最終更新日:2023-02-24
AIによる外観検査の活用事例10選!半導体・外壁・インフラを画像処理で点検

半導体や基盤、外壁などの外観検査は従来人の目で対応するしかありませんでした。また、高所や豪雪地帯などの危険地域や巨大構造物の点検も目視、かつ低頻度で行わざるを得ませんでした。目視検査は安全性のリスクや人材確保の問題があり、品質の担保とコストの両立が難しい問題です。
そこで、現在増えているのがAIカメラ、ドローンやIoTセンサーを用いたAIによる外観検査です。しかし、AIによる外観検査を導入したいと思っているが、自社のニーズには向いているのかよくわからないという方も多いかと思います。
今回の記事では、AIによる外観検査を用いている様々な業界の事例をご紹介します。
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AIによる外観検査とは?
外観検査とは、検査対象の外観を目視やセンサーで確認することで品質の確認と向上を目指すものです。従来の外観検査は目視で行われていましたが、画像検査への移行に伴いAIカメラ、IoTセンサーとAIを活用した外観検査の事例も増えてきています。検査対象物となる製品や壁をAIカメラで撮影し、その画像データを基にAIが品質を判断するシステムです。IoTセンサーの仕組み、導入方法についてはこちらの記事で分かりやすく解説しています。
AIで外観検査をすることで、検査過程が自動化できるため生産性の向上につながったり、作業者の習熟度に関係なく検査品質を安定化したり、長期的なコスト削減にも繋がります。
外観検査の種類、手法、導入の注意点についてはこちらの記事で分かりやすく解説しています。
AIによる外観検査事例【製造業での工場ライン5選】
半導体・基板・溶接などの製造業において、AIによる外観検査を実施している事例をご紹介します。
車載半導体のAI検査(Horus AI)
Horus AIは、車載半導体のAI検査ツールです。電気自動車やハイブリッド自動車の需要が高まっている一方、検査工程が人海戦術となってしまいコストが大幅に掛かってしまう課題がありました。Horus AIは工場の検査員が識別する不良部材の特徴をAIに学ばせることで、省人化した検査工程を実現し、検査時間も短縮化しています。また、従来の目視検査は出荷時のみの検査にとどまっていましたが、AIシステムは24時間検査可能なので全数検査も可能となりました。
プラスチック加工品の外観検査(墨田加工)
墨田加工でAIによる外観検査を活用しているのは、円筒状プラスチック加工品です。墨田加工は製造業の基礎素材を制作している企業です。1ヶ月に4,320個近くの製品をチェックしなければならず、従来は従業員2名がかりで3日間近くかかっていました。
AIによる外観検査を導入することで、製品をAIの検査機にセットするだけでAIが判断してくれます。検査時間を36%以上削減できました。また、AIシステムによる判断を待つ間に、AI判断できない部分を目視検査する工程を組み合わせて検査品質アップにも繋がっています。
リングギアの溶接検査の自動化(武蔵精密工業)
武蔵精密工場はリングギアの溶接検査で外観検査を導入しています。従来溶接作業時の溶けた金属が飛散して粒状に固まったスパッタの検査は、目視での検査を行っていました。しかし、品質が一定ではないという問題がありました。AIでの画像検査と目視検査を組み合わせることで従来の検査の問題点を解決し、精度アップ、省人化に繋がっています。
ハウスメーカーの外壁検査(積水ハウス)
積水ハウス株式会社は、陶板外壁を製造している工場でAIによる外観検査を実施しています。陶板外壁を製造するときには、原板の外観不良から起こる不良や焼き上がりの色ムラによる不良品を弾いてしまうと、出荷必要枚数が足りなくなってしまう問題がありました。目視検査では検査できる量に限界があり、歩留まりが上げられません。
ディープラーニング画像処理ソフトウェア、ラインスキャンカメラとLED照明を備えたAIによる外観検査を導入しています。AIによる外観検査により生産中の製品すべてを検査でき、陶版外壁の安定供給ができるようになりました。余剰生産を減らすことができるので、在庫の削減及びコスト削減にもつながっています。
生産工場ラインの外観検査
切削工具研磨工場では丸ノコの歯の検査にAIが活用されております。従来丸ノコの検査は、一つの検査に1,800秒以上かかっており、また歯をすべてチェックするのに危険もありました。しかし、ディープラーニングを活用した外観検査が活用されています。
導入することで検査時間は20秒に短縮され、99%以上の精度を実現しており、微妙な歯のちがいも認識できています。また、ディープラーニングを活用しているため、運用しながら精度を向上することにつながっています。多くの生産工場ラインでAIの外観検査が活用されています。
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自社で会社選定を行いたい場合は、製造業・工場での外観検査AIシステム開発に強い事業者をこちらの記事で特集していますのでご活用ください。
AIによる外観検査事例【太陽光発電・ダムなどのインフラ設備5選】
太陽光発電施設、道路橋梁、ダムなどのインフラ設備や大規模工場施設において、AIによる外観検査を実施している事例をご紹介します。
太陽光発電における外観検査(オリックス)
オリックス・リニューアブルエナジー・マネジメント株式会社は、AI搭載のドローンを活用した太陽光発電パネルの診断サービスを提供しています。従来の検査は、目視でしか行えず異常を発見するために多くの時間がかかっておりました。しかし、オリックス・リニューアブルエナジー・マネジメント株式会社はドローン空撮・解析サービスのトップシェアの会社SITEMARK.NVとパートナシップを結ぶことで新しいサービスを提供できました。
遠赤外線サーモグラフィーを搭載したドローンで太陽光パネルを撮影することで、AIが異常事態を分類することができます。実際大牟田市の太陽光発電所では解析を行うことで1000箇所以上の異常を感知し、発電収益増加につなげました。
配電設備の外観検査(四国電力)
四国電力は、送電線や電柱などに作られるカラスの巣を検知する営巣検知AIをNTTコムウェアと開発しました。配電設備で大きな問題となるのがカラスの巣です。カラスの巣には金属製のハンガーや濡れた木の枝などの電気を通す素材が使用されるため、停電につながっていました。従来は目視での検査で行っていましたが、カラスの巣が増える春頃は作業リソースが不足していました。
そこで四国電気はNTTコムウェアとともに、営巣検知AIを開発しました。点検にはカメラを搭載した自動車が点検箇所を走り画像を撮影し、AIがリアルタイムでカラスの巣を見つけ出します。リアルタイムで発見し、緊急度が高いものはその場で撤去も行えます。AI外観検査を導入することで、リスクを減らすとともに時間の節約にも繋がりました。
道路の老朽化の検査(首都高)
首都高技術株式会社は、国立研究開発法人産業技術総合研究所、東北大学とともにコンクリートのひび割れを検出するAIを開発しました。高速道路の多くは建設から50年以上経過しておりメンテナンスが必要です。しかし、メンテナンスの知識を保有している専門知識を保有している人材が高齢化し始めており人材不足が問題になっています。
ただひび割れを認識するだけでは意味はなく、ひびが生じた要因も含めて把握することが重要です。そこでAIには撮影したひび割れ画像だけでなく、専門家からのインプットも教師データとして学ばせることで特徴抽出を実現しました。その結果、表面に汚れや傷がある状態でもコンクリートのひび割れを80%以上という実用レベルの精度で自動検出できています。今後、点検作業におけるひび割れの記録にかかる時間は従来の10分の1に削減できると見られております。
発電所の品質検査(東芝)
東芝デジタルソリューションズ株式会社は、スペインの風力発電会社GRI Renewable Industriesは風力発電用タワーの外観不良と溶接部の形状不良などをAIで外観検査する実証実験を行っています。GRI社は大手風力発電機メーカー向けに、風力発電設備を支えるタワーの製造・販売をしている世界最大規模の企業です。
風力発電用タワーは直径3~15メートルある非常に大きな構造物です。外側表面と内側表面の外観検査や溶接部の形状検査をする必要がありますが、大型構造物であるため検査員による目視検査に時間がかかり、検査品質にバラつきが発生していました。外観検査にカメラと3D検査システムを活用することでAIによる自動検査が可能になっています。検査では、外観不良と溶接部の形状不良の検出だけでなく、不良位置を検出・記録なども可能です。精度評価用に設けた傷や約2.5mmの凹みなどの外観不良を100%検出したと報告されています。
ダムの外観検査(九州電力)
九州電力株式会社と株式会社オプティムは、ドローンとAI解析技術を活用してダムの遮水壁点検業務の効率化を検討しています。九州電力がドローン測量で使用している自動操縦プログラムでダム遮水壁の壁面を撮影し、画像をオプティムのAIシステムで解析することで1cm単位のひびや塗布の剥がれなどを検出可能です。AIを導入したことにより点検時間の短縮や検査クオリティーの均一化が可能になり、コストも40%近くカットされています。
将来的には、点検データを蓄積することで、将来的な経年劣化を予測する技術を開発し、AIによる最適な保全スケジュール作成管理機能の実装を目指しています。
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AI外観検査の導入はAI開発会社へ
AIによる外観検査は工場での製品検査だけでなく、太陽光から電線、ダムなどインフラ系まで幅広い領域で活用されており、検査時間やコストの削減、検査クオリティーの均一化に貢献しています。また、超過労働や危険作業によるスタッフへの負荷も下げられるので、ますますこれからAIによる外観検査のニーズは高まるでしょう。
しかし、自社の業務にAIによる外観検査を導入するためにはどのような業者やパートナーと組むのがいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
AIやIoTの専門用語、システム要件はわからないし、見積もりの内容チェック方法もわからない方がほとんどではないかと思います。
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