最終更新日:2023-02-13
外観検査とは?AIの画像解析で全解決!にならない理由・注意点を解説

近年、従来実施されていた外観検査にAIが活用され始めています。しかし、「AIを活用した外観検査とは?」「AIによる外観検査を導入する際のポイントとは?」といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。
AIによる外観検査は注目されている部分ではありますが、必要性がわからなければ導入には踏み切れません。実際どのような機能・ポイントを見極めるべきか把握しておくことで、AI外観検査の導入を検討できるでしょう。
そこで本記事では、外観検査の概要からAIを活用して外観検査を実施するメリット、ポイントや注意点について解説します。
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そもそもAIとは?、分析手法の種類、ビジネスへの導入事例などを学べる初心者向け完全解説記事はこちらです。
また、外観検査のAIシステム開発に強い、プロ厳選のAI開発会社の記事では、外観検査を得意とする会社を紹介していますので、ぜひご参考ください。
目次
外観検査とは?
外観検査とは「visual inspection」とも呼ばれており、製品部品の外観をチェックし、品質の維持・向上を実施することを指します。ネジやタイヤなどの企業が製造した製品の外観部分に汚れ・傷・バリなどが無いかをチェックし、良品/不良品の判定を行う工程です。
例えば、食品パッケージに異物がついていないか、本来の色から変色していないかなどが外観検査として挙げられるでしょう。基本的に人の目で製品の外観を確認し、問題ないか把握します。
ルーペや顕微鏡等を用いて目視での外観検査を実施することも多く、製品についた細かい傷も確認します。傷や変色が発生した製品は商品として販売できないため、外観検査は製造現場における品質管理工程おいて業界・製品を問わず実施されているプロセスです。
目視検査から画像検査、そしてAI活用へ
最近では外観検査は目視ではなく、画像や動画を検査する手法が広く導入されています。そして、多くの企業が画像解析のAIを用いた外観検査を活用しています。
外観検査はAIを活用した業務効率化として非常に活用が進んでいる領域です。無駄な人件費を減らし、業務効率を向上させられる点はもちろん、品質管理自体の品質を向上させることができるため、年々需要は高まっています。
外観検査のベースとなる物体検出の技術、及び物体検出を可能にするディープラーニング手法の種類についてこちらの記事で特集していますので併せてご覧ください。
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外観検査を実施する目的
外観検査を実施することで、製品の様々な問題点を事前に確認できます。問題がある製品は販売しても、返品されるなど、後からのトラブルに繋がります。そのため、事前に販売する製品が問題ないかを管理するプロセスは、大きなトラブルを未然に防ぐためにも非常に重要です。続いては、外観検査を実施する大きな目的を2つ解説します。
品質の保証
外観検査を実施することで、取り扱い製品の品質を向上させることができます。内部検査に問題がなくても、製品外観に傷や汚れが見える場合、不良品として扱われてしまいます。多くの不良品を納品してしまっては、取引がなくなってしまう可能性があるでしょう。
しかし、外観検査を実施することで、品質の向上が可能です。どうしても、大量の製品を製造する場合は、一定の確率で不良品が発生してしまいます。どれだけ精度の高い機械でも、完全に不良品の発生をなくすことはできないため、製造してしまった不良品を見つける工程は非常に重要です。
品質の維持・向上
外観検査は品質の向上だけではなく、製品の改善にも寄与するものです。外観検査で不良品を発見する件数が多い場合、機械に問題がある可能性が高くなってるため、製造機械自体の見直しやメンテナンス等、不良品を発生する確率を下げ、結果的に製品の改善や、担当部署の生産性向上にも寄与するでしょう。
不良品の発生件数を減らすことで、業務効率と生産性が高まることも、外観検査の重要な目的の一つです。
外観検査の種類
外観検査は状況に合わせて、様々な種類の方法を実施します。大きく分けて4つの種類が存在しますので、それぞれ解説します。
インライン検査
インライン検査とは、生産ラインに外観検査を組み込んでチェックする方法です。生産ラインの流れを止めることなくチェックを実施できるため、比較的検査スピードが高い点が特徴です。
目視検査でも活用され、全数検査を行いやすいメリットもありますが、目視検査では限界があることから画像センサなどを活用した検査装置と併用して行われる場合がほとんどです。
目視検査の課題点についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
AIによる外観検査を導入する場合は、最も自動化しやすい部分です。ただし、取り扱う製品の部品が多い場合、目視によるインライン検査では、不良品を逃してしまう可能性が高いため注意しましょう。
オフライン検査
オフライン検査とは、一部の製品だけを検査する方法です。ロットを構成する上で基準部分に位置する製品のみを検査することで、品質管理水準を図れます。
製造ラインとは違った場所なので、拡大鏡や顕微鏡を使った時間のかかる検査を行うことも可能です。また、ネジなどの細かい部品に関してはインライン・オフライン検査が実施されることは少なく、特定ロットのみオフライン検査が実施されます。
検査する製品を運搬したり、計測や精密検査を手作業で行ったりする手間と労力がかかってしまいます。また一定の品質水準を把握できますが、全ての製品に目を通しているわけではないため、不良品が発生する可能性もあります。
抜き取り検査
抜き取り検査とは、生産ラインから外れた場所で外観検査を実施する方法です。生産ライン上でチェックする必要がないため、必要に応じて重点的に外観検査を行える点が特徴です。
しかし、チェックが必要な製品を別の場所へ運び、別途検査して行くため、時間がかかります。検査数が少なくすることで検査にかかる費用や時間を節約できますし、全数検査ではできない多項目の検査を行うことができます。
不良品が発見されたロットは、その他の良品がすべて不良品扱いになったり、逆に検査していない部分に不良品が入っている可能性もあるのはデメリットです。近年では画像検査の導入によって、安価で数量の多い製品でも抜き取り検査から全数検査に移行する流れが出ています。
全数検査
全数検査とは、対象の製品全てに外観検査を実施し、不良品がないか確認する方法です。製品を全て検査するため、不良品発生率を大幅に減少させられる点が特徴です。
高い検査精度が期待できますが、安価で数量の多い製品では費用対効果が見合わないデメリットがあります。また、強度を調べるために外力を加える破壊検査や引張検査などは、全数検査は適していません。検査を行う際は人件費とコストがかかるため、不良品が混入すると人体や経営に大きな影響を及ぼす場合において、多く実施される手法です。
AIを活用して外観検査を実施するメリット3つ
これまでは目視で実施されることの多かった外観検査ですが、AIを活用した外観検査に取り組む企業も非常に多くなっています。ここでは、AIで外観検査を行う3つの主なメリットを解説します。
生産性の向上
AIを活用して外観検査を実施することで、人の目よりも早くチェックを完了させられます。製造現場では、トラブルが発生すると人的リソースを割くことになるため、外観検査の終了が遅くなったり、他の業務への支障が発生してしまいます。
また、外観検査に人材を派遣してしまうと、スムーズにトラブルを対処できない可能性もあります。そのため、AI外観検査を導入し、スピードを早めることで、業務効率と生産性を向上できるでしょう。
クオリティの高い安定した検査が可能
AI外観検査では安定したチェックを実施し、高い精度を誇ります。AIが取得した画像を元に、常に一定の品質でチェックを行うことが可能なため、人間の目では見逃してしまいそうなちょっとした不良も発見可能です。
インライン検査では多くの製品の中から、不良品がないか見つけ出すことは難しいでしょう。しかし、AI外観検査ではクオリティの高い安定した検査が期待できます。
ただし、AIが常に100%の精度を出せるわけではありませんので、過信しすぎずに、適切な運用方法を設計する必要があります。
人的ミスの防止・チェック品質の標準化
AI外観検査は、人の目で見てチェックしないため、ヒューマンエラーが発生することはありません。外観検査において人の目でチェックしていると、どうしても不良品を見逃す可能性があります。
勤務歴が長い従業員でも、体調不良や集中力が切れた際、不良品を見逃す可能性がありますし、経験の少ない従業員の方では、不良に気づけないかもしれません。担当によってチェックの品質にバラつきが出てしまうことはAIによる外観検査を導入する大きな理由の一つです。
しかし、AI外観検査は体調や集中力が切れる心配も、経験によるスキルの差を考慮する必要もありません。結果的に品質管理のレベル標準化し、常に同じレベルでのチェックが可能となります。
AIによる外観検査を導入する際の注意点
AIによる外観検査を導入する際のポイントを解説します。
- 適切なデータが必要
- AI外観検査は導入してすぐに運用できるわけではありません。一定期間学習を行う時間が必要です。
- 自社に合わせたシステムの選択が必要
自社が取扱う製品がシステムに適していない場合は高い精度は期待できません。 - エリアカメラにするかラインカメラにするか
エリアカメラは比較的安価で設定が簡単です。ラインカメラは価格が高く、機材設定が難しいですが均一に照明を当てられます。 - 導入コストを見積もる
開発会社や導入するAI外観検査システム、製造ライン数やどのような外観検査を行うなどによって費用は異なります。 - エッジサーバの有無を確認
エッジサーバーとは、AIが搭載され、エッジAIとして判断を下すシステムを指します。効率的に外観検査ができます。
それぞれの注意点の詳細については「AIによる外観検査導入完全ガイド!プロ厳選システム開発会社」」をご覧ください。
AI外観検査の導入はAI開発会社へ
人的な外観検査を実施する場合、どうしてもヒューマンエラーが発生し、コストがかかります。しかし、AI外観検査を導入することで、人的なミスを防ぎクオリティの高い検査を実施可能です。
ただし、AI外観検査を導入する際はコストやカメラの種類など、様々な検討する部分が存在します。このような場合は、最適なAI開発会社紹介を行なっているAI Marketをぜひご利用ください。
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