データクレンジングとは?5つの効果・やり方・ツール選定方法や注意点を徹底解説!
最終更新日:2024年11月12日
現在のビジネスにおいて「情報」は非常に重要なものであり、企業は質の高い情報を保持していく必要があります。特に、需要予測やデータ分析などの構造化データを扱うAIモデルを構築する上では、ビッグデータと呼ばれる膨大な構造化データが必要となります。しかし、未整備でバラバラなデータではAIを学習させることができず、ビッグデータがただのゴミデータとなってしまいます。
そのため、質の高いデータを維持するための方法として、多くの企業からデータクレンジングの必要性が注目されており、実際に実施されています。
今回は、データクレンジングがどのような作業なのか、5つの効果やAIを用いる自動化の手順・方法、サービス選定の注意点などを紹介していきますので、ぜひご参考ください。
AIの開発方法をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
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目次
データクレンジングとは
データクレンジング(データクリーニング)とは、データベースに保存されている各種データを参照し、表記揺れや誤記、重複などの修正や削除を行うことです。
データクレンジングを行うことで、データベース内にあるデータはきれいすっきりと整理・標準化され、スムーズに使えるようになります。
ほかに「名寄せ」という言葉がデータクレンジングとセットで語られることが多いですが、データクレンジングで行うことがデータの整理・標準化であるのに対し、名寄せは複数のデータをまとめ、重複するデータを一つにする作業のことを指しています。
データプレパレーションと混同されることも多いですが、データプレパレーションは、クレンジングされたデータを分析やモデル開発に適した形に整える広範なプロセスを指します。データクレンジングはデータプレパレーションの一部と考えることができますが、それ自体が独立した重要なステップでもあります。
データプレパレーションの定義、活用方法をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
なぜデータクレンジングが必要?
定期的にデータクレンジングを行わなければ、探しているデータが検索しても出てこなかったり、探し出すのに長い時間がかかったりといった問題が発生する可能性があります。
また、拠点ごと、取引先ごとに以下のように少しずつ異なるやり方でデータが入力されていたり、ファイルやデータベースの形式が異なる状況はどうしても生じるものです。
- データの半角/全角
- 空白や区切り文字
- 法人格(株式会社と(株)など)
- 住所や電話番号
上記のような微小な食い違いにより、検索しても必要なデータを見つけることができません。また、同じデータが重複して入力されていることに気が付かなければ、何度も同じ人に営業をかけてしまうことも起きます。このようなデータは「ダーティデータ」と呼ばれます。
また、むやみにデータを増やしても、データに無駄なノイズが発生します。どのようにデータを活用するか、その目的に必要なデータを集め、クレンジングしていくことが欠かせません。データクレンジングを定期的に実施してクリーンなデータを維持しなければなりません。
こちらで企業でのデータ分析で活用できる手法を詳しく説明しています。
データクレンジングで期待できる5つの効果
データクレンジングを定期的に行うことで、データの品質を劣化させることなく、一定のレベルに保ち続けることができます。ここでは、具体的にどのような効果があるのか、代表的なものを5つほど紹介します。
- コスト削減を見込むことができる
- 意思決定力があがる
- 顧客満足度が高まる
- 生産性と効率の向上が見込める
- AIモデルに学習させることができる
それぞれの効果について説明します。
コスト削減を見込むことができる
データーベースを統合することでサーバーの数を減らすことができるので、その分サーバーの維持費用を減らすことができます。
また、データ入力にかかる時間も短く済ませられるので、その分人件費の削減も可能です。
意思決定力があがる
データの品質は、企業の意思決定や戦略の策定に大きく影響してきます。参照しているデータに間違いがあったり古いデータであったりする場合、大きな時間と労力の無駄となってしまいます。
データは時間の経過とともに必ず古くなり、品質が下がっていくものなので、定期的に部屋の掃除を行うのと同じように、データクレンジングをおこない精度の高いデータを保つようにしましょう。
顧客満足度が高まる
データの品質の高さは、そのまま顧客満足度の高さに繋がります。ユーザーの立場から見ても、データが整理されていて使い勝手が良いサービスのほうが信頼性が高く、選択したいと考えるでしょう。
最新のデータに保つことでサービスの信頼性を上げるだけでなく、応答速度が向上し、時代のニーズにも応えることができ、新しいトレンドも捉えることができるようになります。
生産性と効率の向上が見込める
データの品質を保つことは対外的な面において非常に有益なことですが、社内の生産性と効率の向上においても大きく役立っています。
大量のデータから有益な情報を見つけ出すためにはデータマイニングが必須です。データクレンジングは、その大量のデータを整理・標準化し、重複などを削除・調整し、一貫性や信頼性・品質を高めることを目的としています。正確性に欠けるデータや一貫性のないデータではデータ分析・活用にも時間がかかるため、データの整形・整備により品質を高めることが重要です。
適切なデータクレンジングを行えば、必要なデータを探すのに無駄な時間と手間を省くことができます。効率が上がり、快適に仕事を行うことができるため、従業員の仕事における満足度や生産性効率も高まるのです。
AIモデルに学習させることができる
保有するデータを適切に整備することで、実際にAIに学習させることができる構造化データとして扱うことができるようになります。反面、未整備のデータは学習に用いることができません。
AIでよく使われるビッグデータは、多種多様なデータの集合体であり、その中には破損・不正確・無関係なデータも含まれている可能性があります。データクレンジングは、それらの不要なデータを除去し、正確かつ一貫性のあるデータに整形することで、ビッグデータを活用する上での問題を解決します。
ビッグデータの導入方法、活用事例についてはこちらの記事で解説しています。
データクレンジングの進め方
データクレンジングを行うにあたって、一つずつステップを踏んで進めていく必要があります。大きく分けて5つの手順を踏む必要があります。
- 重要なデータフィールドの特定を行う
- データ収集を行う
- データを整形し、不必要なデータを排除する
- プロセスを標準化させる
- データスクラビングを行う
それぞれのステップの詳細を見ていきましょう。
データドリブン経営の導入におけるデータクレンジングの位置づけをこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
重要なデータフィールドの特定を行う
まず初めに、重要なデータフィールドの特定を行います。企業は非常に多くのデータを扱っていますが、そのデータのすべてが等しく有用あるとは言い切れません。
データクレンジングでは特定のフォーマットに統一する必要がありますが、対象となるプロジェクトやプロセスにとって、どのような形式のデータタイプ、データフィールドに特定するべきなのかを判断することが、非常に重要です。
自分の企業のツールや業務プロセスなどを一度見直し、もっとも適していると思われるデータ形式を選び、採用するようにしましょう。
データ収集を行う
関連しているデータフィールドを識別した後、その中に含まれているデータを収集し、ソート、整理を行います。様々なデータを一つのデータベースにまとめることで、今まで把握していなかったデータ同士の関連性も把握できるようになります。
しかし、今まで別の場所で管理していたデータはそれぞれの関連性が薄いため、工夫なく一つにまとめてしまうと、大きな不具合を引き起こしてしまう可能性があります。
場合によってはデータの品質が劣化してしまい、データクレンジングを行う意味がなくなってしまう可能性もあるので、データの収集は慎重に行いましょう。
データ収集の代表的手法、コツをこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
データを整形し、不必要なデータを排除する
データの収集を行なった後は、そのデータを整形し不必要なデータを排除していきます。名寄せと呼ばれる作業も、この工程に含まれているクレンジングの一種です。
例えば、複数登録されている企業の名前を統一したり、昔の所で登録されている住所を、新しい住所に変更したりもします。数値の情報は全角で書かれているものは計算の際に認識されないため、ここですべて半角に置き換える必要があります。
ほかに同一テーブル項目を結合したり、データ分析の際に適した形にしたりといった処理も必要です。この工程によってさまざまな形でデータ分析を行えるようになり、データの運用スピードを上げることができます。
プロセスを標準化させる
データクレンジングプロセスを効果的に行うためには、プロセスを標準化させる必要があります。
データクレンジングは毎回違う方法で行うとデータに悪影響を与えかねないので、プロセスに一貫性を持たせなければいけません。
具体的に解説すると、どのデータがよく使われていて、どのタイミングで必要になるのか、プロセスを維持する責任者は誰なのかといった事柄を決定し、マニュアル化していきます。
そして最後に、毎日行うのか、それとも毎週、毎月なのかといったデータスクラビングの頻度を決めます。
データスクラビングを行う
定期的にデータスクラビングを行うことによって、どこに改善の余地があるのか、どういうところで効果を上げているのか、バグや不具合がないかどうかなどを特定していきます。
データスクラブ(Data scrubbing)は、コンピュータープログラムによって、別のプログラムから生成された出力からデータを抽出する手法を指します。ストレージプールを検査するデータ維持機能として使用されることがあり、例えば、BtrfsボリュームやRAIDタイプのストレージプールでデータをチェックして、検出された問題を修正することができます。データスクラブは、一般に、アプリケーションを使用してWebから情報を収集するWebスクレイピングとしても知られています。
データスクラビングを効果的に行うには、データクレンジグによって影響を受ける様々な職務の人をバランスよく集め、多角的な視点で検討しなければなりません。
高い品質のデータを維持するには個人だけではない、企業というチーム全体の力が必要です。データスクラビングの取り組みによって企業にとって優先するべき事柄は何なのかが分かり、データを使った具体的な目的もはっきりと見えてくることでしょう。
データクレンジングを行う2つの方法
実際にデータクレンジングを行うにあたって、2つの選択肢があります。それぞれに異なるメリットや特徴があり、どちらを選ぶかは非常に重要となるので、両者の特徴を詳しく見ていきましょう。
社内の人材で実施する
データクレンジングは特別なスキルを必要としない単純作業なので、社内で担当者を決めて実施することができます。
ただし、データベースの情報量が巨大であればその分大きな労力を割くことになりますし、人力作業では入力ミスが発生する可能性も少なくありません。情報の品質を保つのがデータクレンジングの目的なので、ミスが多くては意味がありません。
そのため、データクレンジングで扱う情報量と人材のバランスを考慮してから、導入するかどうかを決める必要があるでしょう。
データクレンジングサービス・ツールを使う
社内にデータクレンジングを行う人材を確保できない場合は、データクレンジングサービスやツールを使用することになります。自動でデータクレンジングが実施され、データの結合などもスムーズに行われるので、非常に効率の良い手段であると言えるでしょう。
シンプルなクレンジングであれば、RPAでも問題なく処理できるでしょう。しかし、より複雑な自動化を希望する場合は、AIを活用する方が効果的です。AIを活用することには以下のメリットがあります。
- 人力で行うことが困難な作業を自動化できる
- 分析精度を改善できる
- 人の思考の偏りや入力ミスを排除できる
- クレンジングした後のデータの分析も自動化できる
このようにAIを活用することで、質の高い顧客分析やマーケティング活動を実施することができるでしょう。
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データクレンジングサービス・ツールを選ぶ際の3つの注意点
データクレンジングサービス・ツールには多くの種類がありますので、選ぶ際には自分の企業にとってどのサービス・ツールが有益となるのか、判断しましょう。
ここでは判断する際の4つの注意点を紹介していきますので、見ていきましょう。
保有している企業情報の数
企業情報を扱うデータのクレンジングを行う場合、データクレンジングツールが保有している企業情報の数は非常に重要です。データクレンジングツールは正確なデータを保つためにその会社独自の企業情報を保有していて、保有している企業の情報が多ければ多いほど、自動でデータの精査を行ってくれます。
最低でも、100万件以上の企業情報を保有しているツールを選ぶようにしましょう。
補完可能な情報項目をチェックしておく
データクレンジングを効率よく行うためにも、補完可能な情報項目は何なのかをチェックしておきましょう。
企業名や電話番号、住所といった基本的な情報はもちろん、その企業の資本金や売上高などもカバーしていれば、スムーズにデータクレンジングを行うことが可能となります。
コスト面を確認する
データクレンジングを行う上で、費用は欠かせないチェックポイントです。
データクレンジングツールには、有料から無料まで料金形態が幅広くなっています。有料の方がサービスが充実している傾向にあるため、高い効果を見込むことが期待できるでしょう。あまりデータ量が多くない場合は無料でも十分なので、扱っているデータ量と予算のバランスを考えた上で選ぶと良いでしょう。
データクレンジングサービスは、選ぶ会社によって費用が様々です。サービスが充実しているものの、不要なオプションなどが含まれた料金設定になっている可能性があるため、見積もりを出してもらい比較して決定しましょう。
データクレンジングツール5選
以下が代表的なデータクレンジングツールです。
ツール名 | 特徴 | 提供企業 |
---|---|---|
AWS Glue DataBrew | Amazon社が提供するクラウドサービスAWS(Amazon Web Services)のデータクレンジングをすることができる | Amazon |
FORCAS | 国内150万社の高品質な企業データを持ち、独自で定義した560種類の業界分類をしてくれる戦略的なB2Bマーケティングサポートツール | 株式会社ユーザベース |
Azure Data Factory | Microsoftが提供するクラウドサービスMicrosoft Azureのデータクレンジングツール | Microsoft |
ユーソナー(uSonar) | 国内最大の820万件の法人企業データベース(LBC)を搭載し、網羅率99.7%の拠点単位の企業データベースを持つ | ユーソナー株式会社 |
Talend Data Preparation | 機械学習ベースのガイドとサンプリング技術を活用し、データ内のエラーをすばやく識別できる | Talend |
データクレンジングについてよくある質問まとめ
- データクレンジングとは何ですか?
データクレンジングとは以下のことを指します。
- データベース内のデータを整理・標準化する作業
- 表記揺れ、誤記、重複などの修正や削除を行うこと
- データクレンジングの進め方にはどのようなステップがありますか?
データクレンジングは以下の5つのステップで進めます。
- 重要なデータフィールドの特定
- データ収集
- データの整形と不必要なデータの排除
- プロセスの標準化
- データスクラビングの実施
- データクレンジングツールを選ぶ際の注意点は何ですか?
データクレンジングツールを選ぶ際の主な注意点は以下の通りです。
- 保有している企業情報の数(100万件以上が望ましい)
- 補完可能な情報項目の範囲
- コスト(無料から有料まで、ニーズに合わせて選択)
データを活用したAI開発は専門会社に相談しよう
自社で保有するデータを、データクレンジングを通して活用できる状態にして、実際にAI開発を進めていきたいとお考えでも、どの会社に依頼すればよいかわからない、ということもあるかもしれません。
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