富士通、日本語能力世界一の企業向けLLM「Takane」を発表 – セキュアな環境で業務変革を加速
最終更新日:2024年10月05日
富士通株式会社は2024年9月30日、世界最高の日本語性能を誇る企業向けLLM(大規模言語モデル)「Takane(高嶺)」の提供を開始すると発表した。Cohere Inc.と共同開発したこのモデルは、セキュアなプライベート環境での利用が可能で、高度なカスタマイズにより業務特化型のAI活用を実現する。
「Fujitsu Kozuchi(Generative AI)」に組み込まれ、「Fujitsu Data Intelligence PaaS」を通じてグローバルに展開される予定だ。
目次
<本ニュースの10秒要約>
- 日本語言語理解ベンチマークJGLUEで世界最高記録を達成し、多言語対応と業務プロセス自動化機能を備えた高性能LLM
- セキュアなプライベート環境での利用が可能で、金融や製造業など機密性の高いデータを扱う業界でも安心して活用可能
- 企業独自のデータによるファインチューニングや高度なカスタマイズにより、業務に特化したAI活用を実現し業務変革を支援
Takaneの特長と技術的優位性
Takaneは、CohereのLLM「Command R+」をベースに開発された日本語特化モデルである。日本語言語理解ベンチマークJGLUEにおいて世界最高記録を達成し、特に自然言語推論(JNLI)や機械読解(JSQuAD)タスクで優れた性能を示している。多言語対応(10言語)やビジネスプロセス自動化機能も備えており、グローバルな企業での活用が期待される。
技術的には、富士通の日本語LLM開発の知見とCohereの業務特化型LLM開発ノウハウを組み合わせ、日本語強化のための追加学習とファインチューニングを行っている。これにより、日本語特有の課題(文字種の混在、主語の省略、敬語表現など)に対応し、高精度な出力を実現している。
セキュアな環境での活用と業務変革の可能性
Takaneの最大の特徴は、セキュアなプライベート環境で利用可能な点だ。これにより、金融業界や製造業、安全保障分野など、機密性の高いデータを扱う業界でも安心してLLMを活用できる。例えば、顧客の個人情報を扱う金融業務や、機密性の高い設計・開発データを扱う製造業での利用が可能となる。
さらに、企業独自のデータを用いたファインチューニングやカスタマイズにより、業務に特化したLLMの構築が可能だ。富士通の「ナレッジグラフ拡張RAG技術」や「生成AI監査技術」と組み合わせることで、法規制や企業ルールに準拠した出力を実現し、専門性の高い業界でも安心して活用できる環境を提供する。
Fujitsu UvanceとDI PaaSとの連携
TakaneはFujitsu Uvanceのオファリングである「Fujitsu Data Intelligence PaaS(DI PaaS)」を通じて提供される。DI PaaSは、組織内外の膨大なデータを意味理解可能な形に統合し、部門や業種間のデータ連携・分析を可能にするクラウドベースのプラットフォームだ。
Takaneとの連携により、データとAIを融合した高度な業務アプリケーションの創出が期待される。これにより、企業は圧倒的な生産性と創造性を実現し、ビジネス変革を加速させることができる。富士通は、コンサルティングサービス「Uvance Wayfinders」とも連携し、企業のAI活用を総合的に支援していく方針だ。
AI Market の見解
富士通のTakane発表は、日本企業によるLLM開発の重要なマイルストーンと言える。日本語処理に特化した高性能モデルの登場は、日本市場におけるAI活用の可能性を大きく広げるものだ。特に、セキュアな環境での利用や業務特化型のカスタマイズが可能な点は、企業のAI導入における障壁を低下させる重要な要素となる。
技術面では、JGLUEでの高スコア達成が注目に値する。これは、日本語特有の言語処理課題に対する富士通の技術力の高さを示している。一方で、グローバル市場での競争力を維持するためには、多言語処理能力のさらなる向上や、特定業界向けの特化モデル開発なども重要となるだろう。
ビジネス面では、Fujitsu UvanceやDI PaaSとの連携により、単なるLLMの提供にとどまらない総合的なAIソリューションの展開が期待される。
参照元:富士通
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