Azure Machine Learningとは?何ができる?機械学習開発の料金形態や機能を解説!
最終更新日:2025年03月22日

Azure Machine Learningは、Microsoftが提供するクラウドベースの機械学習プラットフォームです。膨大なデータを扱う企業にとって、データ分析や予測モデルの構築は欠かせない業務ですが、専門的な知識や技術が必要なため、データサイエンティストに依存せざるを得ないのが現状です。
しかし、Azure Machine Learningを導入することで、
本記事では、
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目次
Azure Machine Learningとは?
Azure Machine Learningとは、Microsoftが提供するクラウドベースの機械学習プラットフォームです。同社は機械学習開発ツールとしてMachine Learning Studio(クラシック)も提供していましたが、その移行先として開発されてきました。
Machine Learning Studio(クラシック)は、2024年8月31日にサポートが終了するため、利用している方は早めにAzure Machine Learningへ移行することをおすすめします。
Azure Machine Learningを提供しているMicrosoftは、世界的なプラットフォーマー企業であるGAFAMの一つであり、豊富なデータを保有しています。Azure Machine Learningは同社のデータ量や開発力を活かして作られているため、機械学習の一連の業務を高い品質で実施できます。
Azure Machine Learningは従量課金制に加え、1年または3年の予約プランもあります。予約プランは従量課金制に比べて大幅なコストカットが可能です。料金支払いシステムが充実していることから、小規模・大規模どちらの利用にも適しています。
Azure Machine Learningでできること
Azure Machine Learningでは、機械学習の開発業務を一貫して実施できます。ここでは、開発手順に従ってAzure Machine Learningでできることを解説します。
データの準備
データの準備では、データの準備からラベル付け、データセットの作成を行えます。Azure Machine Learningでは、表や画像、文字などのさまざまなデータを扱うことが可能です。
Azure Machine Learningのデータストアとデータセットの機能を活用できます。データストアは、以下のような様々なソースからデータを取り込むことができます。
- Azure Blob Storage
- Azure Data Lake Storage
- Azure SQL Database
取り込んだデータは、データセットとして登録し、機械学習の開発に利用します。
また、ラベル付け機能では、ML Assistというラベル付けのサポート機能があり、利用することでラベリングを高速化します。ML Assistは、オブジェクト検出やセグメンテーションなどの高度なラベル付けにも対応しています。データセットの構築は非常に時間のかかる工程ですが、ML Assistのような労力を削減するためのツールも備わっています。
AIと機械学習モデルの構築・トレーニング
Azure Machine Learningでは、コーディング不要の視覚的なインターフェースであるデザイナーを使ってドラッグアンドドロップでモデル構築とトレーニングが可能です。ロジスティック回帰、決定木、ランダムフォレストなどのアルゴリズムを選択し、モデルをトレーニングします。デザイナーは、ドラッグアンドドロップ操作で機械学習パイプラインを作成できるツールです。
実際には機械学習の知識が全くない場合は扱うのが難しいですが、ドラッグアンドドロップで開発できるため、プログラミングがあまり得意でなくてもモデルを構築できます。デザイナーを効果的に使いこなすには、データの前処理方法や、モデルの評価指標の意味を理解しておく必要があります。
検証・デプロイ
Azure Machine Learningでは、検証やデプロイも簡単かつ自動化して行えます。モデルの検証では、トレーニング済みモデルの性能を評価します。Azure Machine Learningには、自動機械学習(AutoML)の機能が用意されています。AutoMLを使えば、複数のアルゴリズムとハイパーパラメータの組み合わせを自動的に試行し、最適なモデルを選択することができます。
関連記事:「AutoMLとは?機能・メリット・デメリット・活用事例を徹底紹介!」
この過程で、交差検証などの手法を用いてモデルの性能を評価し、過学習を防ぎます。データセットが構築できれば自動機械学習の精度や誤差などを見る実験を行い、結果に満足できればデプロイします。
Azure Machine Learningのデプロイ先には、マネージドエンドポイントやローカルエンドポイントのほか、Azure Kubernetes Service(AKS)を使ってモデルをWebサービスとしてデプロイできます。
そのため、AWS(Amazon Web Services)やGCP(Google Cloud Platform)などで実行しているKubernetesクラスターへモデルをデプロイすることも可能です。マルチクラウド環境でAzure Machine Learningを活用できるため、クラウドに依存しない機械学習基盤を構築可能です。
管理・監査
デプロイしたモデルは、継続的にモニタリングし、性能を管理する必要があります。Azure Machine Learningでは、モデル構築後の管理や監査も一貫して行えます。データやエラーを分析することで、モデルの精度が最も高くなるように自動で修正します。また、データドリフトの検出も可能です。
データドリフトとは、モデルの前提となるデータの分布が時間の経過とともに変化し、性能が低下する現象を指します。Azure Machine Learningでは、データドリフトを自動的に検出し、アラートを発することができます。これにより、モデルの再トレーニングのタイミングを適切に判断できます。
このように、Azure Machine Learningを利用すれば、データ収集から保守管理までの一連の業務を一つのプラットフォームで完結できます。
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Azure Machine Learningを利用する5つのメリット
Azure Machine Learningを利用することで、以下のようなメリットを受けられます。
- 迅速にモデルを開発できる
- MLOpsを利用した大規模なモデル管理ができる
- 初期費用をセーブできる
- ノーコードで機械学習モデルを構築できる
- 倫理・プライバシーに配慮したモデルを構築できる
それぞれについて解説します。
迅速にモデルを開発できる
Azure Machine Learningに搭載されている自動学習機能を活用すれば、迅速にモデルを開発できます。自動学習機能は、表や画像、テキストなどの幅広いデータ形式に対応しています。そのため、開発するモデルにかかわらず、迅速な開発が可能です。
また、Azure Machine Learningを利用すれば、一つのプラットフォームで開発が完結します。開発環境が変わらないため、作業効率が上がるうえに、ツール同士の互換性を気にすることなく利用することができます。
MLOpsを利用した大規模なモデル管理ができる
Azure Machine LearningのMLOpsを活用すれば、モデルの管理やデプロイが効率的に行えるようになり、モデルを導入する効果を高められます。MLOpsとは、DevOps(ソフトウェア開発と運用の連携)の考え方を機械学習に適用したものです。
モデルの開発、デプロイ、監視、再トレーニングなどのプロセスを自動化し、継続的に改善していくことを目指します。
Azure Machine LearningのMLOpsでは、以下のような機能を提供しています。
- バージョン管理:モデルやデータセットのバージョンを管理し、再現性を確保します。
- パイプラインの自動化:一連の工程をパイプライン化し、自動化します。
- モデルの監視:デプロイしたモデルのパフォーマンスを継続的に監視し、データドリフトやモデルの劣化を検知します。
- 再トレーニングの自動化:データドリフトやモデルの劣化が検知された場合、自動的にモデルを再トレーニングするワークフローを構築できます。
これらのMLOps機能を活用することで、大規模な機械学習プロジェクトにおいても、モデルの管理を効率化できます。
さらに、機械学習モデルだけでなく、LLMの管理にも対応しています。これにより、MLOpsとLLMOpsの統合的な運用が可能となり、より包括的なAI運用基盤を構築できるようになりました。
例えば、LLMのプロンプトテンプレートをバージョン管理し、最適なプロンプトを継続的に改善できます。
関連記事:「MLOpsとは?導入すべき理由・手順・DevOps・LLMOpsとの違いを分かりやすく解説!」
初期費用をセーブできる
Azure Machine Learningは、クラウドベースのサービスであるため、ハードウェアやソフトウェアへの初期投資が不要です。また、基本的な利用料金は無料です。
料金が発生するのは、計算リソースを使用する場合です。例えば、モデルのトレーニングやデプロイに仮想マシン(VM)やKubernetesクラスターを使用する場合、その利用時間に応じて課金されます。
ただし、これらの計算リソースも従量課金制であるため、使った分だけ費用が発生する仕組みになっています。開発初期で少ししか利用しなけば低費用で済みます。システム選びで迷っている方は、まずは無料で使いやすさや機能を確かめてから導入し始めるという手順でもよいでしょう。
ノーコードで機械学習モデルを構築できる
Azure Machine Learningの「Azure ML デザイナー」を利用すれば、ドラッグアンドドロップなどの簡単な操作で機械学習モデルを構築できます。基本的にノーコードでモデルを構築できるよう設計されているため、プログラミングに強い人材がいなくても問題ありません。
Azure Machine Learningは自動化できる工程が多いことに加え、日本語のマニュアルが充実していることから、機械学習モデルに慣れていない方でも構築できるでしょう。
倫理・プライバシーに配慮したモデルを構築できる
Azure Machine Learningは、信頼性や安全性が高い倫理的な方法でモデルを構築できます。プライバシーやセキュリティに配慮したモデルを構築できるため、企業でも安心して利用できるでしょう。
企業が提供するサービスの中で、倫理観のない結果が出力されてしまうと、企業ブランドの低下につながります。これを防止するためにも、信頼性や安全性の高いシステム開発は必須といえるでしょう。
Azure Machine Learningの料金
Azure Machine Learningは基本的に以下のサービスが無料で利用できます。
- Azure Machine Learning Studio:機械学習モデルの開発や管理を行うための統合開発環境(IDE)
- Designer:コーディング不要でモデルを構築できる視覚的なツール
- AutoML:自動機械学習機能
- Jupyter Notebook:対話型の開発環境
料金が発生するのは、計算リソースを使用する場合です。例えば、モデルのトレーニングやデプロイに仮想マシン(VM)やKubernetesクラスターを使用する場合、その利用時間に応じて課金されます。ここでは、グレードごとに分けて料金の目安を解説します。
※料金については東日本リージョンの基準となります。
関連記事:「Microsoft Azureの料金の仕組みは?費用を抑える方法・絶対必須の見積もり計算ツールの使い方を解説!」
汎用
汎用は、小~中規模のデータベース利用や低負荷のトラフィックに有効です。
インスタンス | vCPU | メモリ | 従量課金制料金 (時間当) | 予約プラン1年 (時間当) | 予約プラン3年 (時間当) |
---|---|---|---|---|---|
D2 v3 | 2 | 8 GiB | 20.325円 | 15.45円 | 11.18円 |
D64ds v4 | 64 | 256 GiB | 736.097円 | 550.38円 | 388.30円 |
コンピューティングの最適化
コンピューティングの最適化は、バッチ処理やアプリケーションサーバーの利用に適しています。
インスタンス | vCPU | メモリ | 従量課金制料金 (時間当) | 予約プラン1年 (時間当) | 予約プラン3年 (時間当) |
---|---|---|---|---|---|
F2s v2 | 2 | 4 GiB | 16.859円 | 12.82円 | 9.28円 |
F72s v2 | 72 | 144 GiB | 606.902円 | 461.25円 | 333.80円 |
メモリの最適化
メモリの最適化は、データベースのサーバーやメモリ内分析などの大規模な業務に適しています。
インスタンス | vCPU | メモリ | 従量課金制料金 (時間当) | 予約プラン1年 (時間当) | 予約プラン3年 (時間当) |
---|---|---|---|---|---|
E2 v3 | 2 | 16 GiB | 25.209円 | 19.16円 | 13.87円 |
M32ts | 32 | 192 GiB | 511.739円 | 353.05円 | 179.06円 |
GPU
GPUでは、複数のGPUが利用できます。レンダリングや動画編集などの高負荷な業務にも対応できます。
インスタンス | vCPU | メモリ | 従量課金制料金 (時間当) | 予約プラン1年 (時間当) | 予約プラン3年 (時間当) |
---|---|---|---|---|---|
NC6 | 6 | 56 GiB | 該当なし | 該当なし | 該当なし |
ND96asr A100 v4 | 96 | 900 GiB | 該当なし | 該当なし | 該当なし |
ハイパフォーマンスコンピューティング
ハイパフォーマンスコンピューティングは、Azure Machine Learningの中で最も高い性能を持ちます。大規模なサーバー管理や高負荷処理を頻繁に繰り返す場合に有効です。
インスタンス | vCPU | メモリ | 従量課金制料金 (時間当) | 予約プラン1年 (時間当) | 予約プラン3年 (時間当) |
---|---|---|---|---|---|
H8 | 8 | 56 GiB | 180.401円 | 150.17円 | 111.29円 |
HC44rs | 44 | 352 GiB | 723.808円 | 626.82円 | 557.41円 |
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Azure Machine Learningについてよくある質問まとめ
- Azure Machine Learningとは?
Azure Machine Learningとは、Microsoftが提供する機械学習ツールです。Azure Machine Learningを提供しているMicrosoftは、世界的なプラットフォーマー企業であるGAFAMの一つであり、豊富なデータを保有しています。Azure Machine Learningは同社のデータ量や開発力を活かして作られているため、機械学習の一連の業務を高い品質で実施できます。
- Azure Machine Learningのメリットは?
Azure Machine Learningのメリットは、以下に集約されます。
- 自動学習機能による迅速なモデル開発
- MLOpsを活用した効率的なモデル管理とデプロイ
- クラウドベースのサービスによる初期コストの削減
- ドラッグアンドドロップ操作でのノーコードモデル構築
- プライバシーとセキュリティに配慮した倫理的なモデル開発
これらのメリットにより、Azure Machine Learningは機械学習の専門知識が不足している企業でも、効率的かつ安全にAIモデルを開発・運用できるプラットフォームといえます。
まとめ
Azure Machine Learningでは、ドラッグアンドドロップでの機械学習や、検証やデプロイの自動化などにより、コーディングの知識がなくてもモデルを構築できます。
しかし、デジタルシステムや機械学習についての知識がなければ、そもそも何を開発すればいいのかが分かりません。
AI人材がいない場合、システムの企画や構築を外注するのも手です。
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