なぜAIによる業務効率化が必要?メリット・導入実例・注意点・AIエージェント化への未来を徹底解説!
最終更新日:2025年04月05日

- AIは、人手不足やDX推進といった現代の課題に対応し、定型業務だけでなくデータに基づく判断や予測を伴う非定型業務まで効率化できる
- 問い合わせ対応、生産・品質管理、営業支援、物流最適化、人事関連業務など、幅広い分野でAIを活用でき、コスト削減、時間短縮、品質向上などの具体的なメリット
- AI導入を成功させるには、解決したい課題と導入目的を明確にし、AIに全てを任せず人間との役割分担を考慮した上で、自社に最適な技術やツールを選定することが重要
AI(人工知能)による業務効率化とは、AIを活用して企業の業務プロセスを最適化し、生産性向上やコスト削減を実現する取り組みです。従来の自動化技術と異なり、AIは非定型業務にも対応できる柔軟性と学習能力を持ち、より高度な効率化を可能にします。
ただし、自社の業務をAIで効率化したいと考えていても、具体的なイメージがどうも湧きにくいという方もいるのではないでしょうか?
AIがなぜ今、業務効率化に不可欠なのか、その背景から説き起こし、RPAなど既存の手法との違いを明確にします。さらに、コスト削減、生産性向上、ヒューマンエラー削減といった具体的なメリット、そしてAIが実際にどのような業務を変革できるのかを、豊富な成功事例を交えながら解説します。
AIシステム開発に必要な体制作り、工数や手順についてはこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
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目次
- 1 AIによる業務効率化がなぜ必要?
- 2 従来の業務効率化手法とAIの違い
- 3 AI業務効率化がもたらす5つのメリット
- 4 AIで効率化できる業務内容
- 5 AIを活用して業務効率化を実現した成功事例
- 5.1 製造業の設計をAIで効率化(リュウグウ/SUPWAT)
- 5.2 生成AIで製造業の属人化問題を解決(中島合金株式会社)
- 5.3 AIロボティクス導入で物流倉庫の効率化(日本通運/ラピュタロボティクス)
- 5.4 生成AIが建築設計を効率化(株式会社大林組)
- 5.5 AI-OCRの効率化成功事例(神戸製鋼/AI inside)
- 5.6 人事選考での評価にAIシステムを導入(ソフトバンク)
- 5.7 問い合わせフォーム営業の効率化(GeAIne)
- 5.8 顧客からのフィードバック収集を効率化(TOTO)
- 5.9 不正取引検知の効率化(横浜銀行)
- 5.10 生成AIで保険のコールセンターの対話要約(損保ジャパン/ELYZA)
- 5.11 ビッグデータ解析による創薬効率化(第一三共/エクサウィザーズ)
- 5.12 生成AIが医師の業務時間を1/3に短縮(恵寿総合病院)
- 5.13 AI自動発注で棚卸業務の負担軽減(福しん/Goals)
- 5.14 在庫管理業務が半減(Musubi)
- 5.15 野菜収穫ロボットによる作業効率化(デンソー)
- 6 AIによる業務効率化で注意すべき点
- 7 AIを用いた業務効率化についてよくある質問まとめ
- 8 業務効率化に向けたAI導入やAI開発の依頼ならAI Marketへ
AIによる業務効率化がなぜ必要?
コンピューターの処理速度の加速度的な進化に伴い、AIやRPAなどの業務自動化技術が急速に向上しています。すでに多くの企業で業務自動化や分析などの目的として、AIの導入が進み業務の効率化の成果も出始めています。
業務効率化は以下に挙げる社会情勢の背景から求められています。
AIを活用して売上拡大を行いたい場合は、こちらの記事をご参考ください。
労働力不足が深刻に進行
日本の生産労働人口は減少が顕著であり、労働力を維持しながら国際競争力を高めていくためには、生産性向上や業務効率化が必要になります。人手不足を補いつつも生産効率を上げるためにさまざまな施策が講じられていますが、AIやRPAを活用した業務効率改善もその一つです。
働き方改革やDXの推進
労働人口の減少に合わせて、一部の人たちに業務負担がかかりすぎる問題が生じています。それに伴って法改正が進み、残業時間の上限設定や、有給休暇の消化が義務付けられる、働き方改革が推進されました。少ない労働力でも効率化できることが求められます。
また、コロナによって浮き彫りとなった業務効率の悪さ、不要な業務フローの存在やシステム対応率の低さなどから、DXの推進も求められています。
属人化防止
少子高齢化や、人材の流動性が活発となった現在は、技能の継承も大きな課題です。また、特定の担当者のみしか分からない業務が存在する属人化が起こると、不在や退職の業務が滞ることが起こり得ます。
業務の洗い出しをして、効率化できるものはAIなどの技術を活用し、人間がやらなくてはいけないものに、よりリソースを割けることが望ましいでしょう。
生成AI技術の飛躍的進化
ChatGPTに代表される生成AI技術の登場により、テキスト生成や要約などのタスクが高精度で実行可能になりました。
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従来の業務効率化手法とAIの違い
従来の業務効率化手法(RPA、マクロ、BPOなど)とAIによる効率化には明確な違いがあります。従来の自動化技術が「事前にプログラムされたルールに基づく定型作業の自動化」であるのに対し、AIは「データから学習し、判断や予測を行う非定型業務への対応」が可能です。
RPAは、一般的には業務を自動化できるシステムそのものを意味します。RPAの解説記事では、Excel・マクロとの違いや導入にあたっての効果などを紹介していますので、併せてご覧ください。
項目 | 従来の自動化技術(RPA等) | AI技術 |
---|---|---|
対応可能な業務 | 定型的・反復的な業務 | 定型・非定型両方の業務 |
変化への対応 | ルール変更が必要 | データから自動学習可能 |
判断能力 | プログラムされた範囲のみ | パターン認識による応用可能 |
導入の難易度 | 比較的容易 | データ準備等の初期工数が必要 |
進化の度合い | 手動更新が必要 | 継続的に学習・進化する |
生成AIの登場によりRPAと統合されてエージェントAIへ?
AIとRPAの違いはどのようなものなのでしょうか。AIは、人間の知能を模倣または超える能力を持つ技術であり、学習、判断、推論を通じて意思決定や予測を行います。
従来のAI(認識系AI)は、主にデータ分析やパターン認識に焦点を当てていましたが、近年では生成AI(Generative AI)の登場により、新しいコンテンツの創造や高度な自律的処理が可能になっています。
RPAには3つの段階での自動化レベルがあるとされています。
- クラス1は定型業務に対応:現在の多くのRPAはクラス1に該当
- クラス2はAIと連携:非定型業務も一部は自動化可能
- クラス3は高度なAIと連携:意思決定や高度な自律化が可能
クラス3では、AIエージェントによる複雑なプロセス管理も可能で、自律的な意思決定やリアルタイム最適化を行えます。
いずれはAIとRPAの役割が融合したシステムとなっていき、区別がなくなるかもしれません。RPAとAIがさらに統合され、完全にAIエージェントとして進化することが予想されます。
単なるタスク自動化からエンドツーエンドでの業務最適化へと移行しつつあります。
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AI業務効率化がもたらす5つのメリット
AI業務効率化を導入する企業が増加している理由は、具体的かつ測定可能なビジネス成果が得られるからです。以下では、企業がAI業務効率化によって得られる主要なメリットを詳しく解説します。
人的コストの削減と資源の最適配分
AIの導入により、多くの企業が人的コストの削減と人材リソースの最適配分を実現しています。
一般的な事務作業では、AIによる自動化で大きな工数削減が可能です。重要なのは、これが単なる人員削減ではなく、より付加価値の高い業務への人材再配置であるという点です。
中小企業でも、基本的な定型業務の自動化から始めることで、少ない投資から段階的に効果を上げていくことが可能です。結果として、従業員は単調な作業から解放され、満足度向上にもつながります。
作業時間の短縮と生産性の飛躍的向上
AIの導入によって、様々な業務の処理時間が大幅に短縮されます。
こうした時間短縮は、単に業務を早く終わらせるだけでなく、生産性の好循環を生み出します。従業員がより創造的な業務に時間を使えるようになることで、モチベーション向上や新たな価値創造につながり、組織全体の生産性が飛躍的に向上します。
ヒューマンエラーの削減と品質向上
人間が行う作業には、どうしてもミスが発生するリスクがあります。特に単調で反復的な作業では、集中力の低下によるエラーが生じやすくなります。AIによる業務処理では、このようなヒューマンエラーを大幅に削減できます。
最も効果的なアプローチは、AIと人間のダブルチェック体制を構築することです。AIが大量のデータ処理とパターン検出を担当し、人間が最終判断や例外処理を担当するハイブリッドモデルで、最高水準の品質を維持できます。
24時間365日の対応体制の実現
AIの大きな利点の一つは、疲労や休息の必要がなく、24時間365日稼働し続けられることです。これにより、従来は人員配置が難しかった時間帯やピーク時の対応が可能になります。
グローバル企業では、時差のある海外拠点や取引先とのコミュニケーションにおいても大きなメリットがあります。AIチャットボットやメール自動応答システムが基本的な問い合わせに対応することで、翌日の業務開始を待たずに情報提供が可能になりました。
ただし、全ての対応をAIに任せるのではなく、複雑な案件や感情的配慮が必要なケースでは人間のオペレーターにエスカレーションする仕組みが重要です。
データ活用による意思決定の迅速化と精度向上
AIの高度なデータ分析能力は、経営判断や日々の業務における意思決定プロセスを根本から変革します。大量のデータから意味のあるパターンや相関関係を抽出し、人間では見落としがちな洞察を提供します。
最も効果的なアプローチは、AIの分析結果を参考にしながらも、最終判断は人間の経験と直感を組み合わせて行うことです。AIは膨大なデータに基づく客観的な分析を提供し、人間はより広い文脈や戦略的視点を加えることで、バランスの取れた意思決定が可能になります。
AIで効率化できる業務内容
ここからはAIに絞って、AIを活用して効率化が可能な主要業務の内容を解説します。今回は6つの業務内容について説明していきます。
問い合わせ対応
AIを活用することで、問い合わせ対応の業務効率化が可能です。
カスタマーセンターでの顧客からの応対や、社内に設置されたヘルプデスクでの応対など、問い合わせ対応にはさまざまなものがあります。電話対応であれば、1人のオペレーターに1人の顧客しか対応できないため非効率でしょう。
人員削減や、同じような質問への回答にはチャットボットが有効です。チャットボットの導入で、自動応対や24時間いつでも対応が可能となり、人的コストが削減でき、よくある問い合わせに高精度でスピーディーな回答が可能です。
AI搭載のチャットボットも増えてきており、回答も大幅に精度が向上しています。定型の問い合わせはAIチャットボットに任せることで、オペレーターはより複雑な質問に集中できるでしょう。
音声認識やLLM(大規模言語モデル)を活用したシステムであれば、顧客の音声を分析し自動での応対も可能となるため、電話応対業務の効率化もできます。顧客満足度だけでなく、社内への利用で従業員満足度の向上にもつなげられるでしょう。
生産・品質管理
製造業ですでに進められているFA(ファクトリー・オートメーション)にAIを取り入れると、より業務を効率化することが可能です。生産工程や品質管理業務にAIを導入すれば、作業者の技術のバラツキがなくなり平準化できます。操作ミスでの事故削減にもつながるでしょう。
具体的な事例として、画像認識技術を用いた不良品検知や、音声認識技術を用いた異音検知などがあります。また、熟練工の技術をAIが学習し、新人や経験の浅い人の作業をサポートすれば、属人化防止となり、同等の作業が実行できます。
保守・保全
設備の老朽化点検や、機械の故障検知など、保守・保全の現場でAIの画像解析を活用した業務効率化が可能です。専門の担当者による目視チェックが必須だった点検業務を自動化できたり、点検の難しい建物や設備の外観劣化の点検を効率化できたり、といったメリットがあります。
省人化や効率化で人員を適切に配置できるようになり、担当者による精度のバラツキが生まれにくい環境が実現可能です。画像認識技術による外観検査や、音声認識技術による異音検知などが活用されています。
AIによる外観検査の導入方法、注意点、業界でおすすめのシステム開発会社についてはこちらの記事で、わかりやすく説明しています。
営業
「足で稼げ」との慣習が強く残る日本の営業活動では、それらから脱却するために業務効率化を進め、AIを活用する企業が増えてきました。
個々が持つ営業のノウハウ・パターンはブラックボックス化しやすいため、これまではデータ化が難しい領域でしたが、AIは膨大なデータの収集や分析が可能なので活用が進んでいます。
顧客属性や購買履歴などの詳細なデータを蓄積して分析すれば、成約確率の高い見込み顧客の抽出ができたり、顧客の属性に適した商品をレコメンドできたりします。
AIの導入でさまざまなデータを分析することでより確度の高い見込み客を洗い出すことができるので、より精度の高い営業に集中ができ効率化が実現できます。また売上向上にもつなげられるでしょう。
営業でのAI活用事例をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
物流
物流の業務は、入出庫作業、受発注管理、検品業務、荷物仕分け、配送などさまざまな工程から成り立っています。
当日・翌日配送が当たり前になりつつある現代では、物流の分野により一層の効率化が求められています。自動化・省人化はかなり進められていますが、AIと組み合わせることでより一層の効果を見込めるでしょう。
具体的には、倉庫内の入出庫作業に画像認識・解析の技術を取り入れて入力業務を自動化したり、配送業務での渋滞情報をもとにしたドライバーの配送ルート最適化・配車計画を自動化したりすることが可能になるなどが挙げられます。
人事
人事の業務でもAIを活用した効率化が可能です。従業員の勤怠状況、スキルの分析、最適な人材配置の提案、エントリーシートや採用の審査などに活用されています。
採用担当者の負担を軽減でき、人でなければ判断ができない情報の精査にリソースの集中ができるでしょう。採用活動に限らず、人事評価やキャリアプランの設計などにも活用できるので、従業員満足度の向上にも貢献できます。
各業界のAI開発事例は、「業界別AI(人工知能)開発事例を紹介!機能上の分類もわかりやすく解説」で解説してますので、ご参考ください。
AIを活用して業務効率化を実現した成功事例
製造業の設計をAIで効率化(リュウグウ/SUPWAT)

包装資材全般を製造・販売するリュウグウ株式会社は、株式会社SUPWAT開発の「WALL」を新たに導入しました。この製造業向けAIサービスは、製品開発における材料選定プロセスを自動化するソフトウェアです。
製造業では多様な材料から最適なものを選び、製造方法を試行錯誤することが一般的です。リュウグウ社では文系出身者や業界未経験者が多く在籍しており、材料知識は実務を通じて習得する必要がありました。
これまで経験に基づくノウハウによる運用が同社の強みでありながら、同時に弱点でもあったのです。この経験依存型の業務体制では、熟練者に負担が集中する傾向がありました。さらに人手不足の状況下で将来的な人材確保も課題となっていました。
しかし、「WALL」の導入により製造業での実験や解析部分の業務を効率化することが可能となりました。
明確に数値化して運用することで、研究者や理系出身ではなくても蓄積されたデータやサンプルの結果を入力すれば誰でも理解できるメリットを考えて、導入に至ったということです。
関連記事:「製造業のAI導入・活用事例!生産性向上・工場自動化は可能?メリット・失敗事例も解説」
生成AIで製造業の属人化問題を解決(中島合金株式会社)

中島合金株式会社は生成AI活用の品質安定化プラットフォーム「Hepaisto」を導入し、熟練技能者に依存していた課題を解決しました。
特に鋳造工程では、添加剤投入量の判断が職人の経験に頼っていましたが、Hepaistoによりこれを数値化。技能伝承が容易になり、品質の安定化、生産性向上、若手育成の進展という成果が得られました。
さらに熟練者の負担軽減と有給取得率の向上にもつながっています。
導入当初は生成AIの精度に疑問を持つ声もありましたが、三菱総研DCSの改良により、素早く適正値を算出できるシステムが完成し、これにより、業務の効率化と技術の標準化が進みました。
関連記事:「製造業を生成AIが変える?自動・効率化活用事例・メリット・注意点解説!」
AIロボティクス導入で物流倉庫の効率化(日本通運/ラピュタロボティクス)
日本通運株式会社は、ラピュタロボティクス株式会社の自律協働型ピッキングロボット(AMR)を物流倉庫に導入し、省人化を進めています。
このAIロボットは主に二つの役割を担っています。
- スタッフがピッキングした商品を受け取り、指定場所へ自動的に運搬する機能
- 作業者に次のピッキング場所を指示する機能
ラピュタロボティクスはロボットとその制御システムを専門とする企業です。日本通運では、AIロボティクスの導入で、ピッキング作業の効率化や生産性の向上、作業者の負担軽減の効果を見込んでいます。
AMRは倉庫内で人とすれ違う際には、センサーで感知して道をゆずるので狭い倉庫内でも制御可能です。実証実験を経て、スピードアップ、作業の可視化など性能向上や機能追加も行っています。
ピッキング作業の効率化や生産性の向上、作業者の負担軽減の効果を確認できたということです。
関連記事:「物流業界向けAI導入・活用事例!メリットや課題、倉庫・配送・検品管理向けサービス紹介」
生成AIが建築設計を効率化(株式会社大林組)

株式会社大林組は米SRI Internationalとの共同研究により、生成AI活用型ファサードデザイン自動生成システム「AiCorb」を開発しました。このシステムはスケッチや3Dモデルのアウトラインを瞬時に解析し、複数のファサードデザイン案を生成します。
設計プラットフォームHyparとの連携により、AIが生成したデザインは直ちに3Dモデル化され、設計プロセス全体の効率化を実現しています。
従来、設計者が手作業で行っていたデザイン案作成を、生成AIが自動で行うことで、作業時間を大幅に削減し、迅速な提案が可能になりました。AIによるパラメータ推定により、立体的なデザインを即時に可視化し、設計の精度向上と合意形成の迅速化を実現しています。
関連記事:「建設・建築業界での生成AI活用法・活用事例徹底解説!効率化・品質向上のための注意点とは?」
AI-OCRの効率化成功事例(神戸製鋼/AI inside)

製造現場で発生する膨大な手書き文書のデータ化に悩んでいた株式会社神戸製鋼所は、AI inside社のAI-OCRシステム導入により大きな改善を実現しました。
従来は取引先からの伝票、協力会社からの納品書や作業証明書などの手書き帳票を全て手作業でデータ化していたため、本来業務の時間が削られ、入力ミスによる作業のやり直しも頻発していました。
AI-OCR導入後は、これらの課題が解消され、単に作業時間の短縮だけでなく、従業員の精神的負担も大幅に軽減されました。製造業特有の手書き文字や数字を含む品質記録の処理が効率化されたことで、現場の生産性向上にも貢献しています。
導入したAI-OCR「DX Suite」は、AI inside株式会社が提供しており、業界を問わず幅広く活用されています。AI-OCRとRPAを組み合わせることで製造業での効率化が実現しました。
また、全社で同じツールを使用することにより、ノウハウが蓄積されるため使い方の共有も楽になりました。
上記の事例のように、AI-OCRを用いた作業自動化を検討している方は「AI-OCR商品比較」の記事をご覧ください。
人事選考での評価にAIシステムを導入(ソフトバンク)
ソフトバンク株式会社はAI開発企業の株式会社エクサウィザーズと提携し、新卒採用選考を効率化・公平化するAIシステムを開発しました。このシステムは動画面接の内容を客観的に評価することができます。
ソフトバンクは採用プロセスを見直し、応募者の時間的・金銭的負担を軽減するため、従来のグループディスカッションや集団面接から動画面接へと移行しています。以前より実施していたインターンシップ選考での動画面接のデータと、熟練の採用担当者による評価をエクサウィザーズが開発した動画解析モデルによって学習させました。
そして、新たに提出された動画面接の評価を自動で算出させることを可能にしたということです。これまでと比べて動画面接の選考の作業にかかる時間を約70%削減できると見込んでいます。
関連記事:「人事分野でのAI活用事例!メリット・業務効率化・公平な人事評価活用を解説」
問い合わせフォーム営業の効率化(GeAIne)

エッジテクノロジー株式会社はAIを用いた営業支援システム「GeAIne」を開発しており、転職サイトの運営を主軸とする人材採用の総合サポート企業の株式会社キャリアデザインセンターが導入しています。
GeAIneの主な機能には以下があります。
- 営業文章の自動送信
- 営業リストの取得
- AIによるおすすめ企業分析
- ABテスト&クリック通知
キャリアデザインセンターでは、転職サイトへの掲載、転職フェアの出展に関する企業からの問い合わせ獲得のために「問い合わせフォーム営業」に力をいれています。この問い合わせフォーム営業を効率的に行うためGeAIneを導入しました。
問い合わせ獲得をしたフォーム送信の中で、初送の返信が圧倒的に多かったので、できる限り新しいリストを用意して送るようにしましたが苦戦していました。そこでおすすめ企業リストの作成を活用したところ、毎月400件のリストを用意でき、非常に助かったということです。
四半期単位で結果を見たところ、問い合わせベースが120%増加したということです。
また、一度に大量の営業メールを送ることができるのは助かっており、一定量送ることで問い合わせにつながる傾向も分かってきて、今後のメールマーケティングの参考となるノウハウが社内に蓄積できるという成果も得られています。
関連記事:「営業部門でのAI活用事例9選!生成AI(ジェネレーティブAI)で何が変わる?需要予測・自動セールス解説」
顧客からのフィードバック収集を効率化(TOTO)
TOTO株式会社はAIを活用した「お客様の声」(VOC)分析により、ソーシャルメディア分析の精度を大幅に向上させました。当初、SNS分析ツールを使用して顧客の意見をリアルタイムで収集していましたが、検索結果にノイズが多く含まれ、情報の信頼性が低いという問題がありました。
この課題を解決するため、同社は高度な自然言語処理技術を搭載したツールを導入。これにより、膨大なデータをリアルタイムで効率的に分析できる体制が整いました。現在は週に1回、社名や商品名、トピックなどの特定キーワードで検索を実行し、週次レポートを作成するプロセスが確立されています。
特筆すべき成果として、1ヶ月分のデータ収集・分析が数秒で完了するようになり、業務効率が飛躍的に向上しました。さらに、全国約100箇所のショールームやコールセンター、愛用者カードから得られる顧客の意見だけでなく、SNSのリアルタイムでの顧客の不満や想定外の高評価を把握することが可能になりました。
このように、TOTO株式会社では担当者が個別に情報収集するのではなく、部署で一括してデータを収集することで、運用の効率と利用価値が大いに高まっています。
これにより、顧客ニーズに応じた迅速な改善が実現され、TOTOのサービス向上に寄与しています。
関連記事:「AIを活用したVOC分析とは?顧客満足度向上と業務効率化の実例」
不正取引検知の効率化(横浜銀行)
横浜銀行はマネーロンダリングや特殊詐欺などの取引モニタリング業務の高度化を目的に、NECの 「AI不正・リスク検知サービス for Banking」を活用しています。
金融犯罪が複雑化して巧妙になっており、膨大な情報から不正を効率的かつ精緻に検知することが求められています。
銀行員が調査対象とする口座数をあらかじめAIによって絞ることにより、負担を減らして詳細な調査に専念できるようにしました。30〜40%の調査対象を削減できたということです。
関連記事:「銀行業でのAI導入事例・メリット・デメリット徹底解説!」
生成AIで保険のコールセンターの対話要約(損保ジャパン/ELYZA)
損害保険ジャパン株式会社がAIスタートアップのELYZAと提携し、カスタマーセンター通話の要約を自動化する実証実験を進めています。現在、顧客対応後の通話要約・情報連携作業は問い合わせ1件あたり時間の約3割を占めています。
ELYZAの強みである「生成型」要約モデルは、単に重要な部分を抽出するだけでなく、文脈を理解して新たに文章を構築します。このため、音声認識による文字起こしに誤字脱字があっても高精度な要約が可能で、代理店や営業店との円滑な情報連携を実現します。
損保ジャパンではこれまでもDX推進としてAIを活用した業務効率化をいくつか導入してきています。AIによる、対話内容のテキスト化・チャットボットで自動回答・音声認識で自動受付などを実用化しました。
今回、ELYZAが開発し提供する要約モデルに、損保ジャパンのカスタマーセンターが保有するデータ約26万件を学習させ、対話に特化した生成型の要約モデルを共同開発しました。
対話特化型の生成型の要約モデルを活用し、オペレーターは顧客との通話の終了直後に通話内容の要約が確認できます。業務効率化の実現で、顧客を待たせることなくスピーディーな対応の実現へつながります。
関連記事:「保険業界のAI活用事例!導入メリット・デメリット、リスクも解説」
ビッグデータ解析による創薬効率化(第一三共/エクサウィザーズ)
製薬大手の第一三共株式会社とAI開発企業の株式会社エクサウィザーズが、「データ駆動型創薬」と呼ばれる共同開発プロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトでは、ビッグデータを活用して創薬プロセスの高度化と効率化を図ります。
AI技術と創薬現場での専門家同士との高度な融合を目指しているのが特徴です。
特筆すべきは、AI技術と創薬現場の専門知識を高度に融合させる点です。創薬の専門知識とプロセスの理解を基盤としながら、AIの能力を最大限に活用することで、目的に応じたデータ解析手法を開発し、その結果と活用法を総合的に評価します。
プロジェクトは、エクサウィザーズの創薬知識を持つエンジニアと、第一三共の創薬研究者が共に、「ディープラーニング(深層学習)を含んだAI技術の現場実装」と、「創薬の研究者による解析の結果評価やフィードバックに基づいた領域知識と融合したデータの利活用推進」などの活動を進めていきます。
関連記事:「製薬業界のAI活用事例!創薬・研究の効率化・自動化を実現」
生成AIが医師の業務時間を1/3に短縮(恵寿総合病院)

恵寿総合病院は、2023年12月に生成AIを活用した業務効率化の実証実験を実施しました。医師の退院時サマリー作成業務では、プロンプトを活用し、生成AIが要約を自動作成。医師が確認・修正する流れにより、作業時間が最大1/3に短縮されました。
また、看護師の退院時看護要約作成や医療事務スタッフの診療情報提供書作成補助業務でも業務時間が短縮され、年間540時間の医師の作業負担軽減が見込まれています。
本実証実験は、医師の働き方改革を支援し、医療の質向上に貢献する可能性を示しました。
関連記事:「医療分野での生成AI活用法や事例、メリット、注意点を解説!医療品質の向上に生成AIはどう使われる?」
AI自動発注で棚卸業務の負担軽減(福しん/Goals)
ラーメン・定食チェーン店を経営する福しんは、株式会社GoalsのAI自動発注サービス『HANZO』を導入することで発注を自動化し、棚卸業務の負担を軽減することに成功しています。
これまでは、必要な材料を人が考えて注文票に打ち込んだり、在庫管理を徹底するために注文のない日にも「在庫:1」と入力しなければいけなかったりと、発注に大きな時間を取られていました。
そこにAI自動発注システムを導入することで、AI売上予測や自動発注システムを利用できるようになり、来客数予測に基づく適切な発注や在庫数の自動打ち込みが可能となりました。同社は、AIの機械学習によるさらに正確な発注業務を実現し、将来的には人間による発注業務をなくすことを目標にしています。
関連記事:「飲食業界でAIを生かす方法は?活用事例・メリット・デメリットを徹底解説!」
在庫管理業務が半減(Musubi)
方南町共立薬局は、株式会社カケハシが提供するMusubiのAI在庫管理機能を用いることにより、2時間かかっていた在庫管理業務を半分の1時間に半減することができました。
AIを導入する前までは、在庫を正確に把握するのが現実的に不可能であったため、「箱を開けたら発注する」というルールで発注するしか在庫漏れを防ぐ方法がありませんでした。
これを解決したのが、AIによる在庫管理システムです。利用したAI在庫管理システムは、患者の来客予定と在庫が紐づいているため、必要な薬を適切なタイミングで発注できるようになりました。
関連記事:「AIで薬局と薬剤師はどう変わる?効率化できる業務や、活用・導入事例を徹底解説!」
野菜収穫ロボットによる作業効率化(デンソー)
デンソーは、自動車部品大手として知られる同社が、AIを活用した自動野菜収穫システムの開発に成功しました。このシステムは農家の作業負担を大幅に軽減し、収穫コストの削減を実現します。
収穫期は農家にとって年間で最も繁忙な時期の一つです。特に農業規模が拡大するほど、収穫に伴うコストも増大する傾向にあります。この問題に対し、デンソーのAI搭載型自動収穫ロボットは効果的な解決策となります。
農業ロボットであれば24時間いつでも、バッテリーの続く限り動き続けることが可能です。農家の負荷を大きく減らし、収穫にかかるコストも下げられます。
デンソーは、人手に依存する生産性が低い農業分野にも参入し、デジタル化や自動車用部品の生産ノウハウで培った技術で運営を目指しています。トマトの収穫用の農業ロボットには車部品で培ったデータ分析技術のノウハウを活用し、実を落とさないようハサミの設計に工夫をするなど、収穫を確実にするようにしました。
収穫ロボットを夜間運転させ、24時間稼働できる体制を目指します。
また、収穫に加え不要な葉や雑草を取り除く機能の搭載も目指し、より作業効率化が可能となるということです。ロボットにAIを搭載すると可能になること、主要業界の活用事例についてこちらで特集しています。
関連記事:「農業へのAI導入事例!メリット・デメリット、スマート農業・自動化ロボットで変わる?」
AIによる業務効率化で注意すべき点
業務効率化を目的としてAIを導入する際に注意すべき点を挙げました。
導入の目的を明確に
AIの導入の目的を明確にしましょう。そのためには、自社の課題やゴールを明確にする必要があります。効率化したい業務を洗い出し、優先度やAI活用の可能性を確認します。
目的達成のためにAIがベストであるか?を再確認しましょう。AIの導入そのものが目的化する危険性があるので、AIはあくまで課題解決のための一つの手段ということは念頭に置いて導入の検討を進めてください。
AIにすべてを任せない
AIは万能なツールではなく、どんな業務でもすべてをこなせるとは限りません。なぜなら、AIはすべての課題を解決できるだけではなく、業務内容によって向き不向きがあるからです。
例えば、問い合わせ対応をチャットボットに任せたとしても、特殊な内容や複雑で難解な質問に答えられるとは限らないため、人が対応する必要があります。AIの導入には対応範囲を明確にすることが大切であるため、AIを導入することによって軽減できる業務の費用対効果を見積もった上で検討を行いましょう。
自社に合わせたツールや会社選び
業務効率化のためにAIを導入する場合は、自社にあったツールや会社選びが大切です。どの部署のどんな業務に使用するか、できるだけ絞り込みましょう。
例えば、顧客対応一つをとっても、マーケティング、営業、問い合わせ対応など得意分野は異なります。
たとえAIツールが高性能であったとしても、業務にあったものを選択しなければ効果を発揮できません。導入後のミスマッチを防ぐためにも、使用する目的や課題としていることを明確にした上で選定を心がけましょう。
AIを用いた業務効率化についてよくある質問まとめ
- AIを用いた業務効率化は具体的にどのような業務で可能ですか?
AIによる業務効率化は以下の業務で可能です。
- 問い合わせ対応(AIチャットボットの活用)
- 生産・品質管理(画像認識技術による不良品検知)
- 保守・保全(画像解析による設備点検)
- 営業(顧客データ分析による見込み客抽出)
- 物流(配送ルート最適化)
- 人事(採用審査や人材配置の最適化)
- AIによる業務効率化を導入する際の注意点は何ですか?
AIによる業務効率化を導入する際の主な注意点は以下の通りです。
- 導入目的を明確にすること
- AIにすべてを任せすぎないこと
- 自社に合ったツールや開発会社を選ぶこと
- AIによる業務効率化は、従来のRPAなどの自動化ツールと何が違うのですか?
従来のRPAなどは、事前に設定されたルールに基づいて主に定型的な反復作業を自動化します。一方、AIはデータから学習し、パターン認識や予測、判断といった能力を持つため、ルール化が難しい非定型業務や、状況に応じた柔軟な対応が求められる業務の効率化も可能です。また、AIは継続的に学習し性能が向上していく点も異なります。
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本記事では、AIを活用した業務効率化について、適用できる業務内容を紹介しました。AIによる業務効率化は、さまざまなビジネスへの活用が実現できるでしょう。
ただし、AIを導入する際はコストや種類の選定など、検討する部分が多く存在します。導入する際にお悩みになりましたら、最適なAI開発会社紹介を行なっているAI Marketをぜひご利用ください。
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