EVERSTEEL、電炉メーカー・朝日工業で実施した鉄スクラップ自動解析AIシステムの現場検証を完了
最終更新日:2024年09月05日
株式会社EVERSTEELは、2022年12月2日、朝日工業株式会社と共に実施した鉄スクラップ自動解析AIシステムの現場検証を完了したと発表した。
EVERSTEELは、鉄スクラップ解析アプリケーションの開発・提供などを手がける企業だ。今回実施された現場検証では、鉄スクラップの等級査定作業におけるスキルの客観化や技術継承を目的としてAI検収システムが導入され、電炉メーカーである朝日工業においてその有効性が確認されている。
目次
<本ニュースの10秒要約>
- 鉄スクラップの等級査定作業において、スキルの客観化や技術継承を目指してAI検収システムを導入
- 約88%の精度で等級査定が可能なAIシステムを開発、夜間に撮影されたデータでも等級分類が可能
- システムの本運用に向けた開発も既に開始、ベテランと同レベルの査定が可能なAIを短期間で開発へ
スクラップ画像をAIが解析し、等級判定や異物検出を自動で実施
EVERSTEELは、「産業のコメ」とも呼ばれる鉄の有効活用を進めるべく、鉄スクラップ解析アプリケーションの開発を手がけている。同社のアプリケーションでは、鉄鋼会社/リサイクル会社で撮影したスクラップ画像をAIが解析することで、自動での等級判定や異物検出を実現。検収作業の効率化や省人化、また希釈コストの削減や密閉・爆発物による危険防止にも貢献している。
同社はまた、二酸化炭素排出量の削減が世界中で大きな課題となり、カーボンニュートラルの実現に向けた大きな転換期を迎えていることにも着目。高い技術力を誇ってきた日本の鉄鋼業界こそがその流れをリードすべきであるとも考え、技術開発に取り組んでいる。
環境配慮の面からも拡大が望まれる、電炉法による鉄鋼生産
今回EVERSTEELが実施したシステム検証の現場となった朝日工業は、スクラップを主要原料として環境に配慮しながら鉄筋と構造用鋼を製造する電炉メーカーだ。電炉法による鉄鋼生産は、CO2排出量を75%以上削減できる点で大きな注目を集め、環境配慮の面からも拡大が望まれている。
一方、電炉鋼材の普及においては、原料である鉄スクラップの品質管理が課題となる。鉄スクラップは、受け入れ時に現場検収員が高度な検品作業を行うことで品質が担保されるという特性を持つ。しかし、大量のスクラップを正確な検品するには習熟したスキルが必要であり、対応したスキルを持つ人員は多くない。熟練工の高齢化も進行しており、電炉鋼材に関わる事業者は対応を迫られていた。
これらの課題を解消すべく朝日工業は、EVERSTEELによる鉄スクラップ自動解析AIシステムの検証を受け入れるに至っている。
検収基準・不適合品対応を現場で調査、検収員ごとのばらつきも定量化
今回の実証に向けてEVERSTEELは、朝日工業専用の検収AIを開発した。同社独自の検収基準・不適合品対応を現場で調査し、また等級査定における検収員ごとのばらつきも定量化。トラック1台に積載されたスクラップに対して、約88%という高い精度で等級査定が可能なAIシステムを完成させている。
同システムは、複数の等級が混在するトラックに対しても、検収員の人力査定に近い精度での解析を実現。また、炉内で急反応を引き起こす密閉物や不純物などの異物についても、検出が可能だ。解析の教師データは、日々の操業で通常に実施される検収員のトラック1台ごとの検収結果のみを活用することで、データ作成業務の削減も可能にしている。
鉄スクラップ自動解析AIシステムについてよくある質問まとめ
- EVERSTEELが開発した鉄スクラップ自動解析AIシステムの主な機能と利点は何ですか?
主な機能と利点は以下の通りです。
- スクラップ画像をAIが解析し、等級判定や異物検出を自動実施
- 約88%の精度で等級査定が可能
- 検収作業の効率化と省人化
- 希釈コストの削減
- 密閉・爆発物による危険防止
- 夜間撮影データでも問題なく分類可能
- 電炉法による鉄鋼生産が注目されている理由は何ですか?
電炉法による鉄鋼生産が注目される理由は以下の通りです。
- CO2排出量を75%以上削減可能
- 環境配慮の面から拡大が望まれている
- カーボンニュートラル実現に向けた取り組みとして重要
- 鉄スクラップの品質管理における課題は何ですか?
鉄スクラップの品質管理における課題は以下の通りです。
- 高度な検品作業に習熟したスキルが必要
- 熟練工の高齢化
夜間撮影のスクラップデータでも問題なく分類が可能
朝日工業におけるEVERSTEELのAIシステム検証は、5ヶ月間にわたり実施された。この検証において同システムは、検収員のスキルに近い精度で検収が実施可能であることを証明。夜間に撮影されたスクラップデータでも問題なく等級分類が可能であることも、確認されている。
この結果を受けてEVERSTEELは、同システムの本運用に向けた開発を2022年11月より開始。データ収集スピードの加速や開発効率向上を通じて、ベテラン検収員と同等レベルの査定が可能なAIを短期間で開発するとしている。
参照元:PRTIMES
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