4社が光通信技術「IOWN APN」活用のロボット遠隔点検に成功
最終更新日:2024年12月23日
NTTコムウェア、NTTデータグループ、伊藤忠テクノソリューションズ、三菱ケミカルグループの4社は2024年12月20日、IOWN APNを活用した工場設備の遠隔点検の共同検証結果を発表した。120km離れた拠点間で、ロボットによる4K高画質映像の低遅延送信とAI解析による設備異常の検知に成功。
パイプの亀裂検知や振動解析をリアルタイムで実現し、実用化に向けた高い水準の結果を得た。今後は複数ロボットやデバイスを用いた環境情報の同時取得やマルチモーダルAI解析の実施により、遠隔地工場の高精度なリアルタイム監視を目指す。
<本ニュースの10秒要約>
- IOWN APNを活用し、120km離れた拠点間での4K高画質映像の低遅延送信とAI解析による遠隔点検を実現
- 点検ロボットが撮影した映像から、工場設備のパイプの亀裂や異常振動をリアルタイムで検知・解析が可能に
- 作業員の負担軽減と高所作業の安全性向上を実現する遠隔点検システムの実用化に向け、高い検証結果を達成
検証の背景と目的
工場等の製造現場では、設備保全のための定期的な点検が不可欠だが、施設規模が大きい場合の点検作業の負担や高所点検における危険性が課題となっていた。4社は持続可能な社会の実現に向けてIOWN Global Forumの活動に参画しており、Remote Controlled Robotic Inspectionユースケースのリファレンス実装モデルを開発してきた。
今回の検証では、IOWN APNの高速・超低遅延・広帯域通信の特性を活かし、遠隔地からのロボット操作とリアルタイムな映像によるパイプ異常検知の仕組みを実証した。
各社の役割と検証結果
NTTコムウェアはAPN環境の提供と画像認識AIによる亀裂検知、NTTデータグループは犬型ロボットとパイプ振動解析システムの提供、伊藤忠テクノソリューションズはRDMA対応FAカメラ環境での非圧縮リアルタイム映像伝送、三菱ケミカルグループは工場設備点検に必要な機能要件の定義を担当した。
検証では4K 60fpsの高解像度映像の遅延のない送信や、パイプの振動解析における振幅0.1mm、周波数60Hzの精密な計測が可能なことを確認した。また、RDMAによる伝送では従来比6%のCPU負荷軽減を実現した。
今後の展開と目標
4社は引き続き、ロボットの遠隔操作と解析の高度化、より遠距離環境でのシームレスな映像配信の実現に向けた検討を進める。さらに、複数のロボットやデバイスによる環境情報の同時取得、マルチモーダルAI解析の実施により、遠隔地現場の高精度なリアルタイム監視を目指す。次のステップとして、三菱ケミカルグループの製造現場において、通信環境を整備し、ロボット活用やAI解析による異常検知の検証を行う予定だ。
技術的特徴と市場への影響
検証では、お台場-五反田間を120km離れた環境として構築し、デジタルツイン環境との連携や画像認識AI「Deeptector」による解析、犬型ロボット「Unitree Go2」の遠隔操作、RDMA対応FAカメラによる非圧縮映像伝送など、最新技術を組み合わせた総合的な実証を行った。これにより、工場設備点検の自動化と遠隔化に向けた具体的な成果が得られ、実用化への道筋が示された。
AI Market の見解
本検証は、IOWN APNという次世代通信技術とAI、ロボティクスを組み合わせた先進的な取り組みだ。特に、120kmという長距離での4K高画質映像の低遅延伝送と、リアルタイムなAI解析の実現は、工場設備点検の自動化に大きな一歩となる。
この技術は、人手不足や高齢化が進む製造業において、作業効率の向上と安全性確保の両立を可能にし、さらにデジタルツイン環境との連携により、予防保全の高度化にも貢献するだろう。また、複数企業の技術を組み合わせた包括的なソリューションとして、今後の産業DXのモデルケースとなる可能性を持つ。
参照元:NTTコムウェア
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