RPAとは?AI/マクロとの違いや期待できる効果を解説
最終更新日:2024年09月23日
オフィスワークの生産性向上に関するテーマで最近よく耳にするRPA。RPAは、PCの操作を自動化するソフトウェアですが、従来の自動化ツールに比べて適用範囲が広く、さまざまな事務処理の効率アップにつながると期待されています。
RPAは導入できる業務の範囲が広いだけではなく、様々なソフトウェアの処理を自動化できることが大きな魅力。これまでは人でないとできなかった作業の一部を、オートメーションによって処理できます。また、AIとの相性も非常によく、AIとの連携によって、さらに高度な処理ができるようになってきています。
今回はRPAとは何かについて説明し、導入にあたって知っておくべきことについて解説します。
AI Marketでは、AIと相性の良いRPA導入支援に強い会社の選定や適切な会社の紹介も行っています。会社選定や依頼方法がわからない場合には、AI Marketの専門コンサルタントが無料でサポートいたしますので、いつでもお気軽にご相談ください。
目次
RPAとは
RPA(Robotics Process Automation)は人がPCで行う作業を、そのまま自動化するツールのことを言います。製造ラインの作業をアーム型ロボットが自動化するように、バックオフィスでの事務作業をソフトウェアが自動化するイメージです。
PCの画面上で日常的に行っている作業を、RPAを起動するだけでそのままの手順でソフトウェアが実行してくれます。自動化できるのはあくまでも作業の部分で、判断を伴う業務の代行はできません。日常的に行っているルーティンワークについては、作業ミスを低減し、高速で繰り返し実行できるようになることから、事務作業などの業務改善に有効なツールです。
データを転記したり、抽出したりするだけではなく、複数のファイルを開いてデータを一元化したり、アプリからデータを取り出したりすることもできます。起動時刻を設定して作業を行うこともできますので、定時終了時の業務や定期的なファイルアップデートなどの自動化も、PC上で行う作業をそのまま実行・完了できるようになります。
RPAの種類
RPAはその構成によって大きく2つの種類に分けることができます。
クライアント型
ユーザーのデスクトップ上で稼働するRPAをインストール型、またはクライアント型RPAと言います。個々のPC一台ごとに導入し、ユーザーごとの個別の業務を自動化するために用いられることが多いです。
データベースなどの情報リソースが個人用PCの中に限定されますのでRPAとしての作業は限定されますが、一人ひとりの作業を直接自動化でき、個人で管理できます。一つの端末ごとに導入できますのでRPA導入のプロセスが複雑にならずにすむ点が長所です。
サーバ型
これに対して、サーバを介した複数のPCに対して動作する自動化ツールがサーバ型。社内のサーバーをクラウドベースに移した場合はクラウド型RPAと呼ばれます。サーバー内のすべてのデータを活用でき、職場全体で業務全体を一括共有できる点が最大の長所です。
ユーザーが増えた場合も、アクセス設定を追加するだけでRPAの活用範囲が拡張されるスケーラビリティが高く、大きな組織での導入に適しています。
RPAの特徴・違い
事務処理の自動化ツールとして知られているその他のツールやテクノロジーと比較してRPAの特徴を見てみましょう。
マクロ(VBA)との違い
Excelのマクロ機能はExcel上での処理を自動化できるツールです。VBA(Visual Basic for Application)と呼ばれるコーディングでExcelの操作をプログラムして自動化します。Microsoft Office上で動作するデータは操作可能ですが、それ以外のソフトを扱うことはできません。
一方RPAはMS-Office以外のアプリやソフトウェアに関する処理も自動化できます。マクロよりも幅広く活用できるでしょう。
AI(人工知能)との違い
AIは学習能力により自己生成的にプログラムを作成するソフトウェアのことで、人が作業方法を指示しなくてもAI自体がその目的を達成するように機能します。データ同志の関係や傾向をAIが自律的に判断して、処理を行うことができるのが最大の特徴です。
RPAはプログラムされた処理を、従来のソフトウェア同様に機械的にこなすソフトウェアロボットであり、AIのような判断機能を持ちません。AIが処理したデータをRPAが利用して処理をしたり、RPAの処理結果をAIが利用して学習に用いたりすることでRPAはより高度な機能を実現できるようになります。
AIについてより詳しい内容は、AI全解説の記事にて記載しておりますので、あわせてご覧ください。
産業用ロボットとの違い
工場の生産ラインで作業をするアーム型ロボットや受付・案内業務などへの開発が進められているヒューマノイドロボットのように実世界に物理的な「体」を持つロボットに対し、RPAは純粋なソフトウェアです。
一般的にロボットは、物理的作業を行う「体」、作業をコード化した「プログラム」、そして物理的な状況をデータに変換する「センサー」から成っています。これに対してRPAはプログラムのみからなるツールです。人に変わって作業をするという点からソフトウェアロボットと呼ばれますが、実態はプログラムにより指示されるプロセスに過ぎません。
RPAで何ができるのか
RPAは適用領域の広いソフトウェアですが、基本的にはルーティン業務の処理に適しています。RPAが得意とする作業とそうでないものについて、簡単にまとめました。
RPAに向いている業務
- 作業手順が明確な業務
- 大量のデータを繰り返し処理する業務
- 複数のユーザーが同一業務を行う業務
RPAは、複数のソフトウェアやアプリで処理する必要がある業務や、定期的に同じ処理を施す必要がある業務の自動化などに向いています。クラウド型、サーバ型のRPAでは同一処理を複数の端末で行うことも可能です。
RPAに向いていない業務
- 人による判断が必要な業務
- 件数が少ない、発生頻度の低い業務
RPAはデータを処理し、数値化したり分類したりすることはできますが、その内容の判断はできません。特に複合的な判断が求められる業務をRPAで処理するのは困難でしょう。処理するデータ量が少ない業務や、ルーティンでも処理の頻度が低い業務ではRPA開発のメリットは得られません。
RPA導入にあたって
RPAによる業務効率化を考えている方にとって、事前に確認しておいたほうがよい点を説明します。
導入によって期待される効果
- 事務処理の作業効率向上
- 人員不足下での生産性向上
- DX推進
RPAはいくつものファイルを使い、複数のアプリからデータを入手するような業務の自動化を推進するツールです。複雑な業務を迅速に精度よく処理することができ、書類作成等の業務を大幅に改善します。
また、作業の多くを自動化できるため、事務処理に費やしていた時間を、より判断が必要な創造的業務に取り組むことができます。高度なシステム設計に比べてRPAのプログラム作成は難易度が低く、高度IT人材を必要としません。
導入にあたっての課題
- 現場のスタッフを巻き込む
- 自動化する業務の洗い出し
- 内製化を進める
RPAの課題としては、導入プロジェクトを推進する経営企画側の視点だけではなく、実際にRPAを利用する現場スタッフと共に導入を進めることです。導入の効果について、現場の理解なしでは、RPAの活用は進められません。
また、どのような業務を自動化するのか、特にRPA導入初期においては慎重に選定する必要があります。RPA化したい業務について現場の声をヒアリング、小さいツールから始めて徐々に本格導入へつなげていきます。
高額なシステム開発と違ってコーディングが容易なRPAでは、導入後早い段階でRPA内製化への体制づくりを進めておくことも重要です。従来のITシステムに比べてレジリアンスの高いRPAの特徴を生かすためにも、業務プロセスの変化に応じた柔軟な対応ができるようにしておく必要があります。
RPAツール提供会社と導入支援会社
RPAツールは欧米の企業を始め、日本のツール提供会社まで100以上の会社が存在します。それぞれ特徴のある様々なツールがあり、導入する企業の規模や業務内容によって適切なツールを選択しなければなりません。導入コストの比較も重要ですが、導入後の効果も十分に考慮した上で、費用対効果の見合うRPA製品を導入することが必要です。
一方、
RPAツール提供会社と導入支援会社についてはRPA導入支援に強い、プロ厳選の会社を参照ください。
RPAとAI
RPAはAIを活用することによってより強力な業務支援ツールとなります。
RPAの用途と今後の拡大
RPAの導入は、従来「人でなければできない」と考えられていた業務の多くをソフトウェアロボットが代行することを可能にします。書類作成が主となる職種の多くでRPAの導入は職場の風景を一変させるでしょう。
業務フローのデジタル化が進むことで事務作業の不休化が進み、配置転換や退職による業務遅滞のリスクは最小限になります。
AIとの連携による機能強化
RPAにAIの認知システムを与えるとRPAの処理能力は大幅に向上します。AIの自然言語処理、画像認識、音声認識を用いることでビデオ画像や会話の理解、チャットによる入出力が可能です。
RPAによりデジタル化されたワークフローに、AIの意思決定プロセスをつなぎ合わせることができれば、意思決定につなげる自動化パイプラインを構成できるようになります。
わかりやすい例で言えば、AI-OCR(文字認識技術)を通して書類の文字をAIが認識し、認識して出力した文字情報をRPAが業務管理ツールに登録する、などが挙げられます。これはAIとRPAを活用した非常に良い例で、多くの会社が自社業務への適用の検討や実導入を進めています。
RPAについてよくある質問まとめ
- RPAとは何ですか?
RPAとは、人がPCで行う作業を自動化するソフトウェアツールです。
- RPAはどのような業務に適していますか?
RPAは以下の業務に適しています。
- 作業手順が明確な業務
- 大量のデータを繰り返し処理する業務
- 複数のユーザーが同一業務を行う業務
- 複数のソフトウェアやアプリを使用する業務
- 定期的に同じ処理を行う業務
一方、人による判断が必要な業務や、発生頻度の低い業務には適していません。
- RPAを導入することで、どのような効果が期待できますか?
RPAを導入することで、以下の効果が期待できます。
- 事務処理の作業効率向上
- 人員不足下での生産性向上
- DX(デジタルトランスフォーメーション)推進
- コンプライアンスの向上
- 処理精度の向上
RPAの導入は導入支援業者へ
今回はRPAの特徴とその導入などについて説明しました。
これまでコンピューターによる業務改善に取り組むことの難しかったホワイトカラーの業務において、RPAの登場は業務効率の改善を推進する重要なツールとなります。ソフトウェアによる事務処理は、従来のプロセスの欠点であったコンプライアンスの課題や処理精度の確保を可能にしました。導入した会社の多くで生産性の向上や経営効率の改善効果が報告されています。
RPAの導入には十分な経験を積んだ担当者が当たる必要があります。導入を検討している業務があれば、最適な会社の紹介を行っているAI Marketをぜひご活用ください。専門コンサルタントがRPA導入支援に強い会社の選定を無償でサポートいたします。
AI Marketの編集部です。AI Market編集部は、AI Marketへ寄せられた累計1,000件を超えるAI導入相談実績を活かし、AI(人工知能)、生成AIに関する技術や、製品・サービス、業界事例などの紹介記事を提供しています。AI開発、生成AI導入における会社選定にお困りの方は、ぜひご相談ください。ご相談はこちら
𝕏:@AIMarket_jp
Youtube:@aimarket_channel
TikTok:@aimarket_jp
運営会社:BizTech株式会社
掲載記事に関するご意見・ご相談はこちら:ai-market-contents@biz-t.jp