最終更新日:2023-02-13
AI画像認識における分類型・判定型・検出型の違いは?【活用事例】

これまでの画像認識は単純な画像を識別するだけで、複雑な処理が困難でした。近年は、深層学習(ディープラーニング)の実施で画像認識の精度が向上し、スマートフォンの顔認証や自動運転機能などデバイスが増えています。
「AI画像認識にはどんな種類があるの?」「具体的にAI画像認識はどのように活用すればいいの?」といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。本記事では、AI画像認識の種類や具体的な活用方法、ポイントについて解説します。
また、AI Marketでは
目次
AIにおける画像認識とは?
AIにおける画像認識とは、特定の画像に対してAIが何を映っているのかを判断する技術です。本来AIは画像をピクセルとして判断するため、画像を読み取らせたとしても何が写っているのかは分かりません。
しかし、深層学習(ディープラーニング)を用いて、AIに何度も似たような画像を読み取らせることで、特徴を判断し、画像認識を可能にしています。例えば、犬の画像を100〜10,000枚以上AIに読み取らせることで「犬」として認識可能です。
AIに人間と同じく経験を蓄積させることで、高い精度の画像認識が可能となり、応用することによりさまざまなシーンで活用されています。
AI画像認識についての特徴や仕組みについては「AI画像認識とは?仕組みや導入活用事例」の記事にて解説しておりますので、あわせてご覧ください。
AI画像認識の種類
AI画像認識の種類は、大きく分けて以下の3つです。
- レベル判定型
- 分類型
- 検出型
それぞれの特徴について、詳しく解説します。
レベル判定型
レベル判定型とは、画像に写っている対象をAIが検知し、あらかじめ設定した度合いに合わせて画像を判定するタイプです。AI画像認識によっては、5段階で物体の状態を判断できます。レベル判定型は、細かい部分を含めて総合的に認識できることから、顔認識機能に用いられていることが多いです。
顔認証技術では、カメラで捉えた人間の「鼻」・「耳」・「目」・「顔の輪郭」など、複数の部位を確認した上で、登録している人間の顔と一致するか判定します。認識した顔の情報とデータベースの登録内容と照らし合わせることで、正しい判断が可能です。
分類型
分類型とは、画像に写っている内容を判断し、何がどのような人物・物体なのかを検知するタイプです。写った魚や部品の種類をAIに学習させることで、人間が一眼で判断するのが難しい専門分野の判断に長けています。AIの画像学習を増やすことで、より細かい部分の判断もできるようになります。
また、分類型は物体検知として応用されることが多く、画像の検知と同時に人物や物体の状態を見極めることが可能です。
物体検知は「一般物体認識」と「特定物体認識」の2つに分かれています。一般物体認識とは、画像内で複数写っている同じ人物や物体を一つにまとめて認識することです。例えば、トイプードルやチワワ・柴犬が画像に複数写っている場合は「犬」として検知できます。
一方、特定物体認識とは、画像の中に複数の犬種が写っている場合でも、特定の犬種だけを識別することです。人物や物体の状況を段階的に判断し、適切な認識ができます。
検出型
検出型とは、画像に写る特定の人物や画像について、位置を含めた情報を検知するタイプです。画像の「どこに何が写っているのか」を検出できるため、膨大な量の中から特定の物体を探し当てる際に用いられています。監視カメラで不審人物の特定や特定の商材と類似していないか判断するシステムなど、さまざまな部分に導入されている機能です。
また、判断した内容の画像や映像をAIに学習させることで、多くの物体が同時に写っている状況でも、特定の物体を判別できるようになります。
AI画像認識の具体的な活用方法
AI画像認識の具体的な活用方法は以下の通りです。
- レベル判定型:設備劣化の判定
- 分類型:不良品の検知
- 検出型:地図データによる横断報道の検出
- 状況に応じた最適な在庫管理
順に解説します。
レベル判定型:設備劣化の判定
レベル判定型のAI画像認識は、施設や物体に対して設備劣化の判定を行う際に活用されています。あらかじめ、対象の設備に関する画像をディープラーニングとしてAIに読み込ませて、設備の劣化状況を段階的に認識させます。例えば、マンションの劣化状況を3段階に分けた場合、以下のようなイメージでAIに画像認識が可能です。
- レベル1:壁面全体の汚れ
- レベル2:壁面全体の大きな汚れ、カビ、タイル剥がれ
- レベル3:壁面全体に大きな汚れ、ひび割れ、鉄骨部分の腐食
上記のように段階的に設備の状態を設定しておき「レベル2になれば3ヶ月以内に修繕が必要」と定めることで、複数回に渡る設備調査を実施する必要もありません。また、全体的な汚れが少ない場合でも、ひび割れ・亀裂・陥没など、特に重要度の高い損傷に関しては至急対応が必要であると認識させることで、全体的なレベル判定も可能です。
実際、建物や道路の設備老朽化管理に、レベル判定型のAI画像認識は用いられています。設備や道路の老朽化確認は重要な部分ですが、現地を専門家とともに確認するか、検知センサー搭載の車両で確認が必要でした。現地確認には人的リソースが必要となり、検知センサー搭載の車両は高価なことが多いため、導入に踏みきれない地方自治体が多くありました。
そこで、地方自治体と協力し、重要部分にレベル判定型の画像認識プラットフォームを街中に設置することで、リソースを使うことなく設備劣化の判定が可能になりました。
分類型:不良品の検知
分類型のAI画像認識は、工場などの生産過程において発生する不良品の検知に用いられています。AIに正しい製品状態とそうではない状態の二つのディープラーニングを実施することで、カメラで撮影した製品の個体差や色ムラ・汚れを判別して、良品・不良品を検知します。
これまでは、人間の目で工場の不良品検知作業が行われていましたが、人が確認していることもあり、どうしてもヒューマンエラーが発生していました。しかし、膨大な量の画像をAIにディープラーニングすることで、人間の目では発見できない細かい傷や違いに関しても検知可能です。
さらに、工場などで人が不良品検知を実施する際は、ある程度の経験がなければスムーズに判別できません。生産現場では色ムラや汚れがない製品でも、よく見ると他の生産ラインから流れてきた部品などイレギュラーが発生することがあります。そのため、生産現場に分類型のAI画像認識を導入することで、ヒューマンエラーの防止、キャリアに関係のない不良品検知が可能です。
ディープラーニングを用いた物体検出の仕組み、手法の種類についてはこちらの記事で特集していますので併せてご覧ください。
検出型:地図データによる横断報道の検出
検出型のAI画像認識は、航空写真をAIにディープランニングすることで横断歩道や停止線の検出が可能です。これまで道路交通情報をデータ化する際は、スタッフが一つひとつの横断歩道に出向き、現地写真の状況と道路標識などを確認していました。道路交通状況はひぼ変化しているだけではなく、スタッフの人員・時間も限られているため、膨大な工数が必要です。
しかし、検出型のAI画像認識を活用することで、人為的に対応していた道路交通情報の確認を現地に出向くことなく、必要情報を読み込ませることで確認可能です。この技術を応用することで、道路交通情報の精査以外にカーナビやスマートフォンの地図情報をいち早く変更できます。
地図データを素早く更新することで、ドライバーや地図アプリ利用者の安全性・利便性向上が期待できます。
状況に応じた最適な在庫管理
AI画像認識を活用することで、さまざまな業界に対して最適な在庫管理を実現できます。特に製造業や流通業では多くの商品を取り扱っていることから、常に需要予測を行って在庫管理を実施する必要があります。
需要予測の基本的な説明、用いられる種類についてはこちらで分かりやすく解説しています。
仕入れた商品の需要が予想以上に高まった場合、在庫は一気に減少してしまい、利益が目減してしまいます。一方、需要が高くなることを予想して商品を仕入れたとしても、売れなければ在庫過多になり、処分に手間がかかるでしょう。スタッフの経験やこれまでのデータを確認しながら対応する必要がありますが、人が実施しているため、最適な在庫状況を保つのは困難です。
そこで、AIに過去の売上・顧客属性・需要変化在庫状況・在庫保管画像を読み込ませて、高い精度の需要予測を可能にします。
需要予測に強いAI開発をご検討の方は、需要予測のAIシステム開発に強いプロ厳選のAI開発会社をご覧ください。
AI画像認識を活用するポイント
AI画像認識を活用するポイントは以下の3つです。
- 撮影環境を整える
- 自社ビジネスに必要な機能を把握する
- 学習期間を設けて運用する
順に解説します。
撮影環境を整える
AI画像認識を活用する際は、撮影環境を整える必要があります。カメラの精度が悪い場合や対象部に適していないと、最適な検出は期待できません。ネットワークカメラの中にも種類が存在するため、撮影状態を整えてから運用するようにしましょう。
また、事前にどれだけディープラーニングを実施したとしても、カメラの質が悪ければうまく認識できない可能性があるため、現場に最適なカメラを選ぶことをおすすめします。
自社ビジネスに必要な機能を把握する
AI画像認識の中にも種類が存在するため、自社ビジネスに必要な機能を把握しておきましょう。不良品検知のために導入するのか、設備劣化状況を自動判断するために導入するのかなど、内容によって導入種類が異なります。
ビジネスに不適切な種類のAI画像認識を導入してしまうと、どれだけディープラーニングに時間をかけたとしても、求めるような成果は期待できません。そのため、自社ビジネスに必要な機能を把握した上で、最適なAI画像認識を選択しましょう。
学習期間を設けて運用する
自社ビジネスにマッチしたAI画像認識を導入した場合でも、学習期間を設けていなければ、AIは正しく画像を認識できません。検出予定の対象物に関する画像を1,000〜10,000枚以上読みこませた上で、運用を行いましょう。
また、運用途中でも継続的にAIに対して学習を行い、内容をアップデートする必要があります。中にはAI画像認識を運用後に検出精度が下がることがあります。そのため、継続的な学習と内容のアップデートを実施することで、自社ビジネスに最適なAI画像認識を運用可能です。
AI画像認識を導入する際は専門会社へ
本記事では、AI画像認識の種類や具体的な活用方法、ポイントについて解説しました。AI画像認識を導入することで、さまざまなビジネスシーンで応用可能です。
しかし、導入時には最適な撮影環境の構築や自社ビジネスに最適な機能の把握、継続的な学習とアップデートが必要です。このような導入時の悩みを抱えている場合は、最適なAI開発会社紹介を行なっているAI Marketをぜひご利用ください。
AI Marketでは
また、画像認識・画像解析のAI開発に強い!プロ厳選の開発会社紹介記事では、AI開発会社の中から、画像認識・画像解析に強い会社を厳選して紹介していますので、こちらもぜひご参考ください。
