最終更新日:2024-09-23
自然言語処理(NLP)とは?テキストマイニングに必須?仕組み・3つの活用事例徹底解説!
AIスマートスピーカーやチャットボットなど、AIによる自然言語処理(NLP)を活用したサービスが増えています。自然言語処理の技術によって可能になったLLM(大規模言語モデル)という用語も毎日のニュースで目にすることでしょう。自然言語処理技術を使えば、人間が普段行っているコミュニケーションを読み取ることで、テキストデータ解析や非構造化データの解析が可能です。
しかし、「自然言語処理って何?」「具体的に自然言語処理でできることには何があるの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、自然言語処理の概要から仕組み、できることを解説します。具体的に自然言語処理を活用した事例も解説していますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
自然言語処理とは
自然言語処理とは、NLP(Natural Language Processing)とも呼ばれており、自然言語をコンピューターで解析することを指します。自然言語は人が日常的に使用する言語のことで「話し言葉」や「書き言葉」のことです。
コンピューターやAIに物事を理解させるためには、プログラミング言語や数式などのコンピューター言語を用います。一方、人がコミュニケーションの際に用いる自然言語は、曖昧な部分が多く、文脈やシュチュエーション・人物によって意味が異なります。
そのため、コンピューターが自然言語を理解するには難しく、高度な技術が必要です。現在は自然言語処理技術が発展したことで、Siriやチャットボット、ChatGPTなど、多くの対話型AIサービスに自然言語処理の技術が活用されています。
ChatGPTの仕組み、活用事例についてわかりやすく解説している記事も併せてご覧ください。
音声認識技術と自然言語処理技術が組み合わさったSiri
Siriなど、音声を認識して、最適な回答を返してくれる技術は、音声認識技術と自然言語処理技術が組み合わされて実現されており、音声認識技術と自然言語処理は、非常に密接な関係にあると言えます。また、まったく新たな音声も生成できる音声合成技術とも関連性が深く、音声認識と自然言語処理によって音声合成は発展してきました。
音声合成に使われる技術や、AIによる音声合成の仕組みについては、こちらの記事で解説しています。
人が発した言葉を、音声として適切にテキスト化しようとする場合、その言葉の構造をAIが理解できていない場合、ただ単に「音」としてテキスト化してしまい、正しい「言葉」としてテキスト化できなくなってしまいます。
ここに自然言語処理技術が加わることで、人が発した言葉を「音」ではなく、意味を持った「言葉」として解釈し、適切な言葉としてテキスト化ができるようになります。
イメージがつかない場合は、例えばSiriなどに、わざと日本語を少し間違えて「今何時でずか?」と話しかけてみてください。Siriは、音のみを理解するのではなく、全体の音から「今何時ですか?」という言葉として理解して、現在の時刻を回答してくれるはずです。
コンピューター言語との違い
自然言語とコンピュータ言語の違いは、曖昧さの有無です。コンピューター言語ではプログラミング言語や数式など、解釈に変動がない言語を使用します。一方、自然言語は伝える人物や状況に応じて解釈が異なることがあります。
例えば、「クレジットカードが使えますか?」という表現を「クレカいける?」「カード使える?」「クレジットで大丈夫?」などと複数の表現で表したりします。
人間は普段から自然言語を利用しているため瞬時に最適な解釈を導き出せますが、コンピュータ言語を用いるAIには理解が難しいと言えるでしょう。
自然言語処理の仕組み
どのようにして自然言語処理を実施するのでしょうか。ここでは、自然言語処理を実施する際に用いる、解析の仕組みについて解説します。
形態素解析
形態素解析とは、言葉を単語に分けて解析する方法です。例えば、「僕はご飯を食べる」という文章に対して「僕」・「は」・「ご飯」・「を」・「食べ」・「る」など、それぞれの意味に分けて考えることで、文節間の関係性を明確にします。
形態素解析は主に「形態素解析エンジン」を利用して解析し、文章内の名詞や助詞を把握します。英語などは単語の間にスペースを入れますが、日本語にはスペースがありません。そのため、形態素分析を実施することで、複雑な意味を予測できるようになります。
構文解析
構文解析とは、形態素解析で把握した単語を繋げて関連性を解析する方法です。形態素解析は文節の係り受けを解析する「依存構造解析」と隣接する文章の関係性を解析する「句構造解析」の2つに分類されます。
依存構造解析は構文解析器を用いて、単語や文節の関係性をツリー状に表します。句構造解析は、文法をカテゴリ化し節点を中心としたツリーを形成する解析方法です。
構文解析の解析手段は、利用する自然言語処理によって異なるため、自然言語処理の利用目的に合わせて選択すると良いでしょう。
意味解析
意味解析とは、構文解釈した文に対して辞書を用いて意味を解釈する解析方法です。日本語は一つの文でも節点同士の関係性を変更することで、複数の解釈ができます。
コンピューターは「意味」を理解する概念がないため、自然言語上の意味を理解されることが重要です。単語間のつながりを考慮した意味を理解させることで、候補となる複数の解釈から一つを絞ることが可能です。
文脈解析
文脈解析とは、形態素解析と意味解析で得たデータを用いて、文と文のつながり(文脈)を解析する方法です。文脈はただ単語の意味を把握するだけではなく、つながりで発生する背景の処理が必要です。
しかし、コンピューターに文脈を理解させるのは非常に難しく、自然言語処理の課題と言われていました。近年では、照応解析や談話解析など、文脈を理解するための解析が進んでいます。
自然言語処理でできること
自然言語処理はコンピュターに理解させるのが難しく、まだまだ課題が存在します。しかし、自然言語処理技術が発達することで、これまでできなかったデータ処理が可能になってきています。
ここでは、自然言語処理でできることについて解説します。
大量のテキストデータ分析
自然言語処理を利用することで、人間では対応できなかった大量のテキストデータを分析・処理できます。特に自然言語処理を活用したテキストマイニングに活用でき、膨大なデータも瞬時に意味を理解して抽出します。
LLM(大規模言語モデル)にも活用されています。
自然言語処理技術によって可能になったLLMとは何か、どのような仕組みかこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
また、テキストデータを人間が目で確認した場合で、全てを覚えられるわけではありません。一方、自然言語処理は読み取ったテキストを記録した上で分析するため、これまでのデータと参照できます。
例えば、コールセンターなどのカスタマーサポートの現場において「電話に出るのが遅い」「オペレーターの言葉遣いが悪い」など、顧客から届いたテキストデータを記録・分析するため、ユーザーからどのような意見が多いか把握できます。
自然言語特有の文章が異なる場合でも意味が同じ内容を把握するため、これまでにないテキストデータ分析が可能です。顧客からのテキストデータが重要視される現場において、自然言語処理は非常に有効な手段と言えるでしょう。
動画や画像データの処理
自然言語処理では、動画や画像データなどの非構造化された情報も処理・解析できます。プログラミング言語や数値は、あらかじめ定められた内容に合わせて行や列が設定されています。
動画や画像データは型にはまった構造ではなく、複雑な情報が絡み合っているため、通常のコンピューターでは情報を処理できませんが、自然言語処理を利用することで解析が可能です。
現状のデータだけではなく、目的に合わせて追加情報を与えて機械学習を施すことで、さらに高度な自然言語処理を実現できます。これらの機能を組み合わせて自然言語処理を活用することで、今まで解析できなかった動画や画像データに対応できるでしょう。
自然言語処理の活用事例
自然言語処理を利用することで、これまで対応できない部分も実現可能になります。ここでは、具体的な自然言語処理の活用事例について解説します。
テキストマイニング
テキストマイニングを実施する際は、自然言語処理を有効活用できます。テキストマイニングとは、整理されていないテキストデータを抽出し、分析する手法です。例えば、SNS上の投稿で特定テキストに関する情報を集めることができます。テキストマイニングの元になるデータマイニングについてこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
オリンピックやサッカーのワールドカップなどの大きなイベントで、どのような感情の発信が多かったのか、などを分析することなどでも活用されています。最近では薬剤師と患者との間で交わされるコミュニケーション情報を自然言語処理し、顧客の隠れたニーズを分析するシステムも開発されています。服薬状況や治療への満足度など、隠されている重要な情報を解析によって引き出します。薬局で自然言語処理を活用している事例詳細についてはこちらで解説していますので併せてご覧ください。
これまで時間がかかっていたビッグデータの抽出・分析を実行できるため、様々な施策改善に繋げられます。特に自社商品に関する情報やターゲットユーザーの情報をテキストマイニングすることで、単語の出現条件や過去データとの相関性について分析できます。
そのため、様々な分野のマーケティングに対して応用が期待できるでしょう。例えば、アンケート分析で自由記述部分の回答分析には自然言語処理技術を用いたテキストマイニングが欠かせません。自由記述アンケートの集計・分析の手法については、こちらの記事で詳しく解説していますので併せてごらんください。
機械翻訳
自然言語処理は機械翻訳の分野で活躍を見せています。文章を直訳するだけでは、翻訳してもネイティブな意味合いで伝えられないケースがあります。特に短くシンプルな文章構造であれば、意味に沿った翻訳が可能です。
しかし、長く複雑な文脈が存在する文章は自然言語処理を活用しなければ、正しく翻訳できません。Google翻訳やDeepLなどは、自然言語処理を活用した機械翻訳の改善に力を入れています。
2017年にサービスを開始したDeepLは、ディープラーニングを中心にAI開発を行い自然言語処理を施すことで、より高い精度の翻訳を実現しています。
機械翻訳は学習データが増えれば増えるほど自然言語処理を実施できるため、今後も成長を期待できるでしょう。
チャットボット・ボイスボット
自然言語処理を活用したサービスとして有名なものに、チャットボットやボイスボットが挙げられるでしょう。
チャットボットとは、Webサイトなどで右下に表示され、チャット形式で商品に関する問い合わせをしたり、サービスでわからない箇所を質問したりすると、オペレータがその問い合わせに対応してくれたり、場合によってはAIが自動で回答を行ってくれたりするサービスです。
チャットボットとは?何に使われている?どんな種類がある?わかりやすく関連記事で解説していますので併せてご覧ください。
銀行やホテル、ECサイトやBtoB製品のカスタマーサポートなどで多く活用されており、これまでオペレータが人力で対応しなければならなかった業務を、自然言語処理技術が搭載されたAIが代わりに行ってくれるとして、近年注目を集め、導入する企業が増えています。
ボイスボットの仕組み、実際の事例はこちらの記事で紹介していますので併せてご覧ください。
かな文字変換
かな文字変換にも、自然言語処理が用いられています。一つの文を入力することで、ひらがなやカタカナ・漢字を表示させられます。中国の検索エンジンアプリ「Simeji」では、自然言語処理を活用することで、一つの文を入力するだけで豊富なバリエーションの変換を提示することができます。
また、短い文章だけではなく、長い文章・文脈に対しても高度なかな文字変換が可能です。
バーチャルヒューマン
バーチャルヒューマンは、コンピュータによって生成されたデジタルキャラクターです。音声認識AIは音声データを受け取り、それを言葉に分解してテキスト化することで、音声情報の内容を理解します。
自然言語処理の技術により、人間の言葉を理解し、その意味を解析して、適切な応答を生成できます。
バーチャルヒューマンの仕組み、活用の注意点をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
自然言語処理(NLP)についてよくある質問まとめ
- 自然言語処理(NLP)の主な仕組みは何ですか?
自然言語処理(NLP)の主な仕組みは以下の4つです。
- 形態素解析:言葉を単語に分けて解析
- 構文解析:単語を繋げて関連性を解析
- 意味解析:辞書を用いて文の意味を解釈
- 文脈解析:文と文のつながり(文脈)を解析
- 自然言語処理(NLP)の具体的な活用事例にはどのようなものがありますか?
然言語処理(NLP)の具体的な活用事例には以下のようなものがあります。
- テキストマイニング:SNSの投稿分析、アンケートの自由記述分析
- 機械翻訳:Google翻訳、DeepLなどの翻訳サービス
- チャットボット・ボイスボット:カスタマーサポート
- かな文字変換:スマートフォンの文字入力
- バーチャルヒューマン:デジタルキャラクターとの対話
- 自然言語処理(NLP)を活用することで、どのようなことが可能になりますか?
自然言語処理(NLP)を活用することで、以下のことが可能になります。
- 大量のテキストデータを高速に分析・処理
- 非構造化データ(動画や画像)の解析
- 人間の言葉の曖昧さや文脈を考慮した情報処理
- リアルタイムでの言語理解と応答生成
- 複雑な意味解釈や感情分析
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本記事では、自然言語処理の概要から仕組み、できることを解説しました。自然言語処理は、機械翻訳やかな文字変換など、多くの日常的なシーンで用いられています。導入することで、マーケティング施策を中心とした様々なシーンで活用可能です。
しかし、自然言語処理はコンピューターが読み取れない自然言語を解析するため、非常に高い開発技術が必要です。自然言語処理やAI開発に関する幅広い知見と実績がなければ、希望する成果は見込めません。
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