EC業界でのAI活用方法は?メリットや注意点、6社の活用事例を徹底解説!
最終更新日:2024年09月23日
近年Amazonや楽天など身近なECサイトにおいて、AI(人工知能)技術の活用が急速に進んでいます。
今回は、
ECサイト運営の効率化に興味がある企業担当者は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
EC業界が直面する課題
EC業界は、顧客ニーズ・集客チャネルの多様化や、カスタマーサポートの人手不足などさまざまな課題が顕著になりつつあります。以下では、EC業界が直面する課題を紹介します。
顧客ニーズの多様化
EC業界では、顧客ニーズの多様化が大きな課題となっています。消費者はパーソナライズされた体験を求めるようになり、個々の好みに合わせた商品やサービスの提供が必要です。
多様化するニーズに対応するためには、柔軟で迅速なマーケティング戦略が必要です。
集客チャネルの多様化
インターネットの普及により、ECサイトへの集客チャネルも多様化しています。近年はSNSから検索エンジン、メールマーケティング、アフィリエイトまで多岐にわたるチャネルを活用しなければ、集客の効果が得られません。
そのためECサイトの運営において、多様なチャネルを統合的に管理し、最適化するためのリソースとノウハウが求められます。
人手不足
EC業界もほかの業界同様に、人手不足の問題に直面しています。特にカスタマーサポートの人手不足が深刻です。カスタマーサポートとは、チャットなどを活用して顧客からの問い合わせに対応する業務のことです。
ECサイト需要の拡大に伴い問い合わせの数も増加し、各ECサイトではカスタマーサポート人材の確保が追いついておらず、多くの現場で人手不足が深刻化しています。
労働力の不足は、業務の品質低下や顧客満足度の低下を引き起こす可能性が高く、早急に解決すべき問題です。
情報セキュリティリスク
ECサイトは大量の個人情報を扱うため、情報セキュリティリスクも大きな課題です。顧客の個人情報や支払い情報が不正にアクセスされるリスクがあるため、厳重なセキュリティ対策が求められます。
最新のセキュリティ技術を導入し、常にリスクを監視できる体制が必要です。
配送コストの増加
配送コストの増加もEC業界における大きな課題です。配送コスト増加の影響を受け、顧客に対する配送料の値上げが必要となり、顧客離れの要因となります。
配送コストの増加は利益率に影響を及ぼす可能性が高く、特に小規模のEC事業者にとって大きな負担となり得ます。
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EC業界でAIを活用する方法・メリットは?
EC業界が抱える課題は、AIを活用することで解決できるものもあります。以下では、ECサイトでAIを活用する方法・メリットを紹介します。
パーソナライズされた商品提案ができる
レコメンドAIを活用することで、顧客の購買履歴や閲覧履歴を分析し、一人ひとりに合わせた商品提案が可能になります。パーソナライズされた商品提案が可能になれば、顧客満足度が向上し、購買意欲を高められます。
また、「自分のことを本当に理解してくれている」という感覚を顧客に与え、ブランドロイヤリティを大幅に高めます。
さらに、関連性の高い商品提案により、サイト内での顧客の滞在時間が増加し、離脱率の減少も期待できます。
関連記事:「レコメンドAIとは?活用事例選!機能の仕組みや活用メリットとは?」
24時間365日問い合わせに対応できる
AIチャットボットを導入することで、顧客からの問い合わせに24時間365日対応できるようになります。最新のAIチャットボットは、単なる自動応答システムではありません。自然言語処理と機械学習の進歩により、人間のオペレーターと見紛うほどの柔軟かつ知的な対応が可能になっています。
そして、定型的な質問への対応をAIが担当することで、人間のオペレーターはより複雑な問い合わせに集中できます。
これにより、カスタマーサポート人材が不足している場合でも、顧客サポートの品質向上が可能になります。
特に海外顧客が多く利用するECサイトにおいては、24時間対応できるAIチャットボットの活用により、利益率アップが期待できます。
関連記事:「なぜチャットボットにAIを搭載すべき?シナリオ型にないメリット・選び方完全解説!」
適正在庫を維持できる
AIを活用した需要予測や在庫管理により、適正在庫を維持することが可能です。過剰在庫や在庫不足を防ぎ、安定した供給が可能になります。
AIを活用することで、天候、イベント、SNSトレンドなどの外部要因を考慮した高度な需要予測モデルの構築が可能です。そして、需要予測に基づき、在庫状況と収益最大化を考慮した自動価格調整システムを導入できます。
これにより、在庫コストを削減し、販売機会の損失を最小限に抑えられます。
関連記事:「AIによる需要予測とは?何にどこまで使える?デメリットは?導入事例徹底解説」
広告・宣伝効果を高められる
AIをECサイトのマーケティング活動へ活用することで、ターゲット顧客に対するアプローチを効果的に行えます。顧客のレビュー、問い合わせ内容、SNS投稿などから感情を分析し、ブランドとの関係性を深化できるでしょう。
例えば、顧客の購買履歴や行動データを分析し、個々の顧客に最適な広告を表示することで、広告の効果を最大化できます。
また、AR/VRを活用した仮想試着では、AIによる体型認識と商品マッチングで、オンラインでのリアルな試着体験を提供可能です。
関連記事:「アパレル業界を生成AIが変える?効率化・生産性向上活用事例を徹底解説!」
EC業界でのAI活用の具体事例
EC業界でのAI活用の具体的事例を紹介します。
【Amazon】パーソナライズレコメンド
Amazonでは、20年以上にわたり、パーソナライズレコメンド機能を提供しています。Amazonのレコメンド機能にはAIが搭載されており、顧客の購買履歴や閲覧履歴を分析し、個々の顧客に対して最適な商品提案を可能にしています。
なおAmazonのレコメンド機能は、顧客データを用意すれば「Amazon Personalize」で一般利用が可能です。自社のECサイトのAI化を進める際には、お試し利用をおすすめします。
【ZOZO】ファッションのジャンルの好みを診断
ZOZOは、顧客自身が認識できていないファッションの「好み」をAIによってグラフとして可視化し、全144パターンのなかの一つを診断結果として表示するファッションコーディネートアプリを提供しています。
顧客のファッションジャンルを細分化することで、顧客が思い描くコーディネートと提案商品との高精度なマッチングを実現しています。「あなたの『似合う』が探せる」をモットーに、AIのデータ分析能力を活用し、顧客満足度の向上を図っています。
【楽天】AIを活用した店舗運営支援
楽天は、出店店舗向けの運営システム「RMS(Rakuten Merchant Server)」にAIを導入し、店舗運営の自動化・効率化をサポートしています。RMSのAIでは、売り上げの傾向分析や商品説明や問い合わせ対応用の文章作成などが可能です。
AI機能の追加により、オーナーの店舗運営のノウハウに依存することなく、効率的な店舗運営ができるようにサポートしています。
【メルカリ】出品者に改善提案
メルカリは、LLM(大規模言語モデル)を活用した「メルカリAIアシスト」により、出品者の売り上げ向上をサポートしています。具体的には、AIが出品された商品データを分析し、商品名の変更提案や自動生成など、より売れやすくするための改善提案を行っています。
メルカリAIアシストは、積極的にLLMを活用し、今後出品者だけではなく消費者向けの機能を追加していくと公表しています。
【awoo株式会社】AIハッシュタグを応用したキャンペーン展開
awoo株式会社は、商品データとユーザー行動データのAI分析をもとに、自動で商品が切り替わるキャンペーンページを提供しています。ユーザー行動データには、商品閲覧・クリック・購買など複数のデータが用いられており、多角的な提案を可能としています。
これにより、より効果的なキャンペーンページを実現しています。また、商品抽出にかかる時間コストの削減にも成功しました。
【株式会社DATAFLUCT】EC梱包サイズの最適化
DATAFLUCTは、AIの機械学習を用いてEC梱包サイズの最適化ができるモデルをオルビス社と共同開発しました。
同社では、梱包サイズの選定を現場の熟練スタッフや専用システムに依存しており、必要以上に大きな梱包サイズを使用することで余分な配送費が発生する課題に悩んでいました。
そこで、AI予測モデルにサイズダウンのアルゴリズムを組み込み、商品データなどのデータベース情報をもとに最適な梱包サイズを計算することで、注文の約15%で梱包サイズを削減することに成功しています。これにより、物流コストの大幅な削減が期待されます。
関連ニュース記事:「データビジネスのDATAFLUCTと化粧品ECのオルビス、機械学習による梱包サイズ最適化の実証実験を開始」
ECでAIを活用する際の注意点
ECサイトで活用されるAIは顧客データを使用することから、特にデータの内容や取り扱い方に関して注意する必要があります。以下では、ECサイトでAIを活用する際の注意点を紹介します。
データを精査する
AIの性能はデータに依存します。質の高いデータと十分な量のデータを収集・管理することが重要です。誤ったデータや偏ったデータを使用すると、AIの予測や提案が不適切になる可能性があります。
AIはトレーニングデータに基づいて学習するため、データに含まれるバイアスがAIの判断にも影響を与えることがあります。公平性を保つために、データのバイアスを検出し、修正することが重要です。
特定の商品のみを推奨するようなバイアスがかからないようにするうえでは、幅広いデータセットを使用するのも一つの方法です。ECサイトでは、商品データ、顧客の購買履歴、閲覧履歴などを正確に整備することが求められます。
AIの学習に使う顧客データは適切に保護する
顧客データを扱う際には、プライバシー保護とデータセキュリティに最大限の注意を払う必要があります。特にECサイトでは、個人情報や支払い情報を多く扱うため、データ保護の徹底が重要です。
適切なセキュリティ対策を講じ、不正アクセスを防止することで、顧客からの信頼を維持できます。
AIモデルを定期的に見直す
AIシステムは導入後も継続的に監視し、必要に応じてアップデートや調整を行うことが重要です。市場の変化や新しいデータに対応するため、AIモデルを定期的に見直し、最適なパフォーマンスを維持することが求められます。
そのためECサイトでは、季節ごとの売れ筋商品やトレンドの変化に合わせて、AIモデルの更新が必要です。
EC業界におけるAIの活用方法についてよくある質問まとめ
- ECサイトのAI活用方法は?
ECサイトでは、以下のようなところでAIを活用することが可能です。
- パーソナライズされた商品提案
- 問い合わせに24時間365日対応
- 適正在庫の維持
- 広告・宣伝効果の向上
まとめ
例えば、Amazonのレコメンド機能のようにAIを活用すれば顧客情報をもとにパーソナライズされた商品提案が可能となり、多様な顧客の購買意欲に刺さる提案を自動的に行えます。また、AIチャットボットにより24時間365日対応が可能となり、カスタマーサポートの省力化が可能です。
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