Soraとは?OpenAIの動画生成AIでできること・技術的特徴・将来性を徹底解説!動画サンプル付き!
最終更新日:2024年12月24日
「Sora」という最新の動画生成Aを聞いたことがあるでしょうか?Soraはその技術力の凄まじさ、そして
生成AI(ジェネレーティブAI)とは?動画生成以外にどのようなツールがあるか?こちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
そこで、この記事では、Soraについて紹介していきます。
最新の生成AIについて知りたい方や、映像制作に携わる方、画像や動画生成AIに興味がある方などは、是非最後までご覧ください。
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目次
Soraとは?
参照:sora.com
「Sora」とは、ChatGPTを開発したOpenAI社が発表した最先端の動画生成AIモデルです。Soraという名前は、日本語の「空」にちなんで付けられていると言われています。
Soraは、sora.comというSora専用のインターフェース上で、プロンプトを入力すると、最大20秒、1,080pxの高品質な動画を生成することができます。
既にOpenAI社のSoraの公式Webサイト「sora.com」で、多くのサンプル動画やコミュニティの作品を閲覧することが可能で、生成された動画にはC2PAメタデータやデフォルトのウォーターマークが付与され、透明性も重視されています。
Google社も動画生成AIモデルとしてVeoを発表しており、OpenAIとのし烈なリーダー争いが見逃せません。
関連記事:「Veoの特徴から導入メリット・デメリット、Soraとの違いまで徹底的に紹介」
いつから使える?
2024年2月15日に発表されたSoraは当初、安全性や倫理性の評価のため一般利用開始時期が未定とされていました。
そして2024年12月9日、Soraは「Sora Turbo」として一般提供が開始され、ChatGPT PlusおよびProユーザーはsora.comで直ちに利用可能となっています。
2024年2月から先行テスト利用や事前トライアルがない状態から一転し、現時点での一般ユーザーへのアクセスが実現しました。
Soraでできることは?
Soraではどのような動画を生成できるのか説明します。
テキストから動画を作成
プロンプトの内容を深く理解し、映っている被写体や背景、動きなどを反映し、リアルさを追求した動画生成が可能です。
Soraが生成する動画は、プロンプトの内容を理解するだけでなく、映っているものの動きや、背景の詳細を含んだ複雑なシーンを表現できます。Soraで生成された動画は、まるで実際に撮影したようなクオリティの高いものとなっています。
画像から動画を作成
テキストプロンプトとアップロードした画像を組み合わせて、画像から動画を生成できます。OpenAI社の画像生成AI「DALL・E 3」で生成した画像などを元に自然なアニメーション動画を生み出すことが可能です。
動き方も自然なものであり、画像から生成したとは思えないほど品質の高いものができています。
動画から動画を作成
既存の動画をベースに、新たな動画を生成したり、時間軸を拡張したり、2つの異なる動画を統合してひとつのシーンとして再生することができます。
動画の編集
Soraではアップロードした動画にプロンプトで指示することで様々な編集を加えることができます。
例えば、「ただの道を走っているだけの動画」の車の種類を変える、道や背景を違うものにするといったことができます。このような編集は、通常であれば編集作業にはある程度の技術と時間、そしてコストがかかります。
しかし、Soraではどのように編集したいかをプロンプトで指示するだけで完了するため、誰でも時間とコストをかけずに好きなように動画を編集することができます。
画像生成
Soraは、動画だけでなく、最大2,048×2,048の解像度でテキストから画像を生成することができます。
他の画像生成AIでは、生成した画像にどうしても不自然な「AI感」があるものも多くありますが、Soraではより実写に近いと感じるリアリティの高い高画質の画像を生成することが可能です。
高度な物理シミュレーション
Soraには、従来の動画生成AIにはなかった物理シミュレーション能力があります。目線のカメラを移動や回転させると、人物や風景などの要素も合わせて移動するような表現ができます。
新インターフェースやストーリーボードツールの提供も開始され、1フレームごとに正確な指定を行うなど、ユーザーがより細かくクリエイティブな指示を与えられるようになりました。
例えば、動画の撮影目線がドローンカメラの動画を生成するときに、ドローンの移動や回転に合わせてドローンが映し出す景色も移動します。本当にドローンが飛行移動しながら撮影をしているような表現をすることができます。
また、ゲーム「Minecraft」のようなデジタル世界を忠実に再現することができ、まるで実際にプレイしているようなシミュレーション動画を生成することも可能となっています。
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Soraの技術的特徴
「Sora Turbo」の高速化の仕組み
Sora Turboでは、従来モデルからの大きな進化として、動画生成の推論速度が大幅に向上しています。その背景には、モデル構造の見直しや計算グラフの効率化、ならびにGPUやTPUなどのハードウェア特性を最大限活かす最適化手法の採用があります。
モデル内部でフレーム間の時系列的な関連性を効率的に捉えるためのトランスフォーマーベースアーキテクチャを導入し、その計算負荷を減らすためにメモリ管理とサンプリングアルゴリズムを改善しています。
また、事前に生成過程を高度に並列化・パイプライン化することで、フレーム処理の並列実行性を高め、秒単位での動画生成を可能にしています。こうした工夫によって、ユーザーが要求するテキストや画像、動画から、より高速かつ安定した生成結果を得ることができます。
マルチモーダル処理技術
Soraは単なる「テキストからの動画生成」に留まらず、画像や動画を入力として与え、それらを素材として新たな動画を生成することができます。この多様な入力モードへの対応は、モデルの内部で共通の意味表現空間(マルチモーダル表現)を構築するアプローチによって実現されています。
画像や動画を、事前学習済みのビジョンモデルで「視覚的特徴量」に落とし込み、テキストは自然言語処理モデルが「意味的特徴量」を抽出します。これらを統合することで、テキストの意味、映像のビジュアル的特徴、動画内の時間的変化が統合的に扱えるようになり、ユーザーが期待する映像表現へと変換可能になります。
結果として、画像や既存の動画を基盤としたリミックスや拡張も容易になり、クリエイティブな映像編集が直感的かつスピーディに行えるようになります。
Soraの強力な競合であるGoogleの動画生成AIモデルVeo 2も同様にマルチモーダル処理技術を採用しています。テキストや画像のプロンプトから高品質な動画を生成することができるのは、Soraと同様です。
さらに、Veo 2は映画撮影の技術や手法に関する指示を解釈する能力も持っており、「18mmレンズ」や「浅い被写界深度」などの具体的な指示に基づいて、より細かな制御が可能な動画生成を実現しています。
関連記事:「Veoとは?特徴・Soraとの違い・メリット・デメリットを徹底紹介!」
C2PAメタデータと内部検索ツールによるコンテンツトレーサビリティと安全性向上
Soraの高度な動画生成能力は、ディープフェイクやフェイクニュースといった不正利用のリスクもはらんでいます。そのため、Soraではすべての生成物にC2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)標準に準拠したメタデータを埋め込むことで、映像コンテンツの出所や加工履歴を信頼性ある形で証明できる仕組みを導入しています。
さらに、Soraには内部検索ツールが組み込まれており、生成された動画の技術的属性に基づいてコンテンツを特定・検証できます。これにより、疑わしい映像や報告されたコンテンツが本当にSora由来かどうかを迅速に判別することが可能です。
デフォルトで表示されるウォーターマークと合わせて、ユーザーや視聴者はSora生成物であることを容易に把握でき、不正利用や誤情報拡散の抑止に役立ちます。
これらのテクニカルな仕組みによって、Soraは生成コンテンツに対する高い透明性とセキュリティを提供し、ユーザーが安心してクリエイティブな活用を行える環境を整えています。
Soraで大きく影響を受ける業界は?
Soraは、その先進的な技術により、様々な分野での変革の可能性を秘めています。これまでの動画生成AIとは違うSoraはどんな業界にどのような影響を与えると考えられるでしょうか?
動画制作業界
動画制作を請け負う業界は、Soraによる影響がより大きいものになるでしょう。顧客のイメージをプロンプトに起こせば、そのまま映像が作成できるため、顧客とのイメージのすり合わせや、よりよくするためのアイデアを考えやすくなります。
また、画像や映像の素材をもとに動画を作成する場合も、編集をSoraで簡単に行うことができるため、これまでの動画制作にかかる手間がなくなり、効率的でよりクリエイティブな動画を制作し顧客に提供することができるようになるでしょう。
広告業界
Soraはブランドのメッセージを伝えるための広告業界やマーケティング業界を大きく変える可能性があります。
これまでの広告では、タレントやインフルエンサーを起用し商品を使用する、使用した感想を伝えるなどのコストをかけたプロモーションが一般的でした。TVCMやYouTube、アプリ広告など15~30秒の広告を作成するのにも多大なコストが発生します。
しかし、Soraでは、商品の写真や動画と、伝えたいコンセプトやシチュエーションなどをプロンプトで指示することで、商品の魅力が伝わりやすい短い広告動画を簡単に作成することができます。人物や商品の質感もリアルで、これまでの生成AIで作成するような「AI感」もあまりないものが作成できるでしょう。
エンターテイメント業界
Soraは、クリエイターの想いを形にするエンターテイメント業界において強力なツールとなるでしょう。SF映画のようなこの世のないものや異世界の美しい情景、独自の世界観のアニメーションなどを生成することができます。
映画やアニメーションのワンシーン、短編作品などを低コストかつ高クオリティで作成することが可能となります。また、新たな物語やキャラクター、世界観をつくる際もSoraであれば簡単にビジュアルコンセプトを生成し、制作の方向性を試すのに役立つでしょう。
Soraは、アーティストのプロモーションビデオやミュージックビデオを生成するという活用もできます。曲の雰囲気や歌詞の内容をプロンプトで指示すれば、それに合わせた音楽ビデオを簡単に生成することができます。
プロのクリエイターから、クリエイターを目指したいが動画制作の経験がない個人まで、幅広い層で活用することができるでしょう。これまで、デジタル技術の進化によってエンターテイメント産業は常に変化し続けてきましたが、Soraの出現で新たな変化が起きる可能性が高くなります。
建築業界
建築業界では、建物の予定図をリアルなビデオとして視覚化することができます。建物の外観や内装、庭や駐車場などの付属設備など様々なものを動画とすることが可能となり、入居希望者や集客に活用できるでしょう。
教育業界
教育業界では、様々な説明を動画で可視化することで、わかりやすく説明することができます。
例えば次のような説明を動画化できます。
- 生物の成長過程
- 時間の経過による影のできかた
- 地球の自転による変化
- 歴史上のできごとの説明
- 化学反応の説明
研究職
様々な研究職でもSoraの活用が期待できます。新製品のサンプル動画や技術的なプロトタイプ、機械の動作原理を説明するための動画などで使用できます。
また、自身の理論や実験結果の予想動画、新薬の効果を実証するための動画など幅広い研究に使用し、製品化・サービス化するまでの過程で大いに役立つでしょう。
Soraの将来は単なる動画生成を超える?
Soraは「物理世界の汎用シミュレーター」への第一歩として位置づけられており、今後さらに現実世界を忠実に再現できるモデルへと進化する可能性があります。今回の公開ではSora Turboとして高速化やインターフェースの改善が図られており、今後はさらなる機能強化やAPI展開、プラン別料金など、ユーザーごとのニーズに合った利用環境が整備されていくことが予想されます。
既にC2PAメタデータを活用した出自証明機能やウォーターマーク付与など、生成動画に対する透明性確保の取り組みもスタートしています。これらはフェイク動画やディープフェイクなどの不正利用対策としての意義も大きく、今後の信頼性確保の基盤となるでしょう。
Soraは現状は「動画生成AI」ですが、それは「物理世界の汎用シュミレーション」を行うための技術の始まりにしかすぎないのかもしれません。
Soraについてよくある質問まとめ
- 「Sora」とは?
「Sora」とは、ChatGPTを開発したOpenAI社が発表した最先端の動画生成AIモデルです。Soraは、プロンプトを入力すると、最長20秒間の高品質な動画を生成することができます。
- Soraでできることは?
- テキストプロンプトから最長20秒間の高品質な動画を生成
- アップロードした画像とプロンプトから動画(Image-to-Video)を生成
- 動画の時間拡張や異なる動画の統合(Video-to-Video)
- アップロードした動画にプロンプトで指示して様々な編集を加える
- 最大1,028pxの解像度でテキストから高画質の画像を生成
- 目線のカメラ移動や回転に合わせて人物や風景などの要素も移動するシミュレーション能力
- ゲーム「Minecraft」のようなデジタル世界を忠実に再現したシミュレーション動画の生成
まとめ
Soraは、最長20秒の高品質な動画を生成できるOpenAI社の動画生成AIです。
2024年12月に「Sora Turbo」として実際にユーザーが利用可能な形で公開され、テキスト、画像、動画など様々な入力から短いながらも高品質な動画を生成し、クリエイティブな表現の幅を大きく広げます。また、物理的世界の再現を目指し、将来はより高度なシミュレーションが期待されます。
安全性や倫理性に配慮した公開となっており、C2PAメタデータやウォーターマーク、コンテンツポリシーによるガイドライン順守など、社会的受容性を確保する仕組みも整いつつあります。
2024年12月の正式ローンチを受け、Soraは既にChatGPT Plus・Proユーザー向けに利用可能となり、今後のアップデートや機能拡張への期待が高まります。
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