ChatGPTのAPIを詳細解説!できること・提供モデル・メリット・機能・利用例から注意点まで!
最終更新日:2024年12月19日
ChatGPTは文章の要約や作成などを手伝ってくれる高性能な対話型AIチャットです。そんなChatGPTと自社のシステムやサイトを連携し、オリジナルのチャットを構築されることが増えています。
わかりやすいChatGPTの仕組み、企業での活用事例をこちらで詳しく説明しています。
様々なアプリケーションと連携するためには「API」という仕組みが必要ですが、2023年3月にChatGPTの基になっているLLM(大規模言語モデル)である「GPT」のAPIがリリースされました。これにより、自社で開発している様々なアプリケーションでChatGPTライクなチャットボットを搭載することが可能となりました。
また、最新のAIモデルは常に新しくなっており、推論能力の高い「GPT-4」や高速処理が可能で安価な「GPT-4o」、推論時間を長めにとる代わりに応答精度と安全性に配慮した「OpenAI o1」や「OpenAI o1-preview」など複数のモデルを提供しており、その用途は大きく広がることになります。
この記事では、
ChatGPTを社内で利用したい、自社システムと連携したいと考えている方は、是非最後までご覧ください。
AI Marketでは、
ChatGPTの導入支援を発注する会社を自力で探したい方はこちらもぜひ参考にしてください。
目次
ChatGPTを実現するAPIとは?
ChatGPTのような対話型AIチャットを実現するGPTのAPIとは、OpenAIが開発したGPT-3.5やGPT-4などのLLM(大規模言語モデル)を他のアプリケーションやサービスに組み込むためのツールです。APIとは、ソフトウェア間で情報交換やデータ通信をする際に用いるインターフェース「Application Programming Interface」の略語です。
GPTのAPIを使うことで、ChatGPT以外のアプリケーションとChatGPTがデータ通信を行い、外部のアプリケーション上でもChatGPTのような対話型AIチャットが使用できるようになります。GPTのAPIと外部アプリケーションを接続し、プロンプト(ChatGPTに行ってほしいことを示す指示)を送ることで、プロンプトに基づいたテキストをAPIを通じて、アプリケーションに送り返すことができます。
ChatGPTのAPIは、OpenAIの提供するOpenAI APIの他、Microsoftの提供するAzure OpenAI Serviceから利用することができます。
こちらの記事で、ChatGPTのプロンプトの仕組みを説明していますので併せてご覧ください。
ChatGPTのAPIでできること
GPTのAPIを活用することで、アプリケーション上で以下のことが可能となります。
- テキストの生成
- 自然な会話
- カスタマイズ
企業のChatGPT導入成功事例、失敗例はこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
尚、DALL・Eなどの画像生成AIのAPIも、OpenAI APIやAzure OpenAI Serviceから利用可能ですが、今回はLLM(大規模言語モデル)を用いた対話型AIチャットを構築するGPTシリーズのAPI解説のため、割愛します。
テキスト生成
ChatGPT APIは、与えられたプロンプトに基づいてテキストを生成します。これによりアプリケーションのユーザーからの質問に答えることや、情報の要約、Q&Aの作成などテキストの生成を自動で行うことができるようになります。
会話モデル
ChatGPTは、自然な会話を得意とします。人間とコミュニケーションしているような自然な会話を実現したChatGPTの能力に驚かれた方も多いと思います。あの会話クオリティを自社システムのなかで実現できると考えると、様々な使い道が広がるのではないでしょうか。
自社開発システムのなかでChatGPT APIでも同様で、ユーザーとの会話を行うようなチャットボットなどで、ユーザーに対してストレスを与えない自然な回答を行うことができます。
カスタマイズ
ChatGPT APIを使うと、ChatGPTのアプリケーションに合わせて独自にカスタマイズできます。これにより、業界や社内特有の専門用語やフレーズを理解して返答するなどの調整が可能となります。
カスタマイズを行うには、RAG(検索拡張生成:Retrieval-Augmented Generation)やファインチューニング等の技術的な対応が必要です。
OpenAIが提供するAPIモデル一覧
OpenAIでは、テキスト生成、画像認識、言語理解など様々なタスクに対応する複数バージョンのChatGPTモデルを提供しています。以下は、主なモデルの一覧です。
モデル名 | 説明 |
---|---|
GPT-4o | マルチモーダル且つ多用途に活用可能なフラッグシップモデル |
GPT-4o mini | 限定的なタスクに向いている、マルチモーダルに対応した高速且つ低価格の言語モデル |
OpenAI o1(o1-preview) | 複雑な推論を可能とする推論モデル |
OpenAI o1-mini | コーディングや数学を得意とする高速な推論モデル |
GPT-4o Realtime | リアルタイムの音声入力・音声出力を可能とするモデル |
GPT-4o Audio | 音声入力・音声出力を可能とするモデル |
GPT-4/GPT-4 Turbo | 言語理解と推論能力に優れ、長文脈にも対応 |
GPT-3.5 Turbo | GPT-3.5の高速版で、コスト効率に優れる |
DALL・E 3およびDALL・E 2 | テキストから画像生成・編集が可能 |
TTS | テキストを音声に変換 |
Whisper | 音声をテキストに変換 |
Embeddings | テキストをベクトル形式に変換 RAG機能を導入する際に使用 |
OpenAI APIの利用料金については、こちらの記事で詳しく解説していますので、ご参考ください。
GPT APIを自社開発システムに組み込む5つのメリット
ChatGPT APIを利用するメリットには以下のようなものがあります。
- 開発期間を大幅に短縮できる
- コストが安い
- セキュリティが高い
- ユーザーエクスペリエンスを向上できる
- 拡張性と柔軟性が高い
それぞれの詳細を解説していきます。
開発期間を大幅に短縮できる
自社でChatGPTのような高度なチャットボットを一から開発するのは時間がかかります。また、自社システムにAIを組み込みたい場合でも、AIを開発し学習をさせるには膨大な時間がかかってしまい、現実的ではありません。
ユーザーの求める会話品質のスタンダードがChatGPTとなっている今、高度な会話性能を持つチャットボットの開発には膨大なコストと時間がかかるでしょう。ChatGPT APIを利用することで、既に訓練された性能の高いチャットボットを自社システムと連携して使用できるため、開発のための時間を大幅に削減できます。
こちらの記事で、従来のチャットボットとChatGPTの違いについてわかりやすく解説しています。
コストが安い
ChatGPT APIは、開発や訓練のための料金はかからず「トークン」を使用した分だけ料金がかかる従量課金制となっています。GPT-4o miniでは100万入力トークンあたり0.15ドル、100万出力トークンあたり0.6ドルで利用できます。
日本語の場合、かなや漢字によってトークン消費量が異なるので一概には言えませんが、1字あたり1-2トークンと言われています。ですから、仮に入力(質問)500字、出力(答)500字の会話を行って1字当たり1.7トークン消費すると仮定すると約0.1円(0.0006375ドル)しかかかりません。
上記は、文字数と料金の関係を単純な図式に落とし込んだ試算です。文脈に沿って回答するように、直前の会話履歴を含めて入力する場合は入力するデータが増え、消費トークンが増加します。
それでも、既存のチャットボットサービスに比べると非常に安価に利用することができるようになります。ChatGPT APIを利用することで、コストを抑えながら高性能なAIチャットボットを利用できます。ChatGPT APIでは、既に学習・訓練されたチャットボットを利用できるため膨大な開発や運用コストを削減できます。
GPTのAPIの料金、節約方法の詳細をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
セキュリティが高い
APIを使用することで、ChatGPTを使用する際のセキュリティを強化できます。APIキーの管理や、アクセス制限の設定などを行うことで、ChatGPTを利用する際のセキュリティリスクを最小限に抑えることができます。
ChatGPTでの情報漏洩リスク、漏洩事例をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
ユーザーエクスペリエンスを向上できる
ChatGPTは、まるで人間が返答を瞬時に行っているかのような非常に高性能なチャット型生成AIです。通常のチャットボットやQ&Aでは想定されてない質問や表現に対して回答することができませんが、ChatGPTはユーザーの質問を理解し回答することができます。
この機能を自社サービスに取り入れることで、ユーザーエクスペリエンスを大幅に向上させることができ、ストレスなく利用できるでしょう。
拡張性と柔軟性が高い
ChatGPT APIは拡張性と柔軟性が高いのが特徴です。ChatGPT APIは、自社で開発したシステムだけでなく市販のウェブアプリケーションなど、さまざまなアプリケーションやサービスに組み込むことが可能です。
ChatGPTを商用利用する場合の注意点をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
これにより、これまでの利用してきたシステムをそのまま使用でき、業務フローの変更やシステムの変更をしなくともAIソリューションを作ることができます。
そして、APIを使用することで、企業は必要に応じてリソースを拡張できます。APIを利用することで、大量のデータを処理することができ、高いスケーラビリティを持つシステムを構築することができます。
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GPTのAPIの始め方
GPT APIを始める順序を説明します。
事前に、OpenAIのアカウント登録(Sign up)を行ってください。API取得のために月額有料メンバー(ChatGPT Plus)は必要ありません。メールアドレスと有効な携帯電話番号が必要となります。
API取得画面に入る
OpenAIのウェブサイトにアクセスし、右上のアカウントアイコンをクリックし「Your profile」をクリックします。
APIキーを取得
「Create new secret key」をクリックした後、名前を入力し「Create secret key」をクリックしてAPIキーを生成します。初回は電話番号認証を求められます。
このAPIキーは一度だけ表示され、改めて確認することはできないので、必ず保存してください。
API接続
ChatGPTを組み込みたいアプリケーションからAPIに接続します。これ以降は、APIを組み込みたいアプリ側からの作業となります。
通常、組み込みたいアプリケーションで使用しているプログラミング言語のライブラリ等で行います。生成したAPIキーを使用して接続してください。
プロンプトを送信
APIに接続したら、プロンプトを送信します。プロンプトとは、ChatGPTに何を行ってほしいかを示す指示です。
応答を出力する
プロンプトを送信したら、ChatGPTがそれに基づいてテキストを生成し、それをAPIを通じてアプリケーションに送り返します。この応答がAPI接続したアプリケーションに表示されます。
GPT APIの利用で気をつけるべきトークン消費とは
GPTのAPIの料金となるトークンについて以下のことに気を付ける必要があります。
- 過去のやり取りが増えるほどトークンを消費する
- 日本語と英語のトークン消費量が異なる
それぞれの詳細を解説します。
過去のやり取りが増えるほどトークンを消費する
GPTのAPIは、「トークン」を使用した分だけ料金がかかる従量課金制です。このトークンは、過去のやり取りが多いほど、「投稿文」と「応答文」の消費量が増えてしまう点に注意が必要です。
GPTのAPIでは、過去のやり取りを含めることでより文脈に沿った返答を得ることができます。しかし、過去の「投稿文」「応答分」のやり取りをふまえるほど、トークン消費量が増加してしまいます。
これを防ぐには、事前に「過去のやり取りは直前〇回までと設定する」「APIのmax_tokensパラメータで出力文の長さを制限する」などの対策が必要です。
日本語と英語のトークン消費量が異なる
GPTのAPIのトークンは、英単語の場合、1単語1トークンとカウントされますが、日本語の場合は、文字によって数え方が異なるため注意が必要です。
例えば、『料』という1字は2トークン、『料金』は全部で4トークンです。ひらがなは『を』が1トークン、『み』は2トークンとなります。
このように日本語での利用を検討している場合は、想定よりも使用量が多くなる可能性があります。正確なトークンの消費量については、OpenAI社のマイページで確認ができるので、マイページで料金を確認しながら利用すると良いでしょう。
社内でのChatGPT APIの利用例
実際のChatGPT APIの利用例を紹介します。
チャットボットの開発で自動応答システムの構築
ChatGPT APIを活用して、社内のよくある質問に対する自動応答システムを構築できます。ChatGPT APIで既存のシステムにChatGPTを組み込むことで、高性能な自動応答システムを構築することができます。
直接ChatGPTに入力したくない社外秘データや個人データを取り扱うシステムであっても、ChatGPTライクな高度に自然な会話インターフェイスを実現可能です。
ChatGPTを基にするため、質問の意図を読み取り回答するなど、従来のチャットボットにありがちな、質問に対する回答がないという現象を防ぐこともできます。
また、プロンプトを活用することも可能で、例えば、「学校の先生として回答する」という設定や、「語尾を〇〇にしてくださいと」いう設定にすることができます。従来の手動対応に比べて、自動応答や自己学習機能により、どんなときでも迅速な対応が可能となります。
コーチングサービスを手掛けるZaPASS JAPAN 株式会社は、ChatGPTのAPIを活用し、日常で抱える小さな悩みを相談することが可能なAIコーチングチャットを構築しています。
ナレッジベースの構築
ChatGPT APIを利用して、社内のナレッジベースを構築できます。ChatGPTを統合したシステムを使用して、組織内の知識を効果的に蓄積・共有し学習させることで、社内の情報やノウハウを一元化し、従業員が必要な情報に簡単にアクセスできる環境を作り出すことができます。
社内のドキュメントや情報を自動的に整理・分類し、従業員が簡単にアクセスできるデータベースを構築することで、必要な情報に迅速にアクセスでき、組織全体の知識共有を促進することが可能となります。
ドキュメント生成支援
ChatGPT APIを組み込んだ社内システムを使用することで、従業員のドキュメント作成を支援できます。社内のテンプレートやガイドラインをChatGPTに学習させ、それを基に文章のフォーマットを自動生成することができます。
これにより、ドキュメントの作成時間を短縮できるでしょう。また、誰が作成しても統一性があり品質が保証されたドキュメントを作成することができるため、上長のチェックが容易になることや書き直しの回数が減るなど、省力化を図ることができるでしょう。
業務チャットツールやSaasとChatGPTを連携
SlackやChatworkと言った人気の業務チャットツールから直接ChatGPTを使えるようにしたり、ChatGPTと他のSaaSをノーコードで簡単に連携できるようになっています。
例えば、Yoom株式会社のSaaS連携データベース「Yoom(ユーム)は、ChatGPTのAPIを活用してチャットツールから直接ChatGPTと会話を行ったり、受信メールから抽出したテキストをkintoneやGoogleスプレッドシートに格納する機能をノーコードで構築できます。
以下のような使用例が考えられるでしょう。
- ChatGPTで議事録を要約してグループLINEに通知
- ChatGPTで作成したメールの返信案をSlackに通知
- ChatGPTで受信メールの内容を要約してChatworkに通知
kintoneは、データベース、プロジェクト管理、CRM、ビジネスプロセス管理など、様々な業務を効率化するためのSaasシステムで、利用している企業も多いかと思います。
Yoomを使ってKintoneとChatGPTを連携させることで、データの取得や更新、タスクの自動化、アプリ上でのドキュメントの自動生成など、Kintone上の様々な業務を自動化・省力化することが可能となってます。
Money Forwardは既にChatGPTとの連携機能を自社製品に組み込み
MoneyForwardは、経費精算や請求書管理、会計ソフトウェアなど、企業の財務管理を効率化するクラウドサービスです。MoneyForwardは、ChatGPT APIとの連携機能を既に自社製品に組み込んで公開しています。
この連携機能により、経費報告の自動化、請求書の確認や作成、財務データの分析を効率化できるようになります。例えば、「マネーフォワード クラウド給与」では、計算式の自動生成ができる「AI提案」の機能提供が開始されました。ユーザーは、計算式の案を文章で入力するだけで計算式を自動生成できるようになります。
様々な会計データを分析することで、企業の現状や将来予測などを言語化し、経営の意思決定に役立つ情報を提供することができるでしょう。
ChatGPT APIについてよくある質問まとめ
- ChatGPT APIとは?
ChatGPT APIとは、OpenAIが開発したChatGPTを自身のアプリケーションやサービスに組み込むためのツールです。このAPIを使うことで、いつも使用しているアプリケーションとChatGPTがデータ通信を行い、アプリケーション上でChatGPTが使用できるようになります。
- ChatGPT APIでできることは?
ChatGPT APIを活用することで、アプリケーション上で以下のことが可能となります。
- テキストの生成
- 自然な会話
- カスタマイズ
まとめ
ChatGPT APIにより、自社開発のシステムとChatGPTを連携することで、社内の情報を活用してChatGPTを利用できるようになります。
また、通常のチャットボットよりもコストを抑えて開発・利用を行うことができることも大きなメリットといえるでしょう。
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