データマイニングとは?できること・手法・活用事例を徹底解説!分野別活用例4選紹介
最終更新日:2024年12月04日
データマイニングという言葉をご存じでしょうか?近年、AIの登場とともにビッグデータを実際に活用するハードルがグッと下がり、ビッグデータを事業やマーケティングに役立てようと考えられるようになってきました。
しかし、ただ保管されているだけのデータをそのまま分析することは不可能です。その
この記事では、
データマイニングを事業に活用したい方はぜひ最後までご覧ください。
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目次
データマイニングとは
データマイニングとは、大量のデータから有益な情報、価値ある知見を抽出する技術や手法です。「マイニング」は「採掘する」という意味で、データマイニングは近年のAIやビッグデータ、IoT技術の発達で注目されるようになりました。
と言っても、意外に昔からビジネスでは存在する考え方で、早くも1990年代には「データマイニング」という言葉が使用されはじめています。
例えば、顧客からの問い合わせを蓄積し、内容を分析することもデータマイニングと言えます。膨大な問い合わせやクレームの内容を分析していくことで、顧客が何を求めているのかや、どういった改善が必要なのかを把握することができるようになります。
特に、民間でもビッグデータを簡単に入手できるようになり、大企業や官公庁はもちろん、中小企業でもデータマイニングの重要性が増しています。ビッグデータとは何か?どのように使えるか?こちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
データマイニングの本質は「大量のデータの中から価値のある情報を見つけ出す」ことにあります。
データマイニングでできる5つのこと
具体的に、データマイニングではどのようなことができるのでしょうか?データマイニングでできることは以下です。
- データを分類できる
- データの関連性を見つける
- 結果の予測ができる
- 異常値を検出できる
- テキストマイニングに使える
大量のデータを分類できる
データマイニングは大量のデータを高度に分類し、ビジネスインサイトを抽出する強力な手段です。蓄積されている整理されていない膨大なデータを見ても、そこから有益な情報を見つけ出すことはかなり困難でしょう。まとめたい条件でグループごとに分類・整理することで、情報の扱いやすさは格段に向上します。
データマイニングの核心的な機能は、データセグメンテーションです。特定の条件やパラメータに基づいて、膨大なデータを効率的に分類できます。
データマイニングを行うことで、様々な情報で分類することができます。
さらに、データマイニングは多次元的な分析を可能にします。具体的には、KPI(Key Performance Indicator)に基づいて、売上高、顧客満足度、利益率など、多角的な視点からデータを分析します。このような多次元的な分析は、経営者がより総合的なビジネス判断を下す際に不可欠です。
例えば、データマイニングでは以下のような分類を行います。
- 売上高の高い顧客と低い顧客
- 売れ行きの良い商品と良くない商品
- 利益率の高い商品と低い商品
条件の設定は自由に行えるため、同じデータからでも何通りにも分類できます。データマイニングはビジネスにおいて高度なデータ分類とインサイト抽出が可能であり、その活用は経営戦略において不可欠です。
データの関連性を見つける
データマイニングを行うことで、データの関連性を新たに発見することができます。データマイニングは隠れたデータの関連性を明らかにし、それをビジネス戦略に活かすことができます。
例えば、データマイニングによる相関分析を行うことで、販売データと顧客属性データの間に存在する関連性を詳細に解明することが可能です。商品ごとの種類や特徴、販売が伸びる時期、価格帯と購入している顧客の属性を照らし合わせていくと、共通点を見つけ出すことができます。このようなインサイトは、ターゲットマーケティングや商品開発に直結します。
さらに、データマイニングは異種データの統合分析も可能です。これは、販売データ、顧客属性データ、季節性データなど、異なる種類のデータセットを一元的に分析する手法です。このような統合分析により、一見無関係に見えるデータ間の新たな関連性を発見することができます。
データマイニングはデータの関連性を高度に分析し、その結果をビジネス戦略に有効に活用することができます。一見するとあまり関係がなく、これまで気づくことができなかった意外な関係性に気づくことができるかもしれません。その共通点を深めていくことで新たなアイデアやサービスの開発、マーケティング施策に繋げることができます。
データの分類、及び関連性分析に使われる手法クラスタリングについてはこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
結果の予測ができる
データマイニングによって見つけ出された情報を分析することで、結果の予測を行うことができます。データマイニングの事業活用において、結果の予測は経営戦略において非常に重要な要素です。
データマイニングは感覚的な仮説を数値に基づいた確固たる予測に変換する能力があります。「おそらくこうなるだろう」と思っていたことが、データマイニングを行うことで意外な結果を生むことも出てくるでしょう。
例えば、飲食店で「暑くなるとビールが売れる」という感覚的な予想は以前から存在したことでしょう。しかし、データマイニングでデータを集めて解析すれば、「18時の気温が30度を超えるとビールの売り上げが10%上がる」というように、予想に対するデータの裏付けが取れるかもしれません。その予測を基にマーケティング・営業等でのアプローチに活かすことができるようになります。
また、データマイニングは機械学習アルゴリズムを活用して、より高度な予測モデリングも可能です。これにより、「おそらくこうだろう」という曖昧な仮説を、確率論的な手法で精度の高い予測に変換することができます。
もちろん、予測はあくまで確率的なものであり、外部要因による影響を完全に排除することはできません。データマイニングは感覚的な仮説を科学的な根拠に基づいた予測に変換し、その結果をビジネス戦略に有効に活用することができます。
異常値を検出できる
異常値検出はデータセット内の異常なパターンや外れ値を精確に特定し、事業リスクの低減や効率向上に活用することができます。
異常値検出アルゴリズムは一般的にはクラスタリング、分類、最近傍法(K-NN)などの手法を用います。例えば、金融業界でよく用いられるのが、クレジットカードの不正利用検出です。ここでは、ユーザーの過去の取引データを基に、新たな取引が正常なものか異常なものかをリアルタイムで判断します。
また、製造業においては、品質管理の一環として異常値検出が行われます。例えば、センサーデータを用いて、製造ライン上の異常な温度や振動を検出することで、未然に機械の故障や製品の不良を防ぐことができます。
異常値検出は多様な業界での事業リスクの低減や効率向上に貢献する強力なツールであり、その活用は事業成功において不可欠です。
関連記事:「異常検知とは?メリットや学習方法、手法、ディープラーニング活用を完全解説!」
テキストマイニングに使える
テキストマイニングは非構造化テキストデータから有用な情報を抽出し、ビジネスインサイトや戦略に変換する能力があります。
テキストマイニングは自然言語処理(NLP)の技術を活用します。顧客のレビュー、ソーシャルメディアの投稿、オンラインフォーラムのディスカッションなど、多様なテキストデータを分析することが可能です。自然言語処理の活用事例をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
例えば、感情分析(Sentiment Analysis)を用いて、製品レビューから顧客の満足度を定量的に評価することができます。感情分析とは?どのように行うか?をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
また、トピックモデリングという手法を用いることで、大量のテキストデータから主要な話題やキーワードを自動的に抽出できます。これにより、マーケティングチームはどのような内容が顧客にとって関心が高いのかを素早く把握し、それに基づいてコンテンツ戦略を調整できるでしょう。
他にも、チャットボットの対話データを分析することで、よくある問題点や顧客のニーズを明らかにし、サービスの改善につなげることができます。チャットボットとは?活用されている事例をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
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データマイニングの代表的3手法
データマイニングの代表的な手法を紹介します。ここでは代表的な手法のみ紹介し、こちらの記事でその他にも多くあるデータ分析手法の使い方を説明します。
ロジスティック回帰分析
ロジスティック回帰分析とは、複数の要因から特定の結果が発生する確率を説明・予測する手法です。ロジスティック回帰分析の結果は、複数の要因から「Yes/No」「◯/✕」「当たり/外れ」など2択の回答で表されるのが特徴です。
また、ロジスティック回帰分析は以下の特徴があります。
- 不完全なデータは使用できない
- 数量データ2値のデータのみしか使えない
- 有意差のないデータは使用できない
そのため、対象データを整理・選別することが必須です。必要なデータの構造が単純で、かつ、大量であるため、AIによる機械学習での処理が適しています。
クラスター分析
データの類似度に基づいてグループ分けを行う手法です。クラスター分析はマーケティング活動の効率化に有効な手法であり、データ分析によって、グループ別に最適な提案を行うためのさまざまな情報を得ることが可能です。
AIの機械学習が適した分析手法のひとつで、AIでデータ同士の類似性・関連性を学習することでデータをいくつかのグループに自動で分類することもできます。
クラスター分析の例としては、顧客の客層ごとでグループ分けをして分析することや、良く売れている商品をグループ分けした分析です。グループ分けをすることで、小さな単位で分析しそれぞれの特徴を把握できることや、グループ同士の特徴を比較するといったことができます。
マーケットバスケット分析
マーケットバスケット分析とは、属性の異なるデータ間での相関関係を見つけ出す分析手法です。アソシエーション分析とも言います。
マーケットバスケット分析は、関連性のなさそうな情報同士の相関性を発見するのに適した手法です。
マーケットバスケット分析の有名な例として「おむつとビール」がよく知られています。これは、マーケットバスケット分析によって、大手のスーパーマーケットでおむつを買う人はビールも一緒に買う傾向があることがわかったというものです。この分析結果を調査してみると、子供のいる家庭では母親はかさばる紙おむつを買うように父親に頼むケースが多いことが分かりました。そして、父親はおむつのついでに缶ビールを購入していたことがわかりました。
上記の分析結果に基づき、おむつ売り場にビールを置いたところ、売り上げが伸びた事例です。このように、マーケットバスケット分析でデータの相関関係を見つけ出し検証することで、マーケティングに活用できます。
データマイニングとAIはどう使い分ける?
データマイニングの目的は、整理されていない膨大なデータから、有用な情報を抜き出すことです。データマイニングによってデータの分類や関係性を分析し、それらを基にデータの予測を行うことができます。一方、AIは機械学習によってビッグデータからパターンやルールを自動的に発見し、学習を基にデータの予測を自動的に行う技術、または手法です。
データマイニング、AIどちらも大量のデータを分類・整理し、分析を目的とする、またはそのための技術という点で相性が良い概念です。無造作な大量のデータを有用に活用できる点で共通しています。
一方、データを分類・整理・分析した結果をどのように活用するかという点で異なります。データマイニングは、仮説を裏付けるためのデータの整理・分類や、整理結果の事実検証を行います。そして、これらを基にマーケティング戦略や経営戦略などの重要な意思決定を行うことが主たる目的です。
AIの主な目的は、パターンやルールの発見から、予測・判断までの一連のプロセスの自動化を行うことです。学習した情報からAIを使って、マーケティング等の自動予測を行うこともできれば、顧客対応や製造部門でAIが自ら判断して処理を自動化することも可能になっています。
データマイニングとAIは深い関係にあり、データマイニングに機械学習技術を取り入れることは普通になってきました。逆に、機械学習にデータマイニングの技術を逆流させてAIの精度を上げる動きもよく見られます。実際の現場では、両者の得意分野や違いを補うために組み合わせることで、より精度や処理速度を向上させることができます。
データマイニングに機械学習を導入するメリット、活用例をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
分野別!データマイニング活用例4選
データマイニングがどのように活用されているのか、代表的な以下の4つの分野で紹介していきます。
- 小売分野
- 金融分野
- 製造分野
- 医療分野
小売分野
小売分野においては、販売や顧客、さらには天候データ、お客様の声など多種多様なデータを分析し、店舗運営に活かすことができます。データマイニングで一番想像がつきやすい分野ではないでしょうか。「おむつとビール」は特に有名な例です。
また、店頭での情報収集以外にも、店舗で利用できるアプリなどから収集した登録情報等のデータからデータマイニングを行うことができます。
データマイニングで様々な情報を分析し、商品の仕入れや時期、客層に適したアプローチを行い売り上げを伸ばしていきます。アプリから収集した登録情報や購入履歴などのパーソナル情報から、個人に合わせたお得な情報やおすすめ商品の紹介などのマーケティング戦略などにも役に立ちます。
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金融分野
金融分野では、データマイニングを与信審査や見込み客の分析・アプローチで活用しています。具体的には以下のように使用されています。
- 消費者ローン与信審査
- 住宅ローン与信審査
- クレジットカード不正利用の発見
- 住宅ローン見込み客の推定
- 金融商品の提供
顧客の勤務先、キャッシング履歴など顧客の属性から与信審査を行い、融資の可否を推定できます。その他にも、クレジットカードの購入額や日付の利用履歴を分析して不正利用を見つけることや、顧客の属性などを分析して見込み客を推定し金融商品をアプローチすることに活用されています。
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製造分野
製造分野では、製造設備の分析にデータマイニングが活用されることが多いです。特に機械のメンテナンス効率化に用いられています。
機械の稼働データや製造量などのデータを収集・蓄積し、データマイニングを行います。どのようなタイミングで、どのような箇所に故障が発生しやすいかなどを分析することで機械のメンテナンスに役立てることができます。
製造分野では、データマイニングとAIを活用した異常検知により、事前に不具合や故障を検知できる技術活用する場合も多くあります。
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医療分野
医療分野でのデータマイニングは「この症状はこの病気の可能性が高い」「ある薬を飲んでいる患者は別の薬が効きにくい」というような関連性の発見に用いられています。医師の経験や専門分野によって知見が異なる場合もあります。
そのような医療分野でもデータマイニングが有効に活用されています。病気の症状や薬の効果などの膨大なデータを分析し、関連性を整理・発見することで、経験や専門分野の違う医師でも正確な診断が可能となります。また、薬の開発にもデータマイニングは活かすことができるでしょう。
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データマイニングについてよくある質問まとめ
- データマイニングとは
データマイニングとは、大量のデータから有益な情報、価値ある知見を抽出する技術や手法です。「マイニング」は「採掘する」という意味で、データマイニングは近年のAIやビッグデータ、IoT技術の発達で注目されるようになりました
- データマイニングでできる5つのこと
データマイニングでできることは以下です。
- データを分類できる
- データの関連性を見つける
- 結果の予測ができる
- 異常値を検出できる
- テキストマイニングに使える
まとめ
データマイニングは、整理されていない大量のデータを整理・分類し、データ同士の関係性を把握することができる技術です。その結果を分析することで、マーケティングや経営判断に役立てることができます。
データマイニングはAIとの関係が深く、両者共にデータを整理して分析を行うという作業は共通しています。そのため、データマイニングにAIを取り入れることやAIにデータマイニングの手法を組み込むことも多くあります。しかし、データマイニングは分析結果を人が判断するのに対して、AIは人手不足・生産性向上のために、判断を自ら行い自動で処理するという点で異なることを理解しておかなければなりません。
データマイニングは様々な分野で活用されており、新たな商品やサービスの開発や顧客の拡大、販路拡大など企業の発展には欠かせない技術となるでしょう。
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