目視検査とは?種類・方法・課題を徹底解説!AIで自動化するメリットは?
最終更新日:2024年11月09日
基本的に外観検査には人間の目で見て行う「目視検査」が用いられています。しかし、人が行う目視検査にはさまざまな課題が存在するため、AIの活用が進み始めています。
「人が行う目視検査の課題とは?」「AIによる目視検査(画像検査)を導入するメリット・デメリットってなに?」といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。
従来の目視検査の課題を把握しておくことで、外観検査へのAIの導入に踏み切れる可能性があります。本記事では、
外観検査の重要性、意義、目視検査以外の手法種類についてこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
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目次
目視検査とは
目視検査とは人の目で、製品や部品の状態をチェックすることです。例えば、製品の表面に傷がないか、製品の形状が変形していないか、異物が着いていないかなどの情報を目視で確認します。
顕微鏡等を用いる検査も目視検査に含まれます。不良品が市場へ流出をしないようにするために、メーカーにとっては欠かすことのできません。
人間の五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)を利用してチェックを行うため「官能検査」とも呼ばれています。官能検査の中でも目視検査は、特別な費用がかからないことから最も用いられている検査方法です。
しかし、人間の目で作業を行う以上、ヒューマンエラーを100%取り除くことはできません。多くの製造現場が目視による外観検査に課題を抱えています。
目視検査の種類
目視検査は状況に合わせて、主に4つの種類を使い分けます。
- インライン検査
生産ラインに外観検査を組み込んでチェックします。比較的検査スピードが高い点が特徴です。
ただし、取り扱う製品の部品が多い場合、不良品を逃してしまう可能性が高いため注意しましょう。 - オフライン検査
生産ラインから外れた場所で外観検査を実施する方法です。生産ライン上でチェックする必要がないため、必要に応じて重点的に外観検査を行えます。
しかし、チェックが必要な製品を別の場所へ運び、別途検査して行くため、時間がかかります。 - 抜き取り検査
一部の製品だけを検査する方法です。ロットを構成する上で基準部分に位置する製品のみを検査することで、品質管理水準を図れます。
検査によって一定の品質水準を把握できますが、全ての製品に目を通しているわけではないため、不良品が発生する可能性も出てきます。 - 全数検査
対象の製品全てに外観検査を実施し、不良品がないか確認する方法です。製品を全て検査するため、不良品発生率を大幅に減少させられる点が特徴です。
しかし、人件費とコストがかかります。
目視検査の作業内容
目視検査には、以下のような項目の検査があります。
形状や構造に関する検査
形状・構造に関する検査は製品が作られた直後に実施する検査です。主に機能性重視の部品で標準仕様と異なる形状の製品が作られていないか検査します。
製品の多くは設計の段階で仕様が決まっていますが、生産設備(金型など)に異常が発生した場合は、仕様とは異なる形状の製品が作られてしまいます。手作業の工程が含まれる場合は、作業者のヒューマンエラーによって規格外の製品が作られることも珍しくありません。
傷などによる単発的な不具合であればまだしも、形状・構造に関する不具合は基本的に保証の対象になりません。最も注意深く取り組むべき検査と言えるでしょう。近年、画像検査による自動化が最も進んでいる分野と言えるでしょう。
AIによる画像検査自動化の仕組み、導入の注意点についてはこちらの記事で分かりやすく解説しています。
表面形状に関する検査
表面形状に関する検査では、製品の表面についた傷や欠け、付着物や汚れをチェックします。主に製品の表面に亀裂や凹みが生じやすいプラスチックの部品を製造している工場で実施されることの多い検査方法です。プラスチックの部品は取扱次第で簡単に傷がついてしまうので、細かい検査が必要とされ製品によっては0.1mm単位で傷などを検査します。
特に、製品の形状が複雑な部品、また加工箇所が多い製品では、表面に不具合が起こりやすい傾向にあります。表面形状に関する不具合は種類の幅が広いので、発見や原因特定の早さが品質を左右します。特に電化製品の製造工場は外観の基準が厳しくしています。
仕上がりに関する検査
生産ラインの最終工程での仕上がりの検査は、製品の品質を最終確認する重要な検査です。製品を市場に出して問題ないかを確認する検査で、バリや欠けの有無などの確認のほか、製品の仕上がり度合い、傷がついていないか、動作不具合はないかを検査します。
完成した製品や部品にバリや欠けが残っている場合は、消費者にケガをさせてしまう可能性もあります。市場クレームを発生させないための最終防衛ラインということになります。
人が行う目視検査の課題
人が行う目視検査には限界があり、AIに置き換えるケースが増えてきていますが、ここでは人が行う目視検査の3つの課題を解説します。
それぞれの課題について説明します。
最近では外観検査は目視ではなく、画像や動画を検査する手法が広く導入されています。そして、多くの企業が画像解析のAIを用いた外観検査を活用しています。
ヒューマンエラーの発生
人が目視検査を行う場合、どれだけ熟練の検査員でもヒューマンエラーが発生します。例えば、検査員の体調や集中力の低下によって、不良品の検知を怠ってしまう可能性があります。
人が目視で検査している以上はヒューマンエラーが必ず発生するため、完璧を求めることはできません。ヒューマンエラーの発生は、人が行う目視検査における最大の課題と言えるでしょう。
効率や精度のバラつき
人が目視検査を行う場合、検査員によって作業効率や検査精度にバラつきが生じます。人間が検査を実行する際は、対象物を一つひとつ観察するため、検査に時間がかかります。
集中して対象物を観察することから、疲れや集中力低下により長時間続けることで検査効率が低下する可能性があるでしょう。作業時間を短縮するだけで、工程を次のステップに進められるため、検査効率の向上が見込めます。
市場に出回る製品が同じとなるため検出精度は標準化する必要がありますが、新人と熟練の検査員では検知精度にバラつきが生じるでしょう。
人材育成コスト
製品の検出精度やスピードを向上させるためには、人材を採用して育成する必要があります。しかし、熟練の検査員として育成するためには、一定のコストと時間がかかります。
生産現場では常に精度の高い検出ができる人材が求められるため、人材育成にコストがかかる点は大きな課題と言えるでしょう。人材育成コストを減らすだけでも生産現場の負担を減少できるという観点からも、AIへの置き換えが進んでいます。
これらの課題を解決するなら、AIによる外観検査の導入をご検討ください。
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AIによる目視検査(画像検査)を導入するメリット
目視検査は外観検査の中でも最もスタンダードな検査方法です。しかし、人間が実施するよりもAIによる目視検査(画像検査)を導入することで、得られるメリットが存在します。
AIによる外観検査を導入するメリットを4つ解説します。
それぞれのメリットを説明します。
人的・教育コストがかからない
AIによる画像検査を導入することで、人的・教育コストをかけることなく検査を実施できます。人が行う目視検査では、人間が現場で検査を実施する必要があります。もちろん、人が働いた分のコストが発生するため、検査自体に費用が必要です。
また、人が行う目視検査は誰でもすぐにできるわけではありません。業務として検査できるようになるまでに必要な知識と技術を身につけてもらうことで、検査の実施が可能です。
そのため、安定した人的・教育コストをかけなければ、目視検査を実施することができないでしょう。
一方、AIによる外観検査(画像検査)では、人的・教育コストをかけることなく検査の実施が可能です。さらに、AIにディープラーニング(深層学習)を施すことで、高レベルの検査が可能になるかもしれません。
クオリティを標準化できる
目視検査をAIによる画像検査に置き換えることで、生産ラインのクオリティを標準化できます。人が目視検査を行う場合、作業ムラやヒューマンエラーが発生する可能性が高いです。
検査員の勤続年数が長く、高い集中力を保持している場合でもヒューマンエラーは起きます。人による目視検査は高い集中力と洞察力・経験が求められるため、不注意や集中力の低下によってミスが発生する可能性が高いでしょう。
不良品の回収ミスを怠った場合、原因を突き止めるため最悪の場合は生産ラインをストップしなければなりません。
しかし、AIが外観検査を実施することで、作業ムラとヒューマンエラーを無くします。AIは疲れを感じないため、集中力や注意力が低下することなく、常に安定した外観検査を継続可能です。そのため、AIによる外観検査はクオリティを標準化できます。
生産性の向上
人の目視検査からAIに置き換えることで、生産性の向上が期待できます。人が目視検査を行う場合、物理的に目で追えるスピードでしか把握できません。一方、AIは画像に表示された対象を瞬時に検査するため、人が目で追えないようなスピードで製品が流れていても対応可能です。
また、機械の故障や急遽検査員が休む場合など、問題が発生すると目視検査を実施できなくなります。急なトラブルでスムーズに目視検査が実施できなくなれば生産性が著しく低下するでしょう。
しかし、AIによる外観検査の場合は、機械トラブルや検査員が足りない時でも問題なく検査を実行できます。人的リソースも最少人数で対応できるため、生産性を向上させることが可能です。
人が検知できない部分を発見できる
AIが外観検査を実行する場合、人の目では見えない部分も発見できます。人が目視検査を実行する場合、熟練の検査員でも目視できない部分や細かい傷は、検知できない可能性が十分にあります。
一方、AIによる外観検査は専用のカメラや顕微鏡画像を利用して、人の目には見えない傷や色ムラも判別できます。肉眼では検知に時間がかかる作業でも、AIを利用することで瞬時に対応可能です。
そのため、検知ミスを最大限減らし、高効率で検知作業を進められるようになります。
AIによる目視検査(画像検査)を導入する際のポイント
AIによる外観検査はさまざまなメリットの期待できますが、導入時には押さえるべきポイントが存在します。続いては、AIによる外観検査を導入する際の3つのポイントを解説します。
それぞれのポイントについて説明します。
事前に検証目的を定める
AIによる外観検査を導入する際は、事前に検証目的を定めておきましょう。AIの検査技術は年々向上していますが、確立されているわけではありません。
PoC(Proof of Concept)を利用して、自社の検査にAIが利用できるのか検証を行う必要があります。検証フェーズでは、AIによる外観検査は作業をどこまで対応できるのか、どの程度応用が効くのかなど、段階ごとに評価の実施が求められます。
しかし、あらかじめ検証目的を定めておかなければ、どこまで検証フェーズを進めればいいのかわかりません。目的に設定せずに検証を進めると、PoCが長期化してしまう可能性があります。
そのため、事前に検証目的を定めて、必要な分だけ検証目的を進めることが重要です。
継続的な学習を行う
AIによる外観検査を効果的に活用するためには、継続的な学習が必要です。AIは検知する製品の情報がなければ、外観検査を実行できません。学習用データとして、良品・不良品の画像を複数用意してAIに学習させることが一般的です。(良品画像だけで学習するケースもあります)
また、AIによる検出精度向上のためには、学習用データのフォーマット統一も必要です。コンベアの色や検出対象の撮影方法がバラバラの場合は、学習スピードが低下します。
一般的にAIに必要な学習用画像データは約1,000枚以上必要と言われているため(対象となる検出内容によって変動します)、フォーマットに則り用意することで、素早く高い検出精度の目視検査を実行可能です。
撮影場所を整える
AIの学習用画像を撮影するために、撮影環境を整えましょう。学習用データと検出現場の背景が異なることが、AIの検出精度が低下する要因の一つとして挙げられます。
AIは画像の背景も判断材料として学習しているため、背景が違うだけでも検出精度が低下しやすくなります。製品の不良箇所を正しく識別するためにも、撮影環境を整えることが重要です。
また、カメラや照明なども統一感を持たせることで、検出精度の向上が期待できます。例えば、良品・不良品の撮影カメラや照明を当てる位置の統一など、様々な工夫が考えられます。
少ない工数で高い検出精度を出すためには、整った撮影環境が重要と言えるでしょう。さらに、AIは継続的に学習を行うことで、検出精度の向上が可能です。
初回学習を終えた後も、定期的に画像を取得し学習させることで、さまざまな環境で目視検査を実行できるようになります。
AIによる外観検査を導入するための、より具体的な手順、気をつけるべきポイントについてはこちらの記事で分かりやすく解説しています。
目視検査についてよくある質問まとめ
- 目視検査にはどのような種類がありますか?
目視検査には主に4つの種類があります。
- インライン検査:生産ライン上で行う高速検査
- オフライン検査:生産ラインから離れた場所で行う詳細検査
- 抜き取り検査:一部の製品のみを検査する方法
- 全数検査:全ての製品を検査する方法
- 人が行う目視検査にはどのような課題がありますか?
人が行う目視検査の主な課題は以下の通りです。
- ヒューマンエラーの発生:疲労や集中力低下による見落とし
- 効率や精度のバラつき:検査員による個人差
- 人材育成コスト:熟練検査員の育成に時間とコストがかかる
- AIによる目視検査(画像検査)を導入するメリットは何ですか?
AIによる目視検査導入の主なメリットは以下の通りです。
- 人的・教育コストの削減
- 検査クオリティの標準化
- 生産性の向上:高速で安定した検査が可能
- 人が検知できない細部の発見:高精度なカメラやセンサーの利用
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本記事では、目視検査の概要からAIに置き換えるメリット・デメリット、人が行う課題を解説しました。
人が行う目視検査はさまざまな課題が存在しており、すぐに解決することはできません。しかし、AIによる目視検査(画像検査)を導入することで、採用・育成コストを減らし、クオリティの標準化や生産性の向上が見込めます。
安定した目視検査を実行するためには、AIによる外観検査が重要と言えるでしょう。ただし、AIによる外観検査を導入するためには検討する要素が多く存在し、なかなか導入に踏み込めない企業の担当者もいることでしょう。
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