最終更新日:2023-03-10
営業部門でのAI活用事例8選!KPI分析・トーク分析・自動セールス解説【2023最新版】

営業とは企業の販売活動を指します。銀行、保険、製薬などのいろいろな営業がありますが、特定の業種に限らず販売を行う企業であれば、多くの企業に営業職は存在しているでしょう。得意先を回って顔つなぎをして、商品の紹介をしたり売り込みをしたり、また新しい得意先の開拓も行います。
AI(人工知能)が活用されるようになると、営業はなくなる仕事なのではと言われています。テクノロジーの発達により営業は比較的消滅の可能性は高いでしょう。しかし、それは今の主流である飛び込み営業や、電話やメールなどで販売攻勢をかけるといった手法が転換するのではということを意味しています。
そのため、営業の仕事の中にもなくならない仕事はたくさんあるでしょう。企業の販売活動がなくなることはないでしょうから、AIをパートナーとして活用することでよりよいセールス活動へと転換していくことが実現できるかもしれません。
AI Marketでは、
貴社に最適な会社に手間なく数日で出会えます
営業にAIを使った具体的な活用方法やメリット
まずは具体的にAIを営業に活用する方法やメリットを見ていきましょう。
チャットボット等による業務効率化
自然言語処理の技術が進展したことにより、チャットボットの精度は格段に向上しました。チャットボットはカスタマーサービスとして、顧客の問い合わせ対応に使われることが多いですが、自社での業務効率化に使うこともできます。
例えば、営業担当者が出先からスマートフォンで話しかけることで、報告内容をAIが聞き取って整理し、データ化するシステムがあります。業務記録などをデータ化することで営業支援に役立つでしょう。
社内外での問い合わせにも自動応答するシステムでは、システム部門や総務部門などの社内問い合わせの対応の軽減にもなります。
どの商品がどの市場(客)に売れるか、ターゲット精度を向上
飛び込み営業が難しかったり、電話やメールのアポイントを取ろうとしても担当者までたどりつけなかったりと、最近では商品やサービスを売り込むことが難しくなっています。
そこで、売りたい商品がどのような市場や客に売れるのか、高い精度で選び出してくれるAIが登場しています。ターゲットを絞ることで、効率よく一気に営業をかけることができます。
BtoB企業にとっても見込み客を獲得するためのセミナー開催ができないことも多く、効率的に新規顧客を開拓することがこれからの成功の鍵となるでしょう。
商談の音声の分析による、評価と改善案提示による営業の質の向上
営業は属人性が高く、実際の商談の場ではどのような会話がなされているのか、営業担当者本人しか分からないことも多いです。このような営業トークのブラックボックス化は営業部門にとっての大きな課題です。
営業担当者の主観的な報告だけを上司が受けたとしても、評価がしにくいために次へ生かすための要因分析や改善案の提示が難しい問題がありました。
そこで、商談での音声をAIで解析しデータ化することで、属人的になっていた営業活動を可視化することができます。また、会話の要素を定量的に評価できるので、分析によって次の商談に向けての振り返りや改善案の提示にもつなげられ、営業の質の向上も可能でしょう。
営業でのAI活用事例やAIサービス8選
営業でAIを実際に活用している事例を8例ご紹介します。
みずほ銀行/人工知能の活用による営業部門のセールス力向上

金融グループの株式会社みずほフィナンシャルグループ、メガバンクの株式会社みずほ銀行、大手電機メーカーの株式会社日立製作所は、AIを活用したセールス力の向上や、業務効率化に向けた実証実験を行いました。
日立のAI「Hitachi AI Technology/H(AT/H)」を活用して、みずほ銀行営業部門のセールス力の向上と、企画部門での業務効率化を目指す取り組みです。
営業部門の行員を対象に、PCの操作時間、メール送受信の回数、出退社時間、顧客への訪問回数といった行動履歴のデータと、若手ベテランの行員比率、社内での資格の取得数などの組織の属性データ、日立が開発した名札型のウエアラブルセンサーを着用して取得した身体運動の特徴パターンなどの行動データをAT/Hによって分析します。

これにより営業部門のKPIである売上額や新規契約獲得数などと相関性の強い要素を抽出して、分析結果から営業部門のセールス力の向上への取り組みを検討していきます。
また、KPI設計やAIによるKPI分析に関してはこちらの記事でまとめていますので、ご参考ください。
大塚商会/「営業×AI」の力でスマートセールスの推進

オフィスサポート業務を手掛ける株式会社大塚商会は、大手電機メーカーの株式会社日立製作所のAI「Hitachi AI Technology/H(AT/H)」を活用して、営業支援機能を強化しています。
大塚商会では現場から集められた膨大な量のデータを分析して、経営環境の変化に柔軟に対応しながら、顧客との関係強化や生産性の継続的な向上につなげています。
大塚商会では営業活動における活動効率と顧客満足度の向上を目指して、独自のSPRという顧客管理・営業システムを導入しており、顧客のプロファイル、取引履歴、提案状況、顧客の困りごとなどのさまざまなデータを20年以上にわたって、日々営業現場から蓄積しています。
顧客数が増え続け、ビジネス戦略や業務内容も複雑化し、顧客ニーズをタイムリーに捉えた価値のある提案を行うためには、これらのデータの分析精度や量、スピードを向上させる必要がありました。そのため、AIによる顧客情報の分析を営業活動に生かす取り組みをいち早く行ってきました。
そんな大塚商会がAIを活用していく中で、日立のAT/Hに注目したのは、「AIが出した結果を人間が理解できるアウトプットの方向性が示されていたから」という点です。AT/Hではどうしてそのような分析結果が出るのか、人間が読み解ける示唆として出力可能です。これにより、現場の営業担当者もAIの分析結果に納得感を持って営業活動してもらうことができるようになったということです。
営業活動におけるベストプラクティスをAIが提示してくれることにより、「どのお客様を訪問すればよいか」など、一人ひとりに合った形で提案してくれます。
日本生命/成約率の向上をKPIに、AIが適切な提案活動をアドバイス

生命保険大手の日本生命保険相互会社は、株式会社日立製作所のAI「Hitachi AI Technology/H(AT/H)」を使って、ビッグデータからの成約率向上と相関性の高いアドバイスの自動生成を可能としました。
日本生命では職員が営業の際に使用する携帯端末に、適切な提案活動を行うためのメッセージ配信をする「訪問準備システム」を搭載しています。約1,000万人の顧客情報を統計分析し、約500ごとに細分化したセグメントの加入傾向やニーズを抽出、個々の顧客に合わせた約2,000種類のメッセージを表示します。営業経験が少ない職員であってもアドバイスに従って適切な提案ができるために、営業レベルの標準化や底上げを図ることが可能です。
そこに、さらなる分析の高度化が必要と感じ、AIなどの先進的な技術活用を積極的に検討していきました。同社では、膨大なデータの中から、今まで誰も気づかなかったような新たな視点の発見ができることを期待しています。
また、メッセージは基本的に人手で作成しているために、一連の作成作業に多くの労力と時間がかかっていました。AT/Hでは、大量の数値データから規則性を見つけてデータを自動区分けしペアリング、KPIと相関性の高い特徴量(説明変数)を生成可能です。自動的に特徴量を生成するため、人の勘に頼らない新たな仮説を導き出すことができます。
保険の成約率の向上に影響する要因を、複数のパターンで発見し、スキルに依存しない業務の標準化などに期待できると判断したために、本番環境での活用もスタートさせました。
キャリアデザインセンター/GeAIneの導入

AIソリューションを手掛けるエッジテクノロジー株式会社はAIを用いた営業支援システム「GeAIne」を開発しており、転職サイトの運営を主軸とする人材採用の総合サポート企業の株式会社キャリアデザインセンターが導入しています。
キャリアデザインセンターでは、転職サイトへの掲載、転職フェアの出展に関する企業からの問い合わせ獲得のために「問い合わせフォーム営業」に力をいれています。この問い合わせフォーム営業を効率的に行うためGeAIneを導入しました。
主な機能には「営業文章の自動送信」「営業リストの取得」「AIによるおすすめ企業分析」「ABテスト&クリック通知」があります。四半期単位で結果を見たところ、問い合わせベースが120%増加したということです。
また、GeAIneの機能の一つである「おすすめ企業リストの作成」を活用しているということで、問い合わせ獲得をしたフォーム送信の中で、初送の返信が圧倒的に多かったので、できる限り新しいリストを用意して送るようにしましたが苦戦していました。そこでおすすめ企業リストの作成を活用したところ、毎月400件のリストを用意でき、非常に助かったということです。
また、一度に大量の営業メールを送ることができるのは助かっており、一定量送ることで問い合わせにつながる傾向も分かってきて、今後のメールマーケティングの参考となるノウハウが社内に蓄積できるという成果も得られています。
横浜銀行/営業応接記録チェック機能の開発

地方銀行最大手の株式会社横浜銀行は、AIでのデータ解析を手掛ける株式会社FRONTEO、株式会社インテックなどと共同で、金融商品の販売の際の顧客とのやり取りを記録する営業応接記録の専用システムを開発しました。
AIによって営業応接記録を一次チェックすることで、確認者の負担の削減が可能です。横浜銀行の導入しているインテックが開発したCRM「F3」に、FRONTEOが開発した自然言語処理エンジンの「KIBIT」をAPI連携しました。
営業応接記録に記録された各項目の文章をKIBITが観点ごとにスコア付けを行い、KIBITによる評価が表示されます。これにより、役職者のチェック負荷の削減や、チェック品質の標準化を行うことができます。
星野リゾート/プロセスの最適化でキャンセル率50%減を実現

リゾートホテル運営を手掛ける株式会社星野リゾートのブライダル事業は、AI機能を持つクラウド型の顧客管理・営業支援システムの「Zoho CRM」を導入しています。
従来ブライダル事業の営業現場では、エクセルで顧客接点情報を管理していましたが、情報共有のスピードアップや作業負荷の改善を目指してZoho CRMを導入しました。リアルタイムでの状況の可視化で、来館への情報共有や把握のスピードが早くなるために、客の状態やニーズが速やかに判断でき、客の意向に沿った接客が可能になったということです。
これまでは全国各地にある営業拠点で、情報の集約や集計をする必要があり、2週間に1度の更新が限度でしたが、2週間たってしまうと状況が動いてしまう可能性があり、タイムリーな状況判断は難しかったということです。またエクセル表には項目数も多く、入力が大きな負荷となっていました。
導入後はタイムラグがなくなり、毎朝、前日の成果や効果を確認可能になり、データ入力もヒアリングしながらその場でできるようになったことで作業時間が大幅に短縮しました。
BizteX/商談獲得コストの低減

定型業務の自動化ソフト(RPA)を提供するベンチャー企業のBizteX株式会社は、チャットボットを使った営業支援サービスを手掛ける株式会社チャットブックの「ChatBook」を導入しました。
ChatBookはAIが自動で会話できるサービスで、プログラミングの知識がなくても容易にチャットボットを開発できるノーコードが特徴です。企業の予算やニーズなどをチャットボットがあらかじめ質問するよう設定しておくと、営業担当者につないでスムーズな商談も進められます。
BixteXでは有効リードの獲得単価がリスティング経由に比べて6分の1に抑えることができたということです。また、ChatBook経由でとれる商談は代表や役員クラスが多く、狙いたい業種もとれていることから商談効率も非常に良いということです。
Yappli/MiiTelの導入

AIによる営業電話の音声分析サービスを手掛ける株式会社RevCommが開発するAI搭載型クラウドIP電話「MiiTel」を、アプリ開発をノーコードで提供するアプリプラットフォームを手掛ける株式会社Yappliが導入しました。
MiiTelは音声解析AIを搭載しており、会話内容をAIが自動で解析し、会話要素を定量的なデータとして出力してくれます。電話営業に取り組む企業に向けた解析ツールで、リアルタイムな解析により、通話の中身を可視化しました。
YappliがMiiTelを採用した理由として、インサイドセールスにおけるすべての通話記録が残り、また音声品質に定評があったという点です。
MiiTelを活用し、架電数と通話内容を把握する方法で、主体的な振り返りを行っています。アポイントを獲得できた通話記録をメンバー共有し、聞き返して、トークの向上や研修に活用したりフィードバックを行います。
Yappliでは自主自立を重視しているために、通話記録はセルフコーチングとして、自分で分析しながら課題を発見していくことに利用しています。
まとめ
この記事では営業でのAI活用のメリットと実際に企業で導入されている事例を8例ご紹介しました。
データ入力の業務効率化や、ビッグデータを分析した新たな知見の獲得、音声解析やチャットボットを使用したものなど実にさまざまな事例がありました。
AIの活用はこれだけにとどまらずさらに発展を見せるでしょう。活用方法をぜひ参考にしてみてください。
◆AIの活用についてお悩みなら
AI Marketでは、
貴社に最適な会社に手間なく数日で出会えます
以下の記事では、AI MarketがオススメするAI開発会社も紹介しておりますので、ぜひこちらもご参考ください。
