最終更新日:2024-09-23
音声による感情分析とは?導入メリット・デメリットやコールセンターだけではない活用事例を解説
感情認識AIの急速な発達により、声に表れる人間の感情を精度よく分析できるようになってきました。これによって、AIによる音声感情分析を使い、著しい成長を遂げる企業が増えています。
感情分析は、コールセンターのように顧客と直接関わる仕事だけでなく、マーケティング分野でも活用例も増えてきています。また、顧客だけでなく、内部の従業員に対しても使い、社内ガバナンスや人材育成(HR)やマーケティングなど様々な分野でも活用が可能となっています。
実際、音声から感情を分析することで、あらゆるシチュエーションにおいて適切に対処することができます。
本記事では、AIによる音声感情分析の導入注意点やコールセンターや他の業界での活用事例を解説します。
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目次
音声の感情分析とは?
音声の感情分析とは、AIが人間の声を分析し、感情を読み取るテクノロジーです。人間の様々な感情を察知し、喜怒哀楽を解析します。人間のコミュニケーションにおいては、口から発される言葉の字面だけでは理解できない気持ちや感情もあります。ですから、感情分析は様々な場面で非常に効果的なのです。(用語解説:感情分析とは)
話し手の感情を正しく把握することができれば、問題が発生した際でも迅速に解決可能です。音声の感情分析を活用すれば、業務を効率的に進めていくことができます。今の段階で導入しておくことで、競合企業と差を付けられる可能性が高いです。
AIによる感情分析には音声のほかにもテキスト、表情、生体情報(血圧や脈拍など)など様々な分析対象があります。音声感情分析以外の感情分析の種類、メリットについてはこちらの記事をご覧ください。
AIによる音声感情分析の仕組み
AIによる音声感情分析は、音声の周波数、大きさ、ピッチ(速さ)を分析することによって発話者の感情を認識する仕組みです。分析する流れとしては、最初に音声の周波数成分をスペクトル解析します。そして音声特徴を抽出し、その結果を分類するのです。
この過程を繰り返すことによって基準のデータを作成し、それに基づいて感情を分析します。基準のデータが多ければ多いほど、正確に人間の感情を読み取ることが可能です。分析力が上がれば、実際に人間がコミュニケーションを行う場面で活用できるようになります。
音声の感情分析では、AIの音声認識技術を活用します。AIによる音声認識の仕組みについてはこちらの記事で分かりやすく解説しています。
AIによる音声感情分析は、特定の言語に依存することなく、声の大きさや抑揚などを分析して感情を認識します。ですから、声だけで会話を行わなければならない仕事で大いに役立つでしょう。
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AIによる音声感情分析のデメリットは?
AIによる音声感情分析は、非常に便利でビジネスシーンでも活用可能です。しかし、デメリットがあるのも事実です。最も大きなデメリットは、必ずしも正しい感情を読み取れるとは限らないことです。
AIが音声感情分析を行う際には、音声の周波数成分毎の変化を検出し、それを分析します。基準のデータを増やし、正確性を上げることは可能ですが、人間の声による感情には様々なパターンがあります。そのため、全て正確に読み取ることはできないのです。
AIが感情の大まかな部分を解析して、人間もサポートすることで、より正しい感情分析を行うことが可能です。感情分析をAIだけで行うか人間も含めて行うかは、シチュエーションによって使い分ける必要があります。
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コールセンターでの音声感情分析活用メリットは?
音声感情分析は、コールセンターで活用されることが多いです。コールセンターでの音声感情分析活用メリットとしては、次のようなものがあります。
- オペレーターの離職率軽減
- スーパーバイザーの作業効率化
- VOC収集・分析を効率化
それぞれのメリットを説明します。
オペレーターの離職率軽減
コールセンターで音声感情分析を行うことによって、オペレーターの離職率を軽減させられます。顧客と通話しているオペレーターに対して音声感情分析を行い、適切な処置を行うことが可能です。オペレーターの精神状態が良くない場合、管理者がフォローを行えます。
具体的には、スーパーバイザーが代わりに対応したり、通話終了後にメンタルケアを行ったりなどです。フォローを行うことでオペレーターの精神的な負荷を減らし、結果的に離職率を軽減させられるのです。
オペレーターが働きやすい環境を整え、人材が長期的に活躍できるようにすることが重要です。コールセンターではオペレーターは必要不可欠な存在です。人材の新規採用・退職手続きには時間や労力がかかるため、離職率を軽減させることはオフィスの全体最適化に重要になります。
スーパーバイザーの作業効率化
オペレーターの負担を減らすだけでなく、現場管理者(スーパーバイザー)の作業効率化も可能です。スーパーバイザーは各オペレーターの会話状況をチェックしていなければなりません。これではスーパーバイザーの負担が重くなります。
音声感情分析を使えば、精神状態が良くない顧客(またはオペレーター)をリアルタイムで発見できます。スーパーバイザーがオペレータの対応を事細かにチェックする必要がないのです。
音声感情分析によって、スーパーバイザーの人数が少なくても常時十分に対応できる環境を作ることができます。可能な限りスーパーバイザーの負担を減らして作業効率化を目指したい企業には、音声感情分析は必要不可欠です。
VOC収集・分析を効率化
コールセンターで音声感情分析を導入すれば、VOC収集を効率化できます。VOCはVoice of Customerの略で、顧客からの意見や問合せ内容、オペレーターが聞き出したニーズなどといった声を収集した情報を指します。最近はコールセンターに寄せられる要望やクレームだけでなく、アンケートへの回答やSNSやブログにおけるレビューなど様々なソースからの情報が含まれます。
さまざまなソースから届けられる顧客の声には、自社の商品・サービスの改善につながるヒントやアイデアが多数含まれています。商品やサービスの品質向上を通して、顧客の満足度をさらに高めるためにVOCをどう活用するかが重要です。
音声データをVOCとして活用するには音声感情分析が欠かせません。単なる文字起こしデータでは顧客の声の奥に隠されたニーズは見えないでしょう。また、膨大な音声データを解析するにはAIによる解析が効率的です。
実際の会話での顧客の声をより詳細に分析すれば、より正確にVOCを理解可能できるでしょう。
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コールセンター以外での音声感情分析の活用事例は?
音声感情分析は、コールセンター以外でも活用可能です。コールセンター以外での音声感情分析の活用事例としては、次のようなものがあります。
- 顧客の意見を聞いて成約率・受注率向上
- クレーム解析で顧客満足度向上
- 人事採用で面接を効率化
- 企業内部監査で発言解析
- 電子デバイスと人のコミュニケーション効率向上
- 従業員のストレスチェックに活用
それぞれの活用事例を説明します。
顧客の意見を聞いて成約率・受注率向上
音声感情分析を使って、顧客のコメントから熱意や感情の動きを把握することで、昨今SaaS事業者に普及し始めているインサイドセールスチームにおけるアポイント獲得率や成約率、そして受注率などの各KPIを向上させられます。顧客がサービスの導入を検討している際に、音声感情解析を使用して本心を把握することで、成約率や受注率向上に最適な対策を実施可能です。
サービスの導入に前向きな顧客には積極的な売り込みを行い、あまり興味を持っていない顧客には売り込みを控えます。その代わりに自社商品と競合の商品の周辺情報、市場の傾向などをシェアすることで興味が増すタイミングを待つことができます。そうすれば、企業の印象を悪くすることなく、成約率と受注率の向上に繋げられます。
また、営業マンが顧客との交渉の際に、顧客の感情の動きをモニタリングすることによって、購買意欲を分析できます。これは次の営業戦略に役立てることも可能です。成約率と受注率を向上させれば、利益の増加に繋がります。
クレーム解析で顧客満足度向上
音声感情分析で顧客からのクレームを解析することで、顧客満足度を向上させられます。顧客のクレームの抽出に活用することで、サービスや商品を改善します。
音声感情分析によって、言語化されていないクレーム内容を可視化することができます。例えば「Aボタンを使えない」というクレームがあるとします。しかし、実際には「Aボタンを使わざるを得ない状況」に対するいら立ちや怒りの方が大きいかもしれません。
言語化されているクレームについても、なぜ顧客が怒っているのかを分析し、原因を追求します。これによって、次回以降は同じことを繰り返さず、結果的に顧客満足度を向上させることが可能です。顧客が何に対してクレームをつけるのかを把握し、応対品質を高めることが重要です。
人事採用で面接を効率化
音声感情分析によって、面接を受ける人の正確なパーソナルテストを行って人事採用を効率化可能です。従来であれば主観的にしか評価できなかった面接相手とのコミュニケーションを可視化し、より深く相手を理解できます。
面接の際の会話音声に含まれる感情を解析してパラメータ化し、パーソナリティをいくつかに分類して客観的に診断します。面接の質問に回答する話し手の感情の推移を可視化し、深層感情に基づいたパーソナルテストを行えます。
AIを使うことで、感情の分析だけでなく社交性やコミュニケーションスキルも解析できます。他にも業務への適性や成長意欲なども把握可能です。質問に対してどのように感情が動いているかを観察し、そこから効率的に人材の適性を判断できるでしょう。
企業が求める人材を採用できる可能性が高まりますし、採用の基準を可視化できるのでHR部門の負荷を軽減可能です。面接を受ける側にとっても、入社した後に社風に合わないと言ったアンマッチのリスクを避けられます。
企業内部監査で発言解析
音声感情分析により、企業内部監査で発言解析して企業と社員を守ることが可能です。声の微妙な特性に反映されるあらゆるタイプのストレスレベルや認知プロセス、そして感情的反応を識別します。AIを活用し、声の中に隠れた感情パターンを検出できます。
音声感情分析は、普段は気付けないコミュニケーションにおける精神状態や感情の反応を識別し数値化します。場合によっては、内部監査で情報を隠蔽しようとする社員が現れることもあります。悪意がなくても、不要な忖度や一時的な精神的パニックでそうしているのかもしれません。そういった場合、従来は見抜くことができなかった嘘や間違いを音声感情分析で見抜けるでしょう。
音声感情分析によって情報を隠蔽できないようにすることで、会社をクリーンな状態に保つことが可能です。
電子デバイスと人のコミュニケーション効率向上
音声感情分析によって、ロボットやスマホなどの電子デバイスと人間のコミュニケーション環境を向上させられます。例えば、富士通株式会社は株式会社Empathが手掛ける「Empath」というサービスを導入しています。これは、音声等の物理的な特徴量から気分状態を独自のアルゴリズムで判定するプログラムです。
Empathは数万人の音声データベースを元に、喜怒哀楽や気分の浮き沈みを判定します。富士通では、デバイスと人が自然なコミュニケーションを取ることを実現するために「ロボットAIプラットフォーム」でこの技術を採用しています。ロボットにおける音声対話に感情解析技術を活用しており、ロボットのコミュニケーション力向上に役立っています。様々な対話パターンを有した対話を提供するため、飲食店の接客でも活用可能です。
従業員のストレスチェックに活用
音声感情分析は、リモートワークの定常化で問題となっている従業員のストレスチェックにも活用できます。新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの企業でリモートワークが実施されています。
リモートワークは出社する必要がないため便利ですが、その分ストレスを抱える人が多いのも事実です。社内にいるときのように上司や同僚とスムーズにコミュニケーションをとることができず、ストレスを抱えやすい状況と言えます。オンライン会議の時間は限られているため、自分の精神状態を伝える時間がないと考える従業員もいます。
オンライン会議での様子だけで参加者のストレスを把握することは難しいですが、音声感情分析ならストレスを把握可能です。知らず知らずのうちにストレスを溜め込んでいる従業員のために、音声感情分析をストレスチェックに活用するのが良いでしょう。
感情認識AIを開発して、実際にサービス化している企業の実例についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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音声による感情分析についてよくある質問まとめ
- AIによる音声感情分析の仕組みはどのようなものですか?
AIによる音声感情分析の仕組みは以下の通りです。
- 音声の周波数、大きさ、ピッチ(速さ)を分析
- 音声の周波数成分をスペクトル解析
- 音声特徴を抽出し、結果を分類
- 基準データと照合して感情を判断
- コールセンターで音声感情分析を活用するメリットは何ですか?
コールセンターでの主な活用メリットは以下の3点です。
- オペレーターの離職率軽減
- スーパーバイザーの作業効率化
- VOC(Voice of Customer)収集・分析の効率化
- 音声感情分析のコールセンター以外での活用事例にはどのようなものがありますか?
コールセンター以外の主な活用事例は以下の通りです。
- 営業での成約率・受注率向上
- クレーム解析による顧客満足度向上
- 人事採用での面接効率化
- 企業内部監査での発言解析
- 電子デバイスと人間のコミュニケーション向上
- 従業員のストレスチェック
まとめ:音声感情分析で競合に差をつける
音声感情分析は、今後益々多くの企業で導入されると考えられます。コールセンターだけでなく、あらゆる分野で活用できます。
顧客の精神状態を把握したり、従業員のストレスチェックをしたりなど、用途は様々です。音声感情分析をうまく活用することで、業務効率化を実現可能です。
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- 開発スケジュールの立て方が分からない
- 開発会社の比較・選定に迷っている
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