富士通とCohereが日本語LLM「Takane」を共同開発
最終更新日:2024年07月17日
2024年7月16日、富士通株式会社とCohere Inc.は、企業向け日本語LLM(大規模言語モデル)「Takane」(仮称)の共同開発と戦略的パートナーシップを発表した。このLLMは、Cohereの最新モデル「Command R+」をベースに、富士通の日本語特化技術を組み合わせて開発される。
2024年9月より富士通のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」から提供開始予定で、プライベート環境での安全な利用を可能にし、企業のAI活用と社会課題解決の加速を目指す。
<本ニュースの10秒要約>
- 富士通とCohereが企業向け日本語LLM「Takane」を共同開発。2024年9月からFujitsu Kozuchiで提供開始予定
- プライベート環境で社内データを安全に活用可能。ハルシネーション軽減とRAG性能向上が特徴
- 富士通のナレッジグラフ技術とCohereのLLM技術を統合し、企業の多様なデータ活用と生成AI価値創出を実現
「Takane」の技術的特徴と開発背景
「Takane」(仮称)は、Cohereの最新LLM「Command R+」をベースに、富士通の日本語特化技術とCohereの企業向け特化技術を組み合わせて開発される。このLLMの特徴は、ハルシネーションを軽減するRAG(Retrieval-Augmented Generation)の性能向上と多言語対応だ。
富士通が長年研究開発してきたナレッジグラフ技術を活用し、企業の大規模データをナレッジグラフに変換してLLMに参照させる「ナレッジグラフ拡張RAG」技術を実装する。これにより、企業の多様で大量のデータを効果的に活用できる。
また、Cohereが持つEmbedやRerankといった先進的なRAG技術も統合され、より精度の高い情報検索と生成が可能になる。開発背景には、企業のAI活用ニーズの高まりと、プライバシーやセキュリティへの懸念がある。「Takane」は、これらの課題を解決し、企業が安心して生成AIを活用できる環境を提供することを目指している。
富士通のAIサービス戦略
2024年7月からはナレッジグラフ拡張RAG技術を、9月からは生成AI監査技術の提供を開始予定だ。さらに、8月から提供予定の生成AI混合技術では、「Takane」と様々な特化型モデルや既存の機械学習モデルを組み合わせ、企業の業務に適した特化型生成AIを自動生成することが可能になる。これらの技術を統合することで、富士通は企業の多様なニーズに応えるAIソリューションを提供する。
将来的には、「Fujitsu Data Intelligence PaaS」や「Fujitsu Uvance」などのプラットフォームを通じて、より広範な顧客に「Takane」を基盤としたサービスを展開する計画だ。この戦略により、富士通はより多くの顧客に最適なサービスを提供することを目指している。
パートナーシップの意義と両社の強み
富士通とCohereのパートナーシップは、両社の強みを相互補完的に活かす戦略的な提携だ。富士通は長年のナレッジグラフ研究と日本市場での豊富な経験を持ち、Cohereは企業向けLLMの開発と安全な活用技術に強みを持つ。
この提携により、高度なセキュリティが要求される金融、官公庁、R&D分野など、幅広い業種に対応可能な生成AIサービスの提供が可能になる。特に、プライベート環境での利用を可能にすることで、機密性の高い企業データを活用したAI導入の障壁を低下させる。
参照元:富士通株式会社公式サイト
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