IBM、CEOスタディ2025でAI投資が2年間で2倍以上に拡大すると予測。調査結果を発表
最終更新日:2025年07月11日

日本IBMが2025年7月11日にCEOスタディ2025「ビジネス成長を飛躍させるための5つの意識改革」の日本語版を公開した。
世界33地域のCEO2,000名を対象とした本調査では、AI投資が今後2年間で2倍以上に拡大すると予測され、約6割のCEOがAIエージェントを積極的に採用していることが明らかになった。
- 世界のCEO2,000名を対象とした調査でAI投資が2年間で2倍以上に拡大すると予測
- 約6割のCEOがAIエージェントを積極的に採用し全社導入を準備中と回答
- 過去3年間のAI施策で期待通りのROIを達成できたのは約4分の1にとどまる
日本IBMのIBM Institute for Business Valueが実施したCEOスタディ2025は、2025年2月から4月にかけて33地域・24業種のCEO2,000名を対象に調査を行った。
この調査では、組織の業績、戦略的な優先事項、イノベーション上の課題、AIやクラウドなどのテクノロジーの導入姿勢、意思決定の方法、経営層のアプローチ、人材戦略、変革に向けた組織文化の準備度、連携の取り組み、規制に関する懸念を評価した。
調査結果によると、CEOはAI投資の拡大が今後2年間で2倍以上になると予測しており、約6割(世界61%、日本55%)がすでに自社でAIエージェントを積極的に採用し、その全社導入も準備中であると回答した。
調査ではデータ活用に関する重要な課題も明らかになった。CEOの6割以上(世界68%、日本64%)が、部門横断的な連携を可能にしてイノベーションを推進するには、統合された企業データ・アーキテクチャーが不可欠であると認識している。
また、約7割(世界72%、日本68%)は自社固有データが生成AIの価値を引き出す鍵になると回答している。
しかし、回答者の半数(世界50%、日本43%)は、近年の急速な投資の影響により、自社のテクノロジーが分散された状態にあると認めており、効果的なデータ環境の整備に苦慮している可能性があることも示されている。
AI投資の成果に関しては厳しい現実が浮き彫りになった。過去3年間に実施されたAI施策のうち、期待通りのROIを達成できたと回答したのは約4分の1(世界25%、日本26%)にとどまり、全社展開に成功したと回答した割合は2割(世界16%、日本18%)にも満たなかった。
一方で、世界のCEOの65%はROIを基準としてAIのユースケースを選定しているのに対し、日本のCEOでは53%と低い割合となった。
興味深いことに、生成AI投資が単なるコスト削減以上の価値をもたらしていると回答したのは、世界のCEOでは約半数(52%)だったのに対し、日本のCEOでは64%と大きく上回った。
CEOの約3分の2(世界64%、日本67%)が、出後れるリスクを避けるために、テクノロジーがもたらす価値が完全に見極められていなくても投資を決断すると認めている。
AI導入における人材面での課題も明確になった。CEOの7割弱(世界69%、日本65%)は、自社の成功を左右するのは、戦略を深く理解し、重要な意思決定を行う権限を持つ幅広いリーダー層を維持できるか否かであると考えている。
CEOの6割以上(世界67%、日本61%)は、適切な専門家を適切なポストに配置し、適切なインセンティブを与えることが差別化につながると回答している。
今後3年以内に従業員の約3割(世界31%、日本33%)は、再トレーニングやリスキリングが必要になる見通しであり、CEOのおよそ3分の2(世界65%、日本69%)は、スキル・ギャップの解消に自動化を活用していく予定だと述べている。
世界のCEOの54%、日本のCEOの43%が、1年前には存在すらしなかったAI関連業務のために人材採用を進めていると回答した。
AI Marketの見解
本調査結果は、企業のAI投資が量的拡大から質的成熟への転換期にあることを示している。AI投資の2倍拡大という予測は、企業がAIを競争優位性の源泉として認識している証拠であるが、同時にROI達成率の低さは実装における技術的・組織的な課題を浮き彫りにしている。
特に注目すべきは、テクノロジーの分散化問題で、これはAI導入の急速な展開により統合されたデータアーキテクチャーの構築が追いついていないことを示している。
日本企業が生成AI投資に対してより高い価値を認識している点は、日本市場における慎重な投資判断と長期的視点の影響と想定される。
人材面では、従業員の3割がリスキリングを必要とする状況は、AIが労働市場に与える構造的変化の規模を示しており、企業の人材戦略の根本的な見直しが急務となっている。
AI投資拡大に関するよくある質問まとめ
Q1: なぜAI投資が今後2年間で2倍以上に拡大すると予測されているのか?
A1: 調査によると、CEOの約6割がAIエージェントを積極的に採用し全社導入を準備中であることや、AI投資の出後れリスクを避けるため価値が完全に見極められていなくても投資を決断するCEOが約3分の2に達していることが主な要因となっている。
Q2: AI投資のROIが低い理由は何か?
A2: 過去3年間のAI施策で期待通りのROIを達成できたのは約4分の1にとどまっており、これは急速な投資によりテクノロジーが分散し、統合されたデータ・アーキテクチャーの構築が追いついていないことや、全社展開に成功した割合が2割未満と実装面での課題があることが主な理由となっている。
参照元:日本アイ・ビー・エム株式会社
AI投資拡大に関するよくある質問まとめ
- なぜAI投資が今後2年間で2倍以上に拡大すると予測されているのか?
調査によると、CEOの約6割がAIエージェントを積極的に採用し全社導入を準備中であることや、AI投資の出後れリスクを避けるため価値が完全に見極められていなくても投資を決断するCEOが約3分の2に達していることが主な要因となっている。
- AI投資のROIが低い理由は何か?
過去3年間のAI施策で期待通りのROIを達成できたのは約4分の1にとどまっており、これは急速な投資によりテクノロジーが分散し、統合されたデータ・アーキテクチャーの構築が追いついていないことや、全社展開に成功した割合が2割未満と実装面での課題があることが主な理由となっている。

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