最終更新日:2024-09-23
あいまい検索とは?セマンティック検索との違い・活用事例・メリット・課題を徹底解説!
私たちが日常的に利用している検索機能には、あいまい検索というシステムが使われています。スペルミスやあいまいな記憶も許容し、業務効率と顧客満足度を向上させるあいまい検索の仕組みはどのようなものでしょうか?
この記事では、あいまい検索の概要や処理手順、セマンティック検索との違い、メリット、活用事例、課題について解説します。あいまい検索について網羅的に理解したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
あいまい検索とは?
あいまい検索とは、ユーザーが入力した曖昧なキーワードや不完全な情報に基づいて検索結果を表示する検索技術です。
従来の検索エンジンは、キーワードの正確な一致や部分一致に基づいて結果を表示していました。あいまい検索はより柔軟に対応し、スペルミスや類義語、関連するテーマを考慮します。ユーザーが情報を曖昧に覚えていても、キーワードを入力するだけで最適なコンテンツが得られます。
あいまい検索では、以下のような機能があります。
- 文字の全角・半角、大文字・小文字を区別しない
- スペルの入力ミスに対応
- 表記ゆれや同義語を吸収
- 類似文章の表示
検索キーワードを曖昧に捉えることで、完全に一致していなくてもよいのがあいまい検索です。キーワードが部分的に一致していれば、検索結果として表示されます。
AIを活用した「セマンティック検索」の登場
検索技術については日々進歩していて、Googleなどの大規模検索エンジンではAIを活用したセマンティック検索が使われています。
セマンティック検索では、自然言語処理や機械学習を通して単語の意味や文脈を把握します。キーワードの一致に限らない検索意図を読み取った上でのコンテンツ表示が可能です。あいまい検索は、スペルミスやタイプミスを許容する柔軟な検索ですが、基本的にはキーワードの部分一致や類似性に基づいて結果が出ます。
また、セマンティック検索ではユーザーの過去の検索履歴や地理情報を考慮します。あいまい検索では 特定のパーソナライゼーションは行いません。
セマンティック検索とあいまい検索は、AI技術の活用という点において異なります。セマンティック検索についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
最近では、セマンティック検索をより高度に数学的に実現するベクトル検索が、特にLLM(大規模言語モデル)で活用されています。
あいまい検索の処理手順
あいまい検索では、文字列の分割と部分文字列の出現スコアの算出という処理手順で検索結果が表示されます。それぞれの手順について見ていきましょう。
文字列の分割
あいまい検索では、ユーザーが入力したキーワードを解析し、より小さな部分に分割します。このプロセスは検索エンジンが多様な一致パターンを検出できるように、単語やフレーズを識別します。
例えば、「コンピュータサイエンスとは」という検索クエリは、「コンピュータ」「サイエンス」「とは」という3つに分割されます。文字列の分割によって検索エンジンは各部分を個別に評価し、関連する情報を広範に検索することが可能です。
部分文字列の出現スコア算出
文字列の分割が完了すると、各部分文字列がどれだけ頻繁に出現するかを評価し、その関連度を数値化するプロセスに移行します。分割した文字列が出現する頻度や集中度を分析し、算出されるスコアに応じて表示ランキングを決定します。
出現スコアの算出にはさまざまなアルゴリズムが用いられ、文字列とデータベース内の文字列の間の相違点や一致点を計測し、スコアを割り当てます。算出スコア値が高いほど、検索クエリとデータベース内の文字列が類似していると判断されます。
あいまい検索のメリット
あいまい検索の活用によって、以下のようなメリットが期待できます。
- 検索業務の効率化
- 社内ナレッジの活用
- 顧客満足度の向上
それぞれのメリットについて解説します。
検索業務の効率化
あいまい検索では、スペルミスや不明確な情報でも適切な結果を得られるため、情報検索の時間短縮による効率的な業務を実現します。
例えば、社員が社内データベースから必要な資料を探す際、あいまい検索を利用すれば、曖昧な記憶や部分的なキーワードでも迅速に目的の文書を見つけることが可能です。情報収集が効率化されると、それ以外の業務に取り組める時間を増やせます。
また、新入社員や異動したばかりの社員にとっても有益であり、業務に早く慣れる手助けとなります。業務のDX化によって導入されたIT技術を上手く活用できない人でも、あいまい検索であれば簡単に操作できるでしょう。
社内ナレッジの活用
あいまい検索は、社内ナレッジの活用にも役立ちます。社内ナレッジには検索機能が不可欠であり、より高精度な検索を行うにはあいまい検索が必須です。
企業などの組織内には膨大な情報が蓄積されています。その中から有効な情報を活用するためには、必要なデータを迅速に見つけることが必要です。例えば特定のプロジェクトに関する過去の報告書や会議記録を探す際に、あいまい検索を活用することで、正確なタイトルや日付を覚えていなくても、関連するキーワードを入力するだけで必要な情報にたどり着けます。
これにより社員間での知識共有が促進され、社内に蓄積された情報資産を最大限に活用することが可能です。獲得できる情報の量や質に差が生まれないため、スムーズなコミュニケーションも期待できるでしょう。
顧客満足度の向上
企業のWebサイトやカスタマーページで情報を検索する顧客の多くは、曖昧なキーワードで検索する方が多いです。漠然としたイメージから検索をかけるため、あいまい検索は顧客満足度の向上に直結すると言えます。
例えば顧客が製品のトラブルシューティングを行う際、正確なエラーメッセージや専門用語を覚えていなくても、類似の表現や関連キーワードで検索することが可能です。これによって適切なサポート情報や解決策を見つけやすくなり、顧客の問題解決までの時間が短縮されます。
さらに、あいまい検索はFAQやヘルプデスクの効率化にも貢献します。顧客が自己解決できる範囲が広がるため、サポート担当者の負担が軽減され、より高度なサポートに集中できるようになります。
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あいまい検索の事例
あいまい検索は検索活動の効率化に貢献し、さまざまな業界で活用されています。あいまい検索の導入事例として、以下では3つのケースを紹介します。
医療機関での病名・症状の検索
医療機関において、あいまい検索は患者の迅速な診断と治療を実現するために活用されています。患者の年齢や病気の進行度、生活習慣や環境、症状の自覚度合いによって申告される症状は異なるため、患者の病名や症状を特定するのに時間がかかる、または医師の知識量に左右されてしまうケースがあります。
そこで、あいまい検索が有効です。例えば患者が「お腹が痛い」という症状しか訴えない場合でも、あいまい検索によって関連キーワードを含むさまざまなデータを表示します。関連情報として患者のデータを追加すれば、情報を絞り込むことも可能です。
また、電子カルテシステムにあいまい検索を導入すれば、過去の診療記録や関連する医学文献を効率的に検索することも期待できます。
図書館の検索システム
図書館では、利用者が求める資料を見つけるためのツールとしてあいまい検索が導入されています。利用者が書名や著者名、テーマについて曖昧な記憶しか持っていない場合でも、あいまい検索を利用することで関連する書籍や資料を迅速に探し出すことが可能です。
「タイトルと著者名は忘れたけど、宇宙を舞台にした小説」という漠然とした検索でも、あいまい検索は「宇宙」「小説」などのキーワードを基に関連する書籍をリストアップします。こうした利用者による検索は、図書館スタッフの負担軽減にも効果的です。
ストリーミングでの音楽・動画検索
ストリーミングサービスにおけるあいまい検索は、ユーザーが求める音楽や動画をスムーズに見つけるための機能です。曲名やアーティスト名、映画タイトルを正確に覚えていないことが多いため、あいまい検索はコンテンツの特定に役立ちます。
「”さよなら”というフレーズが入っているJ-POP」という条件でも、あいまい検索は関連する楽曲を提案します。年代や俳優の名前などの部分的な情報でも、関連する音楽や動画を見つけ出すことが可能です。これらのサービスは、顧客満足度を向上させます。
あいまい検索の課題
あいまい検索は便利な一方で、課題も抱えています。
ユーザーの検索意図と一致しない可能性
特に大きな課題として挙げられるのが、検索結果が必ずしもユーザーの意図と一致しない場合があることです。あいまい検索では、曖昧な単語や不完全な情報に基づく検索が同音異義語の影響を受けやすく、ユーザーが期待する情報とは異なる結果が表示されることがあります。
あいまい検索ではキーワードの出現頻度や集中度がスコア化されてランキングされますが、キーワードが多く記載されているからと言ってそれが最適な情報とは限りません。キーワードを言い換えたり追加することで、より適切な情報にたどり着けるケースもあります。
あいまい検索の精度向上には、自然言語処理(NLP)や機械学習などのAI技術の導入が不可欠です。これにより、検索エンジンは文脈や意味をより深く理解し、ユーザーの意図に最適なコンテンツを表示します。これを実現したのがセマンティック検索です。
データの精査や検証が不可欠
あいまい検索を活用するには、データの精査や検証が不可欠です。表示されたデータをそのまま飲み込むのではなく、あくまで参考としてそれが正しいのかどうかを精査・検証する必要があります。
特に顧客に提示するデータをあいまい検索で探す場合は、入念な調査が必須です。データをそのまま使った提案は信憑性に欠け、顧客に不安や不満を与える要因になります。また、望ましい結果とならないリスクもあります。医療業界は人命を扱うため、データの精査や検証を省くことは許されません。
あいまい検索を効果的に使うには、質の高いデータの精査と綿密な検証が必要です。これにより信頼性の高い情報を提供し、ユーザーニーズを満たすことができるでしょう。
あいまい検索についてよくある質問まとめ
- あいまい検索とは何ですか?
曖昧なキーワードや表記ゆれ、スペルミスなどがある情報を処理し、ユーザーに適切な検索結果を表示する検索技術です。以下2段階の処理手順を経て、検索結果を表示しています。
- 文字列の分割
- 部分文字列の出現スコア算出
- あいまい検索とセマンティック検索の違いは何ですか?
あいまい検索は主に文字列の類似性や部分一致を基に検索を行い、スペルミスや表記ゆれに対応します。一方、セマンティック検索はAIと自然言語処理を使用して文脈や意味を理解し、より高度な検索を実現します。セマンティック検索はユーザーの意図をより正確に捉え、関連性の高い結果を提供しますが、あいまい検索はより広範囲な結果を素早く提供する点が特徴です。
- あいまい検索とAI(人工知能)はどのような関係がありますか?
あいまい検索の基本的な仕組みはAIを必要としませんが、最新のあいまい検索システムではAIを活用して精度を向上させています。例えば、機械学習を用いて検索パターンを学習し、より正確な結果を提供したり、自然言語処理技術で文脈を理解し、ユーザーの意図に沿った検索結果を表示したりします。AIの導入により、あいまい検索の性能と柔軟性が大幅に向上し、より高度な情報検索が可能になっています。
まとめ
この記事では、あいまい検索の概要やメリット、導入事例、課題について解説しました。一見便利に思えるあいまい検索ですが、処理手順を知ると課題も見えてきます。
デジタル技術の普及によって、あいまい検索を導入した検索機能は増えています。あいまい検索について理解することで、提示されるデータやコンテンツを適切に扱えるようになります。
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