OpenAI o1(旧:o1-preview)とは?料金・メリット・デメリット・活用分野を徹底紹介!
最終更新日:2025年01月28日

OpenAIが2024年12月に提供開始されたOpenAI o1(2024年9月発表、旧OpenAI o1-preview)は、従来のGPTシリーズとは一線を画す新たな生成AIモデルです。複雑な問題を段階的に推論する能力を持ち、特にSTEM分野やデータ分析において高い性能を発揮します。
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なお、2024年12月にo1が正式に提供開始されてから約2週間後、OpenAI o3が発表されています。
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目次
OpenAI o1(o1-preview)とは?
2024年12月6日にOpenAIが発表したo1は、2024年9月12日に発表されたo1-previewの正式リリース版です。
これまでのGPTシリーズとはアプローチが異なるシリーズを採用しています。まるで、人間が難しい数学の試験や課題を解く際の思考プロセスと同じようにじっくり考えます。
具体的には、「Chain-of-Thought」と呼ばれるメカニズムを内部で自動的に実行し、複雑な問題を小さなステップに分割して段階的に推論を行います。モデルは間違いを認識して訂正する能力を持ち、現在のアプローチがうまくいかない場合は別のアプローチを試みることができます。
これにより、o1(o1-preview)はGPTシリーズよりも難易度の高い問題を効果的に解決する能力を持ちます。
2024年12月には後継バージョンであるOpenAI o3が発表されました。
料金
o1(o1-preview)はChatGPTの有料プランで利用可能となっており、利用料金はプランによって以下のとおり異なります。無料プランでは利用できません。
プラン名 | Plus | Pro | Team | Enterprise |
---|---|---|---|---|
利用料金 | 20ドル/月 | 200ドル/月 |
| 要問い合わせ |
対象 | 個人向け | 個人向け | プロジェクトチーム向け | 企業向け |
参照:料金|ChatGPT
o1-preview、o1、o1 pro、o1 miniの違い
o1シリーズには以下のようなバリエーションがあります。
- o1-preview
2024年9月に発表されたo1シリーズの初期バージョンです。STEMやプログラミングなどの分野で高い推論能力を示しましたが、試験的なリリースとして位置付けられていました。 - o1
2024年12月にリリースされた正式版です。o1-previewをベースに改良が加えられ、より高い性能を実現しています。特にプログラミング分野での性能向上が顕著で、CodeForcesでの評価ではElo 1673(上位11%)を達成し、o1-preview(Elo 1258、上位38%)から大きく向上しています。また、推論時間も大幅に短くなっています。2024年12月時点で、このモデルは月額20ドルのPlusプランで制限付きアクセス、月額200ドルのProプランで無制限アクセスが可能となっています。 - o1 pro
o1 proはo1の上位モデルであり、難しい問題に対してo1よりも長い推論時間で、より信頼性の高い正確な回答を生成します。2024年12月時点で、このモデルは月額200ドルのProプランでのみ使用が可能です。 - o1 mini
o1-previewより80%低コストでAPIを利用できる効率重視の軽量モデルです。STEM分野、特に数学とコーディングに特化しており、AIMEでは70.0%の正答率(o1は74.4%)、CodeForcesではElo 1650(上位14%)を達成するなど、o1に匹敵する性能を発揮します。ただし、STEM以外の一般的な知識を必要とするタスクでは性能が低下します。こちらもo1同様、Plusプランで制限付きアクセス、Proプランで無制限アクセスが可能です。
これらのモデルは、従来のGPTシリーズとは異なり、Chain-of-Thoughtと呼ばれる段階的な推論プロセスを採用している点が共通しています。この特徴により、複雑な問題解決や高度な分析タスクにおいて優れた性能を発揮します。
GPT-4oとの違い
o1(o1-preview)とGPT-4oはどちらも強力なAIモデルで、それぞれ異なる特性を持ち、得意分野も異なります。以下の表に比較をまとめました。
比較項目 | GPT-4o | o1(o1-preview) |
---|---|---|
得意なタスク | より創造性が必要な文章の作成(コラム記事・文章の編集など) | 思考力が問われる高度な問題(データ分析・コーディング・数学など) |
出力までの時間 | 早い | 遅い |
ハルシネーションのリスク | 高い | 低い |
APIのコスト(入力) | 低い | 高い |
o1(o1-preview)は、特に複雑な思考や推論が必要なタスクに強みを持っており、企業コラムや広告コピー制作といった自然言語の文章生成よりも、分析や数学的な課題に向いています。
それぞれの得意なタスクに合わせて使い分けることで、それぞれのパフォーマンスを最大限に引き出せます。
関連記事:「GPT-4oの特徴や可能性、社会的な影響について詳しく解説」
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o1(o1-preview)のメリット
o1(o1-preview)のメリットを紹介します。
より複雑で高度な回答が可能
o1(o1-preview)は、従来のAIモデルよりも複雑で高度な問題に対応できる点が大きな特徴です。多角的に情報を扱い、ブレインストーミングや高度な意思決定支援が必要な課題にも優れたパフォーマンスを提供できます。
実際にo1(o1-preview)に対する物理学・化学・生物学のベンチマークテストでは、博士課程の学生と同等のパフォーマンスを発揮しており、深い熟考が必要な問題の解決に活用できることが証明されています。
また、国際数学オリンピックのテストでは、GPT-4oが13%の問題しか解けなかったのに対し、OpenAI o1は83%の正答に成功するなど、GPT-4oと比較してより高度な問題にも対応可能なことも明らかになっています。
このような特徴から、o1(o1-preview)は研究開発や企画立案などの高度な業務で役立つことが期待されます。
より高度なプログラミングに対応
o1は、アルゴリズム生成や高度なコーディングタスクにも対応可能です。コーディングコンテスト「Codeforces」で上位11%に入る成績を記録を記録しています。
例えば、AIアプリやWordPressのプラグイン制作やバグの検出など、Web制作に関する幅広いサポートが可能です。アプリ制作やWebサイト制作の効率化につながり、開発コストの削減が可能となります。
o1(o1-preview)により複雑なプログラミングタスクを自動化できるため、これまで時間を要していたコーディング作業が短縮され、開発チームがより創造的で付加価値の高い作業に集中できるようになります。
安全性が高い
o1(o1-preview)は、安全性においても従来モデルより優れています。o1(o1-preview)では新しい安全訓練アプローチを開発し、コンテキスト内でそのルールを推論しながら適切な応答を生成できるからです。
そのため、性的コンテンツや暴力行為などが絡む有害なプロンプトに対しても、より安全な補完やアドバイスを提供できます。
特に、ユーザーが安全ルールを回避しようとする試み(ジェイルブレイク)に対する耐性が大幅に向上しています。最も難しいジェイルブレイクテストにおいて、GPT-4oが22点だったのに対し、o1-previewは84点を獲得しました。
o1(o1-preview)のデメリット
o1(o1-preview)は高度な推論力と精度を持つ一方で、いくつかのデメリットも存在します。場合によっては、GPT-4oの方が優れていることもあるため、使い分けが必要です。以下では、o1(o1-preview)の主なデメリットについて詳しく解説します。
処理に時間がかかる
o1(o1-preview)は複雑で高度なタスクを解決できる反面、処理に時間を要する点がデメリットです。これは、OpenAI o1(o1-preview)は問題を解決するために、より多くの時間を使って推論を行うためです。
特に、データ分析や複雑なコーディングタスクではより正確な結果を生成できる分、結果を出すまでの時間がGPT-4oに比べて遅くなることが指摘されています。
そのため、時間効率を重視するタスクや即時的な出力が必要な場合には、o1(o1-preview)よりもGPT-4oを使用する方が適しています。
汎用性が低い
o1(o1-preview)は高度な推論が可能ですが、すべての自然言語処理タスクに対応できるという意味ではありません。むしろ、自然言語処理に対する汎用性は低く、例えばコラムやエッセイなどの文章生成タスクでは、GPT-4oの方が優れたパフォーマンスを発揮します。
そのため、GPT-4oよりも利用できる場面が限定的です。
Webブラウジングやファイルアップロードなどの機能サポートがない
o1は現在、Webブラウジング機能やファイルアップロード機能がサポートされていません。
2024年12月現在、o1ではWebブラウジング機能がなく最新情報を取得できません。そのため、o1が未学習の2023年10月以降のサービスや情勢に関する質問には答えられません。
そのため、最新情報の回答が必要な場合には、GPT-4oを使う必要があります。
また、ファイルのアップロードに対応しておらず、手持ちのCSVファイルやExcelファイルを使った分析はできないため、GPT-4oと比べると対応できる分析タスクが限られます。
一方で、2024年12月にo1がリリースされるにあたり、画像での入力は可能になりました。Webブラウジングやファイルアップロードについても、今後サポートされる予定です。
入力できるメッセージ数が少ない
Plusプランでo1を利用する場合は、入力できるメッセージ数に制限があります。GPT-4oでは3時間ごとにリフレッシュされるメッセージ数が、o1では1週間で上限が設けられています。そのため、特に長時間利用するプロジェクトでは制約が生じます。
なお、以前は1週間に30件しか入力できませんでしたが、現在は50件まで上限が上げられました。ですから、メッセージ上限は今後緩和する方向で調整されることが見込まれます。
上限数が増えたとはいえ、GPT-4oと比べると入力できるメッセージ数は限定的であるため、頻繁に活用する際には計画的に使いましょう。
o1やGPT-4oを無制限で利用したい場合は、Proプランへの加入が必要となります。
APIが高い
o1(o1-preview)のAPIは、特に入力に対する価格がGPT-4oより高単価です。以下の表に、OpenAI o1(o1-preview)とGPT-4oのAPI価格をまとめましたので参考にしてください。
モデル | 入力(米ドル/100万入力トークン) | 出力(米ドル/100万入力トークン) |
---|---|---|
GPT-4o | 2.50 | 10.00 |
o1(o1-preview) | 15.00 | 60.00 |
関連記事:「ChatGPTのAPI料金詳細(o1、Realtime対応)!各プランのコスト比較・支払い方法・削減ポイント!」
また、o1-previewのAPIはMicrosoft Azure OpenAI Serviceからも利用することが可能です。
o1(o1-preview)の活用分野
o1(o1-preview)は、専門的な知識が必要な分野での活用が期待されます。以下では、o1(o1-preview)の主な活用分野を紹介します。
STEM
o1(o1-preview)は、特に統計や分析など高度な推論が求められるタスクに優れており、いわゆるSTEM(Science・Technology・Engineering・Mathematics)の分野で活用できます。
例えば、物理学や化学の分野では、大規模なデータセットを用いたシミュレーションや、複雑な理論モデルの検証が可能です。o1(o1-preview)により、研究開発や教育の現場で、より精度の高い解析や問題解決が迅速に行えるようになることが期待されています。
システム開発
システム開発においても、o1(o1-preview)は優れたツールとして活用できます。例えばコードの生成やデバッグ、ドキュメント作成といった開発者の作業を自動化し、効率を向上させることが可能です。
o1(o1-preview)は複雑なアルゴリズム生成も得意とするため、難解なプログラミングタスクにおいてもその実力を発揮します。また、WordPressのプラグイン作成やバグの自動修正など、時間を要する細かな作業も迅速に処理できるため、開発者はコア業務に集中できるようになります。
ただし、現状では週30回までしか利用できないという制限がありますので、企業での本格的なシステム開発にフル活用するには難しいかもしれません。
o1(o1-preview)を活用した自動化によって、システム開発の生産性が大幅に向上することが期待されます。
関連記事:「ChatGPTによるプログラミング活用法は?何ができる?効率アップのコツと注意事項徹底解説!」
データ分析
o1(o1-preview)は、数学のタスクを得意としており、データ分析にも効果的に活用できます。簡単な統計モデルを使ったデータ分析に適しており、大量のデータセットを短時間で処理し、インサイトを提供することが可能です。
そのため、マーケティングデータの分析や営業予測、顧客行動のパターン分析など、ビジネスにおける意思決定を支援するためにo1(o1-preview)を利用できます。これにより、データに基づいた戦略的な意思決定が迅速に行われ、競争優位性を高められるでしょう。
ただし、ファイルのアップロード機能など、企業利用で重要となる機能が実装されていませんので、現状ではデータ分析へのフル活用は厳しいでしょう。
OpenAI o1-previewについてよくある質問まとめ
- o1-previewはどのような業務に最適ですか?
OpenAI o1-previewは、特に高度な推論やデータ分析が求められるタスクに最適です。
数学や科学、技術分野での研究開発や、システム開発におけるコーディングやデバッグなど、複雑な問題を解決する場面で活用できます。
- o1-previewとGPT-4oはどう違うのですか?
OpenAI o1-previewは、複雑な推論や数学、データ分析などのタスクに強みがあります。一方で、GPT-4oは文章生成やクリエイティブなコンテンツ制作に適しており、即時性のある出力が求められるタスクに向いています。
目的に応じてそれぞれのモデルを使い分けることで、より効果的に活用できます。
まとめ
しかし、その特性を十分に理解し、適切に活用することが重要です。処理時間や汎用性などの課題もあるため、既存のAIモデルと併用しながら、最適な使い分けを行うことが賢明でしょう。
今のところは、
あくまで適材適所で生成AIモデルを使い分ける企業戦略が求められることでしょう。
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