Microsoft Copilotとは?Officeとの連携で何ができる?特徴・機能・料金・導入方法を徹底解説
最終更新日:2024年11月12日
昨年ごろからChatGPTをはじめとする生成AIが流行し、その開発・リリースが進んでいます。生成AIにより、様々な仕事が効率化されることを感じる方も多いと思いますが、そんな中で、「日頃使用しているWordやExcelなどで生成AIが使えたらいいのに」と考えたことはないでしょうか?
今回紹介する
AI Marketでは
目次
Microsoft Copilotとは?
Microsoft Copilotとは、Microsoft社が提供する自然言語処理モデル(LLM)を使用したAIアシスタントで、これまで「Bing Chat」として提供されていたサービスをリブランドしたものです。Microsoft Copilotは、OpenAIのGPT-4を基盤としています。
LLMとは?どんな仕組み?こちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
ユーザーが提出する様々なタイプの質問やタスクに対して、精度高く迅速な回答を提供できることに加え、Officeドキュメントの作成や編集、Eメールの作成支援など、業務効率化を強力にサポートします。
競合する生成AIプラットフォームであるGoogleのDuet AIと類似の機能を提供します。Duet AIはGoogleのエコシステム内、特にGoogle WorkspaceやGoogle Cloudでの作業を強化するために開発されました。しかし、Microsoft CopilotはWindows、Microsoft Officeのエコシステムとの統合により、特にオフィスでのビジネスユース市場を狙っています。
Microsoft Copilotには無料版と有料版
ブラウザから対話形式のMicrosoft Copilotを体験できます。また、Windows 11 の最新バージョンに標準的に組み込まれており、Windows11を使用していれば誰でも利用する事ができます。
Microsoft Copilotには、無料版の他、よりMicorosoft Officeとダイレクトに連携できる有料版の「Copilot Pro」「Copilot for Microsoft 365」があります。
Microsoft Copilotの特徴とは?
Microsoft Copilotの特徴は以下の通りです。
- WordやExcel、OutlookなどのOfficeソフトで生成AIを使用できる
- OpenAI社のモデル「GPT-4 Turbo」を使用できる
- 画像を生成するAI「DALL・E 3」を使用できる
- セキュリティとプライバシーの強化
WordやExcel、OutlookなどのOfficeソフトで生成AIを使用できる
有料版の「Copilot Pro」や「Copilot for Microsoft 365」では、WordやExcel、OutlookなどのOfficeソフト上でもCopilotを利用することができ、誰もが行う文書作成や表作成、メール作成などに気軽にAIを活用できるのが特徴です。
これまで、ChatGPTなどの生成AIで作成した文書などを各Officeソフトを立ち上げてコピペするといった利用方法が一般的でした。しかし、Microsoft Copilotではダイレクトに各Officeソフトで生成AIの機能を活用できます。直接文書作成するだけでなく、面倒な表やグラフ作成なども生成AIを使って自動で作成することも可能となります。
OpenAI社の最新モデル「GPT-4 Turbo」を使用できる
Microsoft Copilotの最大の特徴は、OpenAI社が2023年11月に発表したモデル「GPT-4 Turbo」を無料で使用できることです。
前身である「Bing Chat」ではGPT-4が使用されていましたが、2023年12月5日(現地時間)に、GPT-4 Turboを採用することを発表しました。GPT-4 Turbは、トレーニングデータがGPT-4 の2021年9月までから2023年4月までになっている他、送信できるトークンがGPT-4の4倍の12万8000トークンとなり、長文の回答が可能になるなど大幅に昨日が向上しているモデルになります。
ChatGPTでGPT-4 Turboを使うためには有料版の契約が必須ですので、無料でGPT-4 Turboを使えることは大きな魅力です。Microsoft社とOpenAI社の提携関係が続く限り、Microsoft CopilotにはOpenAIの最新GPTシリーズが搭載されていく可能性が高いでしょう。
画像生成AI「DALL・E 3」を使用できる
Microsoft Copilotでは、最近流行りの画像生成AIも無料で利用できます。Microsoft Copilotで利用できる「DALL・E 3」は、文章から画像を生成するAIの最新モデルで、プロンプトから写実的な画像を生成できるのが特徴です。
Microsoft Copilot上での対話を行っていくことで、よりユーザーが求める画像に改善していくことも可能となります。
関連記事:「DALL・E 3(ダリ・スリー)とは?料金・メリット・デメリット・活用例・注意点を徹底解説!」
セキュリティとプライバシーの強化
セキュリティとプライバシーの強化は、Microsoft Copilotの重要な特徴の一つです。このアプローチは、ユーザーが提供する情報の保護と、その情報を扱う際の信頼性の確保に焦点を当てています。
Microsoft Copilotは、Microsoftが定める高水準のセキュリティ基準に従って設計されています。これには、データの暗号化、不正アクセスの防止、脆弱性管理、セキュリティ監視などが含まれます。サービス全体のセキュリティ体制を強化し、サイバー攻撃やデータ侵害のリスクを最小限に抑えます。
また、Microsoft Copilotは、Microsoftのプライバシーポリシーに準拠しています。ユーザーは、自分のデータがどのように使用され、保護されるかを理解し、必要に応じてプライバシー設定を管理できます。
どう違う?Copilotの種類ごとの機能と料金比較
Microsoft Copilotには、無料版の「ブラウザ版」「Copilot in Windows」と、有料版の「Copilot Pro」「Copilot for Microsoft 365」の3種類があります。ここではそれぞれできることや違い、料金プランなどを具体的に説明していきます。
ブラウザ版
ChatGPTライクなUIの対話型AIです。お使いのブラウザからMicrosoft Copilotの公式ウェブページにアクセスします。ウェブページにアクセスしたら、利用可能な会話スタイルを選択します。
- より創造的に
- よりバランスよく
- より厳密に
Copilotは、ユーザーのニーズに合わせて様々な会話モードを提供しており、より自然な対話を可能にします。画面上に表示される「何でも聞いてください…」というプロンプト入力エリアに、あなたの質問やリクエストを入力します。これにより、Copilotは入力に基づいて適切な回答や提案を行います。
Microsoftアカウント(作成無料)にログインすることで、入力文字数の増量などの特典を受けられます。
Microsoftがブラウザ版Copilotを発表したことに対抗し、Googleはまったく新しい検索プラットフォームSGEを公開したと言われています。
Copilot in Windows
Copilot in Windowsは標準的な機能をもつCopilotです。Bing Chatのように、対話を通した検索や文章作成、画像生成などが標準的に使用できます。
Windows 11に標準搭載され、ユーザーが追加料金なしで利用できるようになっています。Copilot in Windowsを使用することで、ユーザーは日常のコンピューティング作業をより簡単かつ効率的に行うことが可能になります。
以下のようなWindowsに搭載されている標準アプリケーションにも生成AIを活用でき、クリエイティブな作業なども行うことが可能です。
- Clipchamp(ビデオ編集ソフトウェア)
- ペイント アプリ
- フォト アプリ
ユーザーはビデオ編集、画像加工などのクリエイティブな作業を、AIの支援を受けながら行うことができます。DALL・E 3との統合により、ユーザーは簡単な説明からクリエイティブな画像を生成することも可能です。
Copilot Pro
Copilot Proは、主に個人や少人数を対象とした有料版のCopilotで、価格は月額3,200円となっています。無料で利用できるCopilot in Windowsの個人向け上位パッケージの位置付けです。
Copilot Proでできることは以下の通りです。
- Word、PowerPoint、Excelなどに生成AIの機能が統合
- 優先的なGPT-4/GPT-4 Turboへのアクセス
- 画像生成の制限の緩和
Copilot Proの最も大きな特徴は、個人向けのMicrosoft 365 Personal/Familyのアカウントを持っている場合に、Word、PowerPoint、ExcelなどのOfficeソフトに生成AIが統合されることです。これにより、各Officeソフト上で生成AIを呼び出し、プロンプトを入力し、結果を直接反映させることができます。
例えば、企画書を作成したい場合に、Wordで生成AIを呼び出し、企画概要をプロンプトで送信すると、生成AIが企画書を考えて作成してくれます。内容を見てプロンプトで調整を行うことも可能です。他にも以下のような使い方ができます。
- Copilot in Wordでテキストから表を作成する
- Copilot in Excelでデータテーブルからグラフやピボットテーブルを作成する
- Copilot in PowerPointでスライドの下書きを作成する
- Copilot in Outlookでメールの下書きを作成する
既存の生成AIでできることもありますが、Copilot Proは各Officeソフトで直接生成AIを使用できることが最大のメリットと言えるでしょう。さまざまなオフィス業務に生成AIに使用することで仕事を効率化し、より生産的な仕事ができるようになります。
ただし、Copilot in Excelは、プロンプトを英語で入力する必要があるなどの注意点もあるので確認が必要です。
関連記事:「Microsoft Copilot Proとは?無料版との機能比較・価格・企業での活用方法を徹底解説!」
Copilot for Microsoft 365
Copilot for Microsoft 365は、企業がMicrosoft 365上でCopilotが使用できるサービスです。一般企業向けのMicrosoft 365 Business Standardまたは Business Premiumのライセンスがある場合に契約できます。価格は、1ユーザー当たり月額で税抜き3,750円(30米ドル)となっています。
一般企業でCopilotを使用する場合には、基本的にはこのCopilot for Microsoft 365のプランになるでしょう。
基本的な部分は個人向けのCopilot Proと同じですが、Microsoft 365 Business Standardまたは Business Premium特有の機能にもCopilotが使用できるという点で異なります。例えば以下のサービスでCopilotが使用できます。
- クラウド型メールサービス「Exchange Online」
- ナレッジやタスクなどを社内で共有できるツール「Loop」
- Microsoft 365のサービスからデータを取得し他のアプリと連携できる「Graph」
社内での情報共有や共同作業においてもCopilotが使用可能となり、チームでのミーティングやプロジェクト単位での作業を効率化できます。また、Power PlatformやSarepointといった機能にも今後対応することが期待できます。
さらに、Business Premiumプランであれば、企業向けの高度なセキュリティ下で運用できるため、社内情報の漏洩などセキュリティ面での懸念がある方でも安心して使用すできます。
ただし、Copilot for Microsoft 365は1ユーザー当たりに料金が発生する点に注意が必要です。使用する人数が多いほど全体の効率は大幅に上がりますが、その分コストも大きくなってしまうため、検討する際は費用対効果を検証しておくと良いでしょう。
Microsoft Copilotの導入方法
それぞれのプランで導入方法を説明していきます。
Copilot in Windowsの導入方法
- Microsoftアカウントでサインインする
- Windows11のバージョンを更新する
Copilot in WindowsはWindows11を対応するバージョンにアップデートすることで自動的にインストールされます。 - 起動する
タスクバーに追加されたアイコンをクリックするか、キーボードのショートキー「Win + C」で呼び出すことができます。
ローカルアカウントを使用している場合はCopilot in Windows使用できません。Microsoftアカウントでサインインしている場合にしか使えないことに注意してください。
Copilot Proの導入方法
- 公式ホームページへアクセス
MicrosoftのCopilot Pro用のページへアクセスします。 - Copilot Proを購入する
- 「Copilot Proを購入する」ボタンをクリックして購入します。Microsoftアカウントにサインインをしていない場合は、サインインをしてください。支払い情報等を入力すれば完了です。これでOfficeソフトでもCopilotが使用できるようになります。
ただし、Officeソフトで使用するためにはMicrosoft 365 Personal/Family/Family 365のサブスクリプションが必要ですので注意してください。
Copilot for Microsoft 365の導入方法
- 公式ホームページへアクセス
MicrosoftのCopilot Pro用のページへアクセスします。 - MicrosoftアカウントにサインインをしてCopilotをアカウントに追加する
「購入方法」ボタンをクリックした後に、「Copilot を追加するにはサインインしてください。」をクリックして企業アカウントでログインをします。説明に従い、Microsoft 365にCopilotを追加してください。
Microsoft Copilotの企業での活用アイデア
実際にMicrosoft Copilotをオフィスでどのように活用できるのかを紹介していきます。
資料作成
Copilot in Windowsの標準機能であるAIチャットで情報収集や文章作成が可能になります。Copilot ProやCopilot for Microsoft 365を使用すれば、Copilot in WordやCopilot in Excel、Copilot in PowerPointなどで、各ソフト上で生成AIを使って効率的に資料を作成することができます。
企画書や議事録、報告書などを要点だけで作成できるほか、説明資料や添付資料としての表やグラフの作成、さらにターゲット別に有効なプレゼンテーションの資料作成をサポートしてくれます。
関連記事:「資料作成のためのおすすめ生成AIサービス!自動化・高品質・低コストなど5つの導入メリットとは?」
メール作業の効率化
Copilot ProやCopilot for Microsoft 365ならCopilot in Outlookを活用して、要件を基に、宛先を選んでメールの文章を考え、メールの下書きを作成してくれます。また、メールの検索やメールの内容の要約などにも生成AIを活用することができ効率化できます。毎日メールの確認や返信に時間を取られる時間は意外と多いですが、Copllotを活用して毎日の作業時間を短縮できます。
さらに、Copilot for Microsoft 365では、法人メールであるExchangeにもCopllotを活用できるため、チームでの作業効率も向上させることが可能です。
ブレーンストーミングやアイデアの創出
Copilotのチャットは、ブレーンストーミングやアイデアの創出に役立ちます。チャットにアイデアを投げかけて壁打ちのようにブラッシュアップすることも、いくつかの条件を基に新たなアイデアを作ってもらうこともできます。Copilotのチャットはインターネットに接続して最新のHPや記事から返答するため、精度も比較的高いものになります。
また、Copilot for Microsoft 365では、チームやプロジェクトでのミーティングで活用できるLoopにもCopilotを搭載しているため、チームミーティング中にアイデアを整理し文章にすることや表にまとめること、アイデアに対しての意見や根拠資料の提示など幅広い活用が可能となり、有用で生産的なミーティングを実現することができるでしょう。
自然言語によるデータ分析
自然言語クエリによるデータ分析は、Microsoft Copilotの特に強力な機能の一つであり、特にExcel内でのデータ分析作業に革命をもたらします。ユーザーは自然言語で質問を入力するだけで、複雑なデータセットから必要な情報を抽出し、分析することができます。
例えば、「今月の売上合計は?」や「最も売れた商品は何か?」といった自然言語でクエリを入力できます。このとき、特定の関数や複雑な式を理解・使用する必要はありません。
Microsoft Copilotは、入力された自然言語クエリを解析し、その意図を理解します。次に、関連するデータ操作や分析を自動的に実行して、求められている情報を抽出します。そして、数値データの集計、トレンドのビジュアル化を行います。
データ分析を行う際に複雑な関数や式を覚える必要がなくなり、データ分析のプロセスが大幅に迅速化されます。これにより、ビジネスの意思決定をより速く、より根拠のあるものにすることができます。
コードの自動生成と修正機能
コードの自動生成と修正機能は、開発者がプログラミング作業を行う際に、Microsoft Copilotが提供する重要な支援の一つです。この機能は、ソフトウェア開発の効率を大幅に向上させ、コードの品質を高めることを目的としています。
開発者が行いたいタスクの概要を自然言語で入力すると、Microsoft Copilotはその要件を理解し、目的に沿ったコードスニペットを自動生成します。これにより、新しいプロジェクトの立ち上げや、特定の機能の追加が迅速に行えます。
また、既存のコードベースを分析し、潜在的なバグや最適化されていないコードセクションを特定します。その後、改善のための具体的な修正案を提案し、コードの品質向上をサポートします。
コードから直接技術的なドキュメントを生成することも可能になり、ドキュメンテーションの作業を軽減し、リソースの有効活用と開発サイクルの短縮に貢献するでしょう。
Microsoft Copilotについてよくある質問まとめ
- Microsoft Copilotとは?
Microsoft Copilotとは、Microsoft社が提供する自然言語処理モデル(LLM)を使用したAIアシスタントで、これまで「Bing Chat」として提供されていたサービスをリブランドしたものです。Microsoft Copilotは、OpenAIのGPT-4を基盤としています。
ユーザーが提出する様々なタイプの質問やタスクに対して、精度高く迅速な回答を提供できることに加え、Officeドキュメントの作成や編集、Eメールの作成支援など、業務効率化を強力にサポートします。
- Microsoft Copilotの特徴とは?
Microsoft Copilotの特徴は以下の通りです。
- WordやExcel、OutlookなどのOfficeソフトで生成AIを使用できる
- OpenAI社の最新モデル「GPT-4 Turbo」を使用できる
- 画像を生成するAI「DALL・E 3」を使用できる
- セキュリティとプライバシーの強化
- Microsoft Copilotにはどんな種類がある?
Microsoft Copilotには、無料版の「Copilot in Windows」の他、有料版の「Copilot Pro」「Copilot for Microsoft 365」があります。
まとめ
Microsoft Copilotは、Microsoftアカウントをお持ちのWindows11ユーザーであれば誰でも無料で使用できます。Microsoft Copilotは最新のGPT-4 Turboが使用でき、Windowsの標準ソフトの操作も行うことができます。
そして、最大の特徴であるOfficeソフトと生成AIの統合により、作業の生産性が飛躍的に向上するでしょう。個人でも企業でもMicrosoftアカウントをお持ちであれば、Officeソフトで直接的に生成AIを活用でき、単
仕事でOfficeソフトをメインで使用している個人・企業であればその恩恵はより大きいものとなるでしょう。
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