マテリアルズ・インフォマティクスでのAI活用方法は?相談事例、材料開発におけるメリット・課題を解説!
最終更新日:2026年09月02日
記事監修者:森下 佳宏|BizTech株式会社 代表取締役

- マテリアルズ・インフォマティクスは、実験データ、シミュレーションデータ、論文情報、物性評価結果などを活用し、材料開発の候補探索や物性予測を支援する手法
- 材料開発では、配合、成形条件、評価条件、品質検査データなどが複雑に関係するため、AI導入前にデータの粒度・欠損・表記ゆれ・秘匿範囲を整理する必要
- AI Marketには、ゴム材料の配合予測、香料処方の候補生成、樹脂収縮量の予測など実際の素材開発・製造プロセス改善に関する相談が寄せられています
共通のプラットフォーム開発が進んでいないことや、先端技術であるAIを使うことや、膨大な蓄積データが必要であることから、まだマテリアルズ・インフォマティクス(MI)を導入するには早いと考えている方もいるかもしれません。
しかし、MIは、材料開発にかかる期間を半分以下にでき、試作回数も数十分の一にできる驚異的な威力が既に実証されている技術です。
本記事では、MIとは何か、なぜ必要か、弊社AI Marketに実際に寄せられた相談事例、メリット・課題・成功事例を紹介します。
マテリアルズ・インフォマティクスに強いAI開発会社を自力で選びたい方はこちらで特集していますので併せてご覧ください。
目次
マテリアルズ・インフォマティクスとは?

マテリアルズ・インフォマティクス(MI)は、AI・機械学習を使用することで、材料開発を効率よく行う手法です。手順や組み合わせの発見に強い探索アルゴリズムなどを活用します。
AIの発展に伴い、膨大な実験データや論文を瞬時に解析できるようになったことで注目されています。MIによって、⻑期間にわたることが多い材料開発のサイクルを短縮できることが期待されます。
材料科学の新たなフロンティアを開くと共に、産業界におけるイノベーションの加速に貢献しています。
マテリアルズ・インフォマティクスと従来の開発プロセスの違い
材料開発を端的に言うと、膨大な物質から目的に合わせた最適な組み合わせを見つける試みです。従来の材料開発では、新材料を探すための理論計算は研究者の勘や経験に頼るしかありませんでした。
求められる特性を持つ材料を開発するためには、何度もの研究と実験を繰り返す必要があり、一つの材料を開発するのに数十年もの時間がかかることも珍しくありませんでした。このアプローチは、時間と資源の大きな投資を必要とし、効率的ではありませんでした。
しかし、MIでは過去の実験データやシミュレーションデータに基づく探索アルゴリズムにより、AIが目的に応じた最適解を出し、コンピューター上で実験まで行えます。
例えば、コンピュータ上で原子配列の特性を計算したり、過去の論文データを機械学習で分析し、新しい材料の組み合わせを導き出すことが可能になります。このようにして、従来の手法に比べてより迅速かつ効率的に材料開発を進めることができるのです。
最近では、開発に主眼を置いたMIに加えて、実際の生産のプロセスの最適化に主眼を当てたプロセス・インフォマティクスも注目されています。
マテリアルズ・インフォマティクスでのAI・機械学習の役割
マテリアルズ・インフォマティクスでは、AI・機械学習が開発期間短縮に大きく貢献しています。開発の肝である製造工程の導出に、圧倒的な計算能力と機械学習能力を持つAIが加わることで、今まででは考えられなかった速さで材料開発を進めることが可能になります。
AIは、目的に応じた最適な製造過程を短時間で導き出すことが得意です。また、登録されているデータを漏れなく活用できるため、世界中で行われた研究を最大限活かした最適解を見つけることができます。
さらに、近年急速に進歩しているLLM(大規模言語モデル)は、材料科学の複雑な知識構造やデータフレームを自動的に学習し、レビュー論文からの情報抽出に利用されています。
LLMによって材料名、物性、合成パラメータなどの情報を科学文献から効果的に抽出し、材料の性能を評価する際に必要な関係を抽出することが可能になります。
AIが導き出した製造工程が各社の工場や予算的に可能かどうかは科学者が考えなければいけないため、最終的な判断を下すのは専門的な知見を持った人間です。
AIは、あくまで研究者をアシストする道具として働きます。AIを活用することで、従来は考えられなかった速度で材料開発を進められます。
LLMとは何か、どう使われるか、こちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
マテリアルズ・インフォマティクスの成功事例8選
マテリアルズ・インフォマティクスの成功事例を以下に紹介します。
- タイヤのゴム材料の開発技術革新(横浜ゴム)
- MI人材を育成し短期間で新素材開発の成果を創出(旭化成)
- 熱電変換材料の開発期間を短縮(NEC/東北大学)
- 高性能ポリマーの収率を改善(ENEOS)
- 炭素繊維強化プラスチックの開発期間を短縮(東レ)
- 計算科学で全固体電池の固体電解質の設計原理を解明(サムスン/MIT)
- フレキシブル透明フィルムの開発で実験回数を25分の1に(産総研)
- マルチモーダルAIでマテリアルズ・インフォマティクスを発展(日本ゼオン)
それぞれの事例について説明します。
タイヤのゴム材料の開発技術革新(横浜ゴム)

横浜ゴムは、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)を活用して、ゴム材料の開発技術を進歩させています。同社は2017年に「マテリアルズ・インフォマティクスによるゴム材料開発技術」を発表しました。
2005年のマルチスケール・シミュレーション、2015年の多目的設計探査シミュレーション技術を進化させたもので、従来は技術者が主観的に行っていた情報と知識の探査過程にAIを活用することで材料開発の精度とスピードを向上させています。
この技術を用いることで、配合するフィラー(カーボンブラックやシリカなどの微粒子)の大きさや、フィラー界面に形成されるバウンドラバー層の厚さなどを適切な数値範囲として把握できます。
それにより、低燃費性能と耐摩耗性能といった相反する性能を両立する高機能なゴム材料の開発が可能になります。
また、横浜ゴムはAI利活用構想「HAICoLab(ハイコラボ)」のもと、2020年にAIを利用したゴムの配合物性値予測システム、2021年にタイヤ特性値予測システムを実用化し、タイヤ用ゴムの配合設計を効率化しています。
配合物性値予測システムは、人がゴムの配合設計パラメーターを入力し、AIが配合物性値を予測するという形式で機能します。
2022年にはさらに、AIによる配合生成技術を活用したゴムの配合設計システムも開発しており、人とAIが協力して新たな知見を得る取り組みを進めています。
横浜ゴムのMI技術は、タイヤのみならずホースやコンベヤベルトなど、多岐にわたるゴム製品の開発に応用され、新しい商品の開発や技術開発をさらに推進していく方針です。
参照:横浜ゴム株式会社|横浜ゴム、AIによる配合生成技術を活用しゴムの配合設計システムを開発
MI人材を育成し短期間で新素材開発の成果を創出(旭化成)

旭化成は、2017年度からマテリアルズ・インフォマティクス(MI)の推進に取り組み、社内でのMI活用により、短期間で新たな素材の開発につながる成果を多数上げています。
2017年にMI推進部を設立し、2019年にはインフォマティクス推進センターを発足させるなど、全社的な推進体制を整えてきました。
2019年からは化学・材料研究者を対象としたMIの中級・上級人材の育成にも取り組んでおり、現場の研究者が自らMIを活用できる体制づくりを進めています。
さらに2023年には、NECの秘密計算技術を活用し、企業間でデータを安全に連携できる分析基盤を構築しました。
社外との協業では、互いのデータを共有できないために最適な原料物性や組成にたどり着くまで時間がかかり、開発期間が長期化することがありました。この基盤により、社外とのMI協業でも開発期間の大幅な短縮が期待されています。
参照:旭化成株式会社|旭化成とNEC、秘密計算技術を活用して企業間のデータを安全に連携できる分析基盤を構築
熱電変換材料の開発期間を短縮(NEC/東北大学)

NECと東北大学材料科学高等研究所(AIMR)はNECが開発したAI技術を用いたマテリアルズ・インフォマティクスで、スピン流を利用した熱電変換材料の研究開発を行い、約1年で熱電変換効率を100倍に向上させました。
新合金CoPtNで、従来のPt合金の熱電変換効率を約100倍上回る特性が確認されています。
開発には、コンビナトリアル手法で取得した大量のデータを高速に処理・分類する機械学習技術と独自の自動評価システム、組み合わせゲーム理論に基づいて先々の指し手を予測する分岐型探索アルゴリズムが用いられ、高速かつ高精度な開発が実現しました。
また、可読(ホワイトボックス)性と高精度な予測性を備えた異種混合学習で物性モデルを構築することで、研究者がAIの判断根拠を理解しやすくなり、AIと研究者が協調してデータ理解を深めることが可能になっています。
参照:日本電気株式会社|NECと東北大AIMR、AIによる新材料開発に成功
高性能ポリマーの収率を改善(ENEOS)

ENEOSは、マテリアルズ・インフォマティクスを活用した新素材開発に取り組んでいます。
例えば、高性能ポリマーでは、重合反応の物理化学的知見と実験データをAIで学習させた独自の収率予測モデルを構築し、モノマーの配合比を仮想的に計算することで従来以上の収率向上を図っています。
また触媒開発では、さまざまな触媒表面上で起こる反応の活性化エネルギーや吸着・脱離エネルギーを化学シミュレーションで算出し、その結果を機械学習・AIで解析することで、従来よりも高機能な触媒の設計を試みています。
潤滑油・グリースについても、Matlantis™などのシミュレーション技術を活用した設計を行っています。
参照:ENEOS株式会社|Development and discovery of new materials using Materials Informatics (MI)
炭素繊維強化プラスチックの開発期間を短縮(東レ)

東レは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の開発にマテリアルズ・インフォマティクスを用いて、開発期間の大幅な短縮に成功しました。
次世代航空機向けのCFRPのように難燃性と力学特性を両立しなければならない素材の開発では、各特性の評価に30〜60日、特性の組み合わせ評価に60〜120日かかり、設計だけでも2〜3年の期間が必要でした。
東レは、逆問題解析の手法に東北大学との共同研究で導入した自己組織化マップ(SOM)を用い、エポキシ樹脂とフィラーの組み合わせデータベースから目標特性を達成する組み合わせを絞り込みました。
その結果、データベースの構築に約1年、モデル樹脂の設計・評価に1〜2カ月程度で開発でき、開発期間の大幅な短縮を実現しました。
開発したCFRPは、圧縮強度や耐熱性を現行の航空機向け材料と同等に保ちながら、燃焼時の発熱量を現行材比で35%低減しています。
参照:ケミカルニュース|東レ MIの活用により短期間でCFRPを開発
計算科学で全固体電池の固体電解質の設計原理を解明(サムスン/MIT)

マサチューセッツ工科大学(MIT)とサムスン先端技術研究所(SAIT)、カリフォルニア大学サンディエゴ校、メリーランド大学の共同研究チームは、次世代バッテリーである全固体電池に向けて、リチウム・ゲルマニウム・リン・硫黄などからなる超イオン伝導体の固体電解質を研究し、固体中のイオン伝導を左右する要因と設計原理を明らかにしました。
成果は2015年に科学誌『Nature Materials』に掲載されています。
この研究を率いたGerbrand Ceder教授は計算材料科学の第一人者であり、実験だけに頼らず計算科学を材料探索に活用するアプローチは、開発の時間短縮や実験コストの削減につながるマテリアルズ・インフォマティクスの代表例として注目されました。
参照:MIT News|Going solid-state could make batteries safer and longer-lasting
フレキシブル透明フィルムの開発で実験回数を25分の1に(産総研)
NEDO、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)、産総研、昭和電工(現レゾナック)はフレキシブル透明フィルムの開発で、AIの予測により実験回数を従来比25分の1以下にまで減らしています。
NEDOは2016年度から「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト(超超PJ)」に取り組み、マテリアルズ・インフォマティクスを推進してきました。その中の成功例が、フレキシブル透明フィルムの開発です。
実現が困難と思われていた透過率・破断応力・伸びという相反する3項目の特性を高めたフィルムの開発も成功しており、品質向上にも寄与しています。
AIが予測した配合で作製したフィルムは、熟練研究員が作製したフィルムよりも優れた物性を示しました。2022年4月からは、半導体や触媒など5分野のデータプラットフォーム「データ駆動型材料設計技術利用推進コンソーシアム」を運用して材料開発の革新に取り組んでいます。
参照:NEDO|AIを活用し、フレキシブル透明フィルム開発の実験回数を1/25以下に大幅低減
マルチモーダルAIでマテリアルズ・インフォマティクスを発展(日本ゼオン)

NEDO、産業技術総合研究所(産総研)、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)、日本ゼオン株式会社は、超超PJの一環として、マルチモーダルAI技術を用いて複雑な構造を持つ材料データを処理し、高速かつ高精度でさまざまな機能を予測できる技術を開発しました。
画像データや分光スペクトルなどの異なる複数のデータを計測し統合することにより、従来のAIでは適用できなかった複雑材料系でも異なる特性を高精度で予測することが可能となりました。
GAN(敵対的生成ネットワーク)で配合ごとの画像やスペクトルを生成し、複数のAIモデルを束ねた統合AIで特性を予測する仕組みです。予測にかかる時間は実験の2万分の1以下、母材5種・添加剤2種・充填剤3種の組み合わせでは1日に約10万条件を処理できます。
このマルチモーダルAI技術により、配合条件の選定から成形加工、評価までの材料開発のプロセスを大幅に加速できるとしています。
参照:NEDO|複数のAIを活用し、複雑な材料データからさまざまな機能を予測する技術を開発
こちらでマルチモーダルAIとは何か詳しく説明しています。
マテリアルズ・インフォマティクス4つのメリット

材料開発におけるマテリアルズ・インフォマティクスのメリットを以下に紹介します。
1. 予測精度の向上
2. 研究期間の短縮
3. 全世界・全時代のデータを活かせる
4. 研究開発の採算性や実現可能性を可視化できる
それぞれのメリットについて説明します
予測精度の向上
マテリアルズ・インフォマティクスは、原子スケールで材料開発を考えることができるため、より高い精度での予測が可能です。現在は、機械学習によって様々な物質の電子状態を短時間で予測できるようになっており、従来のシミュレーターでは数日かかるものも数秒で予測できるようになっています。
分子振動の相互作用や結晶構造に基づいた高い予測ができるようになれば、予備実験等の手間も省くことも可能です。結果的に科学者の負担や研究の時短にも繋がります。
研究期間の短縮
研究期間の短縮は、マテリアルズ・インフォマティクスの一番の魅力です。AIの計算の速度と、精度向上による試行回数の減少の2つが研究期間の短縮に寄与しています。
使用しない場合と比較すると、製造工程を導き出す期間は半分以下、試行回数は数十分の一まで減らすことが可能です。今後さらにデータが集まれば、さらなる時間短縮ができるようになるでしょう。
全世界・全時代のデータを活かせる
AIは登録された全てのデータを基に計算するため、全世界のデータを最大限活かした予測をすることが可能です。これにより、経験や知識不足による設計ミスを減らすことができます。
研究者が研究テーマに関わる全ての論文を読むことは現実的に不可能でしょう。ましてや、これまで材料分野で行われた研究結果をすべて活用することは不可能です。しかし、AIはデータさえ登録されていれば見逃す確率は極めて低いです。また、全くの別分野でも活用できるデータがあれば取り入れてくれます。これにより、より精度の高い実験をすることが可能になります。
研究開発の採算性や実現可能性を可視化できる
マテリアルズ・インフォマティクスは、材料開発の採算性や実現可能性を数値化し、可視化してくれるのに役立ちます。長いものでは10年単位の時間がかかるのも普通だった材料開発では、決裁権者から予算をもらうためのエビデンス作成がたいへんな関門です。
AIを用いれば、過去の実験データやシミュレーションデータを基にエビデンスを出せるため、開発計画をスムーズに立案できるでしょう。
マテリアルズ・インフォマティクス4つの課題

マテリアルズ・インフォマティクスには、先端技術ならではの以下のデメリットがあります。
- プラットフォームが整備されていない
- データの秘匿化が必要
- データの質の偏り
- 逆問題に対応できる解析技術の向上
それぞれのデメリットについて説明します。
プラットフォームが整備されていない
マテリアルズ・インフォマティクスは比較的新しい技術のため、データのプラットフォームがまだ整備されていません。AIが蓄積データを基に製造工程や最適な材料を予測しますが、蓄積データが少ないと正確な予測ができません。
現在、日本でも国が予算を出して取り組んでいるため、データ整備は着実に進んでいくと思われます。しかし、自社データを早期段階から保持しておくなどの準備をしなければ海外企業に先を行かれてしまいます。
データの秘匿化が必要
マテリアルズ・インフォマティクスは様々な研究所や企業のデータを活用するため、データの秘匿化が重要です。
近い分野を取り扱う研究において、良い相互作用を生み出すことができますが、中には競合に知られたくない情報もあるでしょう。そのようなデータを表に出すことなく、データを秘匿化して活用できるようにする仕組みも必要です。
データの質の偏り
マテリアルズ・インフォマティクス(MI)では、データの量だけでなく質も非常に重要です。AIの学習プロセスでは、成功データだけではなく多くの失敗したデータが必要です。これは材料開発にも当てはまります。
材料開発での一般的なデータソースは、成功例が中心の論文が主です。そのため、失敗データの集積が不足しがちで、この偏りがAIの活用を阻害しています。
また、材料開発では往々にして、過去のデータにない新しい特性を持つ材料を発見したいケースが多く、これがデータの質と量の不足を引き起こしています。
逆問題に対応できる解析技術の向上
材料開発におけるAI活用には、データ分析の逆問題に対応可能な解析技術の向上が不可欠です。多くの一般的なAIシステムは、まだ順問題にしか対応しておらず、材料開発分野の特有の逆問題への対応が難しい状況です。
- 順問題:物質の組成や構造情報から材料特性を予測する。例えば、物質の配合を変えた場合にどのような材料特性が得られるかを予測する。
- 逆問題:求めたい特性が得られる条件を予測する。つまり、特定の特性を持つ材料を作るために必要な物質の組成や構造を予測する。
この逆問題への対応が、材料開発分野でのAI活用の鍵となります。従来の方法では解決が困難だったこの種の問題に対して、逆問題に対応した解析技術の開発と応用が、材料開発の効率化とイノベーションの加速を実現する道となるでしょう。
実際にAI Marketにいただいたマテリアルズ・インフォマティクスのAI活用相談事例
AI Marketには、素材開発・材料開発の効率化を目的としたAI活用相談を多くの企業からいただいております。
お客様から寄せられたご相談は以下のようなもので、AI Marketでは、コンサルタントがお客様の課題感をヒアリングし、適した技術・ソリューションを保有する企業をご紹介致しました。
- ゴム材料開発における配合候補の算出と物性予測
- 香料開発における分析結果からの処方予測
- 樹脂収縮量の予測と金型修正回数の削減
※実際のお客様からのご相談内容のため、企業特定に繋がる情報は伏せています。
① ゴム材料開発における配合候補の算出と物性予測
ご相談企業様属性
- エリア:関東
- 従業員数:1,001人〜
要件・技術整理内容
お客様は、ゴム材料の開発において、解析結果が担当者の予想と異なるケースがあり、現場で十分に活用しきれていないことが課題となっていました。
対象となる材料は、母材が複数種類あります。加えて、多数の添加剤を組み合わせる必要があり、配合条件の組み合わせは非常に複雑になります。
実現したい内容としては、配合成分から物性を予測するだけでなく、求める物性値を入力した際に、候補となる配合を複数提示できる仕組みが想定されていました。
まずはデータの粒度、欠損状況、配合成分の表記ゆれ、評価条件のばらつきなどを確認する必要があります。
② 香料開発における分析結果からの処方予測
ご相談企業様属性
- エリア:関東
- 従業員数:〜100人
要件・技術整理内容
お客様は、香料開発において、分析結果から香料処方の候補を予測し、開発過程の記録も残せる仕組みを検討されていました。香料開発では、対象となる香りをガスクロマトグラフィーなどで分析し、成分ごとの濃度を把握したうえで調香師が処方を検討します。
ただし、香料以外の添加物や配合バランスによって結果が変わるため、分析、試作、評価、修正のサイクルを繰り返す必要があります。
想定されるAI活用では、過去の分析結果と処方データ、試作後の評価結果を紐づけ、入力された分析結果に対して、候補となる香料処方を提示する仕組みが検討対象になります。
単に成分濃度を予測するだけでなく、調香師がどのように処方を修正したか、どの試作が目標に近かったかといった履歴をデータとして扱えるようにすることです。
③ 樹脂収縮量の予測と金型修正回数の削減
ご相談企業様属性
- エリア:中部
- 従業員数:1,001人〜
要件・技術整理内容
お客様は、樹脂が金型内で冷却される際に発生する収縮をAIで予測できないか検討されていました。現状では、金型寸法と成形後の製品寸法に差が生じるため、金型を作成した後に修正を繰り返す必要があり、開発期間や手戻りが課題になっていました。
高温で溶かした樹脂を金型に流し込み、冷却して固める工程において、樹脂温度、流し込み速度、冷却条件、金型内の水管配置、金型の形状など多数の条件が収縮量に影響します。
そのため、単一の条件だけで収縮を説明するのではなく、金型データ、成形条件、冷却条件、成形後の寸法測定データを組み合わせて解析する必要があります。
AI Marketでは、上記のように、素材開発・材料開発・製造プロセス改善に関するAI活用相談を受け付けています。
マテリアルズ・インフォマティクスでは、配合データ、試作データ、物性評価、成形条件、分析結果、品質検査データなど、複数の情報をどのように整理するかが重要になります。データが十分にあるように見えても、表記ゆれ、欠損、評価条件の違い、部門ごとの管理方法の違いによって、すぐにAIモデルへ活用できない場合もあります。
生成AIツールを用いて、AI企業の選定をAIに相談するケースも増えています。しかし、実際のAI導入では、機密性の高い材料データの取り扱い、実装可能性の判断、PoC範囲の設定、企業選定など人が介在しないと判断が難しい要素も多く存在すると考えています。
だからこそAI Marketでは、実際の人間である専門のAIコンサルタントが直接お客様と対話し、ヒアリングから企業選定までを支援し、実現性の高いAI導入をサポートしています。
貴社でも、材料配合予測、物性予測、成形条件の最適化、品質異常の要因分析などにAIを活用したい場合は、ぜひご相談ください。
マテリアルズ・インフォマティクスについてよくある質問まとめ
- マテリアルズ・インフォマティクスとは?
MIは、AI・機械学習を使用することで、材料開発を効率よく行う手法です。手順や組み合わせの発見に強い探索アルゴリズムなどを活用します。AIの発展に伴い、膨大な実験データや論文を瞬時に解析できるようになったことで注目されています。MIによって、⻑期間にわたることが多い材料開発のサイクルを短縮できることが期待されます。
- マテリアルズ・インフォマティクスと従来の開発プロセスの違いは?
従来の材料開発では、新材料を探すための理論計算は研究者の勘や経験に頼るしかありませんでした。求められる特性を持つ材料を開発するためには、何度もの研究と実験を繰り返す必要があり、一つの材料を開発するのに数十年もの時間がかかることも珍しくありませんでした。
しかし、MIでは過去の実験データやシミュレーションデータに基づく探索アルゴリズムにより、AIが目的に応じた最適解を出し、コンピューター上で実験まで行えます。情報科学と計算科学の力を利用して材料開発のプロセスを加速させます。
- マテリアルズ・インフォマティクスでのAI・機械学習の役割は?
開発の肝である製造工程の導出に、圧倒的な計算能力と機械学習能力を持つAIが加わることで、今まででは考えられなかった速さで材料開発を進めることが可能になります。と言っても、AIが導き出した製造工程が各社の工場や予算的に可能かどうかは科学者が考えなければいけないため、最終的な判断を下すのは専門的な知見を持った人間です。。研究者とAIが一緒になって材料開発をしていくイメージです。
- 過去の実験データがExcelで管理されている状態でも、マテリアルズ・インフォマティクスを始められますか?
Excelで管理されているデータでも、配合条件、製造条件、評価結果、ロット情報などが紐づいていれば、AI活用の検討対象になります。ただし、表記ゆれ、欠損、単位の違い、評価条件のばらつきがある場合は、まずデータ整理が必要です。
AI Marketでは、現在保有しているデータの種類や管理状態を確認したうえで、PoCで検証しやすいテーマや、データ整理から対応できるAI開発会社の候補を紹介できます。
- 材料開発で、物性予測だけでなく配合候補の提案までAIで実現できますか?
配合条件と物性評価結果が十分に蓄積されていれば、配合から物性を予測するだけでなく、目標物性に近い配合候補を探索する仕組みも検討できます。ただし、実際には原材料の使用可否、配合上限、製造設備、コスト、法規制などの制約条件も考慮する必要があります。
AI Marketでは、物性予測、配合最適化、逆設計、候補探索などの要件を整理し、材料開発領域に対応できるAI企業の選定を支援できます。
まとめ
マテリアルズ・インフォマティクスは、材料開発に関わる実験データ、物性評価、配合条件、製造条件、論文情報などを活用し、候補材料の探索や物性予測を支援する手法です。
従来は研究者の経験と試作回数に依存していた領域でも、AIを活用することで候補探索の時間短縮や実験回数の削減を目指せます。
一方で、導入には注意点もあります。
データの量が十分に見えても、表記ゆれ、欠損、評価条件の違い、部門ごとの管理形式の違いがあると、そのままAIモデルに活用できない場合があります。
自社でどのデータを使えるのか、PoCで何を検証すべきか、どの領域から始めるべきかを整理することで導入判断がしやすくなります。
AI Marketでは、マテリアルズ・インフォマティクス、プロセス・インフォマティクス、予測分析、最適化、品質管理AIなどの導入相談を受け付けています。
要件が明確でない段階でも、課題整理から対応可能なAI開発会社・サービスの選定まで相談できます。
材料開発や製造条件の最適化にAIを活用したい場合は、ぜひご相談ください。

AI Market 運営、BizTech株式会社 代表取締役|2021年にサービス提供を開始したAI Marketのコンサルタントとしても、お客様に寄り添いながら、現場のお客様の課題ヒアリングや企業のご紹介を5年以上実施しています。これまでにLLM・RAGを始め、画像認識、データ分析等、1,000件を超える様々なAI導入相談に対応し、参加累計8,000人を超えるAIイベントを主催。AIシステム開発PM歴8年以上。AI Marketの記事では、AIに関する情報をわかりやすくお伝えしています。(JDLA GENERAL 資格保有)
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