Google Imagen 3とは?特徴・活用メリット・始め方・料金・商用利用を徹底解説!生成例も!
最終更新日:2025年03月12日

Google Imagen 3が、2024年10月にGeminiで提供開始され、さらに12月にはVertex AIを通じて全ユーザーが利用可能となりました。より多くのユーザーが手軽に利用できるようになったことで、近年注目を集めています。
ビジネスで画像生成AIを活用したいけれど、従来のツールでは満足できないと感じている方も多いのではないでしょうか?Google Imagen 3は、まるでプロが手がけたような高品質な画像を、簡単なテキスト指示で生成できる画像生成AIです。複雑なプロンプトを理解し、細部までリアルに再現する能力は、これまでの画像生成AIの常識を覆します。
本記事では、Google Imagen 3の特徴や活用メリット、他のAIツールとの違い、始め方などの最新情報を紹介します。画像生成AIの導入を検討している方や、最新のAI技術に興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
関連記事:「AIによる画像生成技術の基本的な仕組みや種類、応用事例や課題」
AI Marketでは
画像生成システムに強いAI開発会社を自力で選びたい方はこちらで特集していますので併せてご覧ください。
目次
Google Imagen 3とは?

Google Imagen 3とは、Google DeepMind社が開発したテキストから画像を生成するAIモデルです。Imagen 3は、ユーザーが入力する長い自然言語のプロンプトを的確に理解し、従来の画像生成AIでは難しかった高品質かつ詳細な画像を生成する能力があります。
Imagen 3の最大の特徴は、画像生成の過程で発生しがちなアーティファクト(ノイズや不自然な部分)を大幅に削減し、よりリアルで滑らかなビジュアルを生成できる点です。光の表現、構図、テクスチャの再現力が向上し、さらにリアルで精密な画像生成が可能になりました。
日本の文化や風景に対する解像度が高く、日本語プロンプトにも対応しているのも、企業ユースにとって重要なポイントです。デザインやマーケティングなど、質の高い画像を必要とするさまざまな分野での活用が期待されています。
他の画像生成AIとの違い
以下の表を通じて、Google Imagen 3と主要な画像生成AIであるMidjourney・DALL-E 3・Stable Diffusionの特徴や安全性、利用料金を比較しました。
モデル | 特徴 | 商用利用 | 利用料金 |
---|---|---|---|
Google Imagen 3 |
| 可能 | Gemini経由で無料利用が可能 |
Midjourney |
| 可能 | 月額$10~$120程度(プランにより異なる) |
DALL-E 3 |
| 可能(無料版ChatGPTからの利用では不可) |
|
Stable Diffusion |
| 可能 | 基本無料(ローカル環境での利用) |
Recraft V3 |
| 可能(無料版では不可) |
|
Google Imagen 3は、安全性を確保しながら、アーティファクトが抑えられた視覚品質の高い画像を生成できる点で、他の画像生成AIとの差別化に成功しています。
生成画像の質はもちろん、安全性やプランなどそれぞれの特徴を総合的に比較し、利用するサービスを検討すると良いでしょう。
▼累計1,000件以上の相談実績!お客様満足度96.8%!▼
Google Imagen 3の始め方と利用料金

Google Imagen 3は、以下サービスを通じて無料で提供されています。
サービス名 | Vertex AI | Gemini | ImageFX |
---|---|---|---|
概要 | Googleの生成AIが利用できるクラウドプラットフォーム | チャット形式で手軽に画像を生成できる対話型生成AIサービス | 生成画像の詳細な設定が可能な画像生成AIツール |
始め方 |
|
|
|
商用利用について
現時点でGoogle Imagenの利用規約では商用利用について明確な記載はありません。しかし、Imagenの使用上のガイドラインを踏まえると、商用利用を含めて「知的財産権を侵害しない範囲での利用は可能」と解釈できます。
すべてのクラウド サービス プロバイダと同様に、Googleは利用規定を設け、第三者の知的財産権を侵害するような方法でGoogleのサービスを使用することを禁止しています。
ただし、将来的に利用規約が変更される可能性も十分にあります。そのため、広告やマーケティング用途など商用目的で使用する際には、Googleの公式サイトやImagenの最新利用規約を確認しましょう。
なお、Geminiを通じて出力された画像については商用利用が認められています。そのため、Google Imagen 3を商用目的で利用する際には、Geminiを利用すればリスクを抑えられます。また、生成された画像には、AI生成であることを示すデジタル透かし(SynthID)が埋め込まれています。これにより、画像の出所や作成者を追跡可能です。
▼累計1,000件以上の相談実績!お客様満足度96.8%!▼
Google Imagen 3でできること

Google Imagen 3で利用できる機能は、大きく以下3つに分けられます。
- 画像生成
- 編集機能
- カスタマイズ機能
画像生成
Google Imagen 3は、長文プロンプトでも、構図・照明・被写体の関係性を正確に解釈して画像を生成します。
そして、従来モデルと比べてよりリアルなディテール表現に優れています。「手のシワ」「布地の質感」「粘土アニメーションの質感」など微細なテクスチャを再現します。特に「高解像度マクロ写真」や「油絵の筆致」のような複雑な表現が可能です。
画像編集
Google Imagen 3は、テキストから画像を生成するだけでなく、既存の画像を編集する機能も備えています。画像編集でも、簡単なテキストプロンプトで直感的に実行できます。
主な編集機能は以下の通りです。
- インペインティング(Inpainting)
画像の特定の部分を選択し、テキストプロンプトに基づいて編集することができます。 - アウトペインティング(Outpainting)
既存の画像の外側に新しい要素を追加し、画像を拡張することができます。 - スタイル変換
既存の画像のスタイルを変更することができます。 - テキスト追加
画像内にテキストを自然に組み込むことができます。 - 画像の高解像度化
低解像度の画像を高解像度に変換することができます。
同一シード値を使用し、プロンプトを微調整することで類似画像を生成することも可能です。例えば、画像の床材を「大理石→木製」に変更する際、シード値を固定しつつプロンプトを調整できます。
カスタマイズ機能
Google Imagen 3は、独自のブランド・ロゴ・被写体・製品の特徴を取り入れることが可能です。少数の参考画像をアップロードし、同一スタイルの画像を継続的に生成できます。
Vertex AI上で、同じくGoogle社が開発した動画生成AIであるVeoと連携して、生成画像を基に動画を制作することもできます。例えば、製品プロモーション動画の背景シーンを自動生成するなど、企業向けの高度編集も可能です。
充実した機能によって、ユーザーの多様な制作ニーズに応えています。
Google Imagen 3の画像生成例
下記は、実際にImageFXを利用して、Google Imagen 3で作成した画像です。日本人の雰囲気が非常にリアルに生成されていることがわかります。但し、画像内のテキストは、英語は自然に生成できているものの、日本語テキストは正しく生成できていません。
画像の下部に、実際に利用したプロンプトも記載しています。

また、上記のプロンプトを少し修正し、「Painted」というプロンプトを追加すると、以下のような自然なイラスト画像が生成できました。

尚、ImageFX上では、下記の画像のように、生成画像をチューニングするためのボタンがわかりやすく表示されているため、画像のカスタマイズ生成も容易です。
Google Imagen 3のメリット
Google Imagen 3は、優れた自然言語の理解力と画像生成能力を持つことから、活用するうえで多くのメリットをもたらします。以下では、Google Imagen 3のメリットを紹介します。
人に好まれやすい画像生成が得意
Google Imagen 3は、前世代モデルや他の画像生成AIと比較して写実性が大幅に向上し、人がより自然で魅力的と感じる画像を生成可能です。
Imagen 3は、人が評価を行うベンチマーク「GenAI-Bench」においてRecraft 3・DALL-E 3・Stable Diffusionといった競合モデルよりも高評価を獲得しました。
また、視覚品質においても最高スコアを獲得しており、Imagen 3を通じて生成された画像にはアーティファクトが限りなく見られないと評価されました。
このような評価から、Imagen 3はプロモーション画像など人に好印象を与えられるビジュアルが必要な分野での活用が期待されています。
プロンプトの理解力が高い

Google Imagen 3は詳細なキャプションを追加した画像データで学習したことで、長くて複雑なプロンプトのニュアンスを正確に捉えることができ、幅広い主題やスタイルを正確に再現できます。もともと、Google Imagenシリーズは、高精度な画像生成と言語理解のレベルの高さには定評があります。
Imagen 3では以下のような画像の詳細に関するプロンプトを的確に反映することが可能です。
- 配置:被写体の位置やシーン構成を指定して、意図した演出を実現
- 照明:柔らかい照明や強い照明を使い分け、方向や焦点を制御して雰囲気を演出
- 角度とレンズ:カメラの角度やレンズ選択を反映させ、奥行きや遠近感を加える
- スタイル:フォトリアリズム・デジタルアート・映画風・ビンテージ・ミニマリスト風など多彩なスタイルを生成可能
特にスタイルに関しては細やかな調整が可能で、例えば「オランダ黄金時代の油絵スタイル」「マクロDSLR画像」「1990年代後半のカラーリングスタイル」など、年代からスタイルを指定する曖昧なプロンプトや専門的なプロンプトにも忠実に応えられます。
公式サイトで表示されている上記画像は、以下の長文プロンプトを送信した生成画像で、プロンプトを的確に表現していることが見て取れます。
Prompt: A low-angle close-up shot, in stark black and white, focuses on a woman with a short, precisely cut bob. Her expression is one of deep concern; her eyebrows are slightly furrowed, her mouth drawn into a thin line, and her eyes hold a worried intensity. The high contrast of the black and white photography emphasizes the texture of her skin and the lines around her eyes, accentuating her worried expression. The background is a blurred but imposing array of tall skyscrapers, their forms rendered in varying shades of grey, creating a sense of depth and scale. The low angle, shooting upwards, emphasizes her upward gaze, suggesting a sense of being overwhelmed by the weight of her worries within the vast urban landscape. The overall mood is one of serious apprehension, a powerful and poignant image of a woman grappling with anxieties within a monumental city.
ローアングルの白黒クローズアップショットで、短く正確にカットされたボブヘアの女性にピントを当てる。彼女の表情は深い不安に満ちています。眉は少ししかめられ、口は細い線に結ばれ、目は心配そうな強さを帯びています。白黒写真の高コントラストは肌の質感と目の周りのしわを強調し、彼女の心配そうな表情を際立たせています。背景には、ぼやけているものの堂々とした高層ビルの列があり、その形はさまざまなグレーの色合いで表現され、奥行きとスケール感を生み出しています。上向きのローアングルは、彼女の上を向いた視線を強調し、広大な都会の風景の中で、彼女が心配事の重みに圧倒されている感覚を示唆しています。全体的な雰囲気は深刻な不安であり、記念碑的な都市の中で不安と格闘している女性の力強く心を打つイメージです。
元プロンプトは英語(日本語は編集部訳)
このようなImagen 3の高度なプロンプト理解力を活用することで、デザインやアートの専門知識が浅いユーザーでも高品質な画像を簡単に作れます。
関連記事:「画像生成AIのプロンプトについての特徴や上手に作成するコツを解説」
Veo(動画生成AI)とシームレスに連携できる
Google Imagen 3と動画生成AIであるVeoは、両方Vertex AI上で利用することで、同社の高解像度な長尺動画を生成できる動画生成AI「Veo」とシームレスに連携できます。例えば、Imagen 3で生成した画像をVeoの入力として使用し、静止画から動画を作成することが可能です。
それぞれを連携することで、静止画から動画への移行がスムーズになり、コンテンツ制作のスピードアップが期待されています。
高い安全性
Google Imagen 3は開発から導入に至るまで安全性を重視した設計が施されており、画像生成AIの中ではトップレベルの安全性を誇ります。
Imagen 3で提供される安全を考慮した設計は以下のとおりです。
- Google DeepMindが独自に開発した「SynthID」によるAI生成の証明
- データセット内の有害なコンテンツを最小限に抑えられる広範なフィルタリング技術
- 暴力的・差別的・有害な要素を含むプロンプトを自動的に排除する機能
- 不適切な出力を防ぐための公平性や偏見、コンテンツの安全性に関する徹底的なテストと評価
特筆すべきはGoogle独自のデジタル透かし技術「SynthID」です。SynthIDは、生成された画像のピクセルにデジタル透かしを直接埋め込み、人間の目には認識されない形で画像がAI生成であることを識別可能にします。
SynthIDにより、画像の不正利用や著作権問題への対応が可能となり、安全性がより向上します。
また、プライバシー保護についてもImagen 3は徹底しており、モデルの学習に企業の機密情報などユーザーのデータが使用されることはありません。そのため、Imagen 3の利用を通じて、企業や顧客の機密情報が流出するリスクを抑えられます。
これらの安全性の高さから、Imagen 3は広告や教育、製品デザインなど、幅広いビジネスシーンで安心して利用できるツールとして注目されています。
Google Imagen 3を活用する際の注意点
Google Imagen 3は機能面で制限が存在するため、利用する際は自社のニーズに合っているかどうか確認が必要です。以下では、Google Imagen 3を活用する際の注意点について紹介します。
編集・カスタマイズ機能の利用制限
Google Imagen 3の編集やカスタマイズ機能は、一般ユーザー全員が利用できるものではなく、許可リストに登録されたユーザーのみが利用できます。
Imagen の制限付き機能を使用するためのアクセス権をリクエストするには、Vertex AIのImagenアクセスリクエストフォームに記入します。アクセスが承認されると、使い方を説明する情報が提供されます。
利用を検討する際には、プロジェクトにおいてImagen 3の編集機能が必要かどうか、他の編集ツールで補えないかを事前に確認してから申し込むと良いでしょう。
テキストレンダリング性能の限界
Google Imagen 3では、前モデルと比較してテキストレンダリング機能が大幅に改善され、誕生日カードやプレゼンテーションなど様式化された短いテキストを伴う画像を生成できます。
短いテキストレンダリングには対応できるものの、長文のテキスト入力にはまだ対応していません。
そのため、長文のレンダリングが必要な場合は、他の画像生成AIモデルや編集ツールを補完的に使用する必要があります。
日本語対応力が低い
Google Imagen 3は自然言語の理解力に長け、日本語のプロンプトにも対応していますが、現時点では英語プロンプトと比較してやや劣ります。特に、ImageFXは日本語に弱く、生成できないことも珍しくありません。
Imagen 3で詳細なニュアンスを反映するには、英語プロンプトの使用が推奨されています。そのため、よりクリエイティブ性が求められるプロジェクトでは、英語を活用することでImagen 3の性能を最大限に引き出す必要があります。
Google Imagen 3についてよくある質問まとめ
- Google Imagen 3は日本語のプロンプトで高品質な画像を生成できますか?
日本語にも対応していますが、英語プロンプトの方がより高い精度で画像を生成できます。日本語での利用時には、簡潔で明確な指示を心がけると精度が向上します。
- Google Imagen 3は他の画像生成AIと何が違うのですか?
Google Imagen 3は写実性の高さ、アーティファクトの削減、幅広いアートスタイル対応が特徴です。また、SynthIDによるデジタル透かし技術や高度な編集・カスタマイズ機能も他のAIと差別化されたポイントです。
- Google Imagen 3は商用利用できますか?
はい、Gemini経由で出力された画像は商用利用が認められています。Imagen 3を商用目的で利用する際には、Gemini経由で利用することでリスクを抑えられます。また、生成された画像にはAI生成であることを示すデジタル透かし(SynthID)が埋め込まれています。
まとめ
Google Imagen 3は、簡単なテキストプロンプトから高品質な画像を生成できる高性能な画像生成AIです。写実性の高さやアーティファクトの少ないクリアな画像生成能力により、企業のコンテンツ制作やデザイン、プロモーション活動において新たな可能性を広げています。
また、GeminiやVertex AIを通じて提供されており、幅広いユーザーにとって利用しやすい環境が整っています。
しかし、編集機能の利用制限やテキストレンダリング性能など、注意すべき点も存在します。より高度な活用や、特定のニーズに特化した画像生成が必要な場合は、専門家にご相談いただくことをお勧めします。
AI Marketでは

AI Marketの編集部です。AI Market編集部は、AI Marketへ寄せられた累計1,000件を超えるAI導入相談実績を活かし、AI(人工知能)、生成AIに関する技術や、製品・サービス、業界事例などの紹介記事を提供しています。AI開発、生成AI導入における会社選定にお困りの方は、ぜひご相談ください。ご相談はこちら
𝕏:@AIMarket_jp
Youtube:@aimarket_channel
TikTok:@aimarket_jp
運営会社:BizTech株式会社
弊社代表 森下𝕏:@ymorishita
掲載記事に関するご意見・ご相談はこちら:ai-market-contents@biz-t.jp
