Llama3.2とは?Llama3との違いは?各モデルの概要・メリット・企業での活用シーンを徹底解説!
最終更新日:2024年11月30日
Meta社が提供するLLM「Llama3.2」は、2024年9月にリリースされました。そのわずか2カ月前に「Llama3.1」が発表されたばかりですが、そのLlama3.1を大きく上回る性能を実現しています。
画像認識機能の搭載と処理の軽量化により、ビジネスでの実用性が大きく向上したこのモデルは、特に中小企業やリソースに制約のある組織にとって現実的な選択肢となっています。
LLMについてはこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
この記事では、Llama3.2のLlama3との違い、Llama3.2各モデルの特徴やメリット、オフィス活用や外観検査など活用シーンについて解説していきます。Llamaの最新モデルについて知りたい、自社に導入できるか検討したい方は、本記事をぜひ参考にしてみてください。
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目次
Llama3.2とは?
Llama3.2は、Meta社が開発したオープンソースLLM(大規模言語モデル)で、Llama3からさらに進化を遂げています。膨大なデータを基に高度な言語理解と生成を行うことで、従来モデルを超える精度と効率を誇ります。
Llama3.2の最大の特徴は、自然言語処理能力の強化だけでなく、画像やテキストを理解できるマルチモーダルな処理が可能な点です。文章と画像の情報を統合して理解し、生成できるようになったことで、さまざまな用途でのAI活用を実現しています。
Llama3.2はオープンソースで提供されており、研究者や開発者が自由に利用・カスタマイズできるようになっており、以下4つのモデルで構成されています。
- 軽量言語モデル: 1B、3B
- 大規模ビジョンモデル: 11B、90B
大規模ビジョンモデル(11Bや90B)と軽量言語モデル(1Bや3B)という異なるサイズのモデルを使用目的やリソースに応じて選択が可能です。以下では、それぞれのモデルの特徴について見ていきましょう。
大規模ビジョンモデル(VLM)の11B/90B
Llama3.2の大規模モデルである11Bおよび90Bは、パラメータ数の多さを活かして、極めて高度な言語処理能力に加え、画像認識技術を搭載したモデルです。画像を扱うことが可能なLLMは、VLM(Vision Language Model)とも呼ばれ、図やグラフの認識、画像内のオブジェクト特定などが可能です。
特に90Bモデルは最大規模のモデルで、最も高度な画像理解能力を持ちます。ほぼすべてのコンピュータビジョン関連タスクでClaude 3 Haikuを上回り、GPT-4o miniと同等以上の性能を示すと評価されています。
11Bと90Bモデルは膨大なリソースを活用する必要があるため、データセンターやクラウド環境のような高性能な計算インフラでの利用が適しています。大量のデータを活用した分析や、特定の分野に特化したテキスト生成・画像分析など、高度なニーズにも対応することが可能です。
画像認識技術が導入されたという点で、Llama3.2はマルチモーダル処理が可能になり、多様な使い方が期待できます。
軽量言語モデルの1B/3B(SLM)
軽量モデル1Bおよび3Bは、限られたリソースで高度なパフォーマンスを発揮できる点が特徴です。パラメータ数を抑えることで計算負荷を軽減しつつ、高い精度を維持するため、ローカル環境やリソースに制約のあるシステムでも効果的に利用できます。
軽量型の言語モデルはSLM(Small Language Model)とも呼ばれ、同様の軽量言語モデルとしてMicrosoft社のPhi-3などがあります。
特に1Bモデルは軽量な設計となっていて、モバイルデバイスやエッジデバイスなどのリソースが限られた環境で動作可能で、リアルタイムでの応答が求められる場面に適しています。
一方、3Bモデルはより多くのパラメータを持ちつつ、大規模モデルほどのリソースを必要としないため、計算負荷とパフォーマンスのバランスが取れています。企業内でのアプリケーションや、特定の業務に対応するための専用AIとして、オンプレミスやクラウド環境での利用が想定されます。
軽量と言いながらも、128Kトークンのコンテキスト長をサポートし、多言語テキスト生成能力も優れています。デバイスや環境に応じた利用が可能で、コスト効率を考慮しながらも十分な精度を維持したAIサービスを提供します。
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Llama3との違い
Llama3.2は前モデルであるLlama3からさらに機能が強化され、より多様な用途に対応できるよう進化しています。Llama3との違いは、以下の通りです。
- 画像認識機能の搭載
- 計算リソースの軽量化
- Llama Stackの導入
それぞれの違いについて解説していきます。
画像認識機能の搭載
Llama3.2の大きな進化が、画像認識機能の搭載です。Llama3ではテキストベースでの処理が基本でしたが、Llama3.2では画像情報も解析できるようになりました。これにより、画像とテキストを同時に扱うマルチモーダルな応答が求められるアプリケーションで、精度の高い出力が期待できます。
主なマルチモーダル機能には以下が含まれます。
- 画像の内容説明
- 画像からの情報抽出
- 画像に基づいた推論
- 文書レベルの理解(チャートやグラフを含む)
- 画像のキャプション生成
- 視覚的な物体特定
特に、チャートや図表の理解(ChartQA、AI2 Diagram)において高い性能を発揮しています。
計算リソースの軽量化
Llama3.2の軽量モデルは、計算リソースの効率化に大きく貢献する以下の技術が用いられています。
- プルーニング: モデルサイズを縮小しつつ、知識と性能を維持
- 知識蒸留: 大規模モデルの知識を小規模モデルに転移
Llama3と比べて処理の最適化が行われており、必要とするリソースを抑えつつも高い精度を維持できます。これにより、リソースに制約のある環境やデバイス上でも柔軟に運用でき、大規模な計算環境を必要とせずに導入することが可能です。
Llama3.2は中小企業や個人開発者にとっても導入しやすいAIツールとなり、幅広いユーザー層にとってアクセス可能なモデルへと進化しています。環境負荷を抑えつつAIを活用したいというニーズに応える形で、Llama3.2は幅広い活用方法が期待できます。
Llama Stackの導入
Llama3.2にはLlama Stackと呼ばれるアーキテクチャが導入され、処理の柔軟性と効率性が大幅に向上しました。Llama3.2で導入された新しい開発・デプロイメントフレームワークで、開発者がLlamaモデルを様々な環境で簡単に利用できるようにする統合環境です。
標準化されたAPIを提供することで、コード開発を簡素化可能です。
また、データ処理をモジュール化することで、異なるタスクや環境に合わせてモデルのパフォーマンスを最適化できる構造を備えます。これにより、タスクに応じて必要な計算リソースを効率的に配分でき、リソース消費を抑えながら高精度な処理が可能です。
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Llama3.2を企業で活用するメリット
Llama3.2を導入することで多くのメリットがあり、ビジネスにおけるさまざまな場面で効果を発揮します。Llama3.2の活用がもたらす具体的なメリットについて、以下で詳しく解説していきます。
マルチモーダル機能のビジネス活用
Llama3.2が持つマルチモーダル処理技術では、テキストだけでなく、画像データも同時に理解・処理できるため、より高度で複雑なタスクにも対応できます。
例えば、Llama3.2を使用してグラフ、チャート、図表などの視覚的なビジネスデータを分析し、洞察を得ることができます。Llama3.2は複雑なデータビジュアライゼーションを解釈し、トレンド、パターン、異常値を特定し、テキストベースの分析レポートを生成します。
また、製品開発チームは、Llama3.2を使用して、製品設計図や3Dモデルの画像を分析し、テキストベースのフィードバックや改善提案を生成できます。これにより、デザインレビューのプロセスが迅速化され、イテレーションサイクルが短縮されます。
ただし、寸法や部品など、精度高く図面の読み取りを行いたい場合などは、図面読み取り用の専用画像認識開発を行うほうが、より精度の高い読み取りが可能になるため、すべてをLlama3.2で実現できると想定しない方が良いでしょう。
ローカル処理による応答速度の向上
Llama3.2の軽量モデルはローカル処理を可能にすることで、応答速度の向上を実現します。軽量化と最適化が施されているため、応答にわずかな遅延が発生するという大規模モデルの課題を解決し、必要な処理をローカル環境で実行できます。
軽量モデルを使用することで、個人情報を扱うアプリケーションでもプライバシーを保護しつつ高速に動作させることができます。
- カレンダーアプリと連携し、フォローアップミーティングの招待状をその場で作成・送信
- 組み込みシステムでセンサーデータをリアルタイムで分析し異常検知を即座に行う
- セキュリティカメラの映像をリアルタイムで分析し異常を検出してアラートを発信
関連記事:「ローカルLLMとは?その技術や特徴、メリット、課題、構築方法を徹底解説!」
開発効率の向上
Llama3.2を活用することで、開発効率を向上させることも可能です。開発者は複雑なタスクやデータ形式に合わせた調整を行いやすく、短期間でプロトタイプの構築やテストを進めることが可能です。
また、Llama Stackにより開発過程での変更やカスタマイズが容易に行えます。標準化されたAPIを提供し、コード開発を簡素化します。これにより、開発者の学習コストが削減され、開発速度が加速します。
さらに、ローカル処理のサポートによって開発環境をクラウドに依存せずにセットアップできるため、テストやデプロイも迅速に実施できます。これにより、開発期間を短縮し、コストを抑えつつ高品質なAIソリューションを提供することが可能になります。
Llama3.2の活用シーン
Llama3.2は、多機能で高性能なAIモデルとして、さまざまな業界や用途での活用が期待されています。以下では、Llama3.2がどのような場面で役立つのか、具体的な活用シーンを解説します。
カスタマーサポート
Llama3.2に搭載されている高度な言語処理能力とマルチモーダル機能は、顧客の質問に対する応答をサポートします。例えば、テキストチャットでのサポートだけでなく、製品の画像を共有することで、関連情報や使用方法の案内が自動で提供されるといった多様な対応が可能です。
また、ローカルでの処理が可能なため、リアルタイム性の高い応答が求められるサポートにおいても遅延がなく、円滑なコミュニケーションが取れるシステムを構築できます。Llama3.2の活用により、より良いカスタマー体験を提供することが可能になります。
製品の画像検索
Llama3.2の画像認識機能を活用することで、製品画像をアップロードするだけで同じ商品や類似商品の情報を検索することが可能です。ユーザーはテキスト検索に頼ることなく、直感的な方法で製品情報を得ることができ、便利でスムーズな購入体験ができます。
特にeコマースサイトにおいて、画像認識技術は顧客の利便性を高める技術となります。マルチモーダルな処理が可能なLlama3.2は、画像とテキスト情報を組み合わせた詳細な検索も行えるため、より正確な検索結果を提供します。
製造業の外観検査
Llama3.2は、製造業の品質管理における外観検査でも有効なツールとして活用できます。作業員が行っていた検査作業をAIが担うことで、製品の外観検査の自動化や異常の検出精度の向上が可能で、作業効率を高めます。
Llama3.2は細かな傷や欠陥の検出だけでなく、検査基準に応じてさまざまな異常を分類できるため、検査結果の一貫性が高まり、品質保証の信頼性が向上します。さらにローカル環境での高速処理が可能なため、製造ラインにおいてリアルタイムでの検査が実現し、不良品の即時対応が可能になります。
この外観検査への応用により、製造業では人手不足への対応やコスト削減が期待できるだけでなく、製品の品質管理をさらに強化することができます。
外観検査についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
Llama3.2についてよくある質問まとめ
- Llama3.2とLlama3では何が違いますか?
Llama3.2とLlama3では、以下のような違いがあります。
- 画像認識機能の搭載
- 計算リソースの軽量化
- Llama Stackの導入
- Llama3.2になったことで何ができるようになりましたか?
Llama3.2になったことで、以下のようなことがより高度にできるようになりました。
- マルチモーダル処理
- ローカル処理による応答速度の向上
- 開発効率の向上
まとめ
画像認識機能と軽量化された設計により、Llama3.2はさまざまな業界で活用できる次世代LLMとして、多くの可能性を秘めています。マルチモーダル処理やローカル処理などの機能によって、従来のAI技術を超えるスピーディーで多機能な応答が実現し、顧客体験の向上や業務効率の改善に貢献するでしょう。
カスタマーサポートや製品検索、製造業の品質管理といった多岐にわたる分野での応用が期待されており、今後もさらに多様な活用シーンが広がることが予想されます。Llama3.2は、新たな価値創出を実現するための重要なツールとして活用されていくでしょう。
ただし、効果的な導入には、業務プロセスの分析や適切な運用設計が不可欠です。自社の課題に最適なAIソリューションを構築するためには、AIコンサルタントや導入支援の専門家に相談することをお勧めします。
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