SOMPOリスクマネジメント、音響診断AI化支援コンサルティングの実験で超音波領域の音響データ収録に成功
最終更新日:2023年01月11日
SOMPOリスクマネジメント株式会社は、2023年1月6日、同社が展開している音響診断AI化支援コンサルティングの開発業務として、超音波領域の音響データ収録実験を行ったと発表した。
音響診断AI化支援コンサルティングは、アコースティックセンサーにより得た音響データをAIで解析することで、機器故障の早期発見を図るというサービス。今回の実験では、超音波水洗浄機の稼働状況や変調の前兆が把握可能な音響データの収録に成功している。
目次
<本ニュースの10秒要約>
- 音響データをAIで解析することで機器故障の早期発見を図る、音響診断AI化支援コンサルティング
- 超音波水洗浄機の変調の前兆が把握可能な音響データを収録、AI化に必要な音響的な特徴量も把握
- 産業機器の保全を「予防保全」から「予知保全」へ。AI導入企業にさらなる安心・安全も提供
生産設備・機器などの異常診断を、音響データとAIで省力化
SOMPOリスクマネジメントは、企業のリスクマネジメントに関するコンサルティング/調査研究/セミナーといったサービスを提供している。「リスクのプロ集団」を自認し、データサイエンスを活用した自然災害ソリューションなどの開発・提供も推進。企業のリスクマネジメントを高度化させるサービスの展開にも取り組んでいる。
こうした事業を手がける中で同社は、生産設備・機器などの異常診断についても省力化の必要があると考えた。設備・機器の異常診断では、振動・温度・電流などのデータなどに加え、人間による聴音判断も重要となる。しかし人力による判断では、個人差や熟練者への依存といった問題が生じる。これらの課題をAIなどの活用により解消するサービスとして同社は、音響診断AI化コンサルティングを開発するに至った。
アコースティックセンサーを補聴器のように用いる
音響診断AI化コンサルティングは、SOMPOリスクマネジメントと日清紡マイクロデバイス株式会社、そして株式会社アニモの3社によって2022年2月より展開が開始された。日清紡マイクロデバイスはマイクロ波電子管や半導体などのメーカーであり、アニモは音響・音声技術を専門とするソフト開発会社だ。
この音響診断AI化コンサルティングでは、生産設備・機器が発する音を収録し、その音響データをAIで分析・可視化することによって、異音検知/設備予兆保全/検査業務の省人化などを可能にした。音響データの収録には、超音波領域に至る幅広い周波数帯域の音が収録可能なアコースティックセンサーを活用。このアコースティックセンサーを補聴器のように用いることで、人の聴覚に依存しない診断を実現している。
実験では、可聴域から超音波領域に至る音響特性の把握に成功
音響診断AI化支援コンサルティングのために行われた今回の収録実験では、株式会社AQUAPASSが開発・販売している超音波水洗浄機(水と超音波を利用したクリーンな洗浄システム)の音響データが収録/分析された。
AQUAPASSの超音波水洗浄機では、ポンプ周りのキャビテーション発生によってポンプに損傷を与える故障が、ごくまれに発生していたという。この故障の予防と軸受損傷の早期検知を目指し、実験では装置が発する可聴音および超音波領域の音響データをアコースティックセンサーにより収録。装置の心臓部である洗浄用超音波発振装置の稼働状況についても、洗浄用超音波の発生状態の直接収録が試みられている。
実験の結果、アコースティックセンサーは装置が持つ音響上の特徴を把握できることが実証された。超音波洗浄槽ポンプと超音波洗浄槽の双方について、可聴域から超音波領域に至る音響特性の把握に成功し、またAI化に必要な音響的な特徴量の把握も可能であることが確認されている。
実験に場を提供したAQUAPASSは、遠隔監視の実施なども検討
今回の実験に場を提供したAQUAPASSは、実験結果を高く評価。産業機器の保全を「予防保全」から「予知保全」にシフトさせうるものであると考え、今後は音響診断AI化支援コンサルティングを活用する形で遠隔監視の実施なども検討するとしている。
SOMPOリスクマネジメントは今回の実験結果を受け、音響診断AI化コンサルティングの導入企業拡大を推進すると共に、社会・産業インフラにおけるDX推進と社会実装に取り組み、AI導入企業にさらなる安心・安全も提供するとしている。
参照元:PRTIMES
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