最終更新日:2023-07-05
ヘルステックのファストドクターとAIベンチャーのオルツ、医師国家試験に合格可能な生成AIを共同開発
ファストドクター株式会社は、2023年4月6日、医師国家試験問題の合格基準を満たす生成AIを株式会社オルツと共同開発したと発表した。
ファストドクターは、医療プラットフォームの運営などを手がけるヘルステック企業だ。今回開発されたAIは、AIベンチャーであるオルツが保有する大規模言語処理モデル「LHTM-2」を用いたものであり、2022年度医師国家試験において合格基準を超える82%の正答率を達成。禁忌選択問題を通過するレベルの知能も備えている。
<本ニュースの10秒要約>
- 「GPT-3」などと同水準の大規模言語処理モデル「LHTM-2」をベースとして、医療AIを開発
- 2022年度医師国家試験において合格基準を超える82%の正答率を達成、禁忌選択問題も通過
- 診療品質向上や診療外業務の生産性向上、病気の発症予測や早期発見などでも、医療AIで貢献
医学生が「ChatGPT」に医師国家試験の過去問題を解かせたことに注目
ファストドクターは、「生活者の不安と、医療者の負担をなくす」「不要な救急車利用を3割減らす」という理念を掲げてヘルステック事業を展開している。運営するプライマリ・ケア医療プラットフォーム「ファストドクター」では、全国7,000万人の利用者に対応。患者のみならず、医療・介護施設や自治体、公的研究機関や製薬・保険企業などに向けて、医療体制の構築や医療データ活用といった多様な価値を提供してきた。
同社は2023年2月、医学生がOpenAI社のAI「ChatGPT」に医師国家試験の過去問題を解かせたことに注目。この際の正答率は55%に留まり、合格基準にこそ達しなかったが、多くの人々がAIの情報処理能力を認識する結果となった。同社もまた、「ChatGPT」のような対話型AIが将来的には医療現場において医師の診療支援を行う可能性があると判断。この可能性の検証を進めるべく、AIベンチャーであるオルツと共に生成AIを開発するに至った。
臨床医による品質チェックや画像認識も組み合わせ、禁忌問題の正解を可能に
ファストドクターとオルツが共同開発した医療AIは、オルツの大規模言語処理モデル「LHTM-2」がベースとなっている。
「LHTM-2」は、OpenAI社の大規模言語処理モデル「GPT-3」などと同水準のパラメータ数で構成され、機械翻訳/自動要約/テキスト生成/対話など様々な用途に利用できるモデルだ。オルツはこの「LHTM-2」を同社サービスと組み合わせることで、より精度の高い議事録の自動作成や、より自然でパーソナライズされた対話も実現している。
「LHTM-2」を用いて医療AIを開発する際に両社は、学習範囲を医学部の教科書/医学書/過去問題集/模試などに限定。また、臨床医による品質チェックや画像認識も組み合わせることで、禁忌問題の正解も可能にした。
臨床経験と最先端技術を組み合わせる形で、医療AIの開発を継続
両社が開発した医療AIは、2022年度の医師国家試験において82%の正答率を達成し、合格基準を超える知能を示した。また、全400問中約10問設置されている禁忌選択問題についても通過し、「医師国家試験の合格基準到達」を文字通り実現している。
両社は今後も、ファストドクターが持つ豊富な臨床経験とオルツが持つ最先端技術を組み合わせる形で、医療AIの開発を続ける予定だ。診療品質の向上や診療外業務の生産性向上だけではなく、病気の発症予測や早期発見などにもついても、医療AIによる貢献を目指すとしている。
参照元:PRTIMES
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