最終更新日:2022-12-06
ラズベリーパイでできること9選!利用する際の注意点とは【企業向け】

「ラズベリーパイ(Raspberry Pi)でさまざまなことができると聞いたことはあるが、実際にどのようなことができるのか知りたい」「ラズベリーパイが産業分野で活用されているが、なぜそんなに人気があるのか」とラズベリーパイを使うメリットが分かりにくいと思う方も多いのではないでしょうか。
本記事を読むことで、エッジAI開発にも多く利用されているラズベリーパイについて理解でき、できることや実際の業務での活用イメージが持てるでしょう。
ラズベリーパイでどんなことができるか知りたいと思う方は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
また、AI Marketでは、ラズベリーパイを活用したエッジAI開発に強いAI開発会社の選定サポートや適切な会社の紹介も行っています。開発会社の選定に迷ったり、依頼方法がわからなかったら、
目次
ラズベリーパイ(Raspberry Pi)とは
産業界ではIoTが注目を集め、活用が広まっています。IoTの新製品やシステム開発が相次いでおり、その開発の中心を担っているのが、「ラズベリーパイ(Raspberry Pi)」です。これは小型で安価なコンピュータボード(小さなパソコンとお考え頂ければわかりやすいかもしれません)のことです。
2013年にイギリスで学校教育向けに開発したシングルボードコンピューターで、2021年現在で累計3,700万台以上の出荷数を誇ります。(※1)
シングルボードコンピューターとは、むき出しとなっている一枚のプリント基板上に電子部品や最低限の入出力装置がついている小型パソコンです。
IoTの中でも、エッジAIを搭載し、AI機能を活用したIoT製品やソリューションを構築する際には、特にラズベリーパイは多く活用されています。
(※1)2021年1月21日付 Raspberry Pi財団
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ラズベリーパイが注目される理由
ラズベリーパイとその周辺機器、ツールを組み合わせて開発を行いますが、アイディア次第ではでできることが無限大になります。この大きな可能性を秘めた魅力が注目される理由です。
本来は教育目的で開発されたラズベリーパイですが、現在出荷されているほとんどが産業用途であり(※2)、コストと性能のパフォーマンスバランスが優れていることから利用が増加しています。最新モデルは約6,000円ほどで、安く購入しようと思えば約600円で買えるモデルまでもあります。その上性能は十分に優れており、コストパフォーマンスも非常に高いです。
センサーやモニターと組み合わせれば、簡単で低コストのIoT機器が開発できるので、製造分野の業界で多く利用されています。教育用に開発されたものなので、プログラミング初心者でも簡単に扱える点も注目される理由です。
世界でも多くの愛好者がいるため、勉強会が盛んに開催され、コミュニティが充実していたり、Webを検索するとノウハウが多く公開されています。
同様のシングルボードコンピューターには、NVIDIAの提供するJetsonなども有名です。今回の記事では触れませんが、ご興味がある方はぜひ検索してみてください。
(※2)「ラズパイ」に訪れた転換期、ホビー・教育から業務用途の拡大が進む
【難易度低】ラズベリーパイでできること4選
まずは、ラズベリーパイを企業で活用して実現できることの実用事例4つ紹介します。個人や初心者の方でも手軽にできる難易度の低い事例を中心に選びました。
サーバー関連
ラズベリーパイでファイルサーバーやWebサーバーの開発も可能です。高性能なモデルは処理も高速化されており、消費電力が小さく発熱も少ないので、ファイルサーバーやWebサーバーとして快適に活用できます。
ファイルサーバーは、ファイル管理を行うサーバーコンピューターです。パソコンやスマートフォンなどさまざまな端末から、複数のユーザーがネットワークを介してファイルにアクセスできます。USB接続が可能なので、外付けハードディスクを接続して使用します。
セキュリティ面に注意する必要がありますが、LinuxOSが搭載されていたり、様々なOSを搭載できるので、Webサーバーとしても利用できます。
OPC UAサーバー
ラズベリーパイは産業オートメーション用の通信規格であるOPC UAサーバーとして使用できます。OPC UAは、さまざまな通信やデータ収集、機械制御が可能となり、マルチベンダー製品間や異なるOSをまたがってのデータ交換も可能です。
スマートファクトリーや、プロセス制御、産業用ロボットなどの分野で今後活用が拡大していくと見込まれています。
メールの送受信
ラズベリーパイに、「Roundcube」などのメールソフトウェアをインストールすれば、メールの送受信も可能です。
業務で利用している会社のメールを、業務用パソコン以外でも受信したい場合などに活用できます。
オンラインストレージ
ラズベリーパイにソフトウェア「ownCloud 9.1」などをインストールすることで、オンラインストレージを構築できます。インターネット上(クラウド)にあるデータ保管のスペースでクラウドストレージとも呼ばれます。
社外の相手とのファイルの受け渡しや、在宅勤務やテレワークで会社外のネットワークからアクセスする場合にも重宝します。
【難易度高】ラズベリーパイでできること5選
ここまで、ラズベリーパイでできる難易度の比較的低い4つを紹介しました。ここからは、少し難易度は高めですが、ラズベリーパイを使ってできる事例をさらに5つ紹介します。
ここでは、実際にエッジAIとしてラズベリーパイを活用する方法も含めて紹介しています。
不良検知・外観検査
上述の通り、ラズベリーパイは、エッジAIデバイスにもなります。エッジはデータ収集の端の部分を意味し、データの発生源や活用の場に近いところを指します。エッジデバイス上でAIの学習モデルを利用し、画像認識や音声認識などの技術を用いて推論結果を導くことができるデバイスをエッジAIといいます。
ラズベリーパイ内でデータ解析できるため、通信設備が不要であることなどが特徴に挙げられます。
事例として故障検知や不具合検知を行っている企業があります。この企業では、切削機械やプレス機などの加工機にセンサーを取り付け作業の際の振動を測定し、ドリルが欠ける前に発生する特定の周波数を検知することで、壊れる前に通知するシステムをラズベリーパイで作成しました。急なライン停止の事態や不良品の発生を防ぐことができます。
他にも、製造品の外観検査用にエッジAIデバイスを活用し、製造品をエッジAIカメラで撮影することで、外観検査を実現している事例も多くあります。
尚、外観検査にAIを活用したいとお考えの方は、外観検査に強いAI開発会社紹介記事をご参考ください。
監視カメラ
ラズベリーパイとカメラを組み合わせれば、監視カメラを作成することもできます。一定の時間ごとにカメラで撮影するよう設定し、他のアプリに画像を投稿して通知するシステム(LINEやSlackなど)を構築すれば、不審者の検知なども可能です。
カメラは市販されている一般的なもので使用できます。
エッジAIデバイスとして、防犯カメラ、ドライブレコーダー、マスクの装着状況の検知などAIを活用した使い道も考えられます。また来客通知システムとして活用する企業もあります。カメラと光強度センサーを活用し、インターホンが鳴ったらカメラで撮影し、メールで送信して知らせれば、誰が来たのか判別できるようになるでしょう。
顔認識・人物検出
エッジAIをカメラとつなげ、画像認識ライブラリーを用いることで、顔認識や人物検出のシステム構築することができます。エッジデバイスでAI処理を行い、処理結果だけをサーバーやクラウドに送信するようにすれば、処理速度の向上や情報漏えいのリスクを減らすことが可能となります。
画像認識ライブラリーは、カメラ画像の解析や、パターン認識による物体検出、機械学習の実現のための画像処理などさまざまな機能を備えています。
ウェアラブル端末の開発
ウェアラブル端末は「Wearable(身につけられる)」デバイスのことで、腕時計型のスマートウォッチや、メガネ型のスマートグラスなどがあります。
ラズベリーパイは、さまざまなセンサー類を利用でき、BluetoothやWifiなどの無線接続機能を持っているので、ウェアラブルデバイスとしても活用できます。アイディア次第ではオリジナリティ溢れた高機能の端末の制作も可能です。
産業用ロボット
産業用にラズベリーパイが多く使われていることもあり、ロボットやロボットアームなどの制作にも活用されています。電子工学や機械に精通した知識を持ち合わせている方が多い企業であれば、自作で二足歩行ロボットを作ることも可能です。
ロボット作成キットは市販の一般向けや教育向けから、産業用の本格的なロボットまで豊富。簡単なキットでもアイディアや工夫次第では高性能なロボットも作ることができます。
ラズベリーパイの特徴には、コミュニティが充実しており参考にできる情報がたくさんある点です。このセンサーやキットを使いたいという場合には、型番を調べ仕様やインタフェースの確認作業が発生しますが、この手間を大幅に減らすことで手軽にいろいろな組み合わせを試すことができます。
ラズベリーパイを使用する際の注意点
ラズベリーパイは安価で高機能な端末ですが、使用の際にはいくつか注意する点があります。詳しく見ていきましょう。
アナログ未対応
ラズベリーパイは、I2C、シリアルなどピンヘッダ経由でのデジタル信号の入力には対応していますが、センサー出力などに用いられるアナログ信号には対応できていない場合が多いので注意してください。
最近は、アナログ信号からデジタル信号へ変換できるA/D変換モジュールが製品化され、高精度の計測用途にも利用可能なラズベリーパイ専用のA/D変換モジュールも登場しています。
周辺機器の準備が必須
ラズベリーパイ本体以外にもIoT機器開発にはさまざまな周辺機器が必要です。
起動させ開発を進めるには、電源ケーブル、microSDカード、キーボード、マウス、ディスプレイなどが必要です。また、カメラやセンサー類など、開発したいシステムに合わせて必要なモジュールも購入する必要があります。
周辺機器を用意するとかえってコストが高くついてしまう可能性もあるので注意してください。
ラズベリーパイを使った開発は代行会社へ
本記事では、ラズベリーパイの特徴や注目される理由から、実際の活用法を紹介しました。
ラズベリーパイでできることは非常に多くのことがあり、個人で簡単にできるものから、企業向けの難易度の高い大規模システムまで作成可能であることが分かりました。
ラズベリーパイを使った開発は、適切に活用すればコストの最適化だけでなく、収益基盤を改善するための強力な武器になりますが、事前準備などが必要になることも多く安易に進めてしまうと無駄なコストになりかねません。
とは言え、開発企業の選定に時間やコストをかけることも避けたいのが実情ではないでしょうか?また、各社のサービスを見ても差別化ポイントがわかりにくかったり、そもそも開発会社への相談方法がわからないこともあるでしょう。
そのような場合は、ぜひAI Marketへご相談ください。
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WEBサイトに掲載されていないコスト感なども含め、
