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
尚、一般的な汎用AIモデルの場合は、開発会社がすでに構築済みのモデルをカスタマイズすることで開発できることもあり、このような場合は費用が比較的安くすみます。
一方で、これまでどの会社も開発を行ったことがないようなAIモデルであれば、当然開発費も高くなりますので、自社が開発したいAIモデルがどのようなものなのか、を把握しておくことも重要です。
PoCの詳細手法、行う際の注意点をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
AIモデル開発
PoCが成功し、プロトタイプがうまく開発できたら、実際に運用するためのAIモデルの開発を行います。PoCで見つかった課題や懸念点の修正、AIモデルの精度チューニングなどを行います。開発の規模にもよりますが、期間は3ヶ月から半年程度かかることが多く、一定数のエンジニアやデータサイエンティストを揃え、開発体制を整えるラボ型で開発を進めるのが一般的です。
エンジニアの人数やレベルにもより幅がありますが、月額100〜300万前後×人月が相場と言えるでしょう。(この場合の人月とは、1人のエンジニアで何ヶ月開発に要するのか、という考え方です。)
AIを活用するシステムの開発
AIモデルを単体で利用する場合はここまでの工程でAI開発プロジェクトは完了となりますが、実際のビジネスにおいてそのようなことは少なく、AIモデルを活用するための周辺のシステムが必要になることがほとんどです。
例えば、需要を予測することができるAIモデルを活用するために、データを投入することで予測結果を目視で確認することができる画面を構築する、などです。そのため、初期のAIプロジェクト検討フェーズにおいては、AIモデルを検討するだけでなく、そのAIモデルをどのように活用していくのか、も含めて検討する必要があります。
こちらもエンジニアのレベルによりますが、月額80〜200万円前後×人月が相場となるでしょう。
また、期間については、AIを活用するシステムの大きさによって大きく期間が変わります。APIで入出力するだけで、他のシステムを作らないということであれば、AIモデル開発の工程で賄えるでしょう。
ただし、例えば、簡易的なダッシュボードを作りたいということであれば1〜2ヶ月程度で対応可能と想定されますが、顧客管理システム(CRM)をAIと合わせて構築したい、ということであれば、そのシステムだけで半年〜1年程度の期間がかかることも想定されます。
このように、AIを活用するシステムは、その大きさによって必要な期間が大きく変わりますので、その点も予め想定しておくと良いでしょう。
AI Marketでは
AIシステム開発の費用について知っておきたい3つのこと
AIシステム開発の費用は、あくまでも相場です。開発目的や工数の規模が影響し、大幅に費用がかさむ可能性があります。
目的により大きく変わる
価格の相場は目的により大きく変わります。例えば、一般的によく利用されているAIモデルを活用する開発プロジェクトでは、ある程度既存の技術や開発データなどを用いられるため価格を抑えられやすいです。
製造業における外観検査やコンクリートのひび割れ検知など、比較的利用されているモデルを流用する形で適用できる開発であれば価格を抑えられる可能性があります。
しかし、自動運転や遠隔手術などまだ一般的に普及があまりしていない新たな機能や、新しい機能を持ったAIの開発を狙っているプロジェクトでは全く新たなものを開発するため、開発費用も高くなりがちです。このようにプロジェクトの目的によって価格相場も大きく変化することを理解しておきましょう。
使う目的によって、比較的少ない学習データで十分な機械学習か、膨大なデータを必要とする深層学習(ディープラーニング)が必要になるかも変わってきます。通常のシステム開発と同じように要件定義が最も重要になるでしょう。
ビジネスにおいての機械学習とディープラーニングの違い、実際のビジネス活用事例についてこちらの記事で解説していますので併せてご覧ください。
工数の規模に影響する
開発プロジェクトの費用を大きく影響するのは、エンジニアの人件費です。プロジェクトで開発しなければいけないレベルが高い、また開発期間が長ければ長いほど作業が増え、その分価格に大きな影響を与えます。そのため、目的も定めず開発を始めてしまッタプロジェクトなどは開発費がどんどんかさんでいくこともあります。
また、工数は開発したあとにも発生する可能性があります。モデルの改善はもちろん、AIの追加学習が発生した場合にも都度費用が発生することも認識しておきましょう。
生成AIだから安いわけではない
ChatGPT等の生成AIの技術進化が著しく、生成AIを活用することで、簡単に安く開発ができるのではないか、とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
ChatGPTでできることは明らかに従来のAI(2022年以前)よりも広く、実用に耐えうるようになっていることは事実です。
ただし実際には、生成AIを活用したとしても教師データの準備コスト(アノテーションなど)は通常のAIモデル開発同様に発生しますし、RAG構築(LLMを活用したオリジナルチャットボット構築)を行う際にでも精度チューニングなどの工程は発生します。
そのため、
AIシステム開発の外注化は失敗の原因?
AIシステム開発を進める時に進め方がわからず、まずはどうしようと外注先に相談していた企業も以前は多く、プロジェクト自体をそのまま丸投げしてしまうということも少なからずあります。
しかし、外注先は企業の本当の業務実態を理解していなかったり、クライアントとの意思疎通がしっかり出来ていない結果、コストがかさむが結果につながらないということや出来てはいいがまったく想定していたものと違うなど予期せぬ失敗につながります。なぜこのような失敗につながってしまうのかよくある理由をご紹介します。
AIシステム開発全体の自社内製化をご検討の方は、メリット、デメリット、方法をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
コストがかさんでくる
1点目はコストがかさでくることです。AIプロジェクトは成功するかがわかりません。しかし、想定していた成果を出そうとしたり、納期を守ろうということに意識が回りすぎたりした結果、工数が増え続け、エンジニアの増員を繰り返してしまいコストが予定していた以上にかさんでしまい、予算を大幅にオーバーしてしまいプロジェクトが数量してしまうことがあります。
納期が安定しない
2点目は納期が安定せず、予想以上にかかってしまうことです。AIプロジェクトはITシステムの開発よりも想定出来ない事態が起きる事が多く、開発期間が伸びしてしまうことがあります。納期は発注者とパートナーとの間で相談しながら決めていきますが、発注者側がAIへの知識が薄いと、どのようなことが起きるのかがよくわからないままスケジュールを組んでしまうことがあります。
しかし、現場での実態に即しておらず、変更が重なりいつになったら納期できるのかが見えなくなってしまうということもよくあります。このように現場を理解せず、外注先にに丸投げしてしまい開発状況をコントロール出来ず右往左往してしまいプロジェクトがうやむやになることもあります。
完成像が明確ではない
3点目は完成像が明確でない結果、発注していたイメージとは違うシステムが納品されたり、想定していた精度での対応が出来なかったり、開発は進めたが結局ビジネスに活用出来ないということなどにつながることです。
この原因によくあるのが、「AIを導入する」ということだけが目的化してしまい、何をしたいのかなどの課題が明確でなく、外注パートナーに丸投げしてしまうことや外注パートナーの得意領域を把握せずに、ITシステム開発会社だからとあまり考えずに発注してしまうことです。その結果、導入してもチームに利用してもらえなかったり、課題が解決しないということにつながります。
AI Marketでは
こちらでAI導入で失敗してしまう原因を実際の失敗例から詳しく説明しています。
AIシステム開発パートナーの選び方と注意点!
このような失敗を避けるためにも重要なのは、適切なAIシステム開発パートナーを選ぶことです。AIシステム開発パートナーの選び方のポイントをご紹介します。
課題や問題点を明確に
1つ目は、課題や問題点を明確にすることです。AIが大きくニュースで取り上げられ、AIではどんな課題も解決することができると思いこんでプロジェクトを開始する企業も少なくありません。その結果、要望もクリアじゃない状態でAIシステム開発パートナーに発注してしまうことやAIシステム開発パートナーというだけで発注してしまうということがあります。
しかし、その結果想定していたシステムとは違うものが出来上がってしまったり、予測していたより費用や期間がかかってしまうことにつながります。このようなことを避けるためにも自社でなぜAIを導入するのか、AIで解決したい課題、問題点はなんなのかを明確にしましょう。その結果、自社が求めているポイントやサービスも明確になり、AIシステム開発パートナーを選ぶ際の基準が作れます。
必要なコストを設定
2つ目は、必要なコストを想定しておくことです。システムをカスタマイズして開発した場合、コストが見えないのも事実です。
しかし、価格の相場を理解しておくことで、自社の予算作成にも役立ちます。また、コストを算定しておくことで、どのAIシステム開発パートナーを選択するのかのきっかけになります。AI開発パートナー前にサービスだけでなく、自社内の軸を決めておきましょう。
依頼先は見積もりで判断する
3つ目は、依頼先を見積もりで判断するということです。そのためにも有効なのが開発の価格相場を把握しておくことです。開発相場を把握することで、AIシステム開発パートナーを選ぶ際にも相場に比べて価格が安い、高いということなどの判断基準になり、余計な出費をなくし、費用対効果を上げることができるでしょう。
また、相場に比べて極端に価格が高かったり、低かったりすると何かしらの理由があるのかということを聞くきっかけになります。サービスの違いなどを明確にするためにも依頼先の見積もりを把握した上で判断を行いましょう。
AI開発の費用についてよくある質問まとめ
- AIシステム開発にかかる費用の相場は?
AIシステム開発には、主に以下のような項目に対して費用が発生します。
- ヒアリング 0円
- コンサルティング ※実施回数等による:約40-200万円
- プロトタイプ作成(PoC):約300万円-500万円
- AIモデル開発(本開発):月額100-300万円×人月
- AIを活用するシステムの開発:月額80-200万円×人月
AIシステム開発・導入は慎重に計画しよう!
AIへの導入事例が増えていますが、目的を明確にせずにAIの導入だけを目指してはプロジェクトもうまくいきません。プロジェクトを失敗しないためにも、AIシステム開発でどのような課題を抱えているのか、なんのために導入するのかという目的を明確にしたり、コストの想定や見積もりで依頼先を決めるなど慎重に計画を行うことが大事です。本稿でご紹介した価格相場を参考に自社のプロジェクトを一度検討してみてはいかがでしょうか。
では、実際にAI開発会社ってどんな会社があるんだろう?、と思われた方は、ぜひAI開発会社厳選紹介記事もご参考ください。
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