LaMDAとは?モデルの仕組みから特徴、活用事例、PaLMやGeminiとの関係性まで徹底解説!
最終更新日:2024年11月14日
LaMDAとはGoogleが開発したLLM(大規模言語モデル)です。Googleが開発している対話型AIのBardに採用することを2021年に公表して話題になりました。Bardに搭載されているLLMは、LaMDAからPaLM、PaLM2、そしてGeminiへと変遷を遂げてきているなかで、まさにGoogleの生成AI戦略の原点と呼べるLLMです。
Geminiとは?Googleの狙いは?こちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。なお、2024年2月にBardがGeminiに名称変更(リブランディング)されました。マルチモーダルLLMがそのまま対話型生成AIサービスの名称となった形です。
ChatGPTのリリース以降、さまざまな企業が生成AIのサービスが登場していますが、何がどう違うのかよくわからないという方も多いでしょう。
ここでは、LaMDAとはどのようなモデルなのか、どのような特徴があるのか、活用方法、後続モデルが登場している現在の状況なども含めて解説していきます。ぜひこの記事を参考にAI導入に関する検討材料にしていきましょう。
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目次
LaMDAとは?
LaMDAとはGoogleが開発したLLM(大規模言語モデル)です。LaMDAの名称はLanguage Models for Dialogue Applicationsから由来しています。
2021年に発表され、ユーザーとの自然な対話を目的とした言語モデルです。LaMDAと他の言語モデルの違いは、事前に用意されたテキストの訓練用データを利用した後、会話型AI向けのLLMとして調整され、人間にとって自然と感じる会話を生成できることです。
LaMDAの対話機能には以下の3つの重要な目標が掲げられています。
- 品質
- 安全性
- 情報の根拠
品質では出力される内容に矛盾がないか、「はい」「わかりません」などの汎用的な回答になっていないか、人間との会話にどの程度近いかを数値化し、精度向上に向けて開発されています。安全性では人間にとって有害なコンテンツが含まれていないかを確認し、排除するよう目指しています。
LaMDAの仕組み
LaMDAはTransformerというアーキテクチャがベースとなっています。「Transformer(トランスフォーマー)」は、自然言語処理におけるディープラーニング(深層学習)モデルで、「Attention」という技術を中心に設計されています。
TransformerはGoogleが2017年に論文公開し、ChatGPTのGPT-4やGoogle BERTなどをはじめとして、自然言語処理の分野で幅広く活用されています。TransformerにはAttentionという仕組みがあり、文章の単語に重みづけをしてどの単語に注目すれば良いか判断できます。
Attentionだけで学習しても高い精度の翻訳ができることが報告されているなど、Transformerは自然言語処理に強いモデルとしてさまざまなサービスに組み込まれています。LaMDAはTransformerで学習した後にファインチューニングを利用し、人間の会話に近づける工程を加えています。
ファインチューニングでは学習データだけでなく自己学習をして継続的な改善が行われます。このファインチューニングにより微妙なニュアンスまで表現でき、人間と自然な会話を実現しています。
Transformerとは?どんな仕組み?何がすごい?こちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
GoogleのエンジニアがLaMDAは知性を持つと主張
2022年にLaMDAの開発に携わっていたGoogle社員のブレイク・レモインが、LaMDAは人間のような知性を獲得したと主張して話題になりました。ブレイク・レモインは、AIに意識や魂のようなものがあるという回答をLaMDAがしたことを確認したため、確信的に上司に相談しました。
実際には、Googleは意識を持つAIや汎用AIの可能性は検討しているが、LaMDAが意識を持たないとしてこの主張を否定して落ち着きました。しかし、大手IT企業がこのようなAIを生み出す準備が整っていることが示唆され、シンギュラリティの実現可能性がグッと高まり、AIの安全性や人間との区別を明確化する必要性は高まっています。
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LaMDAの特徴は?
LaMDAの特徴は、オープンエンドな対話が可能であること、文脈を理解した自然な会話を実現していることが代表的です。ここでは、自然言語に強みを持つLaMDAの特徴を解説していきます。モデルの特徴を理解することで、実際にAIを導入する時にどのようなシーンで活用できるかをイメージできるようになるため、ぜひ理解していきましょう。
オープンエンドな対話ができる
LaMDAはオープンエンドな対話ができるAIモデルです。オープンエンドな対話とは、特定のテーマや結末に縛られず人間同士の会話のように次々とテーマが変化していく形式を意味します。
この特徴により、LaMDAは入力された質問に対して回答しつつ、人間らしい会話の進行を実現しています。
文脈を理解した、人間と自然な会話ができる
LaMDAは文脈を理解でき、人間と有機的なコミュニケーションを実現しています。ユーザーからの質問だけでなく、対話も可能です。
LaMDAは対話を維持するために過去の対話の文脈を理解し、さらに対話を深めることでより自然な会話を可能にしています。感情や思考においても人間らしさを表現し、他の生成AIにない強みとなっています。
LaMDAの活用事例
LaMDAの活用事例には、言語モデルとしての特徴と自然な対話ができることを生かしたサービスなどがあります。LaMDAを搭載したAIチャットボットでは、顧客の複雑で多様な問い合わせに対して正確に理解し、自然な対話を通じて適切な回答を導き出すことが導き出すことができます。
LaMDAにユーザーの購買データや自然言語での問い合わせ内容などを学習させることで、精度のいいパーソナライズやプロモーションを生成することも可能です。また、LaMDAの自然言語の理解力を生かしてブログ記事や報告書の自s同棲生などに適用してコンテンツマーケティングに生かすことも可能です。
分野問わず多様な文書を生成できるため、ジャンルを問わず品質の高いテキストコンテンツを生成することができます。
LaMDAとGoogleの他の言語モデルの関係性
LaMDAの発表から現在まで、GoogleはLaMDAの後続モデル含めてさまざまな生成AIサービスを発表しています。それぞれの後続モデルは処理能力の向上だけでなく、新しく実現できるようになったことがたくさんあります。ここでは、LaMDAとGoogleが開発しているサービスや後続の言語モデルの関係性を解説していきます。
PaLM
PaLMはLaMDAの後続モデルとして開発されたLLMです。PaLMはさらにアップデートされたPaLM 2があります。PaLM 2では100を超える多言語に対応し、慣用句やなぞなぞのニュアンスを含んだあいまいな表現までも多言語で理解できるようになり言語能力がさらに上がりました。
数学的な論文なども学習データに加わったことで、数学的な推論や能力が向上しました。
Gemini
GeminiはPaLM 2の後続モデルとして開発されている言語モデルになります。多様なデータ形式に対応するマルチモーダルネイティブな設計が特徴で、画像、動画やGmailなどの入力データをシームレスに理解することができます。GoogleはLaMDAの発表当初から、マルチモーダルネイティブなAIの開発中であることを公表しており、2023年12月にGeminiとして発表されました。
優れた信頼性や効率性を実現し、さまざまな領域で優れたパフォーマンスを発揮していることが報告されています。特に、Gemini最上位モデルのGemini UltraではChatGPTに組み込まれているGPT-4との性能比較では32項目中30項目でGemini Ultraの方が優れているという結果が公表されています。
2024年2月には、Gemini Ultraが搭載されたGemini Advanced が発表されました。同時に、GeminiはGoogleの対話型生成AIプラットフォームの名称へとリブランディングされました。
Bard
Googleは2023年に対話型AIのGoogle Bardを発表し、初期モデルとして計算量が少ない軽量版のLaMDAを搭載していました。LaMDAを搭載しているため、自然な対話をサービス上で実現しています。また、回答に必要な知識もGoogleの検索サービスと連携させているため、非常に正確な回答を出力できることで注目を集めています。
Google Bardは順次搭載するモデルをアップデートしています。初期のLaMDAから多言語対応や計算能力、コーディング力の向上を目的にPaLMならびにPaLM 2に変更されました。さらにPaLM 2からGeminiに変更され、Gemini Proというバージョンが採用されています。Geminiが搭載されたことで、文字だけでなく視覚情報も理解できるようになり、高度な推論能力を発揮できるようになりました。
そのため、テキストや画像などさまざまなデータ形式を同時に理解し、細かいニュアンスを含んだ情報を正確に理解し、的確な質問に答えることができます。
2024年2月には、BardはGeminiにリブランディングされました。Bardに搭載されるLLMは、LaMDAからPaLM、PaLM2、そしてGeminiへと変遷し、LLMがそのままプラットフォームの名称となった形です。
LaMDAについてよくある質問まとめ
- LaMDAとは?
LaMDAとはGoogleが開発したLLM(大規模言語モデル)です。LaMDAの名称はLanguage Models for Dialogue Applicationsから由来しています。2021年に発表され、ユーザーとの自然な対話を目的とした言語モデルです。
- LaMDAは知性を持つという主張はどうなった?
2022年にLaMDAの開発に携わっていたGoogle社員のブレイク・レモインが、LaMDAは人間のような知性を獲得したと主張して話題になりました。実際には、Googleは意識を持つAIや汎用AIの可能性は検討しているが、LaMDAが意識を持たないとしてこの主張を否定して落ち着きました。しかし、大手IT企業がこのようなAIを生み出す準備が整っていることが示唆され、シンギュラリティの実現可能性がグッと高まり、AIの安全性や人間との区別を明確化する必要性は高まっています。
まとめ
今回はLaMDAについてどのようなモデルなのか、その仕組みから特徴、具体的な活用事例まで解説してきました。LaMDAはGoogleが開発した大規模言語モデルで、人間との自然な対話を目的としています。実際にLaMDAとの会話中に、AIには意識があると回答されGoogleの社員がLaMDAは知性があると主張し話題になりました。
GoogleはLaMDAを用いて対話型AIのBardを開発し、自然な会話を通じてユーザーからの質問に回答することを実現しています。現在はアップデートを重ね、後継モデルのGeminiがGoogle Bardに搭載されています。Googleはすでに次世代のGeminiのトレーニングを行っていることを公表しており、今後さらに革新的なイノベーションを実現することを示唆しています。
ぜひ、これまでのGoogleの生成AIの歴史を踏まえてAI導入の参考にしていきましょう。
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