経理・会計部門でAI(人工知能)をうまく活用するには、AI化できる業務とできない業務を分けることがポイント です。できる業務はAIを使って効率化をどんどん進めていき、できない業務に経理担当者を集中させることで、精度の高いアウトプットが期待できます。
本記事では、経理・会計部門でAIを活用している事例を6つ紹介します。経理・会計部門へAIの導入を考えているなら、ぜひ参考にしてください。
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【無料】経理・会計に強いAI開発会社選定を依頼する AI化で経理の仕事がなくなる? 経理は会計、給与に関する事務または処理を行う仕事です。このままいくと将来は経理業務がすべてAIに代替され、人の手で行う仕事がなくなってしまうのではないか?とさえ言われています。
しかし、経理業務のすべてがなくなることはないと考えられます。なぜなら経理業務で得られた数字は、企業にとっての重要な経営指標であり、複雑な判断によって生み出されたアウトプットは人の力でないとできないものも多くあるため です。
とはいえ、IT化が進んだことにより経理業務に携わる人は減少し続けており、AI技術の浸透によってさらなる人員の削減が予想されているのが現状。経理担当者が活躍するには、より一層付加価値の高い経営力やマネジメント力を身につけていかなければいけないでしょう。
経理にAIを使うことの具体的な方法やメリット 具体的にAIを経理業務に活用する方法やメリットを見ていきましょう。「ルールがある」「ルーティンワークが多い」業務に関してはAIが得意とする分野です。
OCRによる領収書や請求書の自動データ化 従来、領収書や請求書は紙で発行されることが前提でした。法律の改正によって電子データでも効力があるようになりましたが、未だに紙でのやり取りをしているところが多くあります。
経理業務では企業活動に関する情報を集めたり、システムに登録することなどが多く、例えば領収書や請求書などを人の力で読み取ってデータ入力するのですが、これには時間や労力がかかってしまいます。
特に、生成AIを用いることで、紙ベースの請求書を自動で読み取り、データ入力の作業を効率化 します。AIは請求書の内容を認識し、正しい勘定科目に自動で振り分けることができるため、手作業による入力ミスを削減し、処理速度を大幅に向上させます。
例えば、OCR(光学文字認識)技術と機械学習を組み合わせたAIシステムは、請求書の各項目(日付、金額、品目など)を高い精度で認識し、適切な勘定科目に自動で割り当てることができます。
関連記事: 「経理に生成AIどう使う?すぐ使える活用方法・注意点を徹底解説! 」
領収書や請求書の仕訳業務の自動化 帳簿作成には、日々の取引を記録や整理をする必要があり、簿記を使って勘定科目に仕訳し、損益計算書と財務諸表などを作成します。
請求書や領収書などの書類やデータから、各社で定めた勘定科目等を考慮して入力しなければなりません。
そこでAIを活用すると、AIで勘定科目の判断を行い、仕訳データを作成することができます。
仕訳入力の業務は入力ミスが発生してしまうと、後々トラブルが発生してしまいます。仕訳業務が自動化、高精度化できれば、ミスを減らした入力業務が可能です。もちろん、入力の負担減にもなります。
チャットボットでの社内問い合わせ対応 経理の仕事は社内向けにも、経費精算などさまざまな問い合わせが発生します。会社の規模にもよりますが、経理担当が少なかったり、他業務と兼ねている場合には、問い合わせをしたいときに担当者が不在ということも考えられます。
経理・会計部門は月の中でも繁閑の差が大きいために、繁忙期に問い合わせが相次ぐと仕事が終わらず残業時間が増えてしまう場合もあります。
そこでAIチャットボットを活用し、よくあるお問い合わせはチャットボットで対応することで、いつでも対応可能とすることができます。時間をかける他の経理の業務に集中して取り組むこともできるでしょう。
なお、チャットボットとは?AI型、シナリオ型の違いや2つの導入効果を解説 の記事では、より詳細にチャットボットについて紹介しておりますので、あわせてご覧ください。
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【無料】経理・会計に強いAI開発会社選定を依頼する 経理でのAI活用事例やAIサービス6選 次に、経理業務での実際のAIの活用事例やサービスを6例ご紹介します。
株式会社NTTデータ・スマートソーシングによるAI-OCRの利用 バックオフィス系のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を手掛ける株式会社NTTデータスマートソーシングは、AIによる会計の支援業務を手掛けるFAST ACCOUNTING株式会社が開発した「領収書Robota」を導入しています。領収書Robotaは経理・会計部門の負担を軽減するためのさまざまな機能が搭載されており、AI-OCRによって紙の領収書やレシート画像を読み取り、文字データとして出力したり、仕訳も行う機能なども持っています。NTTデータ・スマートソーシングでは、経費精算に関するBPOを手掛けており、作業のピークが月末月初など締め日直前になり、オペレーターの負担が大きくなることが課題でした。 入力作業や多岐にわたる確認業務などの人手による作業が多くあるため、人手だけに頼らないデジタル化として、AIとRPAを組み合わせることにより、自動化の領域を拡大することを目指しました。従来の人手を中心としたBPOサービスだけでなく、AIやRPAなどを活用して、入力作業といった定型業務はロボットに任せる、判断が伴う非定型業務は人とロボットが対応するといったハイブリッドなサービスを提供していきたいと考えています。導入後は30〜40%の時間削減効果が見られましたが、AI-OCRを導入したことにより新たな課題も見つかったことがより大きな収穫だったということです。例えば、AI-OCRが正しすぎるがゆえに、経費申請者の入力の書き方でちょっとした誤差に反応してしまい、不一致となることが起こるという問題など、運用を進めていく中で気づくことも多いということでした。
株式会社ZOZOによる請求書処理効率AIのsweeepの導入 参照:sweeep ファッション通販サイトの企画運営を行う株式会社ZOZOは、請求書処理効率化ソフトを販売するオートメーションラボ株式会社が開発した「sweeep」を導入しています。
sweeepは請求書についての処理のすべてを効率化するAIのシステムで、スキャナなどで文書ファイルデータ化したさまざまな様式の請求書の処理をAIが行い、仕訳や振込などを自動化します。また請求書の回収から、仕訳、振込、保管といった経理の業務フローを一気通貫でサポートします。
ZOZOの経理部では、請求書の形態や経路が多岐に渡っている状態でした。紙、メール、システム経由などさまざまな形態で送られるため、管理が大変となり、わざわざすべてを紙に印刷してキャビネット保存していたということです。
この紙をなくして、すべてをデジタル化しようということを課題に、いろいろな経路から来る請求書を、最終的には一箇所にデータ化して保管することを目指しました。sweeepに決めた理由は、経理事務に特化しているUIだったことで、デザインの良さと経理業務ならではの操作であった点です。すなわち請求書の取り込みから仕訳作成、支払いまでがsweeep内で完結しておりわかりやすい操作ということです。
効果としては、締め日の大幅短縮が実現でき、7営業日から3.5営業日に短縮したということです。
RICOH Cloud OCR for 請求書の社内導入事例 参照:RICOH Cloud OCR for 請求書 システム概念図 業務課題の解決支援ソリューションを提供するリコージャパン株式会社が開発した「RICOH Cloud OCR for 請求書」を自社の発注売上業務室で社内導入しています。
RICOH Cloud OCR for 請求書は、AI-OCRを用いて請求書などの帳票の文字を認識しデータ化します。発注売上業務室では、毎月処理する請求書の枚数が約3,500枚もあり、入力業務や内容チェックが煩雑となり、時間もかかっていました。さらに、作業が集中するのは月末で、残業が続いてしまう問題もありました。
RICOH Cloud OCR for 請求書を用いて、請求書の情報をAI-OCRで自動で抽出しデータ化したことにより、入力にかかる手間や時間を大幅に削減できたということです。
また、データ化した請求書情報をRPAと連携することにより、請求書業務を自動化させ、漏れやミスを減らすことにも効果がありました。これまでは、紙の請求書で行っていたので、事務所から離れることができませんでしたが、請求書業務をデジタル化したことで、在宅勤務やテレワークも可能となる効果もあったとのことです。
C&Cビジネスサービスでの社内問い合わせチャットボットの導入 参照:俺のクラウド「CloudAIチャットボット」特長 JBグループのスタッフ部門を担っているC&Cビジネスサービス株式会社は、AIチャットボットを活用して、経理・会計部門の問い合わせ回答システムを構築しています。このチャットボットには、同じJBグループで情報ソリューションを手掛けるJBCC株式会社の「CloudAIチャットボット」を導入しています。
CloudAIチャットボットはクラウド型のAIチャットボットで、IBM Watsonを利用しており、コールセンターやヘルプデスクなどの社内外の問い合わせ業務に対応します。ユーザー企業はあらかじめFAQのセットを用意して、Watsonに学習させることで、AIがさまざまな問い合わせにチャット形式で回答できるようになっています。
コールセンターでのAIチャットボット導入事例についてはこちら の記事で特集しています。
経理・会計部門では、経費精算や勘定科目などの社内からの問い合わせが多く、特に締め日の前後には、他の業務も集中し、問い合わせに時間がとられることで残業時間も多くなってしまうことが課題でした。
CloudAIチャットボットはFAQセットを用意するだけで利用可能となり、経理・会計部門であらかじめ問い合わせの多いものを登録していきます。チャットボットを強化していくために、未回答の質問と新たな質問を抽出して、AIに学習させ、より広範囲の問い合わせに対応できるようになります。また、CloudAIではFAQと文書検索をセットにすることによって学習の手間を削減できるようにしています。
導入効果として、レスポンスの早期化や工数の大幅削減を実現することができました。また、経理財務で開発をしたために、修正をすぐに効率的に行えることも大きな利点です。 24時間365日いつでも対応可能なので、担当者が不在だったりしても問い合わせに回答できるようになったとのことです。
弥生会計ラインアップと請求書AIクラウド「LayerX INVOICE」連携開始 参照:弥生株式会社インフォメーション 会計・経理ソフトを手掛ける弥生株式会社の「弥生会計ラインアップ」と、ブロックチェーンスタートアップ企業の株式会社LayerXが提供する請求書AIクラウドサービス「LayerX INVOICE」が連携を開始しました。
弥生会計ラインアップは中小企業向けに、日々の記帳から、集計・決算書作成に至るまでを初心者でも簡単に使える会計・確定申告のソフトウェアです。
LayerX INVOICEは、請求書の受領後、AI-OCRによって請求書を自動でデータ化した上、仕訳や振込などのデータを自動で作成し、企業が導入する会計ソフトと連動して、ソフトに合わせた仕訳データを作成可能です。
この連携により、LayerX INVOICEが請求書から読み取った仕訳のデータを弥生会計ラインアップの会計ソフトに反映する連携ができるようになり、LayerX INVOICEで出力したデータを弥生会計ラインアップに取り込めるようになります。これらのデータを取り込むことで、会計帳簿や決算書、またレポートを自動で作成できるようになっています。
AIプロダクトによる通勤費・交通費の精算を自動化 Miletos株式会社は、経費領域専門AIプロダクト「SAPPHIRE(サファイア)」を開発。経理・会計に関連する業務を人に代わって行うAIプロダクトで、2021年4月から花王ビューティブランズカウンセリング株式会社にて本格的に導入・運用開始されました。これまで経理担当者が行ってきた経理の不備や不正の確認に加えて、通勤・交通費の精算の自動化が可能です。
通勤・交通費の精算は、従来まで申請者が手動で入力し提出をしておりましたが、「SAPPHIRE」のAI機能ではそれらのプロセスを削減できます。申請側だけでなくそれを確認する上司や経理担当者の「承認業務」も可能です。近郊ルートのデータにより移動経路が予測されているため、万が一不正があったとしても異常を検知してくれるように構築されています。
花王ビューティブランズカウンセリング株式会社が「SAPPHIRE」を導入したことで、年間で約5万5千時間の業務時間を削減することに成功しています。
経理・会計でのAI導入についてよくある質問まとめ 経理・会計部門でのAI導入にはどのような方法がありますか? 経理・会計部門でのAI導入方法には主に以下があります。
OCRによる領収書や請求書の自動データ化 AIを使った仕訳業務の自動化 チャットボットによる社内問い合わせ対応 AI-OCRと機械学習を組み合わせた請求書処理の効率化 通勤費・交通費精算の自動化 経理・会計部門にAIを導入するメリットは何ですか? 経理・会計部門へのAI導入のメリットには以下があります。
手作業や単純作業の大幅な削減 入力ミスや不正の防止 処理速度の向上と業務効率化 24時間365日の対応が可能に 人的リソースを付加価値の高い業務に集中させることが可能 テレワークや在宅勤務の実現 経理・会計部門でのAI導入事例にはどのようなものがありますか? 経理・会計部門でのAI導入事例には以下があります。
NTTデータ・スマートソーシングによる領収書RobotaのAI-OCR活用 ZOZOによる請求書処理効率化AIシステム「sweeep」の導入 リコージャパンの「RICOH Cloud OCR for 請求書」の社内導入 C&CビジネスサービスでのAIチャットボット導入による問い合わせ対応 弥生会計と請求書AIクラウド「LayerX INVOICE」の連携 まとめ この記事では、経理でのAI活用のメリットと、実際の製品やサービスの導入事例をご紹介しました。
経理・会計部門ではIT化が進んでいる分野は比較的多いですが、まだ手作業や単純作業が多く残っており、AIの技術を使うことにより一気に効率化が見込める領域でもあります。
紙の帳票の管理・処理を、AI技術を活用することによって、労力や時間の削減が大幅に見込めるでしょう。
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