メドメイン、広汎な臓器で腺癌の形態的特徴を認識・検出できるディープラーニング型AIの開発に成功
最終更新日:2023年01月13日
メドメイン株式会社は、2023年1月12日、多臓器の腺癌を高精度に検出できる病理AIの開発に成功したと発表した。
メドメインは、デジタル病理支援ソリューション「PidPort」を提供している企業だ。同社が今回開発した病理AIは、胃/大腸/肺/乳腺/リンパ節の病理組織デジタル標本において腺癌を高精度で検出できるものであり、今後は他の臓器における検証も予定されている。
目次
<本ニュースの10秒要約>
- 胃/大腸/肺/乳腺/リンパ節の病理組織デジタル標本で、腺癌を高精度で検出可能な病理AIを開発
- 弱教師あり学習でAIを開発、学習時に情報を一切付与していないリンパ節においても腺癌の検出に成功
- 今後は他臓器においても活用可能かどうかを検証、「汎用性」という概念を補強するAIの開発も予定
Deep Learningを用いた病理画像診断システム「PidPort」を提供するメドメイン
メドメインは、「テクノロジーでいつどこでも必要な医療が受けられる世界をつくる」というミッションを掲げ、医療ソフトウェア/クラウドサービスの企画・開発・運営および販売を手がけている。慢性的に病理医が不足している現代の医療現場に向けて、病理標本のデジタル化から独自ソフトウェアを駆使した病理診断の支援まで、病理診断のトータルソリューションを提供。Deep Learningを用いた病理画像診断の解析システム「PidPort」の提供も行ってきた。
同社の「PidPort」は、病理診断の現場をテクノロジーでサポートするAI搭載クラウドシステムだ。デジタル化した病理画像データを保管・管理・閲覧・利活用する「クラウドストレージ機能」と、
オンライン上で病理医に診断を依頼できる「遠隔診断・コンサルテーション機能」、そして病理画像データをAIがスクリーニングする「AI解析機能」を備える。機材購入などの初期費用が不要であるため、いつでも使用できるという特徴も持つ。
多臓器における多彩な形態を呈する腺癌を、高精度に検出できるAI
AIを活用した病理診断支援に取り組む中でメドメインは、これまでのAIが特定の臓器においてのみ癌などを分類・検出できる、いわゆる「特化型」であったことを課題視するようになった。こうした「特化型」のAIでは、癌のリンパ節転移のスクリーニングなどに際して適用できない場合がある。多臓器における多彩な形態を呈する腺癌を高精度に検出できるよう、同社は新たな病理AIの開発に着手した。
このAI開発では、国内の複数の医療機関から提供された胃/大腸/肺/乳腺/リンパ節のHE染色病理組織標本を活用。一方、教師用データには胃/大腸/肺/乳腺の標本のみを用い、リンパ節については一切の情報を付加しない形で弱教師あり学習(weakly supervised learning)のみが行われた。結果、病理医によって精密かつ大量にアノテーションされた教師用データを用いることなく、腺癌を広汎な臓器で検出可能なディープラーニング型AIの開発に成功している。
「腺癌」という形態的特徴を認識・検出できたAI
開発した病理AIについてメドメインは、教師用データとは異なる検証症例を用いて精度検証を実施。結果、胃/大腸/肺/乳腺/リンパ節において高精度で腺癌を検出できることが確認された。また、AIが検出した腺癌を示唆する領域のヒートマップは、病理医の検証によって妥当であることも確認されている。
学習時に情報を一切付与していないリンパ節においても腺癌を検出した結果を受け同社は、この病理AIが「腺癌」という形態的特徴を認識・検出できたと判断。弱教師あり学習が汎用性の高いディープラーニング型AIの開発に適していることと、リンパ節に転移した腺癌の検出にAIが有用であることを示す結果であると考えている。
複数の施設ならびに大規模症例にて病理AIの検証を推進
同社は今後も、この病理AIの検証を複数の施設ならびに大規模症例にて進め、他の臓器においても活用可能か検証を行う予定だ。また、本研究成果を基盤として「汎用性」という概念を補強するAIの開発も予定している。
なお今回の研究成果は、「多臓器における腺癌検出を病理組織デジタル標本で可能にする弱教師あり学習を用いた人工知能の開発」のタイトルで論文がPLOS ONEに掲載されている。
参照元:PRTIMES
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