Dialogflowとは?なぜチャットボット開発に使うべき?料金・使い方・無料枠を解説!
最終更新日:2024年09月23日
手軽にチャットボットを構築できるサービスとして、Dialogflowが挙げられます。ノーコードでトレーニングできるうえに、外部サービスにも簡単に連携できる使い勝手の良さが特徴のサービスです。しかし、Dialogflowでは何ができるのか、Dialogflowでチャットボットを組みたいが何から始めればよいか、よくわからない方も多いのではないでしょうか。
なぜチャットボットにAIを搭載すべきか?こちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
本記事では、
特に、エンジニアがいない場合や、十分なリソースが割けない場合に有効なサービスです。チャットボット導入の参考にしてみてください。
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目次
Dialogflowとは?
Dialogflowとは、Googleが提供するチャットボット開発のためのプラットフォームです。開発したチャットボットは自社のWebサイトやSNSで利用できるため、機会損失の低減や顧客満足度の向上につなげられます。
関連記事:チャットボットとは?実は15種類ある!導入メリット・運用注意点を徹底解説!
Dialogflowの最も大きな特徴として、ノーコードで簡単に実装できる点が挙げられます。基本的に、チャットボットを構築するにはコーディングが必要ですが、Dialogflowを利用すれば専門的なプログラミングなしで簡単に構築できます。
Dialogflow CXとDialogflow ESの違い
Dialogflowは、チャットボット開発のニーズに幅広く応えるために、二つの異なるエディションを提供しています。
- Dialogflow CX:特に複雑な会話フローや多岐にわたるユーザーインタラクションを管理する必要がある大規模なアプリケーションに最適
- Dialogflow ES(Essentials Edition):よりシンプルな会話フローで効率的なチャットボットを構築したい、スタートアップや中小企業向け
Dialogflow CXは、その名の通り、顧客体験(Customer Experience)を最大化するために設計されたバージョンです。高度な機能性と柔軟性により、より複雑な問い合わせやダイナミックな会話フローに対応する能力を持っています。
例えば、複数の意図や条件分岐を含む会話の設計、高度な自然言語理解機能を活用した精密なユーザーの意図の把握など、より洗練されたユーザーエクスペリエンスの提供が可能です。この高度な機能性は、料金が高めに設定されているものの、大規模なビジネスや複雑な顧客サービスのニーズには十分な価値を提供します。
一方、Dialogflow ESは、簡単に設定でき、迅速な開発が可能な点が特徴です。小規模なプロジェクトや、チャットボット開発が初めての企業にとって、このエディションは低コストで手軽に始められる選択肢を提供します。ESエディションは、基本的な応答やFAQ、シンプルな会話フローの管理に適しており、多くの場合、中小企業やスタートアップのニーズを満たします。
Dialogflowの料金
Dialogflowは、月ごとの従量課金制で支払います。具体的な料金は以下の通りです。
CX Edition | Essentials Edition | |
---|---|---|
テキスト出入力 | 1リクエスト当たり $0.007 | 1リクエスト当たり $0.002 |
音声出入力 | $0.001/秒 | $0.0065/15秒 |
CX Editionを初めて利用する方は、CX Editionで使用できる$600分のクレジットが付与されます。基本的にGoogle Cloudサービスの無料クレジットは$300ですが、DialogflowのCX Editionに限り$600のクレジットが付与されます。
また、Dialogflowには「Trial Edition」という無料版も利用できます。ほかのツールと迷っている方は、まず無料版から試してみるとよいでしょう。
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Dialogflowのメリット・できること
Dialogflowでは、以下のようなメリットやできることがあります。
- 低コストで実装
- プログラミングなしで実装
- LINEやSlackと連携
- 過去のやり取りを機械学習
- 同義語の表記ゆれに対応
- 30以上の言語に対応
それぞれについて解説します。
低コストで実装
Dialogflowの導入は、AIチャットボットの開発におけるコストと時間の大幅な削減を実現します。Dialogflowを活用することで、従来必要だった独自システムの開発工程を省略でき、初期投資を大きく下げることが可能です。
初期設定や基本的な機能の実装にかかるコストがほぼゼロに等しく、また、従量課金制を採用しているため、実際にサービスを利用した分だけの費用で済みます。この課金体系は、特に問い合わせの数が予測しにくいスタートアップや、まだチャットボットの利用が多くない中小企業にとって、資金の無駄遣いを防ぐ上で大きな利点となります。
プログラミングなしで実装
Dialogflowの強力な利点の一つは、コーディングなしでチャットボットを実装できることです。Dialogflowは、直感的なユーザーインターフェースを提供し、ユーザーが画面上の指示に従うだけで高機能なチャットボットを構築できるように設計されています。
具体的には、Dialogflowではテンプレートや簡単なドラッグ&ドロップ式のエディターを使用して、チャットボットの会話フローを編集することが可能です。これにより、企業は専門的なプログラミング知識がなくても、顧客のニーズに応じたカスタマイズが行えます。
この手軽さは、小規模事業者や、内部に専門的なITリソースを持たない企業にとって大きな利点です。開発における時間やコストを大幅に削減できるため、事業の他の側面に資源を集中させることが可能になります。
LINEやSlackと連携
Dialogflowのチャットボットは、LINEやSlackなどのSNSと連携できます。日本語のマニュアルも公式から提供されているので、安心して連携できるでしょう。
LINEやSlackのほか、以下のサービスとも統合が可能です。
- FacebookのMessenger
- FacebookのWorkplace
- Googleアシスタント(レガシー)
- Google Chat
- Telegram
また、Googleが提供するオープンソースを利用すれば、以下のサービスとも統合できます。
- Skype
連携機能を活用すれば、SNSでもチャットボットを利用できるようになります。
過去のやり取りを機械学習
Dialogflowの核心技術の一つに、先進的な機械学習アルゴリズムがあります。このアルゴリズムは、チャットボットが過去のユーザーとのやり取りを「学習」し、それを基に応答の精度を徐々に高めていくことを可能にします。
ユーザーからの質問やフレーズ、チャットボットが提供した回答がデータベースに蓄積され、この情報を基にチャットボットは自身の応答パターンを調整し、より正確な回答を提供できるように進化します。
このプロセスは、自然言語処理(NLP)と機械学習(ML)の組み合わせによって支えられています。この連携により、Dialogflowは使用されるほどにユーザーの意図をより深く理解し、より適切な回答を提供する能力を身につけていきます。
例えば、ある特定の製品に関する問い合わせが多い場合、Dialogflowはその製品に関する質問に対してより精度高い回答を提供するように進化します。この進化は、顧客体験の向上に直結し、結果として顧客満足度の向上に貢献します。
特別な技術的介入を行わなくても、自動的にチャットボットの応答品質が向上していきます。これにより、企業は顧客サポートの質を継続的に改善できると同時に、運用にかかる手間やコストを削減できるのです。
同義語の表記ゆれに対応
Dialogflowの柔軟性の一例として、同義語や異なる表現のバリエーションを事前にシステムに登録できる機能が挙げられます。この機能は、業界固有の用語や複数の呼び方が存在する場合に特に有効で、チャットボットがユーザーの様々な表現を理解し、適切に対応できるようにします。
たとえば、ユーザーが「ホテルの予約を取りたい」と言う場合も、「宿を取りたい」と言う場合も、同じ意図を持っていると認識できるように、これらの異なる表現を事前にDialogflowに登録しておくことができます。
この機能により、ユーザーの多様な表現に柔軟に対応し、ユーザー体験を大きく向上させることが可能になります。「ホテル」「宿」「旅館」など、同じ概念を指す異なる単語をすべてDialogflowに登録することで、チャットボットはこれらの言葉を同じ意味として認識し、ユーザーの要求に対して適切に反応することができます。この結果、ユーザーが用語の選択によってサービスを利用できないという事態を避け、サービスの離脱率を減少させることができます。
30以上の言語に対応
Dialogflowは30以上の言語に対応しているため、グローバル展開しているサービスにも適用できます。
また、高性能のチャットボットを構築できれば、海外のお客さんの対応を代替できるようになるため、業務の省力化が図れるでしょう。
Dialogflowの使い方
Dialogflowは、プログラミングの知識なしで簡単にチャットボットを構築できます。ここでは、無料版のTrial Editionを用いて、Dialogflowの使い方や設定方法を解説します。
関連記事:「チャットボットのAPIとは?おすすめ製品・活用メリット・導入注意点を徹底解説!」
Dialogflowのページにアクセス
まず、Dialogflowのページにアクセスします。初めて利用する場合は、利用規約に同意する必要があります。チェックボックスをクリックし、「Accept」を選択しましょう。
次に、真ん中の「Get started」を選択すると、以下のページに移ります。
エージェントを作成
右上の「無料で利用開始」を選択すると、個人情報の入力画面に移ります。必要な情報を入力し、ログインすると、「Create Agent」という項目が出てくるので、クリックしてエージェントを作成します。
画面上部の「エージェント名」に好みの名前を入力して、言語・タイムゾーンを選択し、「GOOGLEプロジェクト」の選択肢の「新しい Google プロジェクトを作成する」を選択し、画面上部の「作成する」を選択します。
Intentの入力
次に、基本的な質問と応答内容を入力します。「インテント」タブの「トレーニングフレーズ」内の「トレーニングフレーズを追加する」を選択します。
クリックすると「ユーザー式を追加する」と出てくるので、ユーザーが入力しそうな文章を打ち込みます。
それに対する応答は、その下の「応答を追加」から入力できます。一つの質問に対して複数の応答文を設定することも可能です。
Entityの入力
「エンティティ」タブでは、同義語や表記ゆれの情報を追加できます。
「エントリーを編集するにはここをクリックしてください」から同義語を入力し、画面上部の「作成する」をクリックして登録します。業界特有の用語などがあれば、登録しておきましょう。
シミュレーション
Dialogflowでは、目的通りに動作するかを画面右側の「やってみよう」から試すことができます。実際に顧客になったつもりで質問を入力し、理想の回答が返ってくるかを試してみましょう。
理想の回答が得られなければ、追加で学習を行い、再度シミュレーションしてみてください。
Webサイトや外部サービスと連携する
チャットボットが完成すれば、「統合」タブから連携したいサービスを選択して必要情報を入力しましょう。Webサイトに組み込む場合は「ウェブデモ」をクリックして、得られたコードを該当ページに貼り付けるだけです。
Dialogflowの活用事例
ここでは、ドミノピザとオランダ航空におけるDialogflowの活用事例を紹介します。
商品の注文を直感的に(ドミノピザ)
世界で18,000店舗以上を展開しているドミノピザは、注文用のチャットボットと自社のモバイルアプリにDialogflowを導入し、顧客の直感的な注文を可能にしました。
同社は、アメリカだけでも週に1,000万個以上のピザの注文を受け、配達しています。ネット上でも数多くの注文を受けているため、どのような顧客に対してもわかりやすく丁寧な対応をしなくてはなりません。
そこで、自然言語処理に優れたDialogflowを導入することでチャットボットの精度を向上し、顧客が直感的かつ手間なく簡単に注文できる仕組みを構築しました。
同社の顧客担当責任者によると、トレーニングが効率的に行えたうえ、Dialogflowの導入後は顧客満足度が向上したそうです。
Messengerでフライトの予約が可能に(オランダ航空)
オランダの航空会社であるKLM(オランダ航空)は、Dialogflowを活用することで、会話形式で航空券を予約できるようになりました。
従来、航空券を予約する際には、日程や人数、グレードなどの条件を確認して空き状況を確認し、予約の可否を判断する必要がありました。
そこで同社は、Dialogflowを用いることにより、会話形式で予約の可否を確認できるシステムを構築しました。また、ビザの申請方法や持ち込みできる持ち物の種類などの、旅行に関わる質問にも対応できるよう工夫したようです。
その結果、顧客は迅速かつ直感的に予約の可否を確認できるうえに、旅行や出張に関する有益な情報も得られるようになりました。このように、顧客が楽しんで旅行の予約を手配できるようになったそうです。
Dialogflowについてよくある質問まとめ
- Dialogflowとは?
Dialogflowとは、Googleが提供するチャットボット開発のためのプラットフォームです。開発したチャットボットは自社のWebサイトやSNSで利用できます。
Dialogflowはノーコードで簡単に実装できる点が挙げられます。Dialogflowを利用すれば専門的なプログラミングなしで簡単に構築できます。
- Dialogflowのメリットは?
Dialogflowでは、以下のようなメリットがあります。
- 低コストで実装
- プログラミングなしで実装
- LINEやSlackと連携
- 過去のやり取りを機械学習
- 同義語の表記ゆれに対応
- 30以上の言語に対応
まとめ
Dialogflowを活用すれば、コーディングすることなく簡単にチャットボットを実装できます。さまざまなSNSに連携できるので、顧客対応の幅を広げることができるでしょう。
チャットボットを活用すれば、24時間365日高品質な対応ができるようになるため、
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