AIエージェントの開発方法・手順を解説!必要な技術や代表的フレームワーク、注意点徹底ナビ
最終更新日:2026年08月19日
記事監修者:森下 佳宏|BizTech株式会社 代表取締役

- AIエージェント開発は、業務範囲の定義から知識ベースの構築、UI/UX設計、API連携、実装、運用・改善に至る体系的な手順で進められる。
- 開発には、LLM(大規模言語モデル)、自然言語処理、RAG(検索拡張生成)、API連携といった中核技術の理解と適切な活用が不可欠。
- プロジェクトを成功させるためには、AIが担うべきタスクの適切な選定、堅牢なエラー管理体制の構築、出力結果の透明性確保、そして継続的なフィードバックに基づく改善サイクルが重要
生成AI技術の発展に伴い、自律性を持ったり、決められたワークフローに応じて処理を自動で進めたりする「AIエージェント」が注目されています。作業の効率化や人的負担の軽減を目的に、開発へ取り組む企業も増えています。
一方で、その構築には専門的な知識が必要であり、開発フローの全体像を把握しなければ、目的に合ったエージェントを設計できません。
この記事では、AIエージェント開発の具体的な11のステップ、プロジェクトの成功に不可欠なコア技術、開発を加速させる主要フレームワーク、そして見落としがちな注意点まで解説します。本記事を最後までご覧いただければ、プロジェクトを計画・実行するための明確な見通しと実践的な知識を得られるでしょう。
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目次
- 1 AIエージェントの開発手順
- 2 開発に必要な技術
- 3 開発に使える代表的なフレームワーク
- 3.1 Microsoft Agent Framework
- 3.2 AutoGen
- 3.3 LangChain
- 3.4 Mastra
- 3.5 OpenAI Agents SDK
- 3.6 Amazon Nova Act
- 3.7 Amazon Bedrock Agent
- 3.8 CrewAI
- 3.9 Agno(旧Phidata)
- 3.10 Microsoft Foundry Agent Service(旧:Azure AI Agent Service)
- 3.11 Magentic-One
- 3.12 LangGraph
- 3.13 Semantic Kernel
- 3.14 PraisonAI
- 3.15 Google Agent Development Kit(ADK)
- 3.16 Vertex AI Agent Builder
- 3.17 NLWeb
- 3.18 n8n
- 3.19 watsonx Orchestrate
- 4 開発する際の注意点
- 5 AIエージェントの開発についてよくある質問まとめ
- 6 まとめ
AIエージェントの開発手順

開発にあたっては、目的やタスクを定義するだけでなく、自律的に実行できる範囲、外部ツールとの連携、人による承認、セキュリティを適切に設計することが重要です。
開発手順は以下の通りです。
- エージェントの業務やタスク範囲の定義
- 適切な技術とプラットフォームの選定
- 知識ベースの構築(必要に応じて)
- インテント・エンティティの設計(必要に応じて)
- ユーザーインターフェース(UI/UX)のデザイン(必要に応じて)
- 外部ツールやAPIの統合・連携
- マルチエージェント連携(必要に応じて)
- 実装
- 動作検証
- デプロイ
- 運用・改善
それぞれの手順について解説していきます。開発の際の費用についてはこちらの記事で解説しています。
エージェントの業務やタスク範囲の定義
まずは、AIエージェントが対応する業務やタスクの範囲を定義します。ここでは業務フローを洗い出し、AIによる自動化が適する領域を見極める必要があります。
どの業務領域に導入するのか、具体的なユースケースを特定します。
まず、要件定義においては、以下のような機能を想定して決定します。
- ルール処理
- 自然言語による対話
- 意思決定支援
- 外部システムとの連携
また、AIエージェントに期待する具体的な目標(例:問い合わせ対応時間の〇〇%削減、顧客満足度の〇〇%向上など)を明確にします。この段階での要件定義の精度が、プロジェクト全体の品質や保守性に影響します。
同時に、利用する必要性も確認します。処理条件や手順が明確に決まっている業務は、通常のシステムやRPA、ルールベースのワークフローで対応した方が、安定性や費用対効果に優れる場合があります。
一方で、状況に応じて次の処理を判断したり、複数のツールを使い分けたりする必要がある業務は、AIエージェントに適しています。
さらに、AIエージェントにどこまで自律的な判断と実行を認めるのかを定義します。情報検索や回答案の作成は自動化する一方で、外部への送信、契約変更、決済、データ削除などは人による承認を必須にするなど、操作の影響に応じて権限を調整することが重要です。
関連記事:「AIエージェントと従来システムの導入プロセスの違いは?検討ポイント・よくある失敗例・対策方法を徹底解説!」
適切な技術とプラットフォームの選定
タスクの複雑性や必要な機能に応じて、適切な生成AIモデル(LLM(大規模言語モデル)、画像生成モデルなど)や関連技術(自然言語処理、API連携など)を選定します。
そして、開発・運用に必要なインフラストラクチャやプラットフォームを選定します。セキュリティやスケーラビリティも重要な考慮事項です。
AIモデルを選定する際は、回答精度だけでなく、推論能力、ツール利用能力、コンテキスト長、応答速度、利用料金、日本語への対応なども比較します。タスクごとに異なるモデルを使い分ける方法もあります。
フレームワークやプラットフォームについては、外部ツールとの連携、状態・メモリ管理、人による承認、実行履歴の記録、評価・監視など、開発・運用に必要な機能が備わっているかを確認します。
内部人材で技術選定が手に余るのであれば、外部のコンサルタントを活用することも検討できるでしょう。
なお、AIエージェントの実装やテストでは、OpenAIのCodexやAnthropicのClaude Codeなどのコーディングエージェントを活用する方法もあります。
これらはAIエージェントシステムを構築するためのフレームワークではありませんが、コードの生成・修正、既存コードの調査、テストの作成・実行などを支援し、開発作業を効率化できます。
知識ベースの構築
知識ベースとは、エージェントが質問に回答したり、意思決定を支援したりする際の根拠となる情報の集約です。エージェントの回答精度と業務信頼性に直結する中核要素となるため、初期設計段階から設計することが求められます。
構築にあたっては、以下例に挙げるような構造化・非構造化データを収集、整理し、検索性と再利用性を高める設計が求められます。
知識ベースの構築においては、生成AIモデルとの親和性を意識し、検索用メタデータの付与や文書分割ルールの最適化が必要です。また、ナレッジ更新の頻度や正確性を維持するために、バージョン管理やレビュー体制も併せて整備することで、継続的な運用にも対応できます。
ユーザーや部署ごとに参照できる情報が異なる場合は、知識ベースにもアクセス制御を適用します。また、回答の根拠を確認できるように、参照元となった文書やデータを表示する設計も重要です。
なお、すべてのAIエージェントに独自の知識ベースが必要なわけではありません。外部APIや業務システムから必要な情報を直接取得できる場合は、知識ベースを構築しない構成も考えられます。
インテント・エンティティの設計
知識ベースを構築した後は、必要に応じてインテント・エンティティを設計します。インテントとはユーザーの要求・目的を分類する概念であり、例えば「資料請求」や「見積作成」などの業務アクションを指します。
一方、エンティティは日付・数値・商品名などの値や対象を指し、インテントに付随するパラメータとして機能します。
過去の問い合わせや業務オペレーションを分析し、頻出する要求パターンを分類することが有効です。また、各インテントごとに必要なエンティティを定義・整理します。
さらに、インテントとエンティティの関係をワークフローに反映させることで、エージェントが適切なプロセスを選択し、業務処理を遂行できるようになります。これらの設計は、対話の品質と業務処理の正確性に反映されます。
LLMを利用するAIエージェントでは、自然言語から目的や必要な情報を柔軟に抽出できるため、従来型チャットボットのように、すべてのインテントとエンティティを網羅的に定義する必要がない場合もあります。業務上重要な分類や、外部システムの実行に必要な入力項目を中心に設計します。
ユーザーインターフェース(UI/UX)のデザイン
AIエージェントが人間と自然な形で対話できるような、使いやすいインターフェースを設計します。ユーザーがその能力を最大限に引き出せるような、直感的で分かりやすい操作性を追求します。
チャット形式だけでなく、フォーム、音声インターフェース、業務システム内の画面、バックグラウンドでの自動実行など、対象業務に適した形式を選びます。
AIエージェントが理解した依頼内容、現在実行している処理、使用するツール、処理結果などをユーザーが確認できるようにすることも重要です。
特に、メール送信、契約、予約、決済、データ更新・削除など、業務上の影響が大きい操作では、実行前に処理内容を表示し、人による承認を得る仕組みを設けます。処理を中止・修正する方法や、AIエージェントが判断できない場合に担当者へ引き継ぐ導線も設計します。
外部ツールやAPIの統合・連携
インテント・エンティティを設計したら、外部ツールやAPIとの統合・連携が必要です。こちらの手順では、以下のような外部ツールやAPIと接続します。
- 社内のCRM
- SFA
- スケジューラ
- ドキュメント管理システム
例えば、顧客の最新情報をCRMから取得し応答に反映させたり、API経由でワークフローを起動する処理を担わせるといった拡張が想定されます。
これらの連携を行うには、RESTやGraphQLなどのインタフェース仕様を理解し、認証・認可方式(OAuth 2.0など)を実装します。また、通信エラーや例外系の制御も考慮し、インテグレーション基盤を構築することが必要です。
AIエージェントが誤ったツールを選んだり、不適切な値を送信したりしないように、各ツールの用途、入力項目、出力形式、実行条件を明確に定義します。タイムアウト、リトライ、失敗時の処理、人による承認が必要な操作も決めておきます。
連携に使用する認証情報には必要最小限の権限だけを付与します。また、同じ処理が再実行された場合でも、メールの重複送信やデータの二重登録、二重決済が発生しない仕組みが必要です。
マルチエージェント連携
複雑な業務課題に対応するAIエージェントでは、1つのエージェントにすべての機能を集約するのではなく、複数の専門エージェントを役割分担させて連携させる「マルチエージェント連携」の設計が有効な場合があります。
このアプローチでは、各エージェントが特定の業務領域や処理機能に特化し、相互にタスクを受け渡すことで、拡張性の高いシステムを実現できます。例えば、以下のようなタスクをエージェントごとに分離し、それらが協調して1つの処理フローを構成するモデルが考えられます。
- 問い合わせ内容の分類
- 外部APIを通じたデータ取得
- 生成AIによる応答文の生成
こうした連携には、MAS(Multi Agent System)設計思想に基づくプロトコル管理や、状態共有のメッセージパッシング機構が必要となります。
各エージェントの責任範囲と通信ロジックを明確にすることで、保守性・拡張性の高い構造を保ちつつ、タスク間連携による高度な処理を実現できます。
ただし、マルチエージェント構成では、処理時間、通信回数、利用料金、エラーの発生箇所が増加します。まずは単一エージェントや、処理手順を固定したワークフローで実現できるかを検討し、役割分担が品質や保守性の向上につながる場合に採用することが重要です。
要件や基本的な構成を整理した後は、選定した技術を用いて小規模なPoCを実施し、技術的な実現可能性や導入効果を検証します。
本格的な実装へ進む前に、タスク完了率や処理時間、費用、安全性などの基準を満たせるか確認することが重要です。
実装
AIエージェントの機能設計が完了した後は、各コンポーネントの実装に着手し、想定どおりの動作を行うか検証を進めていきます。
実装フェーズでは、以下のような技術を組み合わせ、ユースケースに応じたアーキテクチャを構築します。
- LLM
- 自然言語処理ライブラリ
- 統合API
- エージェントフレームワーク
さらに、AIエージェントがタスクの途中経過を保持できるように、セッション、状態、メモリを実装します。会話履歴だけでなく、完了した処理、未完了の処理、ツールの実行結果、人による承認履歴なども管理対象になります。
長期メモリにユーザー情報や過去の実行結果を保存する場合は、保存対象、保存期間、更新・削除方法を定め、個人情報や機密情報を必要以上に保持しないようにします。
また、処理の無限ループや過剰なツール実行を防ぐため、以下のような条件を設定します。
- タスクの完了条件
- 最大実行ステップ数
- 最大リトライ回数
- 処理のタイムアウト
- 利用できるトークン数や金額の上限
- 人へ処理を引き継ぐ条件
動作検証
動作検証では、単体テストに加えてユーザーシナリオに基づく対話テストを実施し、入力の揺らぎに対する頑健性や意図誤認、外部API連携の信頼性などを評価します。また、エラーハンドリングやログ出力設計もこの段階で整備し、障害時の原因分析や改善対応が必要です。
AIエージェントでは、最終的な回答の品質だけでなく、タスクを完了するまでの判断やツール実行も評価します。主な評価項目は以下の通りです。
- タスク完了率
- 回答や判断の正確性
- 適切なツールを選択できた割合
- ツールへ渡した引数の正確性
- 実行ステップ数やリトライ回数
- エラーから回復できた割合
- 人へ適切に処理を引き継げた割合
- 処理時間と1タスク当たりの利用料金
- 禁止された操作や危険な操作の発生率
正常な指示だけでなく、情報不足、曖昧・矛盾した指示、外部APIの停止、悪意のある入力などもテストします。外部文書に含まれた不正な命令を実行しないか、権限のない情報へアクセスしないか、機密情報を外部へ送信しないかといったセキュリティ面の検証も必要です。
検証結果をもとにチューニングを重ねることで、実運用に耐える品質水準に仕上げていきます。
デプロイ
AIエージェントの実装と検証が完了した後は、デプロイを通じて本番環境への移行を行い、継続的な運用と改善フェーズに入ります。
デプロイでは、多くの場合クラウドインフラ上にエージェントをホスティングし、必要に応じてスケーラビリティやセキュリティ対策を施した設計を行います。特にエンドユーザーとの接点がある場合には、以下のような運用上のリスク対策が必要です。
- 通信の暗号化
- トークンベースの認証
- アクセスログの管理
これらに加えて、AIエージェントや連携ツールには必要最小限の権限だけを付与し、重要な操作には人による承認を設けます。信頼できるツールや接続先だけを利用し、コード実行やファイル操作を伴う場合は、隔離された環境で動作させることも重要です。
本番環境へ一度に展開するのではなく、対象部署、利用者、実行可能なタスクを限定して段階的に導入すると、問題が発生した場合の影響を抑えられます。
AIモデル、プロンプト、ツール、知識ベースのバージョンを管理し、不具合が発生した場合に以前の状態へ戻せるよう、ロールバックの仕組みも準備します。
運用・改善(AgentOps)
運用開始後は、実際のユーザーとの対話データを蓄積し、対話の精度、回答の一貫性、業務KPIへの貢献度などを定量的にモニタリングします。このAgentOpsの仕組み構築により、インテント定義や応答テンプレート、ナレッジベースの改善点を特定し、リリース後も継続的に品質を向上させることが可能です。
運用時には、タスク完了率、ツールの実行状況、エラーやリトライの発生状況、処理時間、トークン使用量、利用料金、人による承認や引き継ぎの発生率なども確認します。
最終結果だけでなく、AIエージェントがどのような判断を行い、どのツールをどの順番で利用したのかをトレースとして記録することで、エラーや想定外の動作が発生した場合に原因を調査しやすくなります。
AIモデル、プロンプト、ツール、知識ベースを変更する際は、既存の評価データを使って回帰テストを行い、変更によって精度や安全性が低下していないかを確認します。
AIエージェントは一度構築すれば終わりではなく、業務変化やユーザーニーズに適応させ続けるための改善プロセスが不可欠です。
関連記事:「AgentOpsとは?LLMOps・MLOpsとの関係・機能とメリット、代表的ツールを徹底解説!」
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開発に必要な技術

開発には、高度な対話処理や外部連携を実現するための技術が必要です。以下では、中核となる技術要素について解説します。
LLM
LLM(大規模言語モデル)は、AIエージェントの自然言語理解と生成の中核を担う技術です。対話の文脈把握・業務指示の解釈において重要な役割を果たします。
大量のテキストデータを基に自然な応答や推論を出力できるため、問い合わせ対応やレポート生成、業務手順の説明など幅広い業務に応用可能です。
ChatGPTに搭載されているGPTシリーズやAnthropic社のClaude、Google社のGeminiといった代表的なモデルに加え、用途や環境に応じてオープンソースのLLM(LlamA、Mistralなど)を活用する選択肢も存在します。
エージェントに組み込む際は、API経由でLLMにプロンプトを送信し、戻ってきた出力を業務ロジックに接続する設計が一般的です。
自然言語処理
自然言語処理(NLP)は、ユーザーの発話を理解し、適切に応答するための基盤技術として欠かせません。具体的には、以下のような処理が含まれます。
- 文の構文解析
- 単語の分割
- 品詞の特定
- 感情分析
- キーワード抽出
- 意味の類似性評価
LLMによる生成と組み合わせることで高精度な対話が可能になります。ただし、特定の業務ドメインにおいては、ルールベースの処理やカスタム辞書の活用の方が効果的であったり、費用対効果がよいケースもあります。
また、インテント分類やエンティティ抽出といったタスクは、対話の分岐や外部システム連携の起点となるため、再現性と精度の高いモデル設計が求められます。
NLPはAIエージェントのロジック設計全体に関与する要素として、設計初期段階からの導入が推奨されます。
RAG
RAG(検索拡張生成)は、応答精度と情報信頼性を高める技術として活用できます。LLMによる生成に加えて、社内文書や外部データベースから情報を検索・取得し、その内容をプロンプトに組み込んで応答を生成します。
これにより、モデル単体では保持しきれない最新情報や固有知識を活用できるようになり、実務に即した回答が可能です。
RAGの実現には、テキストやその他のデータをベクトル表現に変換し、意味的に類似性の高い情報を高速に検索するベクトル検索エンジンの技術も欠かせません。
RAGについてはこちらの記事でも詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
チャットボット I/F
テキストや音声による対話I/F(インターフェース)を構築・管理するためには、チャットボット I/Fを活用するケースが多いです。
チャットボットは、Webチャット、モバイルアプリ連携、音声アシスタント連携などのI/Fを提供し、これらを用いて、AIエージェントとユーザーがやり取りを行います。
API
AIエージェントが実業務で機能するには、外部サービスとの連携を支えるAPI設計が欠かせません。エージェントは以下のような外部リソースにアクセスし、情報の取得や更新を行う必要があります。
- CRM
- 業務システム
- スケジューラ
- データベース
そのため、RESTやGraphQLといったインタフェースに対応したAPIを設計し、通信基盤を構築することが求められます。
近年ではLLMと連携したfunction callingの活用も進んでおり、自然言語による指示をAPI呼び出しに変換する構造を整えることで、対話能力と業務遂行力が一体化します。
CUA(Computer-Using Agent)
CUA(Computer-Using Agent)は、AIエージェントが人間の代わりにコンピュータ操作を実行する技術です。CUAではGUI上でのクリックや入力やスクロールなどの動作を実行可能であり、高度な判断力を加味する役割を果たします。
これにより、請求書の処理、社内システムへのデータ入力、帳票のダウンロードなど人手による定型操作を自然言語ベースの指示で代替できます。
CUAの実現には、以下のような高度なUI制御技術が求められます。
- 操作対象となるアプリケーション構造の解析
- UI要素の認識
- 非同期イベントの制御
近年では、LLMと画面認識技術を融合させた次世代型エージェントへの応用も進んでいます。業務における実行力をAIに持たせるための核としてCUAは不可欠です。
MAS(Multi Agent System)
MAS(Multi Agent System)とは、複数のエージェントが相互に連携・協調する分散型のシステム設計思想を指します。MASを導入することで、各エージェントに特定の役割や専門性を持たせ、分担してタスクを処理させることが可能です。
MASの運用には、メッセージングの非同期処理、状態管理、意図の共有といった高度な調整機構が必要です。そのため、LangGraphのようなフロー管理型フレームワークや、分散タスク制御の仕組みと組み合わせて実装されることが一般的です。
MASは単一のエージェントでは対応困難な複雑業務にも対応できるスケーラブルな構造を提供するため、特に大規模・高負荷な環境で有効です。
MCP(Model Context Protocol)
MCP(Model Context Protocol)は、Anthropicが公開したオープン標準で、LLMやAIエージェントと外部データ・ツールを共通仕様で接続する「USB-C」のようなインターフェースです。
Claude Desktop などの MCPホスト に組み込まれた MCPクライアント が、Google Drive・Slack・GitHub 等を公開する MCPサーバ と双方向通信を確立し、認証付きでデータ取得やアクション実行を行います。
公式SDK(TypeScript・Python)により、開発者は少量のコード追加で社内ファイルやクラウドAPIを扱えるため、エージェント機能の拡張やデータソース追加時も保守負荷が激減し、スケーラブルな生成AIワークフローを迅速に構築できます。
Agent2Agent(A2A)
Agent2Agent(A2A)は、異なるベンダーやフレームワークで構築されたAIエージェント同士が、機能を公開し、タスクや情報を受け渡すためのオープンプロトコルです。
エージェントカードによる機能の公開や、メッセージを介したタスク管理などを標準化できます。ただし、実際の連携には、接続先、認証・認可、共有する情報、エラー処理などの設計が必要です。
開発に使える代表的なフレームワーク

利用できる製品・技術には、コードベースの開発フレームワーク、クラウド型のマネージドサービス、ローコードツールなどがあります。開発体制や必要な制御性、利用するクラウド環境に応じて選定することが重要です。
Microsoft Agent Framework
Microsoft Agent Frameworkは、Microsoftが提供する、AIエージェントとワークフローを構築するためのオープンソースSDKです。
AutoGenのシンプルなエージェント設計と、Semantic Kernelの状態管理、型安全性、ミドルウェア、テレメトリなどのエンタープライズ向け機能を統合しています。単一エージェントに加え、複数のエージェントや処理を明示的に制御するグラフベースのワークフローも構築できます。
Microsoftは、AutoGenとSemantic Kernelの開発で得た知見を取り入れた、今後のAIアプリケーション開発における新たな基盤として位置付けています。両フレームワークからの移行ガイドも提供されているため、AutoGenやSemantic Kernelを利用している場合は、Microsoft Agent Frameworkへの移行も選択肢となります。
AutoGen

AutoGenは、Microsoft Researchを中心に開発されてきた、LLMを利用したAIエージェントやマルチエージェントシステムを構築するためのオープンソースフレームワークです。複数のエージェントによる会話や役割分担、イベント駆動型の処理など、現在のマルチエージェント開発につながるさまざまな仕組みを提供してきました。
オープンソースで公開されており、エージェントの性能を評価するためのツール「AutoGenBench」も提供されています。
尚、AutoGenから派生したプロジェクトとして、AG2も開発されています。
また、Microsoft社はノーコードでエージェントを開発可能なMicrosoft Copilot Studioというプラットフォームも提供しています。
なお、MicrosoftはAutoGenとSemantic Kernelの知見を統合したMicrosoft Agent Frameworkを新たな開発基盤として提供しており、AutoGenからの移行ガイドも公開しています。
関連記事:「AutoGenとは?特徴や機能、MastraやLangChainとの違い、できること、料金や使い方、活用事例を徹底解説」
LangChain
LangChainは、LLMを活用したアプリケーションを開発するためのフレームワークです。
LLMとのインタラクション、データ接続、エージェントの構築など、LLMを活用するシステムに必要なさまざまな機能を備えています。特に、連鎖的思考(Chain-of-Thought)のような推論戦略をAIエージェントに組み込む際に役立ちます。
Mastra

Mastraは、TypeScriptを使用したエージェント向けのオープンソースフレームワークです。Mastraの特長は、ワークフローの管理に優れており、AIが作業を行う順序や手順を明確にコード化できる点にあります。
エージェントが外部のAPIやツールと連携しながらタスクを自律的に解決できるよう設計されています。RAG(検索拡張型生成)機能も備えており、外部データを活用してAIの応答を強化することが可能です。
また、MastraにはAIエージェントの応答を評価する仕組みが組み込まれており、回答の精度や関連性をチェックして改善できます。
OpenAI Agents SDK
OpenAI Agents SDKは、OpenAIが提供する、AIエージェントをコードベースで構築するためのオープンソースSDKです。
PythonやTypeScriptを用いて、エージェントへの指示、ツールの利用、複数エージェント間のハンドオフ、ガードレール、セッション・メモリ、人による承認、実行履歴のトレーシングなどを実装できます。エージェントの動作や業務ロジックを細かく制御したい開発に適しています。
また、OpenAIのResponses APIや各種モデルに加え、Model Context Protocol(MCP)を用いた外部ツール連携にも対応しています。オープンソースとして公開されており、用途に応じた拡張やカスタマイズも可能です。
なお、OpenAIがAgentKitの一部として提供していた視覚的な開発ツール「Agent Builder」とEvals製品は、2026年11月30日に提供を終了する予定です。
そのため、新たにコードベースで構築する場合は、Agents SDKを中心に検討する必要があります。
Amazon Nova Act
Amazon Nova Actは、Amazonが提供する次世代のWeb操作型AIエージェントSDKです。自然言語での指示に基づき、Webブラウザ上の操作(検索、クリック、情報抽出など)を自動実行することが可能で、業務プロセスの再現や自動化に適しています。
Playwrightとの連携や構造化データ抽出、ログ・動画による実行記録などの機能を備えており、エンタープライズ環境での活用も想定されています。
Novaシリーズの基盤モデルを活用して構築されており、Web上で動作するリアルなエージェント実装のプロトタイプとして位置づけられています。
Amazon Bedrock Agent
Amazon Bedrock Agentは、AWSが提供するフルマネージド型の開発サービスです。専門的なAI開発スキルがなくとも、自然言語での指示とGUI設定だけで、業務を自動化するエージェントを迅速に構築できます。
最大の特徴は、社内の独自データソース(ナレッジベース)や既存の業務システム(API)とAIを安全に連携させ、ユーザーの複雑な要求を理解し、自律的にタスクを計画・実行する点にあります。多様な基盤モデルから目的に応じて最適なものを選択できる柔軟性が大きな特徴です。
加えて、サーバー管理が不要なため、企業はインフラを意識することなく、本番環境で使える高度なAIエージェントをスピーディに導入・運用できます。
また、より高度なカスタマイズやコードベースでの開発を求めるエンジニア向けには、エージェントの実行環境や記憶機能をモジュールとして提供するインフラ基盤Amazon Bedrock AgentCoreも用意されています。
LangChainやCrewAIなど任意のフレームワークで開発した独自エージェントを、AWSの堅牢なセキュリティとスケーラビリティの上で稼働させることが可能です。
CrewAI
CrewAIは、自律的なAIエージェントのチームを構築するためのフレームワークです。各エージェントに役割を割り当て、それぞれが協力してタスクを達成することに重点を置いています。
AutoGenと同様に、マルチエージェントシステムの開発を簡単にする仕組みを提供しています。
Agno(旧Phidata)
Agno(旧Phidata)は、マルチモーダルAIエージェントの構築に特化したフレームワークです。テキスト、画像、音声、動画など多様なデータ形式に対応し、記憶・知識・ツール連携・推論能力を備えたエージェントや、複数のエージェントを連携させたチームを簡単に作成できます。
以下のような特徴を持ちます。
- 軽量・高速:エージェント生成がLangGraph比で最大10,000倍高速(約3μs)
- モデル非依存:OpenAI/Anthropic/Cohere/Ollamaなど23+プロバイダー対応
- マルチモーダル:テキスト・画像・音声・動画の統合処理
- 長期記憶管理:データベース/ベクターストアによるセッション保存
他のフレームワークと同様に、開発を効率化し、より複雑なタスクへの対応を可能にする機能を提供しています。
Microsoft Foundry Agent Service(旧:Azure AI Agent Service)
Microsoft Foundry Agent Service(旧:Azure AI Agent Service)は、Microsoftが提供するフルマネージド型の開発基盤です。
エンタープライズ向けの高度な要件に対応する設計が特徴で、複数の主要LLMを用途に応じて選択できます。また、外部ツールやデータソースとの連携、RAG、マルチエージェントなど、業務向けAIエージェントの構築・運用に必要な機能を提供しています。
Magentic-One

Magentic-Oneは、Microsoft社がAutoGenフレームワークを基に開発した、オープンソースの汎用型マルチエージェントシステムです。複数のAIエージェントが協力してタスクを遂行することで、より高度な問題解決が可能になります。特に、オープンエンドのWeb・ファイルベースのタスク処理に強みを持ちます。
Magentic-Oneの特徴は、リーダー型エージェント(Orchestrator)が4つの専門エージェントを統括し、タスクの進行を管理することです。これにより、各エージェントがそれぞれの役割を果たしながら、効率的かつ自律的にタスクを完了できます。
多様な情報統合を必要とする複雑なリサーチプロジェクト、複数の異なるステップやデータタイプ(ウェブ、ファイル)を含むワークフローの自動化などを得意とします。
どちらかと言えば、AIコラボレーションの最先端を探求することに関心があり、オープンソースフレームワークを活用するためのある程度の技術的理解を持つユーザーやチーム向けです。
LangGraph
LangGraphは、LangChainの拡張として開発されたフレームワークです。複雑なAIエージェントのワークフローをグラフ構造で設計・管理することを目的としています。
LangGraphでは以下の基本要素を用いて、処理フローを視覚的・直感的に構築することが可能です。
- ノード(Node)
- エッジ(Edge)
- 状態(State)
- グラフ(Graph)
特に条件分岐やループ処理、並列実行といった複雑な制御構造を実装できるのが特徴であり、マルチエージェントシステムの構築にも適しています。また、LangChainとの高い互換性を持ち、柔軟で拡張性の高いエージェント開発が可能となります。
Semantic Kernel
Semantic Kernelは、Microsoftが提供するオープンソースのソフトウェア開発キットです。LLMをアプリケーションへ統合するための機能を備えており、エンタープライズ向けのエージェント構築に適しています。
Semantic Kernelの特徴として、プラグイン機能を活用した機能拡張が可能で、既存のコードやAPIとの統合を容易にします。また、Planner機能を用いることで、ユーザーの要求に応じたタスクの自動計画と実行を支援します。
さらに、メモリー機能を活用することで、ユーザーの入力情報やコンテキストを保持し、より精度の高い応答が可能です。
PraisonAI
PraisonAIは、マルチエージェント型のAIシステムを構築・管理するためのローコードフレームワークです。AutoGenやCrewAIと統合することで、複数のエージェントが協調して解決する設計が可能となります。
また、100以上のLLMに対応し、モデルを選択して利用できます。さらに、ウェブ検索やコード実行、PDF解析などのカスタムツールとの統合が容易であり、業務ニーズに応じた拡張が可能です。
対話型UIやチャットモード、APIモードを備えており、ユーザーのスキルレベルやプロジェクト要件に応じて柔軟に運用できます。
Google Agent Development Kit(ADK)
Google Agent Development Kit(ADK)は、Googleが提供する、AIエージェントをコードベースで構築するためのオープンソースフレームワークです。
GeminiやGoogle Cloudとの親和性が高い一方で、特定のAIモデルやデプロイ環境だけに依存しない設計となっています。単一エージェントから、複数のエージェントが役割を分担するマルチエージェント、処理手順を明示的に制御するワークフローまで構築できます。
また、外部ツールとの連携、セッション・状態・メモリの管理、実行結果の評価、MCPやA2Aを利用した連携など、開発から運用までに必要な機能を備えています。構築したエージェントはローカル環境やコンテナ、Google CloudのVertex AI Agent Engineなどへデプロイできます。
Vertex AI Agent Builder
Vertex AI Agent Builderは、Google Cloudが提供するフルマネージド型のエージェント開発プラットフォームです。ノーコードからローコードまで対応しており、MLの専門知識がない開発者でも、エンタープライズグレードのAIエージェントを構築できます。
主な機能として、以下のようなものがあります。
- 自然言語理解に基づく会話型インターフェースの設計
- モバイルアプリやウェブアプリケーション
- インタラクティブ音声応答システムへの統合
また、Vertex AI Searchとの連携により、AI対応の検索やレコメンデーション機能を組み込むことができます。これにより、ユーザーは独自のデータに基づいた高品質な検索体験を提供することが可能です。
さらに、HIPAAやISO 27000シリーズ、SOC-1/2/3、VPC-SCなどの幅広い標準をサポートしており、企業のセキュリティ要件を満たす構成が可能です。
関連記事:「Vertex AI Agent Builderとは?ADK、RAG、マルチエージェント対応まで、最新エージェント開発基盤を詳しく紹介」
NLWeb

NLWebは、AIエージェントを「開発」する従来のフレームワークとは一線を画し、AIエージェントが「活動」するウェブサイトの構造自体を根本から変える技術基盤です。Microsoftが提唱するこのオープンソースプロジェクトは、ウェブサイト側がAIと対話するための標準プロトコル(MCP)を導入します。
これにより、ウェブは単なる情報の表示場所から、AIが直接意味を理解しタスクを実行できる「対話可能なプラットフォーム」へと進化します。エージェント開発者は、不安定な画面操作の自動化から解放され、ウェブサイトが提供する構造化されたAPIを呼び出すように、安定的で高効率な連携を実現できます。
n8n

n8nは、エージェント構築でさまざまなAPIやAIモデルを連携させる「司令塔」の役割を担うローコード・ワークフロー自動化ツールです。ノードと呼ばれる機能ブロックをドラッグ&ドロップで繋ぐことで、エージェントの複雑な思考や行動フローを視覚的に構築できます。
強みは、OpenAIやLangChainといったAI機能とCRMやデータベース等の既存システムをシームレスに連携できる点です。情報の入力、AIによる判断・生成、外部ツールへの出力という一連のタスクを自動化し、自律型エージェントの迅速なプロトタイピングと実装を実現します。
オープンソース(フェアコード)のため、オンプレミスでの運用や独自のカスタマイズも可能です。
watsonx Orchestrate

IBMのwatsonx Orchestrateは、企業のAIエージェント(IBMは「デジタルレイバー」と呼称)を構築・実行するためのプラットフォームです。RPAのように固定化された手順を自動化するのではなく、チャットで受けた自然言語の「意図」をAIが理解します。
Salesforceや社内システムなど複数のアプリケーションを自律的に連携させ、複雑な業務を最後まで実行します。
最大の特徴は、以下2システムを統合している点です。
- 現場部門がGUIで迅速にAIを構築する「ノーコード(Agent Builder)」
- エンジニアがPython(ADK)で複雑な基幹システム連携を実装する「プロコード」
これにより、PoCから本格導入までシームレスに拡張可能です。SaaSとオンプレミスを選べる導入形態も、大企業の厳しいセキュリティ要件に応えます。
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開発する際の注意点

技術的な構築だけでなく、運用上のリスクやユーザー視点も踏まえた設計が重要です。以下では、主な注意点を解説します。
AIが担うタスクの選定
AIエージェントの設計では、すべての業務を自動化の対象とするのではなく、通常のシステムやワークフローで対応する部分と、AIによる柔軟な判断が必要な部分を切り分けることが重要です。
以下のような業務が適しています。
- 自然言語や非構造化データを扱う業務
- 状況に応じて次の処理を判断する業務
- 複数のツールやシステムを使い分ける業務
- 途中の結果に応じて手順を変更する業務
一方、処理条件や手順が明確に決まっている業務は、通常のシステムやRPA、ルールベースのワークフローで対応した方が、安定性や費用対効果に優れる場合があります。
また、法的判断や経営戦略といった高度な意思決定には、現時点でのAIでは限界があるため、人間と役割を分担できる設計が求められます。
システムの設計とエラー管理
AIエージェントの信頼性を確保するには、堅牢なシステム設計とエラー管理の実装が初期段階から求められます。
外部APIと連携する場合や対話制御を行う場面では、ネットワーク障害や想定外の出力といったエラーが発生する可能性が高まります。これらの問題に対処する方法として、以下の手法を組み合わせたエラーハンドリング戦略が効果的です。
- タイムアウト処理
- 再試行機構
- 入力検証
- フォールバック応答
また、障害発生時のトレーサビリティを担保するために、ログ出力やモニタリング機能も設計段階で組み込んでおく必要があります。
出力結果の説明性・透明性の確保
LLMを活用したエージェントはブラックボックス性が高く、なぜその回答に至ったのかが明確でない場合、信頼を損なうリスクがあります。そのため、出力結果の根拠を明確にすることが重要です。
この課題に対応するためには、応答の根拠となる知識ベースの出典や、使用された検索ドキュメントの提示といった仕組みの実装が有効です。
RAGを活用した設計では、参照されたコンテンツのURLや抜粋を提示するだけでなく、回答との対応関係を明示することで説明責任を果たすことができます。
フィードバック体制の構築
AIエージェントの対話の質や業務処理の妥当性は、リリース直後よりも運用を通じて明らかになることが多く、実ユーザーからの意見を反映する仕組みを整備することが重要です。
具体的には、ユーザーによる応答評価機能や再学習用データの収集機構を用意し、定期的にレビューする体制を構築します。また、エラーログや会話履歴のメタデータ分析、問い合わせ傾向の可視化なども有効です。
さらに、フィードバックプロセスの一部をエージェント自身が担うことで、洗練された対話構造の実現も可能です。
権限管理とセキュリティ対策
AIエージェントは、外部ツールや業務システムを利用して実際の操作を行うため、通常の生成AIシステム以上に厳格な権限管理が必要です。
連携するツールやAPIには必要最小限の権限だけを付与し、メール送信、決済、データの変更・削除など、影響の大きい操作には人による承認を設けます。
また、外部文書に埋め込まれた指示を実行させるプロンプトインジェクションや、信頼できないツール・MCPサーバーを介した情報流出にも注意が必要です。
実行できる操作や接続先を制限し、コード・ファイル操作は隔離された環境で実行するとともに、操作履歴を監査ログとして保存できる仕組みを整えることが重要です。
関連記事:「AIエージェントの評価指標は?主要フレームワークと観測ツールの機能比較を解説!」
AIエージェントの開発についてよくある質問まとめ
- AIエージェントの開発手順は?
AIエージェントの開発手順としては、以下のステップで進めます。
- エージェントの業務やタスク範囲の定義: AIで自動化する業務領域と具体的なユースケースを特定し、目標を設定します。
- 適切な技術とプラットフォームの選定: タスクの複雑性に応じて、生成AIモデルや関連技術、インフラを選びます。
- 知識ベースの構築: エージェントが応答や意思決定の根拠とする情報を収集・整理し、検索しやすいように設計します。
- インテント・エンティティの設計: ユーザーの要求(インテント)とそれに付随する情報(エンティティ)を定義します。
- ユーザーインターフェース(UI/UX)のデザイン: 人間と自然に対話できる直感的で使いやすいインターフェースを設計します。
- 外部ツールやAPIの統合・連携: CRMやSFAなど社内システムと連携し、情報取得や処理を実行できるようにします。
- マルチエージェント連携: 複雑な業務では、複数の専門エージェントを役割分担させて連携させる設計を検討します。
- 実装~動作検証: 設計に基づき各コンポーネントを実装し、単体テストやシナリオテストで動作を検証します。
- デプロイ~運用・改善: 本番環境へ移行後、対話データやKPIをモニタリングし、継続的に品質を向上させます。
- AIエージェントの開発にはどのような技術が必要になりますか?
AIエージェントの開発には、主に以下のような技術が用いられます。
- LLM(大規模言語モデル): 自然言語理解と生成の中核を担い、対話の文脈把握や業務指示の解釈に利用されます (例: GPTシリーズ、Claude、Gemini)。
- 自然言語処理(NLP): ユーザーの発話を理解し、構文解析、キーワード抽出、感情分析などを行います。
- RAG(検索拡張生成): LLMの応答に社内文書などの外部情報を組み込み、回答の精度と信頼性を高めます。ベクトル検索エンジン技術も重要です。
- チャットボット開発: テキストや音声による対話インターフェースを構築・管理するためのプラットフォーム技術です。
- API: CRMや業務システムなど外部サービスと連携し、情報取得や更新を行うためのインターフェース技術です。
- CUA(Computer-Using Agent): AIエージェントが人間の代わりにコンピュータ操作(GUI操作など)を実行する技術です。
- MAS(Multi Agent System): 複数のエージェントが連携・協調する分散型システム設計思想で、複雑なタスク処理に用いられます。
- AIエージェントの開発で使えるフレームワークは?
AIエージェント開発で使える代表的なフレームワークには、以下があります。
- Microsoft Agent Framework:単一エージェントやグラフベースのワークフローを構築できる
- OpenAI Agents SDK:ツール連携、ハンドオフ、ガードレール、トレーシングなどに対応
- Google Agent Development Kit(ADK):状態・メモリ管理やマルチエージェント、MCP・A2A連携に対応
- LangGraph:条件分岐やループを含む複雑な処理フローをグラフ構造で制御できる
- LangChain:LLM、データ、外部ツールを組み合わせたアプリケーションを構築できる
- CrewAI:役割の異なる複数のエージェントを連携させる開発に適している
- Mastra:TypeScriptを用いたエージェントやワークフローの開発に対応
このほか、Microsoft Foundry Agent Service、Amazon Bedrock Agents、Vertex AI Agent Builderなどのマネージドサービスや、n8nなどのローコードツールも利用できます。
必要な制御性、対応言語、クラウド環境、マルチエージェントの必要性、評価・監視機能などを比較して選定することが重要です。
- AIエージェントを開発する上での注意点は?
AIエージェントの開発においては、以下の点に注意しましょう。
- システムの設計とエラー管理
- 出力結果の説明性・透明性の確保
- AIが担うタスクの選定
- フィードバック体制の構築
まとめ
AIエージェントの開発は、業務設計・データ基盤・技術選定・継続的な改善体制を統合的に構築する高度なプロセスです。Microsoft Foundry Agent ServiceやLangGraphなどを活用することで、ツール連携や状態管理、評価・監視などの実装を効率化できます。
ただし、品質を高めるには、目的に合った設計、適切なデータと権限管理、継続的な評価・改善が不可欠です。
その構築には、多岐にわたる技術要素と業務理解が求められます。特に、自社の状況に最適化された設計や、複雑なシステム連携、継続的な精度改善などを目指す場合、専門的な知識や経験がプロジェクトの成否を大きく左右します。
もし、より詳細な技術選定や開発計画、あるいは特定の課題解決について専門的なアドバイスが必要だと感じられた際には、経験豊富な専門家やベンダーに相談することを検討してみてください。

AI Market 運営、BizTech株式会社 代表取締役|2021年にサービス提供を開始したAI Marketのコンサルタントとしても、お客様に寄り添いながら、現場のお客様の課題ヒアリングや企業のご紹介を5年以上実施しています。これまでにLLM・RAGを始め、画像認識、データ分析等、1,000件を超える様々なAI導入相談に対応し、参加累計8,000人を超えるAIイベントを主催。AIシステム開発PM歴8年以上。AI Marketの記事では、AIに関する情報をわかりやすくお伝えしています。(JDLA GENERAL 資格保有)
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