鉄道業界のデジタル化とは?電車へのAI活用事例5選徹底解説!【2024年最新】
最終更新日:2024年09月23日
AI(人工知能)は、多くの産業で活用されるようになってきましたが、日々多くの方が利用している鉄道業界においてもAIやデジタル化の導入が始まっています。
トラディショナルなイメージが強い鉄道業界の導入事例を参考にしつつ、自社でのAI導入のヒントがほしいと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、鉄道業界におけるAI活用の期待やどのように活用されているのかなど実際の事例も含めてご紹介します。
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目次
鉄道業界におけるAIへの期待
鉄道業界と聞くと運転士がいて、駅員がいるなどデジタルやAIとは最も縁のない業界の一つと思われているかもしれません。しかし、鉄道業界はAIととても親和性が高い業界でもあります。普段乗客では気づかないかもしれませんが、鉄道業界は豊富なビッグデータにあふれているのです。
例えば、毎日の運転パターンなどを含めたが運行ダイヤあります。毎日の運行ダイヤは車両の台数、運行状況、線路の勾配、日々の利用状況、天気や天災なども含めて様々なデータを元に計算されており、運転パターンだけでもとんでもないデータになります。
それ以外にも、駅での人の動きや混雑状況のデータや、SUICAを始めとした電子マネーの利用も増えてきており、駅ナカでの小売店でのショピングデータなどもあります。
従来、鉄道業界は電車の運行がメインでした。しかし、顧客の要求が高度になってきたり、鉄道運行以外に不動産なども含めたビジネスが複雑化したり、また為替などの外的環境によってコストが高くなってきたりするなど、ビジネス環境が大きく変わってきています。その中で既存のデータを活用し、
鉄道業界×AIでできる5つのこと
実際、AIはどのように鉄道業界で利用されるのでしょうか。様々な可能性がありますが、現在実証実験なども含めて利用されている5つのできることをご紹介します。
故障予兆検知
鉄道事業では一つの事故が大きな被害につながったり、ちょっとした設備故障がダイヤの乱れや混雑などの要因になったりします。そのため日々のメンテナンスが重要であり、また事故や故障が起きたときに迅速に修繕することが必要です。
AIを活用をして正常運転状況を学習しておけば、
異常検知・異常検出に強い、プロ厳選のAI開発会社!の記事では、異常検知の開発におすすめのAI会社を紹介しています。あわせてご覧ください。
コスト削減
今後人口減少も進むといわれ、また新型コロナウイルスの影響でリモートワークなどが一般的になってきた結果、鉄道を利用する人も減少するかもしれません。その中で従来同様の運用を行っていては運用コストの負担が大きくなると考えられます。
そこでAIを活用し、清掃時間や利用状況、車両編成などを踏まえて運用の最適化を行うことでコスト削減につなげることも検討され始めています。コスト削減の結果、将来のサービスなどへの投資に回すことも可能でしょう。
最適ダイヤの作成
従来のダイヤ作成は職員のノウハウを頼りに作成されていました。しかし、車両が増えたり、急行/準急/特急などの種類が増えてきたりノウハウだけに頼るのが難しくなってきました。また災害時などにおいては、迅速に運休や運転区間の調整するなどが必要になってきます。そこで注目されているのがAIです。
線路の運行や勾配、車両の状況などを精密にモデル化したデジタルツインを作成し、デジタルツイン内でAIを活用し、シミュレーションやリスク分析することで最適なダイヤの作成が可能になります。
デジタルツインとは、IoTなどを活用して、現実の世界で収集した多岐に渡るデータを活用して、コンピュータ上で精度高く再現する技術のことを指します。収集されたデータを元に、現実に近い物理的なシミュレーションが可能となります。
デジタルツインとは?どんなメリットが?ほかにはどんな導入事例があるの?という疑問に答えている特集記事はこちらです。
自社製品の製造工程などを改善するうえで有効な手段となるため、鉄道業界だけでなく、製造業界など多くの業界でも活用されている技術です。
AI監視
ホームへの転落、踏切への侵入などはよきせぬ事故につながる可能性がありますが、全ての踏切での監視などはコスト、物理的にも厳しいのが現実です。しかし、AIを活用することでより安全な運行が可能です。
例えば、駅ホームの映像をリアルタイムで解析することでホームからの転落や転落の危険などを検知し、近くの職員にアラームを出す事が可能です。その他に踏切にカメラを設置し、踏切への侵入を感知すると運転手に危険信号を出したり、自動で停止することなども可能です。
乗客対応
新型コロナウイルスの影響で少し減少しておりますが、今後も訪日観光客は増えていくでしょう。東京五輪をきっかけに観光客対応ができる職員の育成にも各鉄道業者力を入れておりますが、今後コスト削減もある中でどうしてもマンパワーではまかないきれなくなっています。
そこで注目されているのがAIです。デジタルサイネージに話しかけるだけで案内してくれたり、話しかけた内容に合わせてサイネージ上の言語を自動で切り替えるなどの機能の実装が今後予定されています。また、外国人対応以外にも職員が少ない深夜の対応なども期待ができます。
鉄道会社でのAI活用事例5選
それでは具体的に鉄道会社でAIを活用している事例を5つご紹介します。
また、業界のAI(人工知能)開発事例を紹介!機能上の分類もわかりやすく解説の記事では、様々な業界の活用・導入事例をまとめて紹介しております。そちらも参考にご覧ください。
JR東日本:運行支援
JR東日本では最適なダイヤ作成にAIを活用しています。
同社では乗客の利用者も多い中で最も求められている課題が混雑の解消でした。従来はダイヤ通りに運行することが混雑の解消につながると考えられていました。しかし、どうしても事故などが発生してしまうとダイヤが乱れて混雑につながっていました。
正常時の最適なダイヤや事故などが発生した時の乱れたダイヤなどをAIに学習させることで、事故発生時に応急処置的なダイヤの提案が迅速に行うことができます。今後提案されたダイヤを検証することで事故時でも混雑解消することに繋がることが期待されています。
JR東日本:自動運転
また、JR東日本では乗客の安全性の向上や次世代の運転技術のあり方の検討の一環として、山手線における自動運転の実証実験を実施しています。運転士だけではどうしても見落としてしまう可能性がある障害物などの確認や、加速、惰行などの速度コントロールを、自動運転で行うことで運転士の負担の軽減を目指しています。
2018年から深夜など乗客が乗車していないときでの実験を続けており、2022年10月より乗客が乗車している状況での実証実験を行う予定にしています。
東急テクノシステム:踏切異常感知
東急電鉄のグループ会社で東京テクノシステムは、より安全で安心なインフラの実現を目指して踏切異常感知の実証実験を東急池上線の雪ヶ谷大塚第一踏切で行いました。
踏切で監視カメラを設置し、監視カメラ内で撮影したデータをクラウドに転送します。踏切内に人がいたり、車がいるなどクラウドで異常を検知すると運転席の端末に転送したり、運行管理人にアラームを出すなどの機能があります。
リアルタイムで踏切内の状況を把握し、より簡単により安全な鉄道運営を目指しています。
Will Smart:駅AIカメラ
Wil Smartは、駅AIカメラソリューションとして多くの鉄道業者にサービスを提供しています。
例えば、ホームなどで転落事故が起きたときなどの問題が起きたときにすぐに通知。ホームドアなどと比べても1/10のコストで導入が可能であり、より安価に安全性を担保できるでしょう。また、事故だけでなく不正乗車などの対策や駅内の人流把握なども可能になり、駅内でのサービス向上にもつながります。
駅にカメラを設置することで改札やホームでの安全性を担保することを目指しています。
高輪ゲートウェイ:無人店舗
2020年に新しく山手線の駅として追加された高輪ゲートウェイ駅では、新しく無人AI決済店舗が設置されました。JR東日本では、大宮駅や赤羽駅などで実証実験を行った後に今回常設店舗として開店。
JR東日本では小売業を成長していきたい一方、人員削減していかなければいけないという課題がある中で、今回サインマーケットとJR東日本が合弁会社を立ち上げることで実現しました。天井にカメラを設置し、赤外線センサーや重量センサーなどで顧客が手にとった商品を感知することで店員がいなくても決済するシステムを実現しています。
今後駅ナカ店舗だけでなく、他の店舗へのシステムの展開なども想定しており、鉄道業だけでなく様々な業界の省人化につながる可能性を秘めています。
鉄道業界のAI活用についてよくある質問まとめ
- 鉄道業界でAIを活用することで期待できる主なメリットは何ですか?
鉄道業界でAIを活用することで期待できる主なメリットは以下の通りです。
- 故障予兆検知による事故防止とメンテナンスコスト削減
- 運用の最適化によるコスト削減
- 最適ダイヤの作成による運行効率の向上
- AI監視による安全性の向上
- 乗客対応の自動化による顧客サービスの向上
- 自動運転技術による運転士の負担軽減
- 鉄道会社での具体的なAI活用事例にはどのようなものがありますか?
鉄道会社での具体的なAI活用事例には以下のようなものがあります。
- JR東日本:事故発生時の応急ダイヤ提案による混雑解消
- JR東日本:山手線での自動運転実証実験
- 東急テクノシステム:踏切異常感知システムの実証実験
- Will Smart:駅AIカメラによる安全監視と人流把握
- 高輪ゲートウェイ駅:AIを活用した無人店舗の導入
- 鉄道業界でAIを活用する際の重要な技術や概念は何ですか?
鉄道業界でAIを活用する際の重要な技術や概念には以下のようなものがあります。
- デジタルツイン:現実の鉄道システムを精密にモデル化し、シミュレーションやリスク分析を可能にする技術
- 機械学習:運行データや利用者データを学習し、最適なダイヤ作成や故障予測を行う技術
- 画像認識:監視カメラの映像から異常を検知し、安全性を向上させる技術
- IoT(Internet of Things):様々なセンサーからデータを収集し、リアルタイムで分析する技術
- クラウドコンピューティング:大量のデータを処理し、AIモデルを運用するためのインフラ
AIの導入に関する依頼はAI Marketへ
乗客として利用している際は鉄道業界はAIと縁遠いと思われるかもしれません。しかし、一般には見えない中で故障予知や混雑しないための最適なダイヤの作成など、私達が知らないところでAIが広く活用されています。このように、今後様々な業界においてAIはシステムを支えるための基盤となっていく中で、本記事がAI導入を検討されている皆様のヒントになれば幸いです。
しかし、実際にAI開発を進めていきたいと考えても、どの会社に相談・依頼すればよいかわからない、ということもあるかもしれません。
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