TIS/澪標と川崎汽船、AI/スマホを活用した船舶用の喫水自動計測アプリケーションを共同開発
最終更新日:2023年09月23日
TIS株式会社は、2023年9月21日、AIを活用した船舶用の喫水自動計測アプリケーションを川崎汽船株式会社/澪標アナリティクス株式会社と共同で開発したと発表した。
このアプリケーションは、水面上を航行する船舶の喫水値(船底から水面までの垂直距離)を、波の影響を排除した形でリアルタイム表示するものだ。喫水値計測はスマートフォンとAIを組み合わせる形で行い、海技者の経験に頼っていた従来の喫水計測をAIで補完するとしている。
<本ニュースの10秒要約>
- スマートフォンとAIを組み合わせて喫水値を計測、海技者の経験頼りだった計測をAIで補完
- ディープラーニング技術でドラフトマーク/水面の検出モデルを構築、喫水を計算するアルゴリズムも開発
- 端末ローカルで処理が完結するため、海上でも使用が可能。3社共同で特許も既に出願
熟練の海技者であっても誤差が生じていた喫水計測
今回3社が開発した喫水自動計測アプリケーションは、ドライバルク船(石炭/鉄鉱石/穀物/製紙原料といった原材料輸送を担うばら積み船)における安全運航レベルの均質化・積高最大化を、目的としている。
ドライバルク船では、積載され貨物の重量算定にあたり喫水計測を行うが、現状この計測は船舶の乗組員やサーベイヤーの目視によって行われている。喫水計測そのものは目視においても可能だが、港によっては波浪の影響を受ける場合がある。そのため喫水計測の精度は、熟練の海技者であっても想定以上の誤差が生じるケースが起こっていた。
この課題の解決にあたり3社は、AIの活用が有効であると判断。それぞれが持つ知見を組み合わせる形で、喫水自動計測アプリケーションを開発するに至った。
波の影響を排除した喫水値をリアルタイムで画面上に表示
今回開発された喫水自動計測アプリケーションは、スマートフォンで撮影した画像からAIが水面/ドラフトマークの位置を解析し、波の影響を排除した喫水値をリアルタイムで画面上に表示するというものだ。
ドラフトマーク/水面の検出については、ディープラーニングの技術により高精度の検出モデルを構築。この画像検出結果から、座標計算によって喫水を計算するアルゴリズムも開発している。また、連続計測した喫水値を平準化することで、最終的に正確な値を算出することも実現。さらに、スマートフォン対応であると共に、端末ローカルで処理が完結するため、ネット通信が利用できない海上でも使用を可能にした。
なおこのアプリケーション開発では、TISと澪標アナリティクスが展開する「AI・データ分析サービス」が活用された。同サービスは、課題の洗い出し/AIモデルの構築/本番AIシステム構築までを一気通貫で支援するものとなっている。
2023年7月末に3社共同で特許を出願
TISは、金融/産業/公共/流通サービス分野など多様な領域で「成長戦略を支えるためのIT」を提供している企業であり、ビジネスパートナー数は3,000社以上におよぶ。澪標アナリティクスは、TISインテックグループの分析専門ファームであり、データサイエンスのビジネス応用を通した顧客利益創出に強みを持つ。
この2社と、近年デジタライゼーションを推進している川崎汽船がタッグを組む形で、今回の開発は行われた。
なお3社はこのアプリケーションについて、2023年7月末に共同で特許を出願している。
参照元:PRTIMES
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