小売業・スーパーのAI活用事例12選!メリット解説!マーケティング・流通の課題を解決【2024年最新版】
最終更新日:2024年11月14日
コンビニやスーパー、家電量販店といった小売業界には、昔から伝統的な問題点がいくつもあります。これに対し、近年のAI(人工知能)の発達により、それらの問題点に対し、AIを使って解決しようという動きがあり、注目を集めていることをご存じでしょうか。
この記事では小売業界が抱える問題に対して、AIを導入することで解決を図った活用事例とその効果をご紹介します。ぜひAI導入検討の参考にしてください。
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目次
- 1 小売業界が抱える問題
- 2 小売業界でのAI導入・活用事例【12選】
- 2.1 【セブンイレブン】省人化を意識したコンビニ設備
- 2.2 【ローソン】購入者に最適な商品提案
- 2.3 【ファミリーマート】次世代型コンビニエンスストアの構築
- 2.4 【イトーヨーカ堂】商品の発注システム
- 2.5 【ライフ】需要予測の活用で少人数での店舗運営
- 2.6 【トライアル】セルフレジ機能の搭載
- 2.7 【グッデイ】使い捨てカイロの販売を予測
- 2.8 【カインズ】ロボットによる売場案内
- 2.9 【ヤマダ電機】夜間修理受付業務の自動化
- 2.10 【ビックカメラ】中国観光客への対応にAIチャットボットを導入
- 2.11 【ウエルシア】AIガードマン導入による防犯対策
- 2.12 【MG-DX】AI薬師による処方箋の自動取り込み
- 2.13 【はま寿司】画像認識AIでブリの鮮度管理
- 3 小売業・スーパーのAI活用についてよくある質問まとめ
- 4 小売業界の発展にAIは欠かせない!
小売業界が抱える問題
まずは小売業が伝統的に抱える問題についてまとめます。
商品発注による誤差
小売業界は、商品を仕入れ、それを顧客に売るのが商売。仕入れは少なすぎても多く過ぎても困るため、需要の予測は非常に重要な業務です。これには多くの手間や時間に加え、経験や勘が必要とされ、一朝一夕でできるものではありません。
マーケティング不足
マーケティングとは、ビジネスを進めていくうえでの戦略のこと。特に日本の小売業界ではマーケティングが不足しているといわれています。
メーカーの都合で仕入れる商品が決まったり、マーケティングのための人材が不足したりと、解決が難しい課題です。
小売業界のマーケティング分析に用いられるデータマイニングについてこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
予想外の障害
最近頻発する異常気象や、新型コロナウイルスなどの、予想外の障害も物を売るうえで大きな問題です。予想外の事態は、人々の購買志向や動きを一変させる可能性があります。これら人間の知恵だけでは予測が難しい障害に対していかに対処するかも、重要な課題です。
廃棄問題
食品を扱う小売業界では、消費期限を考慮した仕入れが重要です。消費期限が切れた食品は廃棄せざるを得ず、損害となってしまううえに、CSRの観点からもよいこととはいえません。廃棄ロスを少なくすることは、小売業界の責務であるともいえます。
AI Marketでは
小売業界でのAI導入・活用事例【12選】
こういった伝統的な小売業界の課題に対して、業界各社はどのようにAIを導入・活用しているのでしょうか。その事例をご紹介します。
【セブンイレブン】省人化を意識したコンビニ設備
セブンイレブンでは、コンビニにおける人手不足に対処するため、さまざまな取り組みを行っています。そのなかの1つがAIを活用した発注数の自動算出システムです。実証実験によると、発注時間を1日当たり35分削減する効果があったと報告されています。
さらに、シフトや作業割当表を自動作成するシステムもテスト予定とのことです。
【ローソン】購入者に最適な商品提案
ローソンはAIコンビニの実証実験として、「ローソンオープンイノベーションラボ」を東京都港区に設置しています。また、CEATEC2019では、購入者の顔を認識しておすすめの商品を提案するシステムを展示。
商品ごとのカロリーも考慮し、相手の年齢に応じた商品を提案しているとのことです。
また、ローソンでは2022年11月28日に、アバターによる制約のない働き方の実現、DX活用で創出するお客様との温かいコミュニケーションなどが特徴の「グリーンローソン」をオープンしました。セルフレジやアバターによる遠隔での接客により、通常のコンビニ店舗よりも省人化を実現しています。
また、「自薦・他薦ロボ」が、買い物客が商品を手に取った事を認識し、「とっても美味しいよ。」「手に取って欲しいなー」などのコメントを発します。AIロボットやアバターといった最新の技術を使用し、人手を削減しながら接客の質の向上や購買を促進する仕組みが特徴的です。
こちらでAIを活用した無人店舗の仕組みと事例を詳しく説明しています。
【ファミリーマート】次世代型コンビニエンスストアの構築
ファミリーマートはパナソニックとともに、IoT(モノのインターネット)やAIを活用した、次世代型コンビニの実現に向けた実証実験店舗を横浜市都筑区にオープン。店舗には顔認証システムが導入され、事前に登録した顔写真とクレジットカード情報が入店時や決済時に利用されます。また、商品管理では、カメラとセンサーで把握した来店者の性別や推定年齢などの情報をデータ化し、商品の発注や店舗レイアウトの改善に生かすそうです。
【イトーヨーカ堂】商品の発注システム
イトーヨーカ堂は、2020年9月からAIを使った商品発注システムを全国のイトーヨーカドー132店舗に導入し、運用を開始しています。
このシステムでは、
- 価格や商品陳列の列数などの情報
- 気温・降水確率などの天候情報
- 曜日特性や客数などの情報
をAIシステムが分析、最適な販売数を予測するそうです。
【ライフ】需要予測の活用で少人数での店舗運営
ライフもAIによる日配品や生鮮食品の発注数予測システムを導入することを発表しています。店舗の販売実績や販売計画、気象情報などのデータをもとに、AIが商品需要を予測。
販売期間が短く、これまで需要予測が難しかった牛乳や野菜にも対応できるそうです。これにより、従業員が手作業で発注数を算出していた時に比べ、所要時間を5割以上削減できるとされています。
AIによる需要予測の導入方法、導入事例、導入の際に注意すべきポイントについてはこちらの記事で分かりやすく説明しています。
【トライアル】セルフレジ機能の搭載
スーパーマーケットを展開するトライアルは、セルフレジ機能を持つ「スマートショッピングカート」やAIカメラを使った商品管理を導入しました。
スマートショッピングカートは、レジを通らずに会計を済ませられるシステムで、レジスタッフの人員不足解消が期待されます。
AIカメラは、来店者数をカウントしたり商品を認識したりすることができ、人の流れの改善や欠品を起こしにくい商品棚作りに役立てられるそうです。
小売業で人気のAIカメラの活用事例についてはこちらの記事で特集しています。
【グッデイ】使い捨てカイロの販売を予測
グッデイでは、全店舗3年分の使い捨てカイロの販売実績と気温などをAIに学習させ、1日単位で売れ行きを予測しているそうです。グッデイでは最終的には約6万店すべての商品でAI売り上げ予測していくとしています。
【カインズ】ロボットによる売場案内
カインズはロボットによる売場案内システムを導入しました。ロボット上部にはタッチパネルが設置されており、探している商品を選ぶと、ロボットがその商品が並んでいるところまで案内してくれる仕組みです。広大なホームセンターにうってつけのシステムといえるのではないでしょうか。
【ヤマダ電機】夜間修理受付業務の自動化
ヤマダ電機では、夜間修理受付業務の自動化のため、AI音声自動応答システムの「Terry」を導入することを決定しています。これにより、コールセンター営業時間外の修理受付が可能となり、顧客の利便性の向上が期待できるほか、人件費抑制にも貢献可能です。Terryの日中業務への適用など、さらなる運用の拡大も計画しています。
【ビックカメラ】中国観光客への対応にAIチャットボットを導入
ビックカメラでは、中国観光客の質問に答えるAIチャットボットである「AiME」を実験運用中。AiMEは中国で月間利用者10億人をほこるSNSアプリの「WeChat」と連携し、QRコードを読み取るだけで商品の売れ筋や在庫、価格および店舗のサービスなどに関する情報を提供することが可能です。
【ウエルシア】AIガードマン導入による防犯対策
ウエルシアでは万引きを抑止し、顧客満足度を向上させるため、「AIガードマン」を導入しました。
AIガードマンはNTT東日本がサービスを提供するもので、買物客の不審な行動を検知し、その情報を店舗スタッフのスマホアプリに通知します。店員がその売り場に向かい、声をかけることで万引きを未然に防ぐ仕組みだそうです。
NTT東日本によると、AIガードマンの導入により、万引きによる商品ロスが半減したケースも出ているとしています。
【MG-DX】AI薬師による処方箋の自動取り込み
サイバーエージェントの連結子会社であるMG-DXは、オンライン服薬指導の実施支援サービスである「AI薬師」の提供を開始しています。このサービスでは、処方箋をOCR機能でオンライン上へ自動取り込み可能です。さらに、事前問診や服薬後のアフターフォローなど、患者から回答を得やすい質問方法となるようAIがサポートしてくれます。
調剤薬局でのAI活用事例、効率化できる業務種類についてはこちらの記事で解説していますので併せてご覧ください。
【はま寿司】画像認識AIでブリの鮮度管理
AIを活用した鮮度管理システム、特に画像認識AIを使用した外観検査は、従来の目視検査に比べて食品の鮮度や品質をスピーディかつ高精度に判別することが可能です。
例えば、大手寿司チェーンのはま寿司では、外観検査AIを活用した魚の鮮度管理システムを導入しています。店舗に届いた魚をAIが撮影し、鮮度を0.1単位で数値化します。
AIの外観検査には以下の利点があります。
- 微細な劣化の兆候を瞬時に検出
- 高精度な外観検査の実現
- 人手不足の解消や作業効率の向上
従来の色調管理法などでは見逃されがちな微細な劣化の兆候も瞬時に検出でき、精度の高い外観検査が可能になります。
関連記事:「鮮度管理とは?重要な理由・メリット・導入の注意点・AI活用方法を徹底紹介!」
小売業・スーパーのAI活用についてよくある質問まとめ
- 小売業界がAIを導入する主な理由は何ですか?
小売業界がAIを導入する主な理由は以下の通りです。
- 商品発注の精度向上と作業時間の削減
- 人手不足への対応と省人化
- 顧客サービスの向上
- 需要予測の精度向上
- 廃棄ロスの削減
- 小売業界でのAI活用にはどのような事例がありますか?
主な事例は以下の通りです。
- セブンイレブン:AIを活用した発注数の自動算出システム
- ローソン:顔認識による最適な商品提案システム
- イトーヨーカ堂:AIを使った商品発注システム
- トライアル:AIカメラを使った商品管理
- ウエルシア:AIガードマンによる防犯対策
- 小売業界でAIを活用することで、どのような効果が期待できますか?
主に以下の効果が期待できます。
- 発注業務の効率化(例:イトーヨーカ堂の事例)
- 顧客サービスの向上(例:ローソンの商品提案システム)
- 人件費の削減(例:トライアルのセルフレジ機能)
- 在庫管理の最適化(例:グッデイの売り上げ予測)
- 防犯対策の強化(例:ウエルシアのAIガードマン)
小売業界の発展にAIは欠かせない!
このように、これ以上人間では解決・改善が難しかった問題に対し、AIを導入する動きが出てきています。少子高齢化社会がますます進み、人材不足が叫ばれるなか、これから小売業界が発展していくにはAIの導入が欠かせないのではないでしょうか。この記事で紹介した事例を参考に、AIの導入を検討していただければ幸いです。
この記事では取り上げきれませんでしたが、需要や市場環境に応じて価格を変えるダイナミックプライシングの導入も小売業界で将来有望です。AIを使って、さらに競争力の強い価格設定をリアルタイムで設定できるでしょう。
ダイナミックプライシングでのAI活用事例をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
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