GPT-4o(omni)とは?仕組み、価格、活用方法を徹底解説!
最終更新日:2024年11月17日
OpenAIが開発した大規模言語モデルGPTシリーズの最新版、GPT-4o(オムニ)が2024年5月にリリースされました。テキスト、音声、画像を統合的に処理可能な最先端のマルチモーダルAIであり、無料版ChatGPTにも実装される点が注目です。
GPT-4oはAI業界に革新をもたらすとともに、私たちの生活やビジネスにも大きな影響を与えるでしょう。
本記事では、
ChatGPTとはなにか、機能や使い方事例をこちらの記事で、LLMについてはこちらで詳しく説明していますので併せてご覧ください。
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GPT-4oとは?
GPT-4o(オムニ)は、OpenAIが2024年5月13日に発表した生成AI「GPT」シリーズの新モデルです。テキスト、音声、画像を統合的に処理可能なマルチモーダルAIであり、人間とのより自然なインタラクションを目指しています。
GPT-4oは、従来のGPTモデルと比べて飛躍的な性能向上を遂げており、OpenAI自身の「GPT-4 Turbo」やClaudeやLlamaなどライバル他社のモデルをも凌駕するとされています。
GPT-4oの特徴と従来GPTとの違いは?
GPT-4oは、GPTシリーズの進化の延長線上に位置づけられます。GPTシリーズは、OpenAIが開発する大規模言語モデルであり、その性能向上は目覚ましいものがあります。
2020年に発表されたGPT-3は、175Bのパラメータを持つ大規模モデルとして注目を集めました。2022年のGPT-3.5では、ChatGPTに実装され、一般ユーザーとの対話を通じて言語生成AIの可能性を広く知らしめました。そして2023年のGPT-4では、マルチモーダル化への第一歩が示されました。
GPT-4oは、このGPTシリーズの進化の延長線上に位置づけられます。ただし、単なる性能向上にとどまらず、音声・画像・テキストのスムーズな統合処理を実現した点で、従来のGPTとは一線を画しています。
サム・アルトマンCEOも、GPT-4oについて「AIとのコラボレーションの未来へのパラダイムシフト」と表現しており、生成AIの新たなフェーズを切り開く存在として期待されています。
また、GPT-4oをベースとしたSLMであるGPT-4o miniなどへの展開も行われています。
関連記事:「GPT-4o miniとは?OpenAIのSLMの使い方・メリット・注意点を徹底解説!」
GPT-4oのマルチモーダルの革新的な使い方
GPT-4oの特筆すべき機能は、
これにより、まるで感情があるかのようなトーンで話したり、笑ったりする応答ができるようにもなっています。
また、テキストだけでなく画像も高度に理解し、手書き文字の認識(OCR)などにも対応しています。ただし、動画や音声に関する機能は順次提供される予定で、当面はテキストと画像を中心としたサービスになるようです。
関連記事:「VLMとは?画像とテキストを統合処理する仕組み・メリット・デメリット・活用分野を徹底紹介!」
下記は、GPT-4oと会話をしながら、カメラに写っているものがなにかを理解し、コミュニケーションを自然に行っている動画です。
以下に、GPT-4oの特徴として紹介されている特に注目すべき使用例をご紹介します。
リアルタイム翻訳
OpenAIのミラ・ムクティCTOがイタリア語で話した内容を、GPT-4oが瞬時に英語に翻訳しました。これは、GPT-4oの優れた言語理解力と音声処理能力を示す事例です。将来的には、リアルタイムの多言語コミュニケーションを可能にする技術として、ビジネスや国際交流の場面で大きな価値を発揮することが期待されます。
下記は、OpenAIの公開している音声翻訳のパフォーマンスグラフで、同社の提供するWhisper-v3を上回る性能を示しているとのことです。
この翻訳性能を以下の動画で見ることができます。この動画では、人がカメラを通して写したものを認識し、英語からスペイン語へとリアルタイムでシームレスに翻訳して回答を行っています。
手書き数式の認識と解説
下記の動画では、紙に手書きした数学の問題を、GPT-4oがカメラ越しに読み取り、解法のヒントを自然な対話形式で回答しています。これは、GPT-4oの画像認識能力と論理的思考力の高さを示しています。教育の分野で、個別指導や学習支援のツールとして活用できる可能性を感じさせてくれます。
音声コマンドによる画像編集
ユーザーが音声で指示を与えると、GPT-4oはその内容を理解し、適切に画像を編集してくれます。例えば、「画像の左上に花を追加して」といった指示に従って、GPT-4oが画像を修正します。これは、GPT-4oのマルチモーダル処理能力の高さを示す事例であり、デザインやクリエイティブ作業の効率化に役立つ技術と言えるでしょう。
商品レビューの感情分析
ある商品に関する多数のレビューテキストを分析し、顧客の感情を要約して提示する機能も提供されています。GPT-4oは、膨大なテキストデータから感情を的確に読み取り、ポジティブな評価とネガティブな評価の割合を円グラフで可視化することが可能です。ビジネスの現場で、顧客の声を効率的に集約・分析するツールとして活用できそうです。
アバターとの自然な会話
3Dアバターを使って、GPT-4oと対話することも可能です。アバターが身振り手振りを交えながら、ユーザーの質問に流暢に答えてくれます。GPT-4oの高度な対話能力と、将来的なメタバース空間での活用可能性を感じさせてくれます。
また、上記のような会話形式での処理性能だけでなく、OCR性能の向上や、領収書仕訳精度の向上、エクセル連携、画像生成の精度向上など、様々な活用方法における精度が向上していると言われています。
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GPT-4oの技術的な詳細や仕組みは?
GPT-4oは、従来のGPTモデルと同様、Transformer構造を基本とした大規模言語モデルです。しかし、GPT-4oではいくつかの重要な改良が施されています。
技術的な改良の積み重ねにより、GPT-4oは他のモデルを凌駕する性能を実現しました。ただし、モデルの詳細な構造や学習データなど、まだ公開されていない部分も多いので今後の発表にも注目が集まります。
パラメータ数の増加
まず、モデルのパラメータ数が大幅に増加しました。具体的な数値は公表されていませんが、GPT-3の1.75兆、GPT-4の100兆(推定)を大きく上回るとみられます。(様々な意見あり)これにより、より複雑な言語理解と生成が可能になったと考えられます。
マルチモーダル化
また、学習方法においても、マルチモーダル化に対応した工夫が施されています。従来のGPTモデルがテキストのみで学習していたのに対し、GPT-4oではテキスト、音声、画像を組み合わせた学習が行われました。これにより、異なる情報チャネル間の関係性を理解し、より文脈に即した言語処理が可能になったとされます。
音声処理に関しては、GPT-4より前のモデルでは、音声認識、言語理解、音声合成が独立したモデルで行われていましたが、GPT-4oではこれらを一つのモデルに統合しています。エンドツーエンドの学習により、音声の韻律的な特徴なども直接的に理解できるようになり、低レイテンシーかつ表現力の高い音声対話が実現しています。
具体的には、Whisperモデルを利用して音声を認識し、その後GPTモデルで言語処理を行い、といった段階を踏んでいた処理を一つのモデルで完結させたことで、高速な処理ができるようになっているということです。
画像処理についても、単なる物体認識にとどまらず、画像に描かれた状況や関係性を理解できる点が特徴的です。これは、テキストと画像の関係性を大量の事例から学習することで可能になったと考えられます。
下記の図は、画像認識の評価結果です。GPT-4を上回る性能を残していることがわかります。
高速化と、トークン使用量の削減
さらに、GPT-4oでは効率化と最適化が進んだことで、推論速度の高速化と、トークン使用量の削減が実現しています。特に、日本語や中国語など言語ごとのトークナイザーの改良は、各言語の処理効率を大きく改善したと言えます。
GPT-4oの価格は?
GPT-4oの価格体系は、APIを利用する開発者向けと、ChatGPTを通じて利用する一般ユーザー向けで異なります。
ChatGPT無料版でも使える
一般ユーザー向けのChatGPTでは、無料版でもGPT-4oを利用可能となりました。ただし、無料版には一定の利用制限があり、より高度な利用を望むユーザーは有料版の「ChatGPT Plus」の利用が推奨されます。
ChatGPT Plusでは、GPT-4oの利用上限が無料版の5倍に設定されているほか、GPT-4oの新機能への優先アクセスなどの特典があります。
API
開発者向けのAPIでは、GPT-4oの利用により処理速度が2倍になり、Rate limitも5倍に拡大されました。2024年11月現在で具体的には、100万トークンあたりの入力が2.5ドル、出力が10ドルとなっています。
これは、ライバルであるAnthropicの「Claude」や、GoogleのAPI「Gemini」と比べても圧倒的に安価で、コストパフォーマンスに優れています。
関連記事:「ChatGPTのAPIを詳細解説!機能・できること・利用例からメリットや注意点まで!」
尚、OpenAIのAPIではGPT-4o Realtime + Audioにより音声についても対応可能です。一方で、Azure OpenAI Serviceでは、GPT-4o audioモデルにより音声入出力に対応可能になります。
関連記事:「AI導入用APIをプラットフォーム別に紹介!各ツールの特徴を徹底解説!」
GPT-4oの活用方法
GPT-4oは生産性の向上と新たな価値創出を後押しすると期待されます。ただし、そのためには、各業務の特性を踏まえたGPT-4oの適切な活用方法を見出すことが重要となるでしょう。
業務改善のための活用
GPT-4oは、様々な業務の効率化と高度化に寄与すると期待されます。特に、音声・画像・テキストを統合的に処理できる点は、多くの業務フローに革新をもたらす可能性があります。
例えば、カスタマーサポートの現場では、GPT-4oを活用することで、音声での問い合わせに対し、より自然で適切な応対が可能になるでしょう。また、商品画像や文書画像などを送付してもらうことで、問題の正確な把握と解決策の提示が容易になるでしょう。
また、コンテンツ制作の分野でも、GPT-4oの活用により、記事やレポート、プレゼン資料などの作成が大幅に効率化されると考えられます。音声での指示で文章を生成し、関連する画像を自動で挿入するなど、制作フローの自動化が進むことが予想されるのです。
さらに、GPT-4oの言語処理能力を活用することで、多言語対応やローカライゼーションの負荷を大きく減らせる可能性もあります。GPT-4oの高度な翻訳能力により、従来は手作業で行っていた多言語コンテンツの作成が自動化できれば、グローバルなビジネス展開の障壁が下がるかもしれません。
AIエージェントの活用
GPTの進化は、他のAI分野の発展とも密接に関わってくるだろう。例えば、GPTの言語理解力と、強化学習の意思決定力を組み合わせることで、自律的に目標を達成するAIエージェントの実現が近づくかもしれません。また、GPTと脳科学の知見を融合させることで、人間の思考をより深く理解・再現できるようになるでしょう。
関連記事:「AIエージェントとは?自律型で生成AIとは何が違う?代表的サービス・活用例を徹底解説」
AI人材の必要性向上
GPT-4oをはじめとするAI技術の活用には、それを適切に運用・管理する人材が不可欠です。AIの導入に伴い、AI専門家やデータサイエンティスト、倫理の専門家など、新たな職種の需要が高まることも予想されます。
関連記事:「AI人材とは?なぜ不足?今後の需要は?社内育成が難しい理由徹底解説!」
GPT-4oの今後
GPT-4oは、LLMにとって大きな進歩となっています。これから生成AIがどうなっていくか、重要な論点を説明します。
Google、Metaとのライバル関係は?
GPT-4oは、GoogleやMetaなどの競合他社に大きな脅威をもたらすことになるでしょう。特にGoogleは、検索エンジンや翻訳サービスなど、言語に関連する多くの事業を抱えています。
GPT-4oのようなAIアシスタントが普及すれば、Googleのこれらのサービスの存在意義が問われかねません。ユーザーが入力した検索クエリに対して、生成AIを活用して情報の概要を作成するSGE(Search Generative Experience)も大きな変革が求められるかもしれません。
関連記事:「Google SGEとは?Geminiとの住み分けは?AI検索の将来性を徹底解説!」
Metaも、GPT-4oの会話力や画像理解力を前に、オープンソースLLMという全く別の軸で勝負をかけている戦略の優位性をどのように維持できるか不透明です。
関連記事:「Llama(ラマ)とは?日本語使える?MetaのオープンソースLLMの使い方徹底解説!」
OpenAIは、GPT-4oを武器に、これらの巨大IT企業との覇権争いに乗り出すことになるはずです。
シンギュラリティ実現への重要な布石?
OpenAIは、GPT-4oで実現したマルチモーダル処理や効率化の技術を土台に、さらなる研究開発を進めていくでしょう。OpenAIはの野心は、単なるチャットボットを超えて、人類の知的活動全般を支援・拡張するAI基盤の構築にあるとも言われています。
次の目標は、真の意味での>「汎用AI(AGI)」、そしてでしょう。GPT-4oは言語を中心としつつも、音声や画像も扱えるようになりました。しかし、それはあくまで言語への”入力”に過ぎません。将来のGPTは、言語だけでなく、音声や画像、さらには動画などのマルチメディアを”出力”としても自在に生成・編集できるようになると想定されます。
つまり、テキストを書くだけでなく、音声で会話し、絵を描き、動画を編集する、そんな万能のAIアシスタントへと進化を遂げる可能性も十分にあります。
より効率的なAIへ
GPTシリーズの究極の目標は、人間のような柔軟な知性の実現かもしれません。つまり、学習済みの知識を応用して新しい問題に対処したり、未知の分野の学習を自律的に行ったりできる能力の獲得です。
今後のGPTは、少ないデータからでも効率的に学習する「少量学習」(Few-shot Learning)や、過去の学習内容を柔軟に適応させる「転移学習」の技術を取り入れていくと予想されます。
また、自律型AIエージェントのように、GPTが自身でタスクを設定して、自律的に動くようになることも十分にあり得ると考えられますし、その他ソフトウェア(例えばEメールやブラウザ等)やハードウェア(ドローンやロボット等)と連携していくことも考えられます。
倫理的課題と解決策
GPT-4oに代表されるAI技術の発展は、社会に多大な恩恵をもたらす一方で、倫理的・法的な課題も浮き彫りにしています。
GPT-4oによって生成されたコンテンツの信憑性や著作権の帰属も、社会的な課題となり得ます。フェイクニュースや偽情報の拡散を防ぐために、AIによるコンテンツ生成に一定の規制やガイドラインが必要になるかもしれません。
関連記事:「生成AIガイドラインとは?必ず記載すべき7項目は?重要性や自社ガイドラインの作成方法を徹底解説!」
OpenAIは、GPT-4oの開発にあたり、倫理的な配慮を重視したと説明しています。今後、他のAI企業や社会全体でも、GPT-4oをはじめとするAI技術の社会的影響を見据えた取り組みが進むことが期待されます。
技術的なブレイクスルーだけでなく、倫理的・社会的な課題への取り組みも欠かせません。OpenAIは、GPT-4oの開発で培ったノウハウを生かし、これらの課題にも真摯に向き合っていくでしょう。
GPT-4oについてよくある質問まとめ
- GPT-4oは何が革新的ですか?
GPT-4oは、テキスト、音声、画像を統合的に処理できるマルチモーダルAIであり、従来のAIアシスタントと比べて飛躍的に性能が向上しています。また、無料版ChatGPTにも実装されるため、多くのユーザーが最先端のAI技術を利用できるようになります。
- GPT-4oは他社の同様のAIとどう違うのですか?
GPT-4oは、OpenAIの最新鋭のモデルであり、Google、Meta、Anthropicなどの競合他社のAIを上回る性能を発揮しています。特に、マルチモーダル処理と無料版ChatGPTへの実装は、OpenAIの強みと言えるでしょう。
まとめ
GPT-4oは、生成AIの新時代を切り開く画期的な技術です。音声・画像・テキストを統合的に処理し、人間とのシームレスなインタラクションを可能にした点で、これまでのAIとは一線を画しています。
また、GPT-4oの登場は、生成AIの応用可能性を大きく広げるものでもあります。ビジネスの現場では、GPT-4oを活用した業務の効率化と高度化が進むでしょう。同時に、GoogleやMetaなどの大手IT企業に対し、GPT-4oは大きな脅威となり得ます。
今後のビジネス活用において、OpenAIの進化はやはり見過ごすことができません。
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