Stable DiffusionのLoRAとは?checkpointとの違いは?概要、使い方、作成方法を徹底解説!
最終更新日:2024年11月05日
Stable Diffusionで利用するLoRAとは、あるモデルに対して追加学習を行ったファイルを意味します。LoRAを活用することで、生成する画像のクオリティを劇的に上げたり、好きな画風や特徴を絵に加えることができるようになります。しかも、これまでにない速さで、高品質な作品を低コストで大量に生み出すことができます。
例えば、布の質感や光の反射の表現が自然になったり、ある有名な画家のスタイルを模倣した画像を作ることができたりします。
今回は
Stable diffusionの基本的な使い方をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
AI Marketでは
画像生成システムに強いAI開発会社を自力で選びたい方はこちらで特集していますので併せてご覧ください。
目次
Stable DiffusionのLoRAとは?
LoRAとは、LLM(大規模言語モデル)や画像生成AIモデルの追加学習データを指します。LoRAはLow Rank Adaptationの略称で、Stable Diffusionでcheckpointと呼ばれるモデルファイルに対して追加学習を行い、差分を記録したファイルになります。
画像生成において、元のモデルのパラメータを直接変更するファインチューニングは高スペックマシンと高度な技術を必要とします。代わりにLoRAを導入して、さまざまなパラメータの変更を行うことができます。少ない計算量で元のモデルに修正を加えられるので、比較的低スペック(と言ってもプロユースの)PCでもファインチューニングが可能になりました。
いわば、元のモデルファイルに対して微調整を行う機能で、描く絵のクオリティを劇的に上げたり、好きな画風や特徴を絵に加えることが可能です。LoRAを活用することで、オリジナリティあふれた高品質作品をスピーディに生み出すことができます。
AIがただランダムに画像を生成するのではなく、LoRAの設定に基づいて、目指す美しさやスタイルにぴったり合った作品を作り出すことができるということです。
checkpointやLoRAが共有されているHugging faceやCivitaiといったサイトからダウンロードして、Stable Diffusion上で利用できます。
CheckpointとLoRAはどう違う?
Stable Diffusionでは、モデルの本体と言えるcheckpointと、モデルに対して追加学習を行ったLoRAが存在します。checkpointは他の画像生成AIサービスでのモデルとほぼ同じ概念です。
Stable Diffusionでは他の画像生成AIと違い、テキストを入力して画像を生成するだけでなく、オリジナルのオープンソースモデルに追加学習を行って、自分の作成したい画像を生成できるモデル(checkpoint)を作成可能です。Hugging FaceやCivitaiのようなサイトでは、世界中のユーザーが作成したcheckpoint(モデル)をダウンロードできます。checkpointを使えば、一貫したトーンやタッチの画像を生成できます。
それに対してLoRAは、画像における背景や服装、キャラクターの髪などパーツのような位置付けとなり、微調整することを得意としています。1つのcheckpointに対して複数のLoRA を適用することもできます。
また、モデル全体を効率的に調整するLoRAに対して、画像の具体的な要素を制御するControlNetという拡張機能もあります。
LoRAの種類
LoRAには、以下のような種類が存在します
- キャラクターLoRA:生成したいキャラクターを指定するために利用
- スタイルLoRA:芸術的なスタイルを画像に適用でき、有名な画家の画風などを利用したいときに有効
例えば、「髪が宇宙」「スライムの少女」など、自身のイメージするテーマを幅広く反映できる - コンセプトLoRA:生成したい画像のコンセプトやアイデアを反映させたい時に利用
- ポーズLoRA:キャラクターに特定のポーズを適用したい時に利用
例えば、「指を指している」「お姫様ポーズ」などのポージングをした画像が生成可能 - 服装LoRA:キャラクターの服装を自身のイメージに合わせるために使用
服装や細かいアクセサリーまでさまざまな部分をコントロール可能 - オブジェクトLoRA:特定の物体やアイテムを生成したい時に利用
LoRAは何ができる?
LoRAのメリットは主に以下の3つがあります。これらのメリットを活用することで、企業は自社のプロダクトやサービスを効果的にプロモートし、ターゲット顧客に対して強い印象を残すことができます。ただし、LoRAを商用目的で利用する際には、著作権や利用規約に注意し、適切な使用を心がけることが重要です。
- 画風を調整できる
- キャラクターや人物を指定できる
- キャラクターを自分の好きな服装やポーズに調整できる
多様な画風の調整が可能
LoRAを使用すると、企業はプロモーション資料や製品紹介のための画像を、3D風、映画風、2Dアニメ風など、目的に応じた多様なスタイルで生成することが可能になります。これにより、ターゲットとする顧客層に合わせて最適なビジュアルコミュニケーションを行うことができます。
また、img2imgという機能でアップした画像を元に全く新しい画像を生成することもできます。
キャラクターや人物の指定が可能
LoRAを利用すれば、企業はブランドキャラクターやイメージキャラクターを指定し、一貫性のあるビジュアルイメージを多数生成することができます。これは、ブランディングやマーケティング活動において、キャラクターの一貫性を保ちながら様々なシーンを描出する際に非常に有効です。
キャラクターのカスタマイズが可能
さらに、LoRAではキャラクターを特定の服装やポーズにカスタマイズすることができます。これにより、特定のキャンペーンやイベントに合わせて、キャラクターを特別な衣装で登場させたり、特定のアクションをとらせたりすることが可能になります。
これは、企業のプロモーション活動をより魅力的で、ターゲットに訴求力のあるものにするための強力なツールとなり得ます。
AI Marketでは
LoRAはどこから入手できる?
LoRAの入手先はCivitaiとHugging Faceというサービスが代表的です。それぞれStable Diffusion上で使えるモデルやLoRAなどを共有しており、ユーザーは気軽にLoRAを入手することができます。ここではCivitaiとHugging Faceの概要やその特徴などを解説します。
Civitai
CivitaiはStable DiffusionのモデルやLoRAを共有しているプラットフォームです。アカウント作成が不要で、だれでも無料で利用開始することができます。
Civitaiではモデル(checkpoint)やLoRAだけでなく入力画像の圧縮と復元を行って新しい画像を生成するVAEなど、たくさんの種類のデータを共有しています。Civitaiでは生成画像のサムネイル表示がされているため、どのような画像を生成できるのか一目でイメージ可能です。
いろんなフィルタリングによって自分の生成したい画像を実現できるLoRAを見つけやすいサイト設計になっています。さまざまなデータをダウンロードできますが、複雑なコーディングは不要でシンプルな画面操作で完結するため、画像生成AIの分野では定番サービスです。
Hugging Face
Hugging FaceはStable Diffusionをはじめとして、LoRAを含むさまざまなAIモデルや学習に使うデータセットを共有しているプラットフォームです。Hugging Faceはチャットボットのような自然言語処理を得意としていますが、Stable Diffusionで利用できるモデルやLoRAも公開されています。
Hugging Faceではモデル名とLoRA名がまとめられているため、事前にどのモデルやLoRAの名称を調べておく必要があります。細かい部分まで調整したい方や、すべて自分で管理して画像生成したい方にとって、Hugging Faceは自由度が低いと感じる場合もあるので注意しましょう。
LoRAを使った画像は商用利用可能?
LoRAを使った画像は商用利用できる場合とできない場合があります。大前提として、Stable Diffusionで生成した画像は基本的に商用利用可能です。しかし、自分でインストールしたモデルの場合は、規定によって可能かどうかの判断が必要となります。
また、ダウンロード元のCivitaiやHugging Face上で公開する際の規約等もあるため、商用利用したい場合はまず利用するモデルの規約やライセンスを確認しましょう。
商用利用できないケースもある
商用利用できないモデルを利用した生成画像は商用利用できませんが、商用利用できないモデルをLoRAによって追加学習した場合も同様に商用利用できないので注意しましょう。
また、著作権をもつ特定のキャラクターや人物のLoRAを利用する場合も、申請が必要なケースやそもそも利用できないケースもあります。画像生成に関する著作権上の問題に関しては明確なガイドラインが確立されていませんが、十分に留意しましょう。
LoRAの具体的な活用シーン
従来、高品質なビジュアルコンテンツの制作は時間とコストがかかるプロセスでした。しかし、checkpoint、そしてLoRAの活用により、事前に定義されたブランドイメージやコンセプトをもとに、一貫性のあるビジュアルを低コスト・短時間で生み出すことが可能になります。
これにより、マーケティングチームはより多くのアイデアを試し、最適なビジュアル戦略を素早く見つけることができるでしょう。アニメやキャラクターに関する画像生成はもちろん、ビジュアルコンテンツの作成や教育現場におけるビジュアル化、個人制作の活動にも利用されています。
LoRAを自分で作成する方法
LoRAを作成する方法は、ローカルPCで生成する方法とStable Diffusion Web UIの拡張機能「sd-webui-train-tools」で作成する方法などがあります。
ローカルマシンで生成する場合、高いマシンスペックが必要です。大量のデータを処理し、複雑なAIモデルの学習を行うためです。また、プログラミングスキルを必要とし、AIモデルのトレーニングプロセスに関する深い理解が求められます。
時間とリソースの投資が大きく、高度な技術的知識を持つチームが不可欠ですが、企業が独自のLoRAを開発し、特定のビジネスニーズに合わせた高度なカスタマイズを目指す場合に適しています。
sd-webui-train-toolsを利用してLoRAを生成する手順は以下です。
- Stable Diffusion WebUIで拡張機能をインストールします。
- プロジェクトを作成
- 学習させたい画像を最低でも10枚ほど用意
- パラメータを調整
- AIに学習させればLoRAが生成
画面上のシンプルな操作で完結しますので、AIやプログラミングに関する専門知識がないユーザーでも、LoRAを生成し、ビジュアルコンテンツのカスタマイズを試みることが可能になります。初心者の方にはおすすめです。
Stable DiffusionのLoRAについてよくある質問まとめ
- Stable DiffusionのLoRAとは?
LoRAとは、LLM(大規模言語モデル)や画像生成AIモデルの追加学習データを指します。Stable Diffusionでcheckpointと呼ばれるモデルファイルに対して追加学習を行い、差分を記録したファイルになります。
画像生成において、元のモデルのパラメータを直接変更するファインチューニングは高スペックマシンと高度な技術を必要とします。代わりにLoRAを導入して、さまざまなパラメータの変更を行うことができます。少ない計算量で元のモデルに修正を加えられるので、比較的低スペック(と言ってもプロユースの)PCでもファインチューニングが可能になりました。
- CheckpointとLoRAはどう違う?
Stable Diffusionでは、モデルの本体と言えるcheckpointと、モデルに対して追加学習を行ったLoRAが存在します。checkpointは他の画像生成AIサービスでのモデルとほぼ同じ概念です。
Stable Diffusionでは他の画像生成AIと違い、テキストを入力して画像を生成するだけでなく、オリジナルのオープンソースモデルに追加学習を行って、自分の作成したい画像を生成できるモデル(checkpoint)を作成可能です。
それに対してLoRAは、画像における背景や服装、キャラクターの髪などパーツのような位置付けとなり、微調整することを得意としています。1つのcheckpointに対して複数のLoRA を適用することもできます。
まとめ
今回はLoRAとは何か、導入するメリットやcheckpointの違い、使い方などを解説してきました。LoRAとは、Stable Diffusion上でcheckpointに対して追加学習を行った差分を記録しているファイルです。checkpointは画像生成本体のアルゴリズムに対して、LoRAは追加学習を行った差分となるファイルという違いがあります。
LoRAによって生成画像のキャラクターやその服装などのパーツを細かく調整でき、自分の生成したい画像に近づけることができます。ぜひ、今回の内容を参考に、
AI Marketでは
AI Marketの編集部です。AI Market編集部は、AI Marketへ寄せられた累計1,000件を超えるAI導入相談実績を活かし、AI(人工知能)、生成AIに関する技術や、製品・サービス、業界事例などの紹介記事を提供しています。AI開発、生成AI導入における会社選定にお困りの方は、ぜひご相談ください。ご相談はこちら
𝕏:@AIMarket_jp
Youtube:@aimarket_channel
TikTok:@aimarket_jp
運営会社:BizTech株式会社
掲載記事に関するご意見・ご相談はこちら:ai-market-contents@biz-t.jp