ChatGPTのデータ分析「Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)」とは?Plusユーザーしか使えない?注意点、設定方法、活用例徹底解説!
最終更新日:2024年11月26日
AI(人工知能)の技術は急速に進歩しており、特に生成AI(ジェネレーティブAI)のビジネスへの活用を始めた企業が増えてきました。その中でも米OpenAIが提供しているチャット型のAIツールChatGPTは多くの影響力を与えています。
ChatGPTに新機能Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)(コード・インタープリター)が追加され、テキストでの回答だけでなく図表や地図の作成、データ分析など、より多くのタスクをこなせるようになりました。しかし「データ分析なんて自分の業務では縁がないし」と感じている方も多いようです。
本記事では、
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目次
ChatGPTのAdvanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)とは
OpenAIが提供するチャット型の生成AIツール「ChatGPT」に、新たに「Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)(コード・インタープリター)」機能を搭載し、2023年7月に一般公開されました。この機能は、単なる新規機能にとどまらずChatGPTの上位互換の性質を持った高度なタスクをこなせるツールへ進化させるものです。
Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)は、ChatGPT内でプログラミング言語のPythonで書かれたコードを解釈し実行することによりデータ分析ができる仕組みです。つまりChatGPT上で実装されたPythonの実行環境といえます。
Pythonで実行できる処理や計算はChatGPTへのプロンプトによる指示だけで、ノーコードでのデータ分析や可視化などが可能となります。つまり、コードを書く必要がなく「こういうことをしたい」と自然言語でChatGPTへ指示するだけで良いとても便利な機能です。
また、従来のChatGPTではできなかったファイルのアップロードやダウンロードにも対応しています。CSVやPDFなどのファイルをアップロードし、それらのファイルのデータを解釈できるようになりました。
Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)を有効にする方法
2024年11月現在、Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)はデフォルトで有効になっています。
ただし、無料版では利用制限があるので、制限なしで利用するためには、月額20ドルの「ChatGPT Plus」へ加入する必要があります。
Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)の4つの特長
ChatGPTのAdvanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)機能は、今までにない新しい次元の対話型プログラミング体験を提供します。Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)機能には以下の大きな特長があります。
- Pythonコードを生成しバックエンドで実行
- ファイルの入出力
- データ分析
- テキストの長期記憶
それぞれの詳細を解説します。
Pythonコードを生成しバックエンドで実行
ChatGPTがプロンプトに応じてPythonコードを生成し、バックエンドでコードを実行することが可能です。この機能により、プログラムの知識がないユーザーでもコードの生成から実行までをスムーズに行えます。
例えば、上記画像のように「今日を起点に任意のXX日後の日付と曜日が分かる軽くて早いプログラムを作ってください」という質問に対して、ChatGPTがコードを自動生成し、結果を表示します。ユーザーはコードの詳細を気にせず、結果だけを受け取ることができます。
Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)が生成したPythonのコードは、サーバー上の仮想環境によって実行され、結果を直接チャット画面に表示します。複雑なPythonや関連ライブラリのインストールは不要で、この機能によってChatGPT自身がPythonでコードを書いてくれ、実行してくれます。
この機能で、これまでのChatGPTのバージョンではできなかった、より複雑な処理が可能となりました。例えば、ChatGPTにデータをアップロードし、「売上の月別グラフを作成してください」と指示するだけで、必要なグラフを生成します。
複雑な計算やユーザーがアップロードしたデータの分析など、今までのバージョンでは対応できなかったタスクに対応できるようになりました。
ファイルの入出力
Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)機能は、テキスト以外の任意のファイルをアップロードして入力とすることも可能です。ユーザーが保有するCSVやJSONなどのさまざまな形式のデータファイルに対応しています。
さらに上記画像のように結果の出力もテキストだけでなく、コードや画像、グラフなどさまざまな形で出力ができます。データ分析によって得られた結果を棒グラフやヒートマップなど視覚的にわかりやすい形で出力できます。
さらに、画像の加工や動画の編集も可能です。加工、編集したい画像、動画ファイルをアップロードし、ChatGPTへ作業を指示するだけです。
簡単にデータ分析
Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)にはデータ分析において多くの機能があります。具体的には以下が挙げられます。
- データの解析
- 前処理
- ファイルの入出力
- 可視化
データファイルをアップロードし、「このデータを分析して」とプロンプトに指示すれば、簡単に分析結果を得ることができます。例えば、売上データをアップロードし、「このデータのトレンドを示して」と指示するだけで、季節の変動や特定商品の売上推移などが分かります。
また、Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)は異なるデータ形式の整合性をとって確認したり、表記のブレや文字形式の違いを統一するような前処理をしたりと、細かい対応をしてくれます。手動での前処理作業は時間がかかるため、自動化することで効率が大幅に向上します。
例えば、異なるデータソースからの情報を統合し、「このデータをクリーンアップして」と指示すれば、欠損値の補完やカテゴリ値の統一などが自動で行われます。プロンプトの指示の仕方によって、より高度なデータ分析も可能となります。
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テキストの長期記憶
Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)は、ChatGPTの弱みだったコンテキスト(文脈)保持の課題を解決するために、対話の保持と参照の機能を提供しています。
Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)はすべての対話を保存するデータベースを作成し、応答生成時の関連情報として参照できます。 例えば、「前回の顧客対応の内容を参照してください」と指示すると、以前の対話履歴を参照して、顧客に対する適切な対応ができます。
ただし、Pythonの実行環境は、一定期間が経過したり、セッションが切れたりするとすべての状態が失われることもあるようなので注意が必要です。
Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)の活用例
Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)を活用してできることの事例を紹介します。
データ分析が手軽にできる
データ分析のプロセスを簡単に、迅速に行うことができるAdvanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)の利用事例を紹介します。売上データや統計データなどをアップロードし、「分析してください」と指示するだけで、データ分析が行えます。
Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)はデータの読み取りから前処理、分析までを自動で行うため、分析が手軽になります。具体的には以下を行ってくれます。
機能 | 機能概要 |
---|---|
文字コードの変換 | CSVやExcelの文字コードが異なる場合でも、自動で変換して読み取ります。 |
不要データの削除 | 不要な行や列の存在を自動で検出し、削除します。 |
分析過程の出力 | どのように処理しているかの過程を出力し、分析の進め方が理解しやすくします。 |
アルゴリズムの理解 | 生成されたコードを表示し、使用されたアルゴリズムの理解を深めることができます。 |
ChatGPTとエクセルの簡単連携でデータ分析する方法をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
可視化やグラフ化
データ分析の結果を分かりやすく伝えるための可視化は、Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)で容易に実現できます。Pythonの可視化ライブラリを利用できるため、簡単にグラフやチャートを生成できます。
可視化の知識がほとんどなくても、手軽に以下のようなグラフの生成が可能です。
可視化アイデア | 機能概要 |
---|---|
売上トレンドの折れ線グラフ | 「この売上データを月ごとにグラフ化してください」と指示すれば、月別の売上トレンドが折れ線グラフで表示されます。 |
製品カテゴリ別の円グラフ | 「各製品カテゴリの売上比率を円グラフで表示してください」と指示すると、各カテゴリの売上比率が円グラフで描画されます。 |
地域別売上のヒートマップ | 「顧客満足度調査の結果をバーグラフで表示してください」と指示すると、各評価項目の平均値を棒グラフで視覚化します。 |
製品の相関分析の散布図 | 「製品Aと製品Bの売上の相関関係を散布図で描画してください」と指示すると、二つの製品間の売上の相関関係を散布図で分析します。 |
コードの生成と理解
Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)は、プログラムのソースコードの生成と理解の両方において強力な支援を提供します。簡単な指示のみで意図したプログラムのソースコードを生成できます。
従来のChatGPTでもプロンプトからの指示でコード生成はある程度可能でしたが、生成したコードを手元の環境で実行するとエラーが出ることがしばしばありました。
それに対し、Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)は生成したコードを仮想環境で実行するため、正確に動作するか確認できます。「この数式を実装したPythonコードを生成してください」と指示すると、数式に対応する正確なコードが生成されます。
生成したコードはPython形式のファイルとしてダウンロードできます。このコードを解読し基本的なアルゴリズムを学ぶという使い方もできるため、プログラミング学習に最適です。
ChatGPTをプログラミングに使うコツをこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
画像検出やOCR
Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)は、テキストファイルだけでなく、動画や画像、音声などにも対応しています。そのため、限定的ながら画像検出やOCR(光学文字認識)が可能です。
例えば、画像に写っている特定の要素を検出することができます。 「この画像に写っている人の数を検出してください」と指示すると、画像に写っている人の数を正確に検出できた成功例も報告されています。
また、「この画像にどのような物体が写っているかを識別してください」と指示すれば、画像内の主要な物体を識別します。
OCR機能については、今のところ英字に限りますが画像からテキストの抽出が可能です。
複雑な計算
ChatGPTは複雑な計算はあまり得意でないと言われています。しかし、Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)を活用することで、Pythonのプログラムが実行されるため、これまで困難だった複雑な計算も実現できるようになりました。例えば立方根を求めたり、複雑な文章問題を解いたりということに役立ちます。
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Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)使用上の注意点
Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)を利用する際には注意しなければならない以下の点があります。
- 外部ネットワークから隔離されている
- プラグインと併用ができない
- 無料プランでは利用できない
- 日本語の対応は工夫が必要
それぞれの詳細を解説します。
外部ネットワークから隔離されている
コード内のPythonの仮想環境は、セキュリティ上の配慮からインターネットに接続されていません。そのため、外部APIへのリクエスト送信やウェブスクレイピングはできません。
例えば、気象情報を外部APIから取得するような処理は、Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)では実行できないため、別途ダウンロードしたファイルをアップロードするなど別の方法を考慮する必要があります。
Pythonの主要なライブラリは利用できますが、すべてのライブラリが利用できる訳ではない点は注意しましょう。利用できないライブラリがあった場合でも、自身で用意したライブラリのファイルをChatGPTにアップロードすれば活用できる場合もあります。
プラグインと併用ができない(2024年4月にプラグイン機能廃止)
ChatGPT Plusのもう一つの付加機能に「プラグイン」があります。プラグインは、他のサービスとの連携や最新情報を取得したい場合に活用できます。
しかし結果の出力方法として、上記画像のように以下の3種類のどれかを選択しなければなりません。
- GPT-4そのままの出力
- プラグインを用いた出力
- Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)の出力
つまりプラグインとAdvanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)の併用はできません。
2024年4月にChatGPTのプラグイン機能は廃止されました。
無料プランでは限定利用
2024年11月時点で、無料プランでのAdvanced Data Analysis利用は制限が設けられています。そのため、利用制限なしで利用したい場合は、ChatGPTの有料プランであるChatGPT Plusに加入する必要があります。
ChatGPT Plusに登録していれば、Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)を利用する際に追加料金は発生しません。
日本語の対応は工夫が必要
出力するグラフや図のタイトルや軸の名前が日本語の場合、日本語フォントのファイルをアップロードする必要があります。デフォルトでは、日本語フォントが対応していないからです。
ChatGPTのAdvanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)についてよくある質問まとめ
- ChatGPTのAdvanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)とは?
OpenAIが提供するチャット型の生成AIツール「ChatGPT」に、新たに「Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)(コード・インタープリター)」機能を搭載し、2023年7月に一般公開されました。Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)は、ChatGPT内でプログラミング言語のPythonで書かれたコードを解釈し実行できる仕組みです。つまりChatGPT上で実装されたPythonの実行環境といえます。詳しくはこちらにジャンプ。
- Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)の特長は?
Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)機能には以下の3つの大きな特長があります。
- Pythonコードを生成しバックエンドで実行
- ファイルの入出力
- データ分析
- テキストの長期記憶
まとめ
本記事はChatGPTの新機能Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)について解説しました。ChatGPTの付加機能にとどまらず、一つの大きな新機能として
Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)は、主にデータ分析に強みを持ち、これまで時間がかかっていた作業の効率化が期待できます。ChatGPTをより深く活用したいと考えている方は、ぜひAdvanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)を利用してみてください。
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